メガソーラーは、FIT制度によって20年間固定価格で売電できます。しかし、FIT制度の固定買取価格は、毎年改定されていてなおかつ下落傾向です。さらにFIP制度という新制度も始まるため、買取価格の変化と制度変更どちらも確認するのが大切です。
そこで今回は、メガソーラーを含む太陽光発電の買取価格や注意点について詳しくご紹介します。メガソーラーの運用を検討している方などは、参考にしてみてください。
メガソーラー含む太陽光発電の買取価格
メガソーラーを含む太陽光発電の売電で利益を残すには、固定買取価格について理解しておく必要があります。
ここでは、FIT制度で定められている固定買取価格を紹介していきます。
メガソーラーを含む250kW以上は入札制度によって決定
出力1MW以上のメガソーラーでFIT制度を受けるには、入札制度に参加する必要があります。入札制度の場合は、他の方法と異なり入札価格を提示し、落札されなければ固定買取価格で売電できません。
入札制度の対象となる設備は、出力250kWの太陽光発電です。また、ルールを理解するにあたっては、募集容量と落札順、上限価格について知っておくのが大切です。
入札制度には募集容量が決められています。募集容量とは、太陽光発電の出力のことで、上限に達した段階で入札終了となります。
【例:募集容量100MWの場合】
- 10MWの設備を持つA事業者落札
- 続いて、30MW設備所有者B、50MW設備所有者Cも落札
- 10MWの設備所有者Dが落札
- 落札された設備の合計容量が100MWのため入札終了
入札制度でFIT申請の承認を受けるためには、募集容量の上限達成前に落札される必要があります。
さらに落札の順番は、より安い固定買取価格を提示した事業者から決められていくルールです。落札の優先度と固定買取価格のバランスを見極めるのが、入札制度の難しいポイントです。
また、入札価格は、あらかじめ定められた上限価格の範囲内で提示します。高い固定買取価格で売電を行いたい場合でも、上限価格を超える単価は設定できないということです。
2021年の入札は、4回行われており、それぞれの以下の上限価格です。
- 第8回:1kWhにつき11円
- 第9回:1kWhにつき10.75円
- 第10回:1kWhにつき10.5円
- 第11回:1kWhにつき10.25円
FIT制度の始まった2012年の固定買取価格は、1kWhにつき40円です。(出力10kW以上)
出力250kW以上の太陽光発電設備を設置する場合は、入札制度を確認しておくのが基本です。
2021年の出力250kW未満は11円/kWh
出力250kW未満の太陽光発電を設置する場合は、あらかじめ定められた固定買取価格で売電していきます。
出力250kW未満の固定買取価格は、毎年改定されています。たとえば、2021年にFIT制度の承認を受けた場合は、2021年に定められた固定買取価格で売電を行うルールです。また、2021年に太陽光発電を設置したとしても2022年に承認を受けた場合は、2022年の固定買取価格で売電していきます。
なお、出力50kW以上250未満の固定買取価格は、1kWhにつき11円です。2020年は1kWhにつき10円なので、1円下げられています。
2021年の出力50kW未満は12円/kWh
出力10kW以上50kW未満の太陽光発電で2021年から売電する場合は、1kWhにつき12円の固定買取価格です。
固定買取価格の適用ルールは、前の項目で紹介した出力250kW未満の固定買取価格と同じく、毎年改定されています。なお、2020年の固定買取価格は1kWhにつき13円で、1円下落しています。
2021年の出力10kW未満は19円/kWh
出力10kW未満の固定買取価格は、1kWhにつき19円の固定買取価格です。こちらも他の固定買取価格と同様に毎年改定されています。
FIT制度がスタートした2012年度の固定買取価格は、1kWhにつき42円と2倍以上下落しています。今後も同様の傾向は続くと見られており、自家消費型太陽光発電やZEH住宅への活用など、売電以外の利用方法も目立っています。
出力10kW未満の固定買取価格は10年間です。2012年度の固定買取価格42円は、2021年まで売電できます。ただし、中古太陽光発電所は、2021年から数年間売電できる可能性があります。固定買取期間が残った状態で売却された設備は、購入後に活用できるためです。
メガソーラーで利益を維持するには
メガソーラーも適用される入札制度の上限価格は、他の固定買取価格と同様に年々下落しています。そのため、1kWhあたりの売電収入が、減少傾向です。
メガソーラーの売電で黒字化を目指すには、固定買取価格の下落を理解した上で収支のバランスを整えていく必要があります。
続いては、メガソーラーの買取価格下落傾向に対応する方法を紹介します。
初期費用を抑える
固定買取価格および上限価格が下落しても、支出を抑えられれば収入を維持できます。
メガソーラーの主な支出は、設置工事や本体価格を含む初期費用です。一般的にメガソーラーの初期費用は、1億円以上で融資を受けながら運用していきます。
返済期間は、固定買取価格や発電量によって左右されます。初期費用の金額が手元に残る収益に大きな影響を与えます。
そのため初期費用は、可能な限り抑えることが大切です。
初期費用を抑えるには、設置費用の安い施工業者へ依頼したり補助金制度を利用したりといった対策方法があります。他には、初期費用の一部を自己資金で負担し、融資額を抑えたり利率の低いソーラーローンを組んだりといった対策も考えられます。
初期費用の負担を減らすことで、融資の返済額削減・返済期間短縮につながり、利回りの改善が可能です。
過積載による発電量増加
メガソーラーの売電収入を増やすには、過積載も対策の1つとして検討できます。過積載とは、パワーコンディショナの定格出力を超える太陽光パネルを設置した状態のことです。
パワーコンディショナの定格出力を超える発電が行われた場合は、出力超えた発電量のみカットされます。過積載は、発電損失が発生するのがネックです。
しかし、過積載を行うことで日射量の少ない朝や夕方の時間は、発電量を伸ばしやすいメリットもあります。
売電収入を増やしたい時は、全体の発電量を底上げできる過積載も検討してみてはいかがでしょうか。
立地条件の良い場所で発電を行う
立地条件の良い場所は、発電量を伸ばすことができます。
- 周辺に建物や森林などがない
- 日射量の多い土地
- 災害リスクの少ない土地
立地条件の良い土地を探すには、実績豊富でなおかつ土地や物件情報の多い販売店や仲介業者へ相談するのがおすすめです。
弊社とくとくファームは、メガソーラーを含む中古太陽光発電物件情報を多数掲載しています。さらに発電や売電実績、土地の状況や周辺環境、日射量などさまざまな情報を収集し、相談者の皆様へ提供いたします。
メガソーラーで売電を始める際の注意点
メガソーラーで売電を始める時は、買取価格に加えて新制度も理解しておくのが大切です。
新制度とはFIP制度のことで、2022年4月よりスタート予定です。資源エネルギー庁は、太陽光発電を含む再生可能エネルギー関連事業者の自立を目指し、固定買取価格から市場価格に連動したFIP制度の設計・準備を始めています。
そもそもFIT制度の目的は、再生可能エネルギー設備の普及でした。固定買取価格は、初期費用の回収を行いやすく、発電・売電事業者を重視した制度です。
しかし、2021年時点で再生可能エネルギー設備は、普及の進んでいる状況です。
そこで国では、再生可能エネルギーの発電事業者を自立させるために他の業種と同じく、完全自由競争をベースにしたFIP制度を準備しています。
メガソーラーにも関係するFIP制度
自由競争を原則とするFIP制度は、2022年4月にスタートします。対象の設備は、出力1MW以上のメガソーラーで、同設備の設置を検討している方に大きく関係しています。
それでは、メガソーラーに関連しているFIP制度と買取価格について解説します。
市場価格に連動
FIP制度の買取価格は、基準価格と参考価格の差額にプレミアム価格を上乗せした単価となる予定です。
- 基準価格:FIP制度で定められた買取価格
- 参照価格:市場で取引されている市場価格と連動した買取価格
- プレミアム価格:基準価格と参考価格の差額を補助収入としたもの
FIP制度で売電を行う際は、市場と同じく需要と供給に応じて買取価格も変わります。
たとえば、電力需要の少ない早朝などは、買取価格も下がります。一方、電力需要の多い夏場や日中、夜間などは、買取価格が上がります。
FIP制度で売電収入を増やすには、需要の多い時間帯に積極的に売電するのが大切です。
買取価格の算出方法
FIP制度の買取価格は、基準価格と参照価格、プレミアム価格で決まります。
基準価格は、再生可能エネルギーの調達費用やその他条件から資源エネルギー庁が定める予定です。
参照価格は、電力卸市場と非化石価値取引市場の価格を足し、バランシングコストで差し引いた価格です。バランシングコストは、再生可能エネルギーの計画と実績(発電量や売電単価など)の差額です。
つまり、参照価格は市場価格と連動していて、電力需給状況により変わります。
そして、プレミアム価格は、上記の基準価格と参照価格の差額を埋めるものです。具体的には、基準価格に近付くよう参照価格に上乗せされます。プレミアム価格は、1ヶ月ごとに更新される予定です。
FIT制度との違い
FIT制度の大きな違いは、固定価格と変動価格という点です。
主な違い | |
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FIT制度 |
・固定買取価格 ・バランシングコストを免除 ・固定買取期間10年間、20年間 |
FIP制度 |
・市場に合わせた変動価格 ・バランシングコストも負担しなければいけない ・固定買取期間なし |
FIP制度で収益を維持するには、蓄電池との併用も大切です。売電量を増やすには、電力需要の少ない時間帯に蓄電池で電気を蓄えておき、電力需要の多い時間帯に活用します。
固定買取価格で売電を行いたい場合は、中古のメガソーラーを導入するのもおすすめです。FIT制度の承認を受けた中古太陽光発電所は、2022年以降も固定買取価格で売電を行えます。
ただし、今後法令や制度が変わる可能性もあります。
メガソーラーの買取価格は下落傾向で利益確保に工夫が必要
メガソーラーの買取価格は、入札制度によって定められています。また、固定買取価格は下落していて、メガソーラーに適用される買取価格も同様の傾向です。
さらにメガソーラーの買取価格に関しては、2022年4月よりFIP制度へ移行するため、市場価格に連動しながら変わります。今後メガソーラーを固定買取価格で売電するには、中古太陽光発電所も検討するのが大切です。
メガソーラーに関心を持っている方や太陽光発電の固定買取価格が気になっている方は、今回の記事も参考に買取価格や関連制度を確認してみてください。
弊社とくとくファームは、メガソーラーを含む中古太陽光発電所の物件紹介や購入手続きのサポート、太陽光発電に関する基礎知識や関連制度の説明を行っています。
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