公務員は、民間企業で働く会社員と異なり副業に関する禁止規定が定められています。そのため、太陽光発電投資が副業とみなされるかどうか気になっている公務員も多いのではないでしょうか?また、太陽光発電を始められる場合、職場でどのような許可が必要なのか気になるところです。
そこで今回は、公務員の太陽光発電投資は副業に該当するのか、そして公務員にとっての導入メリットやデメリットについて詳しくご紹介します。公務員の中で太陽光発電に関心を持っている方や公務員でも始められる副業を知りたい方は、参考にしてみてください。
公務員は副業として太陽光発電をはじめられる?
公務員は、民間企業に勤める会社員と異なり、副業に関する規制を受けています。具体的には、営利目的での兼業や私企業の経営は、国家公務員法と地方公務員法により禁止されています。
ただし、株式投資やFXなどの投資、地域貢献活動につながる事業への参加、講演活動など一部活動は、副業に該当しません。また、太陽光発電投資も副業として始められる場合があります。
それでは、副業として太陽光発電を始められるケースについて確認していきます。
出力10kW未満は人事院の承認不要ではじめられる
出力10kW未満の住宅用太陽光発電については、人事院規則における規制対象ではありません。住宅用太陽光発電とは、自宅の屋根に取り付けられている小規模な太陽光発電設備のことです。発電した電気のうち余剰分は、電力会社へ売電できます。
人事院の規則で住宅用太陽光発電は、営利目的の事業に含まれていません。そのため、兼業に関する書類提出や人事院の承認が不要で、設備の設置や運用を行えます。
出力10kW以上の設備は人事院の承認などが必要
出力10kW以上の産業用太陽光発電を設置する場合は、人事院もしくは任命権者の許可を受ける必要があります。産業用太陽光発電は、野立て太陽光発電とも呼ばれていて、平地などに設置されています。
人事院の規則で産業用太陽光発電は、営利目的および不動産投資と同等の事業としてみなされています。そのため、無許可で設備の設置や売電を行うことはできません。
売電や自家消費にかぎらず出力10kW以上の産業用太陽光発電を始める時は、直属の上長へ自営兼業承認申請書を提出する必要があります。人事院もしくは任命権者の許可を受けることができれば、運用を始められます。
公務員が太陽光発電を始めるメリット
続いては、公務員が太陽光発電を始めるメリットについて1つずつ確認していきます。
管理運用の手間がかからない
太陽光発電投資は、他の投資や事業などと比較して管理運用の手間がかかりません。
太陽光発電は、無人の状態でも24時間自動で稼働しています。さらに遠隔監視システムがあるので、遠方の土地で設備を運用していても自宅で発電量や設備状況を確認できます。
農業や株式投資、IT系の副業などは、自身で作業したり管理したりしなければいけません。一方太陽光発電投資は、1度稼働してしまえば毎日現地へ赴く必要はありませんし、自動で発電から売電まで行ってくれます。
また、太陽光発電の専門業者へメンテナンスなどを委託できるため、本業へ支障をきたすことなく続けられます。
手間を抑えながら収入を得られる
太陽光発電投資は、管理運用の手間をかけずに収入を得られるのも大きな特長です。
太陽光パネルで発電された直流の電気は、パワーコンディショナによって交流へ変換されたのち自家消費もしくは電力会社へ送電される仕組みです。送電された電気の買取価格は、FIT制度によって固定買取価格をベースに定められます。
設備の故障などがなければ晴れの日や雨の日でも発電してくれるので、他の副業と比較して継続的に収入を得やすい状況です。
さらにFIT制度があるので、10年間もしくは20年間固定買取価格で電力を買い取ってもらえます。収支の見通しを立てやすくなおかつ手間のかからない点は、公務員にとっても始めやすいポイントの1つです。
承認を受ければ10kW以上の設備も導入可能
産業用太陽光発電の運用については、人事院の承認もしくは任命権者の許可を受ければ認められています。そのため、他の副業と異なり公務員も始められる可能性があります。
多くの副業は、禁止なのか許可不要で始められるか線引きのあいまいなものも多く、勤め先の人事部などへ確認しなければいけない場合があります。一方、太陽光発電投資は人事院の規則に明記されているので、承認の必要なケースと不要なケースをそれぞれ把握できる状態です。
承認が必要か分からない副業を検討している時は、太陽光発電投資へ切り替えおよび検討してみるのもおすすめです。
公務員が太陽光発電を始める際の注意点
公務員が太陽光発電を始める場合、一部注意点しなければいけないポイントもあります。
そこでここからは、公務員として太陽光発電を始める際に気を付けておくべきポイントを3つ紹介します。
公務員は法人化が極めて難しい
公務員としての立場で太陽光発電を始める場合は、法人化を目指せないもしくは極めて難しい可能性もあります。
太陽光発電の売電によって一定の収入を得た時は、確定申告が必要です。また、規模の大きな設備を所有している場合は、法人化しておくと節税につながることもあります。
しかし、公務員の副業に関する法律では、営利目的での事業に加えて会社役員になることも禁止されています。つまり、節税目的で法人化しようとしても、審査の段階で非承認されてしまいます。
無許可で法人化した場合は罰則を受けるため、法人化を避けるのはもちろん、無許可で副業を進めないようにするのも重要です。
太陽光発電の規模を拡大しすぎるとペナルティのリスク
法人化せずに太陽光発電投資を展開したとしても事業規模によっては、罰則の対象にされる可能性があります。
国家公務員法の第101条には、職務専念の義務が明記されています。つまり、副業を始める場合は、本業である公務員の仕事に支障をきたさないという原則を守らなければいけません。
年間の売電収入数1,000万円以上になるなど、大規模な太陽光発電投資を進めていると、減給処分などさまざまなペナルティを受けるリスクが生じます。
公務員として太陽光発電を始める時は、事業規模に注意が必要です。
無許可で始めるとトラブルのリスクが生じる
職場に産業用太陽光発電投資を始めたことを知られたくない、手続きが面倒、などの理由から無許可で始めてしまうと、処分を受けてしまいます。そのため、出力10kW以上の太陽光発電投資を始めたい時は、自営兼業承認申請書を提出し承認を受けるまで待つ必要があります。
無許可で太陽光発電を始めた場合、売電収入および確定申告の際に住民税額の変動から気付かれてしまいます。また、徴収方法を普通徴収にすれば、給与所得と合算されないものの、その他の要因から気付かれる可能性がありますしリスクのある行動です。
無許可で産業用太陽光発電を始めるなど法律違反の行動をとった場合は、免職、停職、減給、戒告いずれか1つの懲戒処分を受けます。
どのような理由があったとしても出力10kW以上の産業用太陽光発電を検討している時は、人事院もしくは任命権者の許可を受けたのちに設置運用を始めます。
公務員が出力10kW以上の太陽光発電を始めるには
出力10kW以上の産業用太陽光発電を行う場合は、事前に人事院の承認や任命権者の許可を受けておく必要があります。
人事院の承認や任命権者の許可を受けるには、まず自営兼業承認申請書を取得し、必要事項を記入します。記入後は、直属の上長へ自営兼業承認申請書を提出します。
その後は、所轄庁の長による審査が行われるので、審査に通過できれば許可を受けられます。
そして、国家公務員の場合は、人事院から承認を受けます。また、地方公務員の場合は、市長などの任命権者から許可を受ける流れです。
審査の際は、本業へ支障をきたさないか、営利目的に該当しないか、会社役員にならないかなど、副業に該当しないか慎重に見極められます。
太陽光発電で売電収入を得ると確定申告が必要?
太陽光発電投資で売電収入を得た場合は、確定申告を行わなければいけないケースがあります。しかし、公務員として働いている多くの方は、確定申告の経験0もしくは極めて少ないのではないでしょうか。
ここからは、太陽光発電投資で重要な確定申告の基本について確認していきます。
年間の所得20万円未満であれば確定申告不要
太陽光発電の年間所得が、20万円未満であれば確定申告不要とされています。
特に住宅用太陽光発電は発電量の小さな設備です。年間の売電収入は、10万円前後で推移していて、確定申告不要なケースも多いようです。
ただし、「住宅用太陽光発電を始めるから確定申告不要」などといった、勘違いをしないよう注意が必要です。住宅用太陽光発電を始める時も収支の計算や帳簿付けが大切です。
年間所得20万円以上であれば別途確定申告が必要
公務員の場合は、給与所得と別に年間20万円以上の所得を得ていると確定申告の必要があります。
そもそも所得とは、収入から経費を差し引いたもののことです。年間の売電収入100万円、メンテナンスなどその他支出50万円であれば、100万円-50万円=所得50万円というイメージです。
特に産業用太陽光発電で売電を行う場合は、年間20万円以上の所得を得やすい状況です。たとえば、出力10kWの産業用太陽光発電では、年間30万円前後の売電収入を得られる可能性があります。
確定申告書の作成には、事前に年間の収支を仕訳しておく必要があります。なお、会計ソフトを用いれば簡単に仕訳や確定申告書類の作成ができるので、早めに導入しておくのもおすすめです。
公務員も太陽光発電投資を行える!
公務員の立場で太陽光発電投資は、認められている副業および兼業の1つです。
出力10kW未満の住宅用太陽光発電は、自営兼業承認申請書の提出および人事院の承認や任命権者の許可不要で始められます。
一方、出力10kW以上の産業用太陽光発電は、自営兼業承認申請書の提出および人事院の承認や任命権者の許可が必要です。また、法人化せずに太陽光発電事業を進めていても、大規模な事業展開により懲戒処分を受ける場合があります。
公務員として働いている方や公務員の副業および太陽光発電投資が気になる方は、今回の記事を参考に副業規定の確認や太陽光発電の比較検討を進めてみてはいかがでしょうか。
弊社とくとくファームでは、中古太陽光発電所物件の掲載および売買に関する仲介サービスを手掛けております。出力10kW台の小規模な物件も取り扱っているので、公務員の方も検討しやすい状況です。
また、専任のアドバイザーが、見積もり書の作成および提案をはじめ太陽光発電に関するあらゆる疑問にお応えします。まずはお気軽にお問い合わせください。