産業用太陽光発電の投資費用は回収できる?計算方法やポイントについて解説

産業用太陽光発電の投資費用は回収できる?計算方法やポイントについて解説

産業用太陽光発電を始める上で、投資費用の回収期間などについて確認しておくのが大切なポイントです。しかし、どのような方法で投資費用の回収期間や収支のシミュレーションを行うのか、分からない方もいるのではないでしょうか?

そこで今回は、産業用太陽光発電投資の初期費用回収期間や短縮方法について詳しくご紹介します。産業用太陽光発電投資を検討し始めた未経験者や収支計算の方法を調べている方などは、参考にしてみてください。

産業用太陽光発電の投資回収期間

産業用太陽光発電の初期費用回収期間は、一般的に8年~12年程度です。初期費用の金額は、出力および設備規模に応じて変わります。

初期費用の内訳は、一般的に以下の通りです。

  • 太陽光パネル
  • 架台
  • 配線
  • パワーコンディショナ
  • 接続箱
  • 分電盤
  • モニター
  • 電力量計

電力会社との連系費用など一部を除いて機器の構成などは、住宅用太陽光発電と大きく変わりません。

ただし、出力50kW以上の産業用太陽光発電(高圧)は、キュービクル(変圧器)の設置や電気主任技術者の配置など、出力50kW未満の太陽光発電(低圧)と異なる設備の設置や作業者の配置義務が生じます。そのため、初期費用回収期間は、出力50kW未満の太陽光発電よりも数か月程度延びる場合もあります。

なお、高圧の産業用太陽光発電は、費用負担の大きな設備であると同時に大きな売電収入を見込めるのが特長です。

初期費用回収期間は、出力に応じて5年や10年変わるものではありません。基本的には、売電収入やローンの返済額、維持費用などによって変わる点に注目です。

詳細は後半で改めて解説していきます。

太陽光発電投資の利回りや回収期間の計算方法

続いては、太陽光発電投資の初期費用回収期間を算出する上でも欠かせない、収支や利回りの計算方法について確認していきます。

売電収入とコスト確認

太陽光発電投資の売電量や売電収入は、毎月電力会社から送付される明細表で確認できます。

東京電力と契約している場合は、くらしTEPCOという会員向けサービスで確認することが可能です。

以下に東京電力の明細確認方法を紹介します。

  1. くらしTEPCOへアクセス、ログイン
  2. ページ内に記載されている契約者の氏名下部のボタンをクリック
  3. 購入契約ボタンをクリック
  4. ご利用明細ページで売電実績などを確認

あとは毎月の売電実績を合算し、1年間の売電収入を求めます。

初期費用は、太陽光発電施工業者から作成・提示された見積書から確認することが可能です。また、年間の維持管理費用については、1年間の保険料やメンテナンス費用などを合算しておきます。

表面利回りもしくは実質利回りの計算

売電収入と初期費用、維持管理費用を確認したあとは、表面利回りや実質利回りの計算式に当てはめて収益性を確認します。

太陽光発電投資における利回りとは、投資金額に対して何%の金額が戻ってくるのか示したものです。たとえば、利回り5%と10%の設備では、10%の方が収益性の高い設備と判断できます。

利回りの計算方法は、以下2種類に分かれている点にも注目です。

表面利回り1年間の売電収入÷初期費用×100
実質利回り1年間の売電収入ー1年間の維持費用÷初期費用×100

より具体的な数値を算出できるのは、実質利回りです。実質利回りは、1年間の売電収入から維持費用を差し引くため、全体の費用を含めた利回りを確認できます。

太陽光発電の利回りは、10%程度であれば平均です。

回収期間を計算

投資額の回収期間は、初期費用の総額を1年間の売電収入で割ると算出できます。比較的簡単な計算式なので、太陽光発電投資初心者にも覚えやすいのが特徴です。

  • 初期費用÷売電収入=回収期間

たとえば、100kWの産業用太陽光発電は、設置費用1,500万円程度です。

また、年間の発電量は、一般的に110,000kWh程度です。2021年度の固定買取価格を基準に計算すると売電収入は、121万円と想定できます。

上記のケースでは、初期費用回収期間「1,500万円÷120万円=約13年」として算出されます。なお売電収入は、事前のシミュレーションで算出することが可能です。

太陽光発電の設置契約および導入前に回収期間を計算することが、太陽光発電投資のリスクを少しでも抑えるために重要なポイントです。

太陽光発電投資の回収期間が変動する原因

太陽光発電投資の回収期間や計算方法について確認したあとは、回収期間に影響を与える原因について確認していきます。

太陽光発電投資の回収期間が変動する主な原因は、発電量や固定買取価格です。しかし、それだけではありません。

これから産業用太陽光発電を始める方は、さまざまなコストやリスクについても把握しておくのが大切です。

売電収入

太陽光発電投資の売電収入は、回収期間に大きな影響を与える要素の1つです。

売電収入が想定よりも増えていれば、回収期間を短縮することも可能です。反対に売電収入が減少したり想定よりも少なかったりしている場合は、回収期間が延びてしまいます。

売電収入を増やすためには、以下の点に気を付ける必要があります。

  • 発電効率の高い太陽光パネルを設置
  • システム容量に合わせたパワーコンディショナの設置
  • 太陽に対して太陽光パネルの設置角度や向きに注意
  • 日当たりの良い場所に太陽光発電を設置
  • 気温の高すぎる場所に設置しない(発電効率低下の可能性)

太陽光パネルの枚数を増やすだけでは、効率的に発電できない場合があります。特にパワーコンディショナの容量が不足していると、太陽光パネルで発電した電気の損失につながります。

設備の設計や仕様については実績豊富な太陽光発電設置業者へ相談してみるのが、対策の1つです。土地に関しては、不動産会社や太陽光発電の売買業者などへ相談することが可能です。

初期費用(設置費用)

初期費用を削減できれば、回収期間の大幅な短縮へつながります。

太陽光発電の設置費用は、大きく分けて設備費と設置工事の2種類です。

設備費は、文字通り太陽光パネルやパワーコンディショナ、配線、分電盤などといった各種機器類の購入価格を指します。一方、設置工事費用とは、太陽光発電の設置業者へ支払う工事費用を指しています。

初期費用の割合は、基本的に本体価格7割程度、設置工事費用3割程度とされています。

経済産業省の調達価格等に関する意見では、各種費用の内訳を示しています。以下に2020年度の単価と費用内訳を紹介します。

【2020年度の設置費用】

10kW以上50kW未満1kWあたりの設置費用25.5万円
50kW以上250kW未満1kWあたりの設置費用20.7万円
250kW以上500kW未満1kWあたりの設置費用20.4万円
500kW以上1,000kW未満1kWあたりの設置費用20.9万円
1,000kW以上1kWあたりの設置費用22.2万円

設備費は全体の75%程度、工事費25%程度の比率です。

そして、別途土地を購入した上で太陽光発電投資を始める場合は、土地の購入費用と造成費がかかります。

産業用太陽光発電の初期費用は、基本的に100万円以上と高額のため、ローンを組むのが一般的です。そのため、利息負担についても把握しておくのが重要です。

初期費用を抑えることができれば、回収期間の短縮と利回り向上を期待できます。

ランニングコスト

太陽光発電の設置後は、ランニングコストがかかります。

経済産業省の資料によると、1kWにつき5,000円前後の維持管理費用がかかります。

100kWの産業用太陽光発電を設置する場合は、年間50万円程度のランニングコストを想定しておく必要があります。

そもそも太陽光発電投資は、メンテナンスフリーではありません。10年・20年間と使用するには、太陽光発電施工業者へ定期的なメンテナンスや修理を依頼するのが大切です。

ランニングコストには、メンテナンスの他、清掃費用、修理交換費用などが含まれます。

費用については、基本的に稼働期間中毎年発生します。また、設備規模が大きければランニングコストも増加するのが特徴です。

なお、ランニングコストの過度な抑制は故障につながるため、一定の負担を許容しておく必要があります。費用削減を実行するには、ランニングコスト以外の費用を見直すのがおすすめです。

FIT制度の関係

太陽光発電投資の回収期間は、FIT制度の状況によって決まるといっても過言ではありません。

FIT制度は、太陽光発電投資の売電に関するあらゆるルールを定めたもので、売電収入や売電量、設備の稼働方法などと関係しています。

たとえば、一定期間固定買取価格で売電できるのは、FIT制度で10年間・20年間と定められているためです。さらに固定買取価格は毎年更新されているため、FIT承認の時期に応じて売電単価も変わります。

固定買取期間終了後は、別途電力会社と売電契約を結ぶか自家消費がへ切り替えるなど、いくつかの運用方法を選択できます。

自家消費が太陽光発電は、売電収入を得られないものの、電気代削減効果を伸ばすことが可能です。

なお、2022年4月にFIP制度という新制度がスタートします。FIT制度とは異なり、市場価格に連動した変動制が大きな特徴です。

50kW以上1,000kW未満の太陽光発電事業者は、FIT制度とFIP制度を選択できます。1,000kW以上の発電事業者は、FIP制度へ移行しなければいけないルールです。

FIP制度へ移行しなければいけない方や移行を検討している方は、FIP制度の売電価格や仕組みについて確認しておくのがおすすめです。

災害や劣化による破損

太陽光パネルをはじめとした各種機器は、経年劣化や災害、事故などによって破損する場合があります。

そして、突発的な費用負担は、投資費用の回収期間に影響を与えますし、発電ストップなどといった事態につながります。

破損した場合は、修理や部品交換を施工業者へ依頼する必要があります。また、設備全体が復旧不可能なほど破損している時は、施工業者や解体業者へ撤去工事を依頼しなくてはいけません。

各ケースでは、部品や修理費用・撤去費用がかかります。さらに修理中は発電の一時ストップで、回収期間の延長につながる可能性にも注意が必要です。

設備を撤去しなければいけない場合は、残りの初期費用(ローン残高含む)を損害保険などで補償してもらうことを検討します。

出力抑制

出力抑制が実行されると一時的に売電できないため、回収期間に影響を与える要素の1つです。

出力抑制とは、電力の需要と供給のバランスを維持するために電力会社で実行される措置のことです。発電量不足はもちろん過度な増加は、停電につながります。

出力抑制の実行中は、電力会社へ送電できません。

太陽光発電を設置する時は、設置地域の出力抑制について調べておくのが大切です。一部電力会社では、過去に何度か出力抑制を実行しています。

太陽光発電投資の回収期間を短縮するには

ここでは、太陽光発電投資の回収期間を短縮するためのポイントを確認していきます。

発電効率を高める

太陽光発電の発電効率を高めることは、回収期間の短縮につながります。

発電効率アップは、発電量および売電収入の増加につながり、ローン返済を前倒しできる場合もあります。

発電効率の高い太陽光パネルの設置やパワーコンディショナと太陽光パネルのバランスを考慮、日当たりの良い土地に設備設置などといった対策が、発電量の増加につながります。

土地の日射量や日照時間、周辺環境については、太陽光発電工施工業者へ現地調査してもらうことが可能ですし、事前にNEDOで日照時間などを調べられます。

ローンの比率を抑える

初期費用を一括で支払うことができれば、設置後の費用負担を最小限に抑えることが可能です。つまり、どれだけ初期費用のローン残高を抑えられるかどうかで、太陽光発電投資の回収期間が変わります。

産業用太陽光発電の設置費用は、出力に応じて100万円や1,000万円台、1億円~と異なります。一般的に100kW以上の太陽光発電は、初期費用1,000万円~で推移しています。

  • ローンの負担を抑える方法を以下に紹介します。
  • ローンの金額を減らす(自己負担額を増やす)
  • 利率の低いローンを組む
  • ローンなしで設備を設置(全額自己負担)

他にはローンの返済額を増やして、早期の完済を目指すのも大切です。ローン返済の前倒しを行うには、売電収入を増やす必要があります。

太陽光発電向けのソーラーローンは、低利率で資金調達できるのが特長です。太陽光発電の販売店などでは、ソーラーローンに関するサポートや紹介を行っている場合もあります。

また、弊社とくとくファームは、金融機関との深いネットワークがあります。融資を含めたご相談にも対応しているので、お気軽にお問い合わせください。

損害保険やメンテナンスコストを見直す

太陽光発電施工業者から提示される損害保険やメンテナンスプランの見直しては、回収期間の短縮につながります。

損害保険やメンテナンスは、故障や経年劣化の際に役立つサービスです。しかし、無計画に複数の保険へ加入したり必要以上のサービス付きメンテナンスを利用したりしていると、維持費用負担の増加や回収期間の遅延となる可能性があります。

太陽光発電投資において各種保険やメンテナンスプランは大切ですが、余計な特典やサービスに加入する必要性はありません。

損害保険やメンテナンス、その他サービスを紹介された場合は、内容や料金を1つずつ確認し、無駄なサービスではないか判断するのも大切です。

中古太陽光発電所を検討する

土地付き中古太陽光発電所の購入は、投資費用の回収期間を短縮させる方法としてもおすすめです。

中古太陽光発電と新規設備の大きな違いは、固定買取価格です。

たとえば、2012年にFIT認定を受けた中古太陽光発電所は、2021年に購入しても2012年の固定買取価格で売電を始められます。

さらに固定買取価格は2021年以前の方が高いため、高利回りな側面もあります。

また、過去の発電や売電実績を確認できるため、より具体的な回収期間や売電収入、利回りを計算することが可能です。

中古太陽光発電所に興味を持った方は、とくとくファームの無料個人セミナーでお気軽にご相談ください。太陽光発電投資の基礎から中古設備の特徴、さらに会員向けの物件までご紹介いたします。

FIP制度の検討

出力50kW以上1,000kW未満の太陽光発電投資を検討している時は、FIP制度への移行を含めた運用計画を立ててみるのも大切です。

FIP制度のメリットは、電力需要の高い時間帯に売電すれば効率よく売電収入を得られるという点です。

売電単価は市場価格と連動しているため、電力需要と供給状況に応じて変動します。

  • 電力需要の高い時間帯:売電単価アップ
  • 電力需要の低い時間帯:売電単価ダウン

さらにFIP制度の売電単価は補助収入も上乗せされるので、売電収入アップを期待できます。

時間帯に応じて売電量を調整するには、蓄電池の併用が必要です。太陽光発電向けの蓄電池は、発電した電気の蓄電だけでなく、任意のタイミング放電および売電できるのが強みです。

売電収入の増加と回収期間の短縮を目指したい時は、FIP制度を検討してみてはいかがでしょうか。同制度は、2022年4月にスタート予定です。

産業用太陽光発電の投資費用は回収可能

出力10kW以上の産業用太陽光発電投資にかかる初期費用は、8年~12年程度で回収できます。初期費用の回収期間は、発電効率の高い太陽光パネルの選定や日照時間の長い土地の購入、ローン比率の抑制、ソーラーローンの検討など、さまざまな対策や工夫で短縮することが可能です。

産業用太陽光発電の費用について悩んでいる方や中古太陽光発電所を含めて投資を検討している方は、今回の記事を参考に産業用太陽光発電や中古太陽光発電所の比較検討をしてみてはいかがでしょうか。

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太陽光発電投資を検討している方や少しでも興味を持っている方は、お気軽にお問い合わせや無料の個人セミナーへ応募してみてください。

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