メガソーラーで環境破壊?問題点や解決策について紹介

メガソーラーで環境破壊?問題点や解決策について紹介

メガソーラーは、出力1,000kW以上太陽光発電所です。太陽光発電事業を検討している法人の中には、メガソーラーのメリットや問題点について気になっている法人もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、メガソーラーの問題点や対策などについて詳しくご紹介します。メガソーラーに関心を持っている法人などは、参考にしてみてください。

メガソーラーとは?

メガソーラーとは?

メガソーラーとは、出力1,000kW以上の(1MW以上)太陽光発電所のことです。

太陽光パネルの枚数は、数千枚以上用意する必要があります。設置費用は資源エネルギー庁の「令和3年度の調達価格等に関する」を参考にすると、1kWあたり19.8万円程度×1,000kWで2億円弱かかります。

出力1,000kWのメガソーラーを設置するには、敷地面積1ha前後(3,000坪程度)土地を確保しておく必要があります。敷地面積1haは、野球場やサッカースタジアムと同程度の規模です。

住宅の屋根に取り付ける住宅用太陽光発電や一般的な土地付き太陽光発電所とは異なり、出力や費用、設備規模の大きな太陽光発電所といえます。

メガソーラーの問題点とは?

メガソーラーの問題点とは?

続いては、メガソーラーならではの問題点について解説していきます。

設置場所の選定および確保が難しい

メガソーラーの場合、出力1,000kWで1ha前後の敷地面積を必要とします。そのため、広大な遊休地を整備したり山林を開拓および造成したりしながら、土地を確保するのが一般的です。

しかし設置予定地の近隣住民からメガソーラーの設置に関して、反対されるケースもあります。主な反対理由としては、メガソーラーによって自然の景観が崩れる、森林伐採による土壌流出の危険性、設置工事時の騒音などが挙げられます。

このようにメガソーラーは、設置に適した土地の選定、近隣住民から土地の確保について関する反対を受けるといった点から、設置予定地を決めるのが難しい側面もあります。

大規模設備のため初期費用は高額

メガソーラーは、出力1,000kW以上の大規模な太陽光発電所のため、太陽光パネルやパワーコンディショナ、配線、接続箱、架台などの数も多数必要です。

太陽光発電の設備費用や設置費用は、1,000kWで2億円弱かかります。メガソーラーは、法人向けの運用方式といえます。メンテナンス費用は年間約130万円~かかるため、100kWクラスの太陽光発電より負担の大きい側面もあります。また、売電収入でメンテナンス費用をカバーできるか、事前に計算しておくのが大切です。

高圧連系もしくは特別高圧連系の契約や準備が必要

出力50kW以上2,000kW未満の太陽光発電を設置・稼働させるには、高圧連系という契約手続きの締結や設備設置が必要です。

高圧連係は、電力会社と変わる契約手続きで、高圧電力を効率的かつ安定的に運用するために重要な作業です。

高圧連系の契約を提携した場合は、キュービクルという高圧受電設備(変圧装置)を設置し、さらに電気主任技術者の選任と配置を行います。高圧連系の事務手数料には20万円程度、設備の設置費用に150万円程度かかります。

なお、出力2,000kW以上のメガソーラーを設置するには、特別高圧連系という設備の設置と契約提携が必要です。

土砂崩れなど自然破壊のリスクが生じる

メガソーラーの設置場所で豪雨や台風、地震などといった災害が発生すると、設備設置地域で土砂崩れといった二次被害の発生リスクも想定されます。

太陽光発電は二酸化炭素の排出を行わない、化石燃料不使用といった環境面におけるメリットもあります。一方でメガソーラークラスの大規模設備は、森林の伐採といったデメリットも存在します。そのため、必ずしも環境に配慮された設備とはいえません。

さらに森林の伐採によって地盤がゆるむこともありますし、森林のない土地から土ぼこりが発生し近隣住宅へ飛散する可能性も考えられます。

2021年時点では、メガソーラーに関する規制などはありません。ただし住民のメガソーラー反対署名などによって、一部自治体がガイドラインを策定しています。

住民とのトラブルリスク

前述と関連しているデメリットの1つが、住民とのトラブル発生リスクです。

特にメガソーラーの設置では、土ぼこりの飛散・土砂災害リスク・光害・森林伐採・景観の悪化といった点を周辺住民が懸念し、反対運動や署名を行うケースもあります。

さらに住民トラブルの深刻化、騒音や光害などの放置が続くと、より大きな問題へ発展する可能性もあり注意が必要です。たとえば、民事裁判やSNSによる情報拡散および営業妨害、企業価値や信用の低下などといったリスクも考えられます。

メガソーラーは、小規模な太陽光発電よりも大きな売電収入を見込める一方、このようなリスクもあることを理解し、事前に対策しておくのも大切です。

後述でメガソーラーを原因とする騒音や光害、その他トラブルへの対策を紹介するので参考にしてみてください。

買取価格が年々下落傾向

メガソーラーにかぎらず太陽光発電の固定買取価格は、年々下落傾向です。

主な理由は、太陽光発電設備の設置費用低下や再生可能エネルギー賦課金の負担増加といった点などが推察されています。(再生可能エネルギー賦課金:再生可能エネルギーの買取コストを全国民の電気料金に上乗せされているもの)

なお、FIT制度で定められている固定買取価格は、毎年算定し直されています。

たとえば2021年にFIT制度の認定を受けた場合は、2021年度に定められた固定買取価格で20年間もしくは10年間売電を行うことが可能です。また、2021年に太陽光発電を設置し、2022年度にFIT制度の認定を受けた場合は、2022年度の固定買取価格が適用される仕組みです。

そして、メガソーラーを含む出力250kW以上の太陽光発電は、入札制度によって定められています。

2020年度12円/kWh、11.5円/kWh
2021年度11円/kWh、10.75円/kWh、10.5円/kWh、10.25円/kWh

このように0.5円~1円程度ずつ下落しています。設置前には、太陽光発電の収支計画の作成や売電のシミュレーションが基本です。

メガソーラーの問題点を乗り越えるには

メガソーラーの問題点を乗り越えるには

続いては、メガソーラーの設置や運用に関する問題点を乗り越えるための解決策について紹介します。

国や自治体のガイドラインに沿った対応を行う

メガソーラーの設置や運用に関する規制は、2021年時点で定められていません。しかし、一部自治体では、住民からの反対署名やその他運動によって独自の条例やガイドラインを定めているケースもあります。

トラブルを起こさずにメガソーラーを設置・運用するためには、法規制だけでなく自治体のガイドラインに沿った対応を行うのが大切です。

また、政府および環境省では、メガソーラーも環境アセスメント法の対象に含めるという方針を掲げ、改正法を2020年4月1日に施行しました。「環境影響評価法施行令の一部を改正する政令」は、出力40MW以上のメガソーラーに関して環境アセスメント義務の対象という内容です。また、出力30MW以上40MW未満のメガソーラーは、個別判断です。(第二種事業)

今後さらに法規制が定められた場合には、1MWのメガソーラー事業者も土地開発や造成工事、設備周辺の環境管理などに関するルールに従う義務が発生する可能性もあります。

なお、2021年5月28日、環境省は太陽光発電に関する環境アセスメントについて、評価基準を策定しています。ただし、こちらの評価基準に関しては簡略化に向けた動きのため、規制強化に直接つながらない内容です。

メガソーラーの運用を検討している法人は、設置予定地域の自治体ガイドラインや環境アセスメント法を含む法規制の改正状況なども確認しておくのが重要です。

設置予定場所の災害リスクを入念に調べる

自然災害や二次被害、その他事故を避けるためには、メガソーラー設置前の造成工事や森林の伐採、設置後のリスクについて調査および対策を立てるのが大切です。

たとえば以下のような対策を施すのもおすすめです。

  • 設置予定場所の雑草やごみなどが敷地外へ飛散しないよう注意しながら処理を行う
  • 土壌流出被害を軽減するために土のうを設置
  • 騒音を抑えるために設備に防音壁を取り付ける
  • 太陽光パネルによる光害を避けるために施工業者と共に事前のシミュレーションを行う

他にも景観悪化や森林伐採を抑えられる土地を選ぶのが、近隣住民からの信頼性向上や企業価値の向上、自然災害リスクを抑える上で重要な判断といえます。

近隣住民へ丁寧に説明を行う

メガソーラー設置に関するガイドラインなどに沿って工事を進めたり、災害や光害、騒音などの対策を行ったりしていても、近隣住民に伝わらなければ反対されてしまう可能性があります。

情報は発信しなければ、周囲に伝わりにくいものです。地道に説明会を実施したり近隣住宅へ資料を配布したりなど、さまざまな方法で住民との信頼関係を築くのが重要です。

海外の事例や対策の進む自治体、研究資料などを参考にする

再生可能エネルギーが進むドイツなどでは、再生可能エネルギーを活用したビジネスを深く考察および検証しています。また、国内の自治体には、エネルギー戦略という大きな枠組みの中にメガソーラーも含めています。

たとえば、メガソーラーを含む太陽光発電は、環境や近隣住民に対してどのような利益や価値があるのか考え、対策を講じるのも大切です。また、メガソーラーの設置予定地域は、地域の大切な資源です。

そこでメガソーラーによって生まれた利益や電気は、自社だけでなく地域や周辺地域の需要者、地元企業へ還元することで、地元に受け入れられやすくなる可能性があります。

買取価格の高い中古発電所も検討してみる

メガソーラーの新設は、高額な費用がかかるだけでなく土地の選定や造成工事、周辺環境の整備などさまざまな課題を乗り越える必要があります。また、固定買取価格が、年々下落傾向ということもあり、収支バランスにも注意が必要です。

一方、中古太陽光発電所は、既に土地の整備や太陽光発電の設置が完了しているのはもちろん、固定買取価格の高い年にFIT認定を受けています。さらに、過去の発電や売電実績を確認できるため、収支計画を立てやすい設備です。

メガソーラー設置に伴うさまざまな課題や問題解決に向けた時間、コストをかけることが難しい場合は、中古太陽光発電投資の検討もおすすめです。

弊社サービスは、毎月100件以上ベースで中古太陽光発電物件情報を掲載しております。さらに問い合わせや個別相談会などから、希望に沿った中古太陽光発電所のご紹介や各種手続きのサポートなどさせていただいておりますので、お気軽にお問い合わせください。

FIT制度終了後の運用方法についても考えておく

メガソーラーを含む産業用太陽光発電の固定買取期間は、20年間です。メガソーラーも運用方法や収支計画の内容によっては、初期費用の回収および黒字化も目指すことが可能です。

しかし、21年目以降はFIT制度終了のため、固定価格で売電事業できない状態となります。さらに電力会社はFIT制度終了後の太陽光発電に対して、電気の買取義務などありません。

自家消費型太陽光発電なども含めた新たな運用方法を検討するのが、長期的な稼働に必要な考え方といえます。自家消費型太陽光発電は、発電した電気を電力会社へ売電せず、自社の建物内で稼働している電気機器へ供給する運用方式です。

自家消費型太陽光発電は、FIT制度の影響を受けずに運用できるのも魅力です。さらに電気代削減効果を期待できるため、これまで負担していた電気代分の資金を別の事業へ回せます。

メガソーラーの問題点は多いが改善の見込みもある

メガソーラーの問題点は多いが改善の見込みもある

メガソーラーは、1haクラスの敷地面積を必要とする太陽光発電設備です。設備設置の際は、山林や遊休地などを整備したり森林伐採したりする必要があります。さらに土砂災害や光害、騒音といったリスク対策も重要です。

設置費用や災害対策、近隣住民との信頼や理解、申請手続き、規制など数多くの問題点を乗り越える必要があるものの、大きな売電収入やESGのアピールなどメリットも存在します。

今後メガソーラーの設置を予定している法人は、まず現状の問題点を理解し、対応策の作成やどのような価値を設置地域へ提供できるか定めておくのが大切です。

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