太陽光発電を導入する上で忘れてはいけないのが、廃棄に関する手続きや方法です。昨今、太陽光パネルの大量廃棄に関する問題があり、正しい方法で廃棄を進めていくことも発電事業者に求められています。
そこで今回は、太陽光パネルの廃棄方法や大量廃棄問題について詳しくご紹介します。太陽光パネルの廃棄方法を調べているもののよく分からないという方や太陽光パネルを設置する前に廃棄方法も理解しておきたい方は、参考にしてみてください。
太陽光パネルの大量廃棄問題とは?
太陽光発電の導入数は、FIT制度や国の支援策などによって増加傾向です。脱炭素化という点でいい傾向ですが、廃棄に関する問題も生じる可能性はあります。
しかし、太陽光発電事業者の中には、具体的な問題について分からない事業者もいるのではないでしょうか。
そこでまずは、太陽光パネルの大量廃棄問題について確認していきます。
2040年頃に起こるといわれている太陽光パネルの大量廃棄
太陽光パネルの大量廃棄問題は、2040年頃に起きると考えられている太陽光パネルの不法投棄および廃棄に関する処理能力の問題です。
太陽光発電の設置数は、FIT制度の発足や補助金制度などによって急激に増えている状況です。そのため、FIT制度発足後に設置された大量の太陽光発電が、20年~30年後に廃棄される見込みです。
徐々に廃棄されれば問題を抑えられるものの、同時期に太陽光パネルの廃棄が続く場合、3つの問題につながる可能性もあります。
- 不法投棄増加リスク
- 有害物質の流出リスク
- 廃棄処理能力の限界
次の項目からそれぞれの問題について紹介します。
不法投棄の増加リスク
1つ目の問題は、太陽光パネルを含む不法投棄の増加リスクです。太陽光パネルを含む発電設備を廃棄するには、解体業者へ撤去作業を依頼する必要があります。依頼の際は、解体や廃棄処理を含む費用を負担します。
一部の悪質な発電事業者は解体や廃棄処理に関する費用を削減しようとするため、不法投棄の増加が懸念されています。
太陽光パネルに含まれる有害物質の流出リスク
2つ目の問題は、太陽光パネルに含まれる有害物質の流出に関するリスクです。
太陽光パネルには、鉛やカドミウムといった人体に有害な物質も含まれています。廃棄処理の際は、有害物質の流出を防ぎながら適切な方法で行う必要があります。具体的には、管理型最終処分場などの有害物質の流出を防げる施設へ埋めることで、外部への流出を抑えられます。
しかし、解体業者や中間処理業者の中には、太陽光パネルの有害物質について知らない業者も存在する可能性があります。そのため、太陽光パネルの大量廃棄に伴い有害物質の流出が、増加してしまうことも懸念されています。
最終処分場の稼働率を超える廃棄量
3つ目の問題は、最終処分場の処理能力を超える廃棄量の問題です。
FIT制度の発足によって太陽光発電は、急激に生産・設置されている状況です。同時期に設置された大量の太陽光パネルは同時期に寿命を迎えるため、20年~30年後に処分場がひっ迫する恐れもあります。
太陽光パネルの大量廃棄へ対応するには、2022年から最終処分場の稼働能力向上や設備の増設などを検討するのが大切です。
太陽光パネルの大量廃棄問題で事業者に求められること
続いては、太陽光パネルの大量廃棄問題から関連事業者に求められることを解説していきます。
正しい方法で廃棄の手続きを進める
太陽光発電事業者は、正しい方法で廃棄に関する手続きを進める必要があります。
大量廃棄問題の1つ、太陽光パネルの不法投棄を少しでも減らすには、各発電事業者のモラル向上および認可を受けた解体業者へ廃棄処理を依頼することが重要なポイントです。
まずは不法投棄をしないこと、次に認可を受けた解体業者へ相談すること、少なくとも2点について守らなければいけません。
認可を受けた解体業者かどうかは、解体業の許可番号や登録番号の状況で判断できます。たとえば、問い合わせの際に聞いたり解体業者のHPに記載されているか確認したりすることで、番号の取得状況を把握することが可能です。
リサイクルやリユースを意識した撤去を考える
最終処分場の処理能力に関する問題を解決するには、太陽光パネルの各種部品や半導体のリサイクルやリユースを進めていくのも重要なポイントといえます。
経済産業省や環境省では、太陽光発電のリサイクル・リユースの割合について正確に把握していません。そこで国が、太陽光パネルを含む部品類のリサイクルに関する制度の策定、リサイクルしやすい環境の整備、処分場の能力向上などを進めることができれば、大量廃棄問題の解決につながります。
太陽光パネルの廃棄方法
ここからは、太陽光パネルの廃棄方法や注意点について確認していきます。
自分で処分せず解体業者へ相談
太陽光発電の解体撤去は、専門の解体業者へ相談するのが基本です。
太陽光パネルを自身で取り外そうとすると、以下のような事故につながります。
- 配線や機器類から感電
- ショートさせてしまい火災に発展
- 重量物の太陽光パネルや架台に挟まれる
稼働中の太陽光パネルや配線などへ触れてしまうと、感電してしまいます。さらに太陽光パネル1枚あたり15kgと重量物なので、落下による事故なども想定できます。
また、そもそも太陽光発電の撤去作業には、電気工事や解体業に関する資格や認可が必要です。無資格者は設置・撤去作業を行ってはいけないことを理解した上で、準備を進めてみてはいかがでしょうか。
架台などはリサイクル可能
太陽光パネル以外の部品や周辺機器は、処分もしくはリサイクルしてもらえる可能性があります。
パワーコンディショナや発電量のモニタ、メーター類は、粗大ごみとして処分することが可能です。ただし、自治体によって処分方法が異なる場合もあるため、役所の窓口で処理方法を確認しておくのも大切です。
太陽光パネルを支える架台や支柱、固定部品などは、再利用可能な資源です。解体業者や中間処理業者が、買い取ってくれる場合もあります。
太陽光パネル以外の機器や部品は発電事業者側で処分できるものもあり、コストを抑えながら廃棄を進められるようです。
電線は買い取ってもらえる場合がある
解体業者は、電線類の買取に対応している場合もあります。
電線に用いられている銅は資源としての価値があるため、多くの業者で買取対応しています。そのため、太陽光発電の廃棄を検討している時は、電線の買取サービスについて確認したり解体業者へ買取について相談したりしてみるのがおすすめです。
太陽光パネルの廃棄費用
太陽光パネルや周辺機器類の廃棄方法について把握したあとは、太陽光パネルの廃棄費用や関連制度について確認していきます。太陽光パネルの廃棄費用や関連制度を把握した上で、太陽光発電投資の準備を進めてみてください。
太陽光パネル1枚あたりの処分費
太陽光パネル1枚あたりの処分は、1,200円程度かかります。比較的安価な処分費ですが、実際の撤去・廃棄作業では、処分費以外の費用も発生します。
太陽光パネルを処分するためには、解体業者への依頼費用(人件費や作業費用)、足場を組むための作業費、パネルの運搬費などがかかります。
産業用太陽光発電は、太陽光パネルの撤去費用1kWにつき5,000円~2万円程度の傾向です。たとえば、50kWの太陽光パネル撤去に100万円程度の費用負担が発生しますし、その他設備の撤去・廃棄費用を含めるとさらにかかります。
なお、住宅用太陽光発電の撤去費用は30万円前後です。
太陽光パネルの廃棄について検討する際は、処分費だけでなく設備全体の撤去や処分費について計算、確認すると良いです。
2022年7月1日から廃棄費用の積み立て義務化スタート
太陽光発電の廃棄費用積立制度が、2022年7月1日より始まります。
廃棄費用の積立制度は、太陽光パネルの大量廃棄に備えて制定された制度です。内容は、条件を満たした太陽光発電事業者に対して、太陽光発電の廃棄に関する外部費用積立を義務化させるものです。
外部費用の積立は、固定買取価格から差し引かれる仕組みなので、電力の買取を行ってもらう際に自動で積み立てられます。
制度の対象者は、出力10kW以上の事業用太陽光発電を所有していて、なおかつFIT制度の認知を受けている事業者です。積立制度の対象期間は、固定買取期間の後半10年間とされています。
2022年7月1日時点で固定買取期間10年未満の場合は、制度開始日から積立が行われます。積立の頻度については原則月1回の予定です。
積立基準額は、FIT制度の認定年度などによって異なります。対象の事業者は、資源エネルギー庁HPから基準額を確認しておくことをおすすめします。
太陽光パネルの廃棄は解体業者へ依頼するのが基本!
太陽光パネルの廃棄は、解体業者へ依頼するのが基本です。なぜなら電気工事関連の資格や解体業の認可を受けていなければ撤去、廃棄できないため、専門業者へ相談する必要があるためです。
また、太陽光パネルの大量廃棄問題を解決するには、国や自治体によるリサイクルやリユースの制度立ち上げ、発電事業者や解体業者のモラル向上や正しい廃棄方法の把握など、さまざまな側面からアプローチしなければいけない状況です。
太陽光発電投資を検討している方や太陽光発電の廃棄方法を知らずに準備している方は、今回の記事を参考にしながら太陽光発電の事業と廃棄計画どちらも準備してみてはいかがでしょうか?
太陽光発電を手放したい時は、廃棄だけでなく売却という手段も検討できます。
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