FIP制度への移行はいつから?FIT制度との違いやメリットを紹介

FIP制度への移行はいつから?FIT制度との違いやメリットを紹介

太陽光発電を含む際再可能エネルギーを対象にしたFIP制度は、FIT制度と異なる電力の買取制度です。しかし、制度開始前ということもあり情報が少なく、制度の具体的な利点やリスク、FIT制度との違いについて分からない方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、FIP制度とFIT制度との違い、移行メリットやデメリットについて詳しくご紹介します。FIP制度の対象設備を所有している方や太陽光発電に関心を持っている方は、参考にしてみてください。

FIP制度への移行は2022年から始まる!

FIP制度は、2022年4月にスタート予定の新制度です。

2021年12月時点で対象の設備やFIP制度の概要は、経済産業省の資源エネルギー庁にて説明されています。しかし、情報がまとまっていないため、忙しい方やFIP制度を含め再生可能エネルギー関連の情報に触れたことがない方には、ややこしい状態です。

そこで、まずはFIP制度への移行対象設備について確認します。

1MW以上の太陽光発電は必ずFIPへ移行

出力1MW(1,000kW)以上の高圧・特別高圧太陽光発電は、2022年4月よりFIP制度へ移行される予定です。なお、高圧の太陽光発電は50kW~2MW未満、特別高圧は2MW以上の太陽光発電を指します。

出力1MW未満の太陽光発電と異なり、2022年4月以降FIT制度の利用はできません。そのため、出力1MW以上の太陽光発電(メガソーラー)を所有している個人や企業は、FIP制度の移行へ向けた準備が必要です。

移行手続きに関する詳細は資源エネルギー庁に記載されていないため、管轄の経済産業局へ問い合わせるなど早めに相談してみるのも重要です。

50kW以上1MW未満の太陽光発電もFIP制度へ移行申請可能

出力50kW以上1MW未満の太陽光発電を今後設置予定の方は、2022年4月よりFIT制度に加えてFIP制度も選択できるようになります。

選択制へと変わるところは、1MW以上の太陽光発電と大きく異なる点です。

2022年4月以降に出力50kW以上1MW未満の太陽光発電を設置する場合は、FIP制度とFIT制度どちらへ新規認定申請するか事前に決めておくのがおすすめです。なお、出力50kW未満の産業用太陽光発電や10kW未満の住宅用太陽光発電は、2022年4月以降もFIT制度のみ適用されます。

FIP制度とFIT制度の違い

FIP制度とFIT制度の違い

FIP制度の対象設備について確認したあとは、FIP制度とFIT制度の違いも確認しておくのが大切です。FIT制度とFIP制度は、制度の目的や方向性などあらゆる点で異なるポイントがあります。

制度の目的や背景が異なる

FIP制度は、FIT制度と制度発足の目的という点で大きく異なります。

FIP制度は、再生可能エネルギー設備を所有している個人や企業に向けて、競争力を付けたり自立を促したりするのが目的です。

一方、FIT制度は普及促進を目的とした制度で、火力発電など他の発電設備と異なり電力市場とは切り離されています。そのため、発電事業者や個人は、電力市場や需要と供給などを考慮せずに売電できました。その結果、普及促進につながったもののエネルギーの主電源として成り立つほど自立していません。

そこで政府では、電力市場と連動したFIP制度を計画し、2022年4月より導入することを決めました。

価格が固定と変動

FIP制度は、競争電源として自立を促すため、電力市場に連動した変動価格制とされています。

制度買取価格の特徴
FIP制度 電力市場に連動した変動価格で売電
・基準価格-参照価格=プレミアム
・市場価格+プレミアム=売電単価
・売電単価×売電量=売電収入
FIT制度 FIT承認年度に定められた固定買取価格で10年間もしくは20年間売電可能
・固定買取価格×売電量=売電収入

このように電力の買取価格に関するルールもFIT制度と大きく異なるのが、FIP制度の特徴でもあります。

さらにFIP制度の変動価格は、単純に電力市場と連動しているわけではありません。

FIP制度では、市場価格に基準価格から参照価格を差し引いたプレミアム分を補助収入として上乗せされるため、一般の電力市場で取引する場合よりも多めに売電収入を獲得できる予定です。

制度発足当初は、FIT制度の調達価格をFIP制度の基準価格に当てはめるようです。参照価格は、卸電力市場に連動した価格+非化石価値取引市場に連動した価格からバランシングコストを差し引いたものです。

バランシングコストは、FIP制度を導入する太陽光発電投資家にとって重要なポイントの1つです。後半でバランシングコストの詳細とリスクについて紹介します。

蓄電池の重要性が高まる

FIP制度の買取価格は、電力の需要と供給状況に応じて変わります。そのため、太陽光発電向け蓄電池の重要性が、より高まります。

FIT制度の場合は、蓄電池を設置せずとも一定の買取価格で売電を継続できます。一方、FIP制度で売電収益を維持・伸ばすには、電力需要の低い時間帯に電力を蓄え、高い時間帯に放電・売電する必要があります。

このような電力の蓄電や制御は、蓄電池と併用しなければ対応できません。

太陽光発電向けの蓄電池は、一般のバッテリーや蓄電池と異なり、電力の発電量など各種データをリアルタイムで計測し、自動で蓄電や放電などの操作を行ってくれます。

2022年以降に太陽光発電を設置する方の中でFIP制度への移行もしくは選択を検討している方は、太陽光発電の出力に合った容量の蓄電池を購入するのもおすすめです。

FIP制度への移行メリット

FIP制度への移行メリット

続いては、FIP制度への移行メリットについて分かりやすく紹介します。

電力需要の高い時間帯に売電することで収益アップ

FIP制度へ移行された太陽光発電で発電・売電を行う場合は、FIT制度よりも高い買取価格で売電できる可能性があります。

電力需要の高い時間帯は、買取価格も上昇します。そのため、電力需要の高い時間帯に合わせて売電を行えば、効率的に売電収入の確保を目指せます。

なお、電力需要の低い時間帯に発電し電気を蓄えて、需要の高い時間帯にまとめて売電することが、FIP制度で収益性を高めるポイントです。

太陽光発電や蓄電池などの技術発展や投資への期待

FIP制度は、再生可能エネルギー発電事業者にとって難易度の高い制度です。しかし、個人や企業が太陽光発電の運用を工夫することで、市場の成長を見込めます。

市場が成長することで、太陽光パネルメーカーや周辺機器メーカー、蓄電池メーカーなどの積極的な研究改善へつながります。

各種機器類の性能向上は、太陽光発電投資家にとって大きなメリットです。FIP制度への移行および参入は、市場拡大および成長へつながる重要な制度と捉えられます。

出力50kW以上の太陽光発電で売電事業を展開したい方は、FIP制度へ前向きに検討してみるのも大切です。

アグリゲーション・ビジネスを展開できる

FIP制度は、アグリゲーション・ビジネスの発展につながる可能性を秘めています。

アグリゲーション・ビジネスとは、小規模かつ複数の再生可能エネルギー発電事業者から発電された電気を束ねて随時調整しながら、電力の需要と供給を管理する事業のことです。

国内においてアグリゲーション・ビジネスは未発展な状況のため、各発電事業者から発電された電気を電力会社で管理しています。

FIP制度へ移行予定の設備が増える場合は、電力需給に合わせて送配電をコントロールできる事業者の存在価値が高まります。アグリゲーション・ビジネスへ関心を寄せている企業は、FIP制度の発展によってメリットを得られます。

FIP制度への移行デメリット

FIP制度への移行デメリット

続いては、FIP制度への移行デメリットについて分かりやすく紹介します。

電力需要の低い時間帯に売電すると収益ダウン

電力需要の低い時間帯に売電を行ってしまうと、売電収入の低下につながります。このような点は、FIP制度ならではのデメリットです。電力需要の低い時間帯に売電しないためには、蓄電池と太陽光発電の併用が不可欠です。また、蓄電池の容量は少なすぎても多すぎても有効活用できません。

太陽光発電やパワーコンディショナの出力に合った蓄電容量を持つ蓄電池を設置することで、設置コストと蓄電メリットのバランスを維持することが可能です。

他にもアグリゲーション・ビジネスが発展した場合は、アグリゲーターへ電力需給の調整を任せることができます。

収益の見通しを立たせるのが難しい

FIP制度へ移行した場合は、FIT制度より収益の見通しを立たせるのが難しいといったデメリットも生じます。

FIT制度の買取価格は固定されているため、いつでも一定の単価で売電し続けられます。また、収益の予想も比較的簡単です。

一方、FIP制度の買取価格は、市場価格やその他要因によって常に変動します。そのため、電力市場に慣れていない投資家にとっては、収支の予測に関して難易度の高い状況です。

FIP制度へ移行しなければいけない方や移行を検討している方は、1年間の電力需要や供給状況、FIP制度の価格計算などについて確認してみるのが大切です。

インバランスリスクが生じる

FIP制度では、インバランスと呼ばれるルールも適用される予定です。インバランスを知らないままFIP制度へ移行してしまうと、思わぬコストを支払う可能性があります。

インバランス制度とは、発電量や需要量などの予測を行い、送配電事業者へ計画書を提出する制度のことです。太陽光発電事業者の場合、予想発電量と実績値が一致していなければ不足分の補填もしくは余剰電力量の買取といった支払い義務も発生します。

インバランス制度は、日本の電力市場で元々設置されていました。

FIT制度は、再生可能エネルギー設備の普及促進を優先しているため、インバランス制度が除外されています。

一方、FIP制度は、一般の電力市場と同じくインバランスが適用される予定です。予想発電量と実績値の大幅なずれを避けるには、正確な発電予測を行えるようツールの活用なども重要です。

FIP制度への移行開始は2022年!FIT制度も維持される!

FIP制度への移行開始は2022年!FIT制度も維持される!

再生可能エネルギーの新制度「FIP制度」は、2022年4月よりスタート予定です。出力1MW以上のメガソーラーは、FIP制度へ移行されます。

今後、出力50kW以上1MW以上の太陽光発電を設置する個人や企業は、FIP制度とFIT制度を選択可能となる予定です。

FIT制度と比較してみると、電力市場に連動した価格やプレミアム単価と呼ばれる補助収入の存在、インバランスの適用など、さまざまな点で大きな違いが生じます。

アグリゲーション・ビジネスへの参入も検討している方や電力需給に合わせて売電を行いたい方は、今回の記事を参考にFIP制度を検討してみてはいかがでしょうか。

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