メガソーラーの土砂崩れリスクはどの程度?注意点について解説

メガソーラーの土砂崩れリスクはどの程度?注意点について解説

中小型の太陽光発電と異なりメガソーラーを稼働させるには、野球場やサッカー場クラスの敷地に太陽光パネルを設置する必要があります。土砂崩れのリスクが高い場所に設置すると、大規模な被害に発展する可能性も考えられます。しかし、具体的にメガソーラーの設置による土砂崩れリスクはどの程度なのか、分からない発電事業者も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、メガソーラーの土砂崩れリスクや対策、土砂崩れの事例について詳しくご紹介します。メガソーラーの設置場所に悩んでいる方や土砂崩れのリスクが分からず設置を迷っている方は、参考にしてみてください。

メガソーラーは土砂崩れによって破損する可能性がある

メガソーラーを設置する場合は、出力1MW未満の太陽光発電と同じく、土砂崩れのリスクに対して注意が必要です。

たとえば、以下のような場所に設置すると、土砂崩れに巻き込まれる可能性があります。

  • 地盤の弱い斜面
  • 山林の伐採によって水を吸収しやすい山
  • 崖の近く

最近では、2021年に静岡県の熱海市伊豆山地区で、豪雨による土砂災害で住宅や人への被害が発生しました、また、土砂崩れの起点から20~30m離れた場所に設置されていたメガソーラーが、下流へ流れてしまいました。

メガソーラーを含む太陽光発電を設置する場合は、架台ごと流れて全損してしまう事を理解した上で、設置場所を慎重に考えたり対策を施したりするのが大切です。

土砂崩れの原因がメガソーラーなのか?

静岡県熱海市の土砂崩れが発生した当時、土砂崩れの原因についてSNS上で推測されていました。中でも、メガソーラー原因説が当時のSNSで取り上げられていたため、メガソーラー=土砂崩れの原因というイメージを抱いた方も多いのではないでしょうか?

そこでここからは、土砂崩れの主な原因について確認していきます。

2022年時点で明確なメカニズムが不明

2022年時点でメガソーラーと土砂崩れの関連性については、不明とされています。

土砂崩れの原因は、場所によって異なります。また、さまざまな要因が重なることで発生する複雑な現象ということもあり、一概にメガソーラーが原因といえません。

ただし、解明されていない部分が多いだけなので、メガソーラーの設置や造成工事で土砂崩れのリスクを高める可能性は排除できない状況です。

地盤の弱い場所に設置すると土砂崩れを招く恐れも

地盤の弱い場所にメガソーラーを設置すると、土砂崩れの発生リスクを高める可能性があります。

2020年10月に発生した豪雨で埼玉県嵐山町では、土砂崩れが発生しました。発生場所については、メガソーラーの設置されたエリアです。

他にも太陽光発電の設置工事中に突如土砂崩れが発生しているケースがあり、どれもメガソーラー・太陽光発電と関係のある事象といえます。

主な原因として考えられているのは、造成工事の際に土が固められたことによる水の吸収率悪化と、畑など地盤の弱い場所で崩れやすい状況だったという2つのメカニズムです。

メガソーラーにかぎらず太陽光発電を設置する際は、地盤調査を入念に行う必要があります。

森林の開拓によって地盤が弱くなるケースもある

地盤の弱い場所でなくとも森林を開拓することで、地盤が弱くなってしまうケースもあります。

斜面にある樹木の根は、網のように地中に入り込み、土壌層(土が重なった層)と基岩層(岩石の層)の間をつなぎ止めてくれています。その結果、豪雨や地震などの影響を受けたとしても土砂崩れのリスクを抑えられるというメカニズムです。

メガソーラー設置のために樹木の根も含めて取り除いた場合、斜面がすべりやすくなり土砂崩れのリスクを高めてしまいます。

傾斜のついた場所へのメガソーラー設置は土砂崩れのリスクを高める場合もあるため、慎重に検討したり平地への設置も含めて調査を進めるのが重要です。

土砂崩れによってメガソーラー事業者に責任はある?

続いては、土砂崩れによるメガソーラー流出と発電事業者の責任について解説していきます。

法的な責任を負う可能性がある

メガソーラーの発電事業者は、土砂崩れによる二次被害に関する責任を問われる可能性があります。

過去の土砂崩れによる事故で裁判所は、不動産開発会社や太陽光発電の発電事業者側へ損害賠償責任を命じていました。過去の裁判で注目すべきポイントは、事業者側の「可能な範囲で対策した」、「できるだけ注意を払いながら土地開発した」などといった言い分が認められていないという点です。

つまり、土砂崩れなどといった事故リスクが認識できる状態では、どんなに対策を施していても事故発生による責任を問われます。

安全規制が定められていないため設置リスクが高い

太陽光発電の事業者は、法的責任だけでなくメガソーラー関連の安全規制に関するリスクを認識しておく必要があります。

メガソーラーの設置場所や設置方法に関する規制は、自治体や国で議論され始めた段階です。一部自治体では、設置場所や事業計画の届出といった規制を設けているものの、対応が遅れています。

現状、メガソーラー事業者が、自主的に各地域の地盤や災害リスクを調査、見極めなければいけないということです。自治体や国による安全規制が整備されていない状況は、太陽光発電事業者にとってハイリスクな環境という側面もあります。

太陽光発電の土砂崩れ対策

ここからは、メガソーラーを含む太陽光発電の設置時に押さえておくべき土砂崩れ対策を紹介していきます。

周辺環境の調査と造成工事

野立て太陽光発電の設置場所を決める時は、地盤調査や災害リスクの確認を進めておくのが大切です。

日本は、地震や台風、豪雨、ゲリラ雷雨、暴風、洪水、津波、豪雪など、さまざまな自然災害のリスクがあります。また、災害リスクの高さや種類は、地域によって異なります。

そのため、太陽光発電用地を調べるときは、自治体や国から発行されているハザードマップを確認したり過去の災害発生状況を調べたりしておきます。

太陽光発電用地を取得したあとは造成工事を行い、地盤強化などの対策を施しておくのも重要なポイントです。

架台の強化

施行業者から見積もりを取得する際、金額に注目してしまいがちですが、架台の種類や材質について確認しておくのも災害対策として押さえておくべきポイントです。

太陽光パネルや配線などを支える架台の強度は、建築基準法の等級で表記されています。最も強度の高い等級は1で、500年に1度の暴風で倒壊しない、50年に1度の暴風で破損しない耐久性を指します。

なお、架台を含む太陽光発電の風圧荷重(風への耐久度)に関しては、2017年と2018年の法改正によって基準値が厳しく設定されています。

太陽光発電の販売店を調べるときは、実績豊富なことはもちろん、災害対策に関するノウハウを蓄積しているかどうかで判断するのも大切です。

自然災害補償に加入しておく

土砂崩れによるメガソーラーの破損を完全に防ぐことはできません。メガソーラーに限らず太陽光発電を運用する場合は、万が一の損壊に備えた自然災害補償への加入を検討しておくべきです。

自然災害補償とは、太陽光発電の販売店で取り扱っている保険です。同保険は、太陽光発電設備を購入する際に確認・加入できます。

企業の場合は、企業総合保険で火災や落雷、土砂崩れなどの災害による損害へ備えることが可能です。個人は、火災保険で災害による損害を補償してもらえます。

他には賠償責任保険へ加入しておくと、メガソーラーで第三者へケガを負わせたり建物へ被害を与えたりした場合の損害賠償請求を保険でカバーできます。

メガソーラーが土砂崩れの被害に遭ったら機器の処分はどうすべき?

最後は、土砂崩れによってメガソーラーが破損した場合、どのように対応すればいいのか注意点を解説していきます。

素手で触らず施工業者へ相談

土砂崩れなどによって破損した場合は、素手で触らず施工業者もしくは販売店へ連絡しておきます。

メガソーラーなど太陽光発電設備は、土砂崩れなどによる破損で漏電している可能性もあります。また、太陽光パネルが稼働していると常時漏電している可能性もあるため、大変危険です。

万が一素手で触ってしまえば、感電事故につながります。

まずは、太陽光発電のプロである施工業者や販売店へ状況を説明し、安全に撤去してもらえるよう解体撤去の依頼を行うのが大切です。

廃棄物の処理は専門の業者へ依頼

土砂崩れによって破損した各部品や機器類を処分するには、解体業者へ依頼する必要があります。

解体撤去の流れは、以下の通りです。

  1. 解体業者へ依頼
  2. 解体業者が破損した太陽光パネルなどを撤去、回収
  3. 解体業者が中間処理業者へ廃棄処理の依頼を行う
  4. 産業廃棄物の中間処理業者が廃棄物の選別、廃棄

太陽光発電設備に含まれる金属やガラスなどリサイクル可能な部品は、再資源化業者で活用されます。リサイクルできない廃棄物は、埋立処分場で埋め立てられる流れです。

当たり前ではありますが、不法投棄や放置、解体業の許可を得ていない業者へ撤去の依頼を行うことは違法です。

太陽光発電事業を検討する際は、解体撤去方法と最寄りの解体業者を調べておくことをおすすめします。

メガソーラーを含む太陽光発電設置時は土砂崩れのリスクに備えることが重要

メガソーラーに限らず野立て太陽光発電を導入する場合は、周辺地域の災害リスクや土砂崩れのリスクについて調査し、対策や保険への加入を検討するのが重要です。

メガソーラー事業に関心を持っている方や山林での太陽光発電設置を検討している方は、今回の記事を参考に太陽光発電事業の準備を進めてみてはいかがでしょうか?

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