太陽光発電のFIT制度は2012年にスタートした制度で、年々売電価格が下落しています。これから太陽光発電投資を始めようか悩んでいる方の中には、2021年から導入してもいいのか不安を覚えている方もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、産業用太陽光発電投資を今から始めるメリットがあるのか詳しくご紹介します。産業用太陽光発電投資や自家消費型太陽光発電を検討している方は、参考にしてみてください。
太陽光発電は今からでも間に合う理由
太陽光発電の固定買取価格は、年々下落傾向です。ただし、初期費用も下落傾向なので、売電収入で黒字化を目指すことは可能です。
他にも太陽光発電を2021年から始めるメリットは、多数存在します。
まずは、太陽光発電を今から設置しても活用メリットを得られる理由について確認していきます。
投資費用の回収および売電収益は確保可能
2021年から太陽光発電投資を始めた場合でも、売電収入で初期費用を回収できます。
FIT制度で定められている固定買取価格は、年々下落しています。そのため、2021年度の固定買取価格は、2012年度や2013年度と比較して約半額の水準です。
しかし、太陽光発電の普及が進んだことや技術向上で設置費用が年々下落しており、初期費用と売電収入のバランスは維持されています。2011年と2021年の初期費用を比較すると、4.5kWの設備で100万円以上下落しています。
なお投資費用の回収期間は、産業用太陽光発電で10年~15年程度です。
太陽光パネルの発電効率が向上している
太陽光発電メーカーは、日々太陽光パネルや周辺機器の改良を重ねています。そのため、太陽光パネル1枚あたりの発電効率は、向上しています。
太陽光発電の発電効率は、売電収入や電気代削減効果などに大きな影響を与える重要な要素です。発電効率が向上している太陽光パネルは、太陽光発電投資家にとって導入メリットの大きなポイントです。
今後も太陽光パネルの発電効率向上、新たな太陽電池の開発などが期待できるので、今から導入してもメリットのある設備です。
高圧電力契約では基本料金の抑制が可能
太陽光発電は、売電収入だけでなく電気代削減効果も見込めるのが特長です。また、個人、法人どちらにとってもメリットのある設備です。
たとえば、高圧電力契約を交わしている事業者の場合、30分ごとに消費電力量が計測され、最も高い消費電力量を基準に基本料金を設定される状況です。
太陽光発電導入後は、過去の消費電力量を超える前に太陽光発電で発電した電気を使用し、基本料金の高騰を抑制できます。
さらに蓄電池と併用すると電力需要の少ない時間帯に蓄電し、発電量0の夜間・電力需要の少ない時間帯に消費およびカバーすることが可能です。
電気料金の負担が気になる方は、今から産業用太陽光発電を導入しても電気代削減メリットを得られます。
電気自動車やオール電化住宅などと相性が良い
太陽光発電は、近年注目されている脱炭素化と相性の良い発電設備です。
脱炭素化では、クリーンエネルギーの活用も検討されています。さらに石油をベースにした設備は、脱炭素化に適していないといった理由からクリーンエネルギーなどで発電した電気をベースにした設備に注目が集まっています。
たとえば、以下のような設備は、国内でも少しずつ導入が進んでいます。
- 電気自動車
- オール電化
電気自動車を購入した場合は、事業所内で給電でき、給油のための移動コストも削減できます。しかし、消費電力量が増加するため、毎月の電気代コストも増加します。
産業用太陽光発電は、給電の際に必要な電気をカバーできますし、電気代削減につながります。なお、産業用太陽光発電を事業所の敷地外に設置した場合は、既存の配電網を活用して事業所へ送電できます。(自己託送:既存の配電網を活用して送電)
FIT終了後は自家消費型太陽光発電で対応可能
FIT制度の適用期間終了後は、自家消費型太陽光発電で引き続き発電および運用し続けられます。
自家消費型太陽光発電では、以下のメリットを得られます。
- FIT制度や売電に関する規制などの影響を受けない
- 発電した電気を全て自家消費できる
- 電気代削減効果を見込める
発電した電気を全て自家消費できるのは、特にメリットといえるポイントです。たとえば、電力消費量の少ない時間帯に蓄電池を併用しながら電気を蓄え、電力消費量の多い時間帯に使用することで、電気代削減額を伸ばせます。
電気料金は年々値上げ傾向なので、産業用太陽光発電の自家消費を検討してみてはいかがでしょうか。
企業価値アップにつながる
産業用太陽光発電は、今から導入しても企業価値アップにつながります。
近年、エネルギーや環境問題に注目が集まっており、企業の責任も問われてきています。投資家は、ESG重視の投資を行う場合もあります。ESG投資とは、環境と社会、ガバナンス重視の企業へ投資を行う活動のことです。
太陽光発電の導入もESG重視と捉えられるため、投資家からの評価を期待できます。また、環境へ配慮した事業運営は、取引先との関係性強化や新たな仕事の獲得にもつながる可能性があります。
災害対策につながる
産業用太陽光発電は、企業のBCP対策につながります。
日本は、地震や台風の多い土地で、停電のリスクもあります。特に大規模災害の場合は、数日以上停電してしまう可能性もあるため、日ごろから災害対策を進めておくのも大切です。
企業にとって災害対策は、被害の軽減に加えて事業活動の継続や復旧にもつながります。また、事業活動の早期復旧や継続に関する対策をBCPと呼びます。
停電した場合の対策として発電機の利用も検討できるものの、燃料および電池切れで稼働し続けるのが難しい状況です。
一方、産業用太陽光発電は、日光さえあれば毎日発電できます。太陽光発電と蓄電池を併用すると、日中に発電した電気を雨の日や夜間に利用することが可能です。
今から太陽光発電を導入する際の注意点
続いては、今から産業用太陽光発電を導入する際の注意点について紹介します。
設置場所を慎重に検討する
太陽光発電の運用で重要なポイントは、設置場所の日射量や日照時間です。
太陽光発電で発電するには、太陽光パネルで日光を吸収する必要があります。しかし、雨の多い土地や日光の入りにくい土地では、発電効率の低下につながります。
太陽光発電を設置する際は、日照時間の長い・日射量の多い土地であることを確認するのが大切です。また、設置予定場所に木々や遮蔽物などがある場合は、木の伐採や撤去を行います。
発電効率に問題が生じる可能性がある時は、別の土地を探してみます。
設置場所周辺の環境をチェック
設置予定場所を数か所見つけた場合は、周辺の環境をチェックしてみるのが重要です。
以下の要素が含まれている場合は、別の土地を検討してみた方がいい場合もあります。
- 地盤が弱い
- 南向きに設置するのが難しい
- 湿気の多い土地
- 耐荷重を超える積雪量
- 可燃性の物が近くにある
- 塩害のリスクがある
地盤の弱い土地は、台風や豪雨などの際に土砂災害のリスクに注意が必要です。また、地震の際は揺れやすく、設備の破損につながる可能性もあります。
土地を取得する際は、事前に現地で下見をしたり実績のある太陽光発電施工業者へ相談したりしてみるのが大切です。
FIT制度の変更点などを含め確認しておく
FIT制度や再生可能エネルギーに関する法律、補助金制度などは、都度チェックしておくのが大切です。
FIT制度の固定買取価格は、毎年更新されています。2021年に太陽光発電のFIT認定を受けた場合は、2021年度に定められた固定買取価格で売電を始められる仕組みです。
固定買取価格は売電収入に直結するので、事前にチェックしておく必要があります。
他には、FIT制度の変更点や新制度などに関するチェックも重要です。全量買取の対象設備は、10kW以上の産業用太陽光発電から原則50kW以上の産業用太陽光発電へ変更されました。
さらにFIP制度という新制度が、2022年4月にスタート予定です。1MW以上の太陽光発電は、FIP制度へ移行されます。さらに50kW以上1MWの太陽光発電は、FIT制度とFIP制度を選択することが可能です。
産業用太陽光発電を検討している時は、制度変更に対応できるよう確認・準備しておくのが重要です。
投資回収期間を計算する
産業省太陽光発電の導入を決めた場合は、設置から何年で投資費用を回収できるか計算しておくのも重要です。
産業用太陽光発電の設備や設置工事費用は、一般的に融資で負担します。その後は、売電によって得た収入で返済していきます。
初期費用の回収期間を計算せずに太陽光発電事業を始めてしまうと、固定買取期間で完済できるか分かりません。そのため、産業用太陽光発電を検討している時は、年間の売電収入と融資額から回収期間を確認しておきます。
固定買取期間のうちに費用回収が難しい場合は、別の業者から太陽光発電の設置工事を依頼したり設置場所を変更したりしてみるなど、さまざまな点を検討し直すのも大切です。
出口戦略も検討する
産業用太陽光発電では、出口戦略を検討したり計画を作成したりしておく必要があります。
固定買取価格で売電できるのは、産業用で20年間です。固定買取期間終了後は、電力会社と新たに売電契約を結び、売電を継続することも可能です。
電力会社の提示している売電価格は、固定買取価格よりも安く設定されているため、黒字化の難易度が高い状況です。さらに売電収入で維持管理費用を負担できない可能性があります。
そこで、その他の出口戦略を検討しておきます。
維持管理が難しいと考えている時は、太陽光発電の売却がおすすめです。
- 維持管理に関する費用負担がない
- 維持管理の負担がない
- 売電収入で悩まずに済む
- 売却益が得られる
産業用太陽光発電の売却額は、システム容量や設備の状態などさまざまな要素から査定されます。売却後は、維持管理費の手間や費用負担を避けられますし、売却益を他の投資へ回すことが可能です。
弊社とくとくファームは、中古太陽光発電所の物件情報掲載・売買手続きを行っています。専任の担当者が、査定から売却物件のWeb掲載、売却手続きまで一括対応いたしますので、お気軽にご相談ください。
今から太陽光発電を導入する時は蓄電池の設置もおすすめ
産業用太陽光発電を今から始めるメリットや注意点を確認したあとは、蓄電池の併用についても検討してみるのがおすすめです。
最後に蓄電池の役割や産業用太陽光発電との相性などについて確認していきます。
蓄電池の特徴
蓄電池とは、電気を蓄えて任意のタイミングで放電可能な設備のことです。身近なところでは、スマートフォン用のバッテリーが代表的です。
太陽光発電関連のメーカーでは、太陽光発電向けの蓄電池を開発・製造・販売しています。
太陽光発電向けの産業用蓄電池は、太陽光発電で発電された電気を蓄えられる蓄電能力を持っています。さらに制御装置が搭載されているので、電力消費量や時間に合わせて電気を使用できます。
たとえば、日中に発電した電気を夜間に消費することが可能です。
ピークシフトやピークカットに必要
ピークシフトやピークカットを実行する際に蓄電池は、導入メリットのある設備です。
- ピークシフト:消費電力の少ない時間帯に電気を蓄え、消費電力の多い時間帯に電気を使用
- ピークカット:最も消費電力の多い時間帯の消費電力量を削減する
太陽光発電単体では、特定の時間に発電量を増加させることはできません。また、発電した電気を蓄えておくこともできません。
一方、太陽光発電と蓄電池を併用した場合は、ピークシフトやピークカットを実行できます。
さらに高圧電力契約を交わしている時は、ピークシフトやピークカットでデマンド値を抑えて、基本料金の低下へつなげることも可能です。(でマント値:30分ごろの消費電力量)
高圧電力契約では、過去12か月のうち最も高いデマンド値をベースに基本料金が作成されます。蓄電池の併用は、高圧電力契約の電気料金に悩む企業にもメリットがあります。
自家消費型太陽光発電導入時は特に重要
自家消費型太陽光発電を導入する時は、蓄電池との併用も重要なポイントです。
自家消費型太陽光発電の強みでもある電気代削減効果を伸ばすには、発電した電気を効率よく運用できるかどうかといった点です。太陽光発電と蓄電池の併用では、消費電力の少ない時間帯に蓄えた電気を消費電力の多い時間帯に活用できます。
自家消費型太陽光発電の設置を検討している方は、蓄電池の導入も検討してみるのが大切です。
産業用蓄電池の設置購入時は、蓄電容量10kWh程度で約200万円かかります。
災害時に効率よく電力を供給調整できる
太陽光発電と蓄電池の併用では、停電時にも効率よく電力供給できます。
太陽光発電は夜間に発電できませんし、夕方や雨の日の発電効率が低下してしまいます。そのため、停電時に夜間や雨の日に電力を安定供給できません。
蓄電池の併用時には、夜間や雨の日にも電力を供給し続けられます。
さらに急な停電時に故障しやすい設備(例:パソコンなど)を導入している時は、蓄電池で急な電源遮断を防ぐことも可能です。
太陽光発電は今から導入してもメリットがある
産業用太陽光発電は、今から導入しても利用メリットのある再生可能エネルギー設備です。
固定買取価格は年々下落傾向ですが、初期費用も下落し続けています。2021年に太陽光発電を導入した場合、一般的に10年~15年で初期費用を回収できます。
自家消費が太陽光発電は、売電収入を得られないものの、クリーンエネルギー導入による企業価値アップをはじめ、電気代削減効果、非常用電源としての役割など、さまざまなメリットを得られます。
産業用太陽光発電をこれから検討し始めてもよいか悩んでいる方は、今回の記事を参考に産業用太陽光発電や売電・自家消費、中古太陽光発電所について比較検討してみてはいかがでしょうか。
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