太陽光発電の産業用と住宅用の違いとは?

太陽光発電の産業用と住宅用の違いとは?

太陽光発電に関する専門用語には、「産業用太陽光発電」と「住宅用太陽光発電」といった用語もあります。しかし、これから産業用太陽光発電を始めたいと考えている方の中には、住宅用との違いや共通点、特徴について分からない方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、産業用太陽光発電と住宅の違いや運用方法について詳しくご紹介します。出力10kW以上の太陽光発電を検討している方や用語を理解した上で産業用太陽光発電について考えたい方は、参考にしてみてください。

産業用太陽光発電と住宅用の違い

産業用太陽光発電と住宅用太陽光発電の大きな違いは、設備規模とFIT制度における区分です。特にFIT制度に関しては、固定買取価格や固定買取期間、売電方法や自家消費要件など、さまざまな点で異なる部分があります。
それでは、産業用太陽光発電と住宅用太陽光発電の主な違いについて1つずつ確認していきます。

システム容量で区分されている

太陽光発電の出力を示すシステム容量は、産業用と住宅用で明確に区分されています。
システム容量10kW未満の太陽光発電は、住宅用太陽光発電として区分されているのが特徴です。一方、システム容量10kW以上の太陽光発電は、産業用太陽光発電として取り扱われています。
たとえば、太陽光発電の販売代理店や施工業者のHPでは、システム容量で太陽光発電を区分しながら紹介およびサービスの説明をしています。
システム容量による区分はFIT制度とも関連しているので、最初に覚えておくのが重要です。

FIT制度の固定買取期間が異なる

再生可能エネルギー設備を対象にしたFIT制度では、システム容量を基準に固定買取期間の変更や設定などが行われています。
システム容量10kW以上の産業用太陽光発電でFIT制度の承認を受けた場合は、承認年から20年間固定買取価格で売電し続けることが可能です。
2021年にFIT制度の承認を受けた時は、2041年までFIT制度を活用しながら発電および売電できます。
一方、システム容量10kW未満の住宅用太陽光発電は、FIT制度の承認を受けた年から10年間固定買取価格で売電し続けられます。
より多くの売電収入を得られるのは、固定買取期間20年間の産業用太陽光発電であることが分かります。そのため、太陽光発電投資を検討している時は、システム容量10kW以上の産業用太陽光発電をおすすめします。

固定買取価格が大きく異なる

FIT制度で定められている固定買取価格は、システム容量および産業用・住宅用によって異なる点にも注目です。
以下に2021年の固定買取価格を紹介します。

システム容量固定買取価格
10kW未満1kWhにつき19円
10kW以上50kW未満1kWhにつき12円
50kW以上250kW未満1kWhにつき11円
250kW以上 入札制度により定められる
第8回:1kWhにつき11円
第9回:1kWhにつき10.75円
第10回:1kWhにつき10.5円
第11回:1kWhにつき10.25円

固定買取価格は、FIT制度の承認を受けた年に示された価格で10年間・20年間売電し続けられる仕組みです。2021年にFIT承認を受けた場合は、2021年度の固定買取価格で10年間・20年間売電できます。
システム容量10kW未満の住宅用太陽光発電を設置した場合は、1kWhにつき19円の固定買取価格で売電を始められます。
一方、産業用太陽光発電は、システム容量に応じて固定買取価格やルールなどが変わります。
固定買取価格は、住宅用太陽光発電の方が高い傾向です。ただし、容量の大きな産業用太陽光発電の方が、より多くの売電収入を見込めます。
入札制度とは、政府で定めた募集容量(システム容量)に達するまで、安い入札価格から順番に落札される制度のことです。たとえば、募集容量1MWの場合は、落札設備の合計容量1MWに達するまで、入札できるようになっています。

余剰買取と全量買取のルールが大きく異なる

FIT制度の余剰買取と全量買取に関するルールは、システム容量および産業用・住宅用によって大きく異なります。

  • 余剰買取と全量買取の意味は、以下の通りです。
  • 余剰買取:発電した電気のうち、自家消費後に余った電気のみ売電可能
  • 全量買取:発電した電気を全て売電可能

より多くの売電収入を見込めるのは、全量買取方式です。
以前のFIT制度では、システム容量10kW以上の産業用太陽光発電について全量買取と余剰買取どちらも選択できました。また、住宅用太陽光発電は、余剰買取のみ選択可能です。
しかし、2021年のFIT制度は複雑なルールとなり、産業用太陽光発電について以下の要件へ変更されています。

システム容量10kW以上50kW未満自家消費要件を満たした場合は、余剰買取方式で売電可能
システム容量10kW以上50kW未満のソーラーシェアリング例外として全量買取可能
システム容量50kW以上全量買取可能

システム容量10kW以上50kW未満の産業用太陽光発電は、以下の自家消費要件を満たせた余剰買取にて売電を始められます。

  • 発電した電気のうち、30%以上を常に自家消費可能な状態にしておくこと
  • FIT認定の前に自家消費計画という自家消費の比率などを示した書類を提出
  • 認定前に設計図や回路図を提出、自家消費可能な設備か確認のために必要
  • 災害時は、自立運転機能へ切り替えられる設備であること

つまり、常に発電した電気の30%以上を売電せず、自家消費分へ回せるようにしておくのが余剰買取の適用条件です。また、パワーコンディショナ10kW以上、1.5kW以上の自立運転出力も保有しておく必要があります。
一方、全量買取を適用してもらえるソーラーシェアリングとは、農地に特殊な太陽光発電設備を設置し、農業と発電を併用可能な運用方式のことです。農地転用不要な点が、農地転用型太陽光発電との大きな違いです。
このように産業用太陽光発電は、住宅用太陽光発電よりも売電に関する要件が複雑な特徴を持っています。

産業用の方が初期費用はかかる

システム容量の大きな産業用太陽光発電は、住宅用太陽光発電よりも初期費用がかかります。

住宅用太陽光発電初期費用100万円~200万円程度
10kW以上20kW未満の小規模な産業用太陽光発電初期費用200万円~500万円程度
50kW程度の産業用太陽光発電初期費用1,000万円台
メガソーラークラスの産業太陽光発電初期費用1億円以上

住宅負う太陽光発電は、費用負担を抑えたい方におすすめです。
太陽光発電投資で収益を伸ばしたい方は、出力50kW以上の産業太陽光発電などもおすすめです。
一括で購入できない場合は、ソーラーローンなどの融資を活用することで設備を導入できます。メガソーラークラスは高額な初期費用のため、個人向けの融資で対応できない可能性があります。また、管理運用面でも個人で対応の難しい設備なので、出力1MW未満で検討してみるのも大切です。

収益性の大きな設備は産業用

何度か軽く触れていますが、売電収入を伸ばせる設備は産業用太陽光発電です。
システム容量の大きな太陽光発電は、太陽光パネルの設置枚数も多数設置されており、発電量も多いのが特徴です。
たとえば、システム容量4.5kWの住宅用太陽光発電は、毎月の売電収入7,000円前後で推移します。毎月数10万円以上の売電収入を目指している方には、メリットの少ない設備です。
一方、システム容量50kWの産業用太陽光発電は、毎月の売電収入約12万円程度まで得られる可能性があります。また、システム容量100kWの売電収入は、毎月約24万円程度得られます。
維持費用に関しては、設備規模が多ければ大きいほど増えていきます。産業用太陽光発電を設置する場合は、売電収入と同時に維持費用のシミュレーションも重要です。

設置場所が異なる

システム容量10kW未満の住宅用太陽光発電は、基本的に住宅の屋根やカーポートなどに取り付けられています。
システム容量10kW以上の産業用太陽光発電は、地面にされた架台の上で運用するのが基本です。なお、10kWにかぎり、住宅の屋根に取り付けることが可能な場合もあります。
さらに太陽光パネルの強度は、住宅用と産業用で異なるのが特徴です。産業用太陽光パネルは、沿岸部や山間部など住宅地よりも厳しい環境で運用する可能性があるため、強度などが高められています。また、その分費用も変わります。

産業用太陽光発電と住宅用の特徴

産業用太陽光発電と住宅用太陽光発電が、どのような用途に合っているのか特徴などを確認しています。

産業用太陽光発電は売電収益を求めやすい

産業用太陽光発電は、住宅用よりも太陽光パネルの設置枚数が多いこと、状況によって全量買取可能なことといった点から、売電収入を伸ばしやすい設備です。
特にシステム容量50kW以上の産業用太陽光発電は、条件不要で全量買取方式を選択できるため、運用しやすいのが特徴です。
さらに産業用太陽光発電は需要のある設備なので、売却も検討できます。売却益はシステム容量や設備状況によって異なるものの、数100万円以上の売却を見込めます。
反対に中古太陽光発電所を購入することも可能で、高い固定買取価格で売電できる場合もあります。たとえば、2013年にFIT認定済みの中古太陽光発電所は、2013年の固定買取価格で売電することが可能です。
他にも産業用太陽光発電は自家消費型に切り替えられるので、BCP対策や電気代削減効果を伸ばしたい場合にも役立ちます。
弊社とくとくファームは、全国各地の中古太陽光発電所を掲載しています。さらに売買のサポートを行っていますので、購入・売却が初めての方でも簡単に手続きを進められます。
中古太陽光発電所の購入や売却時は、お気軽にご相談ください。

住宅用太陽光発電は自宅の電気代削減などに向いている

住宅用太陽光発電は、買取方式や設置場所などの関係から自宅の防災や電気代削減などに適した設備です。
産業用と同じく自家消費型太陽光発電へ切り替えることが可能で、毎月の電気代を削減したい場合に役立ちます。発電量や毎月の消費電力量によっては、電気代を50%以上削減可能案場合もあります。
災害時には、自立運転機能へ切り替えて専用のコンセントから電気を取り出すことが可能です。

  • 情報収集のためにラジオやテレビなどへ電力を供給
  • 照明機器へ電力を供給
  • オール電化住宅はIHクッキングヒーターなどへ電力供給可能な場合も

他にも住宅用太陽光発電は、ZEH住宅との相性が良い設備です。ZEH住宅とは、暖房や冷房、照明、給湯などに伴うエネルギーの消費を可能な限り抑えながら、快適に過ごせる住宅のことです。(一次エネルギーの収支0を目指す住宅)
ZEH住宅では、エネルギーの創出も重要視されています。そのため、住宅用太陽光発電が役立ちます。

産業用太陽光発電の売電について2022年度から変更点あり

産業太陽光発電に関しては、FIP制度という新制度の影響を受けます。
2022年4月にスタート予定のFIP制度は、FIT制度と異なり市場に連動した変動制の売電価格です。さらに市場価格に連動した価格は、補助額という補助収入が上乗せされるのも特徴です。
以下にFIP制度の対象設備を紹介します。

  • 1MW以上のメガソーラー:2022年4月よりFIP制度へ移行
  • 50kW以上1MW未満の太陽光発電:FIP制度とFIT制度を選択可能

メガソーラーを運用している事業者は、2022年よりFIP制度で売電を行う必要があります。
一方、50kW以上の産業用太陽光発電を所有している方は、任意でFIP制度へ切り替えることが可能です。
FIP制度の売電価格は電力需要によって変動するため、蓄電池の併用など工夫しなければ売電収入を伸ばしにくい側面もあります。しかし、工夫次第では、売電収入を伸ばすこともできるので、太陽光発電投資家にメリットのある制度です。
今後も太陽光発電投資を継続する方やシステム容量50kW以上の産業用太陽光発電を検討している方は、FIP制度について学んでみるのもおすすめです。

産業用太陽光発電と住宅用は蓄電池を設置可能

前段でも少し触れた蓄電池は、産業用と住宅用太陽光発電どちらにも対応しています。
最後は、蓄電池の基本や産業用太陽光発電との組み合わせ、メリットについて確認していきます。

蓄電池の容量やサイズは設備の規模に合わせる

太陽光発電向けの蓄電池は、一般的な小型バッテリーと異なり1m以上のサイズがあります。
さらに産業用太陽光発電向けの蓄電池は、横幅と奥行きが1.3m程度、高さ2m弱と比較的大きなサイズです。そのため、設置スペースを確保できるか確認しておきます。
他にも設置周辺の環境にも注意が必要です。

  • 湿度の高い場所
  • 周辺に可燃性の物がある
  • 重量物に耐えられない土地、床
  • 直射日光がある
  • 塩害地域

上記の条件に該当する場合は、蓄電池の設置に適していません。室内に設置可能な場合は、床の耐荷重を確認しておくのも大切です。
蓄電池の容量は細かく分かれているので、太陽光発電のシステム容量などに合わせることが可能です。産業用太陽光発電向けの蓄電池は、蓄電容量20kWh台の大容量タイプもあります。

産業用太陽光発電の売電型や自家消費型どちらにも役立つ

蓄電池は、産業用太陽光発電にもメリットの多い設備です。
売電型や自家消費型産業用太陽光発電は、どちらにしても夜間に発電できません。また、日中に発電した電気を他の時間に活用できないため、効率よく運用できません。
蓄電池を導入した場合は、以下のメリットを得られるようになります。

  • FIP制度の場合、電力需要の少ない時間帯に蓄電し、需要の多い時間帯に効率よく売電
  • 出力抑制時に蓄電し、解除後に蓄えた電気をまとめて売電
  • パワーコンディショナの容量を超える発電時に損失分を蓄電し、パワーコンディショナの容量に余裕のある時間帯へ売電
  • 夜間など電力需要の多い時間帯に発電した電気を使用し、電気代削減効果を伸ばす

このように蓄電池は、発電した電気の蓄電や放電の調整など、電力を効率よく運用するために役立ちます。
産業用太陽光発電を検討している方は、蓄電池の併用も視野に入れるのが大切です。

FIT制度の関係から蓄電池の運用も重要

再生可能エネルギー関連の制度は、設備の普及や電力の価格などさまざまな要因から少しずつ変更されています。
FIP制度の新設後もFIT制度は残されるものの、今後10年・20年後・30年後とFIT制度を利用できるかは分かりません。
さらにFIP制度は電力需要に応じて売電価格が変わるため、蓄電池の併用も重要なポイントとなる可能性があります。特に産業用太陽光発電で売電収入を伸ばしたいと考えている時は、蓄電池の併用を前提にした運用計画を立ててみてはいかがでしょうか。

産業用太陽光発電と住宅には多数の違いがある

産業用太陽光発電と住宅用太陽光発電は、システム容量を基準に区分されています。さらにFIT制度や設備の周辺機器、設置場所などは、産業用と住宅用で大きく異なるのが特徴です。
住宅用太陽光発電は、毎月の電気代を削減したい時や住宅の屋根に取り付けたい時にメリットの多い設備です。一方、産業用太陽光発電は、年間の売電収入数10万円以上を想定している時や空いた土地を活用したい時に導入メリットがあります。
太陽光発電投資に関心を持っている方や売電収入を得たい方は、今回の記事を参考に産業用太陽光発電について検討してみてはいかがでしょうか。
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