世の中には詐欺業者がいます。また、詐欺に気づかず商品を購入してしまう方も少なくありません。太陽光発電にも悪質業者は存在します。特に訪問販売や電話勧誘での詐欺被害が増加傾向です。今回は、太陽光発電における詐欺に騙されないための対策を解説します。もし騙されてしまった場合の対処法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
太陽光発電の投資詐欺が増加傾向
近年、太陽光発電の投資詐欺の被害が増加傾向にあります。では、具体的にどのような太陽光発電の投資詐欺が増えているのでしょうか。ここでは太陽光発電についての詐欺被害について、実際の相談内容を見ていきます。
家庭用蓄電池の相談件数が多い
まず参照したいのは、国民生活センターに寄せられた太陽光発電に関する相談内容をまとめた報告書です。国民生活センターが2021年に公表した報告書によると、家庭で使用する際に必要な「家庭用蓄電池」についての相談件数が増加しているようです。実際、2016年には325件であった相談件数が、2020年には1300件を超えるなど、太陽光発電について非常に多くの相談が寄せられており、年々トラブルの相談件数が増加していることがわかります。
参考記事:国民生活センター
国民生活センターへの相談事例
国民生活センターに寄せられている太陽光発電に関する相談は、以下のようなものが挙げられています。
- 突然家に訪問し、「この値段は今日限り」と購入を急かしてくる
- 長時間の勧誘を続け、冷静な判断ができないままその場で購入させる
- 訪問販売時に電力会社の関連企業を謳われる
- 「無料点検」と称して、家庭用蓄電池の購入を勧めてくる
実に様々な手口による詐欺があり、国民生活センターに寄せられているものに限っても、非常に多くの太陽光発電のトラブルが発生しているのです。
【太陽光発電】悪質業者による訪問販売の手口
ここで太陽光発電の訪問販売において、悪徳業者がどのように購入を勧めてくるのか、その具体的な手口を紹介していきましょう。
訪問販売で気をつけるべき「モニター商法」
まず訪問販売における詐欺手法として、モニター商法が挙げられます。モニター商法とは、「モニターになってくれれば、商品代金を安くしますよ」といったように、お得であるかのように装い、実際は本来の価格よりも高額な値段で販売してくるといった詐欺手法です。一見お得であるかのように錯覚してしまうのですが、実際には高額で販売されているため、消費者側が損をしてしまうケースが非常に多いです。 かつては自治体が太陽光発電に関するデータ収集のためにモニター調査を行っていたこともあり、値下げされた太陽光発電を販売することがありました。しかし、太陽光発電が比較的普及した現在においては、モニター商法によって太陽光発電の販売を勧めてくる業者は、詐欺の可能性が非常に高いと考えられるでしょう。
電話勧誘でのケースも
また太陽光発電のモニター商法による勧誘は、訪問販売のみならず、電話を用いて勧誘してくるケースもあることに留意しておく必要があります。電話での勧誘もしつこい場合、折れて契約してしまうケースがあり、注意が必要です。なお、太陽光発電のメーカーが直接商品を販売することはなく、メーカーの名前を謳って契約に持ち込もうとする業者は、詐欺で騙そうとしている可能性が高いと考えられます。
甘い言葉には裏がある
太陽光発電の悪徳業者は、言葉巧みに消費者を騙してこようとしています。ここで注意しておきたいのは、甘い言葉には必ず裏がある、ということです。太陽光発電は得られるメリットが多々ある一方で、そのリスクを十分に理解しておかなければ、損をしてしまう可能性がある商品です。悪徳業者は、太陽光発電のメリットのみを紹介してデメリットを言わないようにし、言葉巧みに勧誘してきます。悪徳業者による太陽光発電の詐欺被害を防ぐためには、太陽光発電の都合に良い情報だけでなく、「何かリスクはないか」と裏が無いか否かを疑ってかかることが必要となります。
【太陽光発電】投資詐欺への対策
悪徳業者による太陽光発電の投資詐欺に遭わないために、どのような対策を講じればいいのでしょうか。ここでは、詐欺被害に遭わないために実践すべき対策についてまとめていきます。
その場で契約しない
訪問販売で太陽光発電の購入を急かされたとしても、その場で契約しないようにしましょう。悪徳業者はメリットのみを紹介する一方で、デメリットを紹介しないまま契約を急かし、冷静な判断ができない状況で契約しようとしてきます。この場合、まずはその場で判断して契約することを避け、一旦冷静な状態で太陽光発電の契約をするか否かを判断できるようにすることが必要になります。そもそも太陽光発電を購入する際には、太陽光発電のメリット・デメリットを十分に理解しておくことが必要となります。その場でよく理解していない状態で購入してしまうと、太陽光発電では損をしてしまうケースが非常に多いのです。
したがって、まずは訪問販売や電話勧誘を受けてもその場で契約することを避けて、冷静に太陽光発電の商品について判断できるように状況を整えておいてください。
販売業者の実績や口コミを調査
太陽光発電の購入を決めた際、販売業者の実績や口コミを調査し信頼できる業者であるかを見極めておくことが重要です。太陽光発電の販売業者の実績は、その業者が太陽光発電の設置などにおいて技術や専門知識を持っているか否かの判断基準となるでしょう。順調に実績を積み重ねている業者であれば、顧客からの信頼が高く、継続して契約できている証とも考えられますので、口コミなどの情報はぜひとも参考にするべきでしょう。また、悪徳業者による太陽光発電の勧誘であれば、すでに被害に遭っている人がいる可能性が高く、ネット上に悪い評判が上がっていることが多いと考えられます。もちろんインターネット上にある販売業者の情報や口コミのすべてが参考になるとは限りませんが、一つの判断材料となることは確かです。まずは自身で、契約しようとしている太陽光発電の業者が信頼できるか否か、可能な限り情報収集しておきましょう。
見積もりは複数社へ依頼
実際に太陽光発電を購入することを決めた時には、見積もりを複数社へ依頼することも重要です。複数の業者へ見積もりを依頼することによって、太陽光発電の適性価格を容易に把握したうえで、業者が信頼できるか否かを判断することができるようになります。例えば、他社と比較してあまりにも価格差が広いにもかかわらず、理由が不可解である場合には、その業者を疑ってかかることができるでしょう。ここで提示された金額が、自分自身で情報収集していく際の判断材料にもなりますので、多くのメリットが得られることでしょう。
”太陽光発電の投資詐欺で騙された時の対処法
たとえ詐欺被害を防ぐために対策していたとしても、悪徳業者によって騙されてしまい、被害に遭ってしまうケースも考えられます。騙されてしまった場合には、どうすればよいのでしょうか。ここでは太陽光発電の投資詐欺で騙されてしまった場合に、被害を最小限に留めるためにできる対処法についてお伝えしていきましょう。
国民生活センター・弁護士へ相談
太陽光発電の勧誘等で「騙された」と感じた際には、まず専門家へ相談するようにしましょう。太陽光発電で詐欺被害に遭った場合の対応策については、かなり専門的な知識が必要となるケースが多いため、素人が独自で進めることはお勧めできません。場合によっては、詐欺被害から救済される制度を利用できず泣き寝入りせざるを得ないかもしれません。そのような事態を防ぐためにも、まずは国民生活センターor弁護士に相談するようにしましょう。国民生活センターは、消費者トラブルの窓口となっており、トラブルが起きた際の対応について指針を示してくれるところですので、太陽光発電の投資商品でトラブルが起きた際には第一に相談してみましょう。また弁護士といった法律の専門家へ相談するのも選択肢の一つでしょう。弁護士であれば、法律の知見を基にしてアドバイスをしてくれるほか、係争が発生した際には代理人として動いてくれるため、安心して対応策を講じることができます。太陽光発電の投資詐欺の被害に遭った場合、まずは国民生活センターか、消費者トラブルを専門とする弁護士に相談するようにしましょう。
クーリングオフの適用
もし悪徳業者に騙されて契約してしまった場合でも、クーリングオフ制度を利用することで契約を解除することが可能です。クーリングオフ制度を利用することで、契約から8日以内であれば、内容を問わず一方的に契約を解除することができるのです。また、クーリングオフを妨害された場合には、8日を過ぎた後でもクーリングオフ制度を利用することができます。ただし、クーリングオフはやや複雑な制度であるため、専門的な知識が必要となります。利用する際には、やはり専門家に相談することがベターでしょう。「騙された」と感じたら、できるだけ早く相談するようにしてください。
契約取り消しの請求
クーリングオフを利用できない場合でも心配ありません。契約内容が嘘で合った場合には、消費者契約法に基づいて契約を取り消すことができます。ただしこの際にも、弁護士など専門家に頼って手続きを進める方が良いでしょう。消費者契約法に基づく契約取り消しの請求に関しては、法律に沿った複雑な手続きであるため、高度な専門知識が必要となります。自分自身で調べて進めてしまうと、手続きに漏れが出てしまい、適正に契約取り消しの請求を進めることができなくなってしまうかもしれません。手続きができないといった事態を防ぐためにも、専門家に依頼することで、漏れのないように確実に、安心して手続きをすることができます。
ローン会社へ支払い停止申請
契約をした際にローンを組んで資金を調達している場合には、ローン会社への支払いを停止してもらうよう申請するようにしましょう。たとえ専門家機関などに相談していたとしても、ローン会社は契約が無効であることを認識していない場合にはそのまま月々の支払額が引き落とされる可能性が高いです。場合によってはローン会社へ支払った資金が戻ってこないことも考えられます。余計なお金を失わなくて済むように、詐欺被害で相談を進めている際には必ずローン会社へ連絡し、支払いを停止してもらうよう申請しておいてください。
まとめ:訪問販売・電話勧誘には騙されるな!
太陽光発電の詐欺被害の実情と、被害に遭わないために講じるべき対策について説明してきました。太陽光発電は、リスク等を理解して購入すれば非常に魅力的な商品である一方、リスクを理解せずに購入してしまった場合には損をしてしまう可能性が高い商品です。
太陽光発電の悪徳業者は、商品のデメリットを隠して太陽光発電の勧誘をしてくるため、注意することが必要となります。訪問販売や電話勧誘などによる太陽光発電の販売を勧められた際に、悪徳業者に騙されないようにするために、この記事を参考にしてみてください。
また太陽光発電を契約して「騙された」と感じている方は、この記事で紹介した対処法を参考にしつつ、専門家に相談するようにしましょう。この記事が、太陽光発電に関する詐欺被害の防止に役立てば幸いです。