太陽光発電を始めた人の7割が損をして後悔している話やブログを見聞きしたことがあるかと思います。しかし、「なぜ損をするのか」、「損をしない方法はないのか」などといった点について気になる方がいるのではないでしょうか?
そこで今回は、太陽光発電の7割が損をするという点の真偽や損をしてしまうケース、対策について詳しくご紹介します。太陽光発電の損益分岐点を知りたい方や太陽光発電で利益を得るために重要なポイントを知りたい方は、参考にしてみてください。
太陽光発電を始めた7割の人が損をする?
まず、太陽光発電を始めた7割の人が損をするという話は、極端な意見であり誤解を招く表現でもあります。2012年、週刊誌で太陽光発電を始めた7割の人が損をするといった見出しが出たことで、「太陽光発電 7割 損」といったキーワードをWebサイトで見かけるようになりました。
そもそも同記事は、太陽光発電を始めた3割しかメンテナンス・発電量をチェックしていないため、7割の人が点検を怠っているもしくは故障によって損をするかもしれない、という憶測に基づいた内容です。
太陽光発電のチェックやメンテナンスを怠っていれば、どんな環境でも故障しやすいのは当たり前です。さらに2021年現在は、経済産業省によって出力50kWの太陽光発電もメンテナンス義務化されています。
そのため、太陽光発電を始めた7割の人が損をするという話は、荒唐無稽であり参考不要です。
太陽光発電を始めて損をする可能性
太陽光発電を始めた7割の人が損をするという内容は、荒唐無稽です。ただし、太陽光発電にもリスクはありますし、運用方法や施工業者の選定を誤ると損をする可能性があります。
そこでここからは、太陽光発電で損をするケースについて紹介します。
施工不良による故障および修理費用の負担
太陽光発電施工業者の施工不良によって故障したり修理費用を負担したりした場合は、発電量不足や余計な費用負担などといった点で損失を被ります。
太陽光発電施工業者の中には、技術不足や作業員不足などで施工ミスしてしまう業者も存在します。施工不良によって生じた故障や破損は、メーカーの保証対象に該当しません。
そのため、太陽光発電施工業者の独自保証などがなければ、購入者側で修理費用などを負担しなければいけない可能性もあります。太陽光発電施工業者が倒産した場合も同様です。
想定された発電量よりも実発電量が少ない
太陽光発電の販売店は、事前にシミュレーションした発電量や売電量をまとめた資料を購入予定者へ提示します。万が一想定された発電量より実際の発電量が少ない場合は、売電収入も減少するため、赤字につながります。
事前のシミュレーションと実際の発電量が合わない理由は、単純に販売店の計算ミスだけでなく、意図的に虚偽の数値を記載されている可能性もあります。
- 販売店の計算ミス
- 販売店が虚偽の数値を記載
- 施工不良による発電量不足
太陽光発電の販売店を選定する時は、実績や評判などのチェックも重要です。
相場よりも高い設置費用で費用回収の負担が大きい
太陽光発電の相場よりも高い設置費用を負担してしまった場合は、想定通りの発電量でも収支を維持できない可能性があります。また、固定買取期間中に初期費用を回収時期できないといったリスクにつながります。
相場に近い費用であれば、8年~12年程度で初期費用を回収することが可能です。太陽光発電の販売店や施工業者を選定する際は、事前に相場を調べたり相見積もりを検討したりするのが大切です。
災害などによる破損
住宅用太陽光発電の場合は、地震や台風で屋根から太陽光パネルが落下したりケーブル断線だったりなどの可能性も考えられます。
土地付き太陽光発電やソーラーシェアリングは、地震や台風による破損の他、洪水や津波による水没といったリスクに注意が必要です。
例
- 地震によるケーブルの切断やパネルのガラスが割れる
- 台風でパネルが飛ばされる
- 河川の氾濫で水没
- 津波や土砂災害で設備全体が破損
- 積雪に耐え切れず架台ごと潰れる
- 塩害で各部材に錆が発生
そして、被災による太陽光発電の故障は、修理や設備交換まで発電量および売電収入0、損害保険などの補償を超える修理・交換費用の自己負担などといった損失も生じます。
雨漏りなど発電以外のトラブル
特に住宅用太陽光発電を設置する場合は、雨漏りや屋根の破損など発電以外のトラブルにも注意が必要です。
住宅用太陽光発電は、屋根に架台を設置し、架台の上に太陽光パネルを載せます。施工業者の施工不良やその他原因によって架台と屋根の間に隙間やヒビが入ってしまうと、雨漏りにつながります。
一方、住宅や事業所のある土地で産業用太陽光発電を始める時は、太陽光パネルの反射光による光害、騒音などによる住民トラブルにも注意が必要です。
販売店や設置業者からアフターサービスを受けられない
太陽光発電の販売店や施工業者が倒産したり音信不通になったりしてしまうと、アフター府サービスを受けられません。また、悪質な業者の場合は、アフターサービスを実施していない場合もあります。
販売店や施工業者の提供しているアフターサービスは、以下の通りです。
- 税務処理のサポート
- 自然災害補償
- 損害保険の案内
- 施工不良時の無償サポートなど
- メンテナンス
アフターサービスは、万が一の故障だけでなくメンテナンスにも関わる重要なポイントです。
太陽光発電で損をしないために大切なポイント
続いては、太陽光発電による損失を被らないためのポイントについて紹介します。
不当に値段をつりあげない業者に依頼
太陽光発電の販売店や施工業者を探す時は、相場に近い見積もりを提示してくれる業者から選定するのが大切です。
太陽光発電の本体価格や設置費用が高騰してしまうと、売電収入で費用回収できない可能性もあります。そのため、太陽光発電業者の実績や見積もりからサービス品質や費用相場との違いを確認しておきます。
収支や発電シミュレーションを正しく計算する業者へ相談
優良業者および販売店は、発電量や売電量、費用などのシミュレーションを丁寧に行ってくれます。
正確なシミュレーションを提示してもらえれば、初期費用の回収時期や費用と売電収入のバランスなどを見極めることが可能です。また、シミュレーションにメンテナンスなどの維持費用が盛り込まれていると、より正確な収支を確認できます。
設置後も発電実績を定期的にチェック
太陽光発電を設置したあとは、モニタで発電量を定期的にチェックするのも大切です。太陽光発電は、経年劣化や故障、天候などによって変化します。故障による発電量低下の場合は、急激に変化します。
経年劣化の場合は、毎年徐々に発電量が低下していきます。そして、晴れの日は発電量を基準とした場合、雨やくもりの日は晴れの日の1割~6割程度の発電量です。
急激な発電量の変化は故障の可能性と捉えて、早めに太陽光発電施工業者へ相談するのが大切です。
設置予定地の環境を確認
太陽光発電用地を探している時は、周辺環境を調べておくのも重要です。
太陽光発電に向いている土地は以下の通りです。
- 影の原因となる設備や建物が少ない、ない
- 周辺に可燃性のものがない
- 地盤が強い
- 湿度が低い
- 積雪量が太陽光パネルや架台などの耐荷重以内
- 塩害のリスクがない
- 日照時間が長い
- 夏場の気温が高すぎない(例:40度を超えないなど)
また、希望の枚数を設置可能な面積を確保できるかどうかは、太陽光発電用地を調べる際に重要なポイントです。
土地の形状に関しては、可能な限り平地である点も望ましいです。傾斜の付いた土地は、地震などの際に土砂災害リスクがあります。安定した設置には、補強工事も必要です。
損益分岐点を自主的に計算および確認
発電量や売電量、費用などの計算は、自主的に行っておくのも損失リスクを避ける上で重要なポイントです。太陽光発電の販売店や施工業者は、見積もりの際に初期費用の計算を行ったり収支や発電量のシミュレーションを行ったりします。しかし、意図せず誤ってしまう可能性も0ではありません。
そこで、自主的に発電量や売電収入、費用などを計算し、損益分岐点や費用の回収時期を確認してみるのがおすすめです。太陽光発電における損益分岐点は、何年で初期費用を回収できるかといった内容を指します。
一般的な損益分岐点(初期費用回収時期)は、太陽光発電設置から8年~12年です。
補助金制度を利用できる時は申請
太陽光発電に関する補助金制度を利用できる時は、積極的に検討してみるのもおすすめです。2021年時点で国の補助金制度は、実施されていません。しかし、自家消費型太陽光発電や蓄電池など、条件付きの補助金制度は実施されている場合もあります。
例:国の補助金制度(太陽光発電関連、単体の補助金制度はない)
- 戸建住宅ZEH化等支援事業(ZEH住宅の蓄電システムなどに対して補助金交付)
- ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
- 新たな手法による再エネ設備導入・価格低減促進事業(ソーラーシェアリングやソーラーカーポートなどに対する補助金)
ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業は、太陽光発電と蓄電池の併用に伴う費用に対する補助金制度です。2022年度の実施予定については、2021年12月時点で公表されていません。
また、自治体独自の補助金制度が実施されている場合もあるので、最寄りの自治体で補助金性を受けられるか調べてみるのも大切です。
たとえば、東京都調布市では、太陽光発電設備等取付け等補助(よりよい住まいづくり応援制度)という補助金制度を実施しています。上限額は10万円で、公称最大出力1kWにつき2.5万円の補助金額です。
太陽光発電で損をしないよう業者を見極める
最後に太陽光発電の販売店や施工業者の選定で、損をしないためのポイントを紹介します。
施工業者や販売店の評判をチェック
太陽光発電施工業者や販売店を比較する際は、評判や口コミについて調べてみます。各業者の公式サイトのみでは、顧客からの評価を確認できません。
一方口コミサイトなどには、太陽光発電の設置工事の品質や担当者の態度、実際にかかった費用などに関する口コミも記載されています。中には、偏った意見があるものの、中立的かつリスク回避につながる意見もあるので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
事業者の実績をチェック
太陽光発電の施工業者の実績を調べる時は、50件や100件単位の実績を持つ業者から比較検討してみるのも大切です。
施工技術は知識や資格だけでなく、現場経験によって高まります。施工実績の少ない業者は、イレギュラーな場面に対応できなかったり多種多様な提案をしてもらえなかったりします。
一方施工実績の多い業者は、要望に応じて太陽光パネルやパワーコンディショナの提案、設置場所に合った施工方法を提示してもらえます。
相見積もりを行う
販売店や施工業者の契約を検討する際は、相見積もりを行ったうえで判断するのが特に重要なポイントです。
相見積もりとは、2社以上の業者から見積もりを同時に作成・提示してもらう手続きのことです。複数の業者から見積もりを作成してもらえば、どこの業者が丁寧に見積もりを作成・安いか一目で判断できます。
そのため、太陽光発電の設置を検討する時は、複数社から相見積もりをとるのがおすすめです。
トラブルに発展している時は消費生活センターなどへ相談
太陽光発電の販売店や施工業者から契約を迫られていたり訪問販売でトラブルに発展したりしている時は、消費生活センターや国民生活センターなどで対応してもらえます。
また、ずさんな施工方法で住宅用太陽光発電設備が故障している時は、 住宅リフォーム・紛争処理支援センターで対応しています。
PV施工業者かどうか確認したい時は、PV施工技術者制度運営センターというサイトで資格取得業者を検索することが可能です。
太陽光発電のトラブルにも対応したサイトや窓口があるので、積極的に活用してみることをおすすめします。
太陽光発電の7割が損をするのは誤り
太陽光発電を設置した方の7割が損をするという噂は、2012年に週刊誌で作成された話および記事で、推測を含む誤った内容です。
ただし、太陽光発電の運用方法や施工依頼先などによっては、利益を得られる場合もあれば、損失を被る可能性もあります。
太陽光発電で損をしないためには、販売店や施工業者を慎重に見極めることも大切です。また、太陽光発電の収支を自主的にシミュレーションしたり、初期費用を可能な限り抑えたりなどといった工夫や対策も重要なポイントです。
太陽光発電について1から学びたい方や太陽光発電のさまざまな運用方法について知りたい方は、今回の記事だけでなく当サイトのさまざまな記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。
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