パワコンとは?仕組みや価格相場についてもわかりやすく解説!

パワコンとは?仕組みや価格相場についてもわかりやすく解説!

メガソーラー事業を始める際に知っておくべきポイントの1つは、パワコンの機能や種類です。しかし、そもそもパワコンとは何かわからず、比較検討できず悩んでいる方も多いかと思います。

そこで今回は、パワコンとは何か、特徴や選び方・価格相場や寿命について詳しくご紹介します。初めてメガソーラー事業を検討している方や、パワコンの重要性を理解した上で比較検討したい方などは、参考にしてみてください。

パワコン(パワーコンディショナ)とは何?

パワコン(パワーコンディショナ:Power Conditioning System)は、太陽光発電システムにおいて制御全般を担っている機器です。

小型のパワコンなら縦横50㎝前後ですが、メガソーラーなどに使用されている産業用のパワコンは縦1m前後、横幅80㎝前後と比較的大型です。

太陽光発電システムは、太陽光パネル単体で稼働しているわけではありません。配線ケーブルや接続箱、モニターなど、さまざまな機器が組み合わさり、送電や電力制御などの機能を維持しています。

特にパワコンは、太陽光パネルから発電された電気を効率よく運用していく上で非常に重要で、収益にも関わってきます。

太陽光発電にパワコンがなぜ必要?

続いては、太陽光発電システムにパワコンが必要な理由を1つずつ確認していきましょう。

電力を直流から交流に変換する

パワコンには、太陽光パネルで発電された直流の電気を交流へ変換させる機能が搭載されています。送配電網へ送電・売電される電気やオフィス・工場などの建物内で使用される電気は交流電力なので、直流のままだと送電および活用できない状態です。

そこで、パワコンがあれば直流電力を交流電力へ変換し、自社のコンセントや業務用設備で自家消費したり売電したりできるようになります。このように、太陽光パネルから発電された電気を活用するためにも、パワコンは欠かせないシステムだと言えます。

発電量を効率よく制御するために重要な機器

太陽光発電の発電量を増やすには、太陽光パネルの性能に加えてパワコンによる複雑な制御機能も必要です。

太陽光パネルは、電圧と電流が一定でなければ発電できない特性を持っています。たとえば、雨や曇りの日など日射量が変動しやすい場面では、電圧と電流が安定せず、効率よく光を電気へ変換できません。つまり、日光が出ていても発電できない・発電量低下といったリスクがあるということです。

発電量を増やすには、効率よく発電できる電圧・電流のポイントを分析しながら制御しなければいけません。

パワコンに搭載されているMPPT制御(最大電力点追従制御)という機能は、発電量を最大化できる電圧と電流のポイントを常に自動で分析するため、天候や日射量の変動による影響を抑えながら発電し続けられます。

人の手で電圧や電流の調整を行わずに済むので管理作業の負担を軽減できますし、発電効率の低下を抑制することが可能です。

逆潮流を行える(売電)

パワコンがあれば、逆潮流も行えます。

電力会社から送電される仕組みは、潮流と呼ばれています。反対に自社の設備から電力会社へ向かって電気を送電していく仕組みは逆潮流と呼ばれていて、売電に必要な回路です。

パワコンには逆潮流に関する制御回路も搭載されているので、1台で交流変換や発電量の最大化、売電といった制御まで対応できるのが特長です。またどれだけ売電できるかは、パワコンの出力や変換効率によっても変わります。なお出力と変換効率については、後半で詳しく解説します。

メガソーラーによる売電事業を検討している方は、パワコンの逆潮流機能や出力についても把握しておくことをおすすめします。

自家消費の際にも必要

パワコンは、太陽光発電の全量自家消費を行う際にも必要です。全量自家消費は、太陽光発電で発電した電気を自社のオフィスや工場・倉庫などで使用する運用方法のことです。

パワコンには電力を正確に分配するための制御機能があるので、売電および余剰電力の売電といった運用も可能です。

なお、全量自家消費型太陽光発電として設計されたタイプは、自家消費量を超える発電量を検出すると発電を一時停止し、逆潮流が起こらないように作動します。そのため、全量自家消費型へ切り替えたい場合は、全量自家消費専用のパワコンを導入するのがおすすめです。

このように全量自家消費用のパワコンは、逆潮流による発電停止リスクを防ぎ、なおかつ効率的な送電を行えるよう設計されています。発電時された電気を効率よく活用しながら電気料金削減を目指すには、パワコンの制御機能について確認しておくのも重要です。

系統連系保護機能が働く

パワコンは、太陽光発電システムの故障時に周辺地域へ影響をおよぼさないよう保護してくれる系統連系保護機能も備えています。

系統連系(送配電網と接続および売電可能な状態)された太陽光発電システムは、発電した電気を売電できる状態です。つまり太陽光発電に何らかの異常が発生した場合、外部の電力設備へ影響を与えてしまう可能性もあるのです。

パワコンへ搭載された系統連系保護機能は、電圧不足やその他トラブルを検知すると瞬時に系統電力(外部の配電設備)を遮断し、周辺地域の停電や電気的事故を防ぐ働きをしてくれます。

パワコンと蓄電池の違い

パワコンと蓄電池は、機能や役割に大きな違いがあります。前段で解説したように、パワコンには電力の制御機能や万が一のトラブル発生時に被害を防ぐ保護機能などが搭載されています。

一方、蓄電池は、太陽光発電から発電された電気や電力会社から買電した電気を貯めたり任意のタイミングで放電したりできる機能を持った機器です。そのため、直流・交流変換や系統連系保護機能などがありません。

なお、蓄電池にもパワコンが接続されているので、パワコンは太陽光発電と蓄電池のいずれにも欠かすことのできない制御機器と言えます。

パワコンの回路方式には種類がある

直流の電気が系統電力へ流れないようにする絶縁方式は、トランスレス方式、商用周波変圧器絶縁方式、高周波変圧器絶縁方式といったいくつかの種類に分かれています。

商用周波変圧器絶縁方式は、パワコンと商用周波数変圧器という電圧を変化させる絶縁機器を用いて直流交流変換を行います。また確実に絶縁できるため、太陽光パネルから発電された直流の電気が外部に流れることはありません。

ただし、商用周波数変圧器の重量およびサイズ面などの関係から、主流はトランスレス方式や高周波変圧器絶縁方式へ変わっています。

高周波変圧器絶縁方式は変圧器のサイズが小さく、コンパクトな仕様で直流交流変換と絶縁を行えるのも特徴です。

またトランスレス方式は、DC/DCコンバータで電圧を調整したのち、インバータ回路で交流電力へ変換します。変圧器を使用しないため、よりコンパクトで、なおかつコスト面の負担も抑えられます。

パワコン1台あたりの容量

パワコンを選ぶ際は、太陽光パネルに合った容量を検討する必要があります。容量とは、どれだけ電気をつくり出せるかをkWで示したもので、出力から確認できます。ここからは、パワコン1台あたりの容量についてわかりやすく紹介していきます。

住宅用太陽光発電は5kW前後

住宅用太陽光発電に使用されているパワコンの容量は、5kW前後で推移しています。具体的には、3kWと4kW、5kW、5.5kW前後で設計されています。住宅用太陽光発電の出力は10kW未満なので、パワコンの容量が小さくても問題ありません。

産業用太陽光発電は100kW以上のタイプもある

産業用太陽光発電向けに設計されたパワコンの容量は、小さいもので10kW台、大きいものになると100kW以上も存在します。

産業用太陽光発電とは、出力10kW以上の太陽光発電のことです。低圧の太陽光発電やメガソーラーも産業用なので、パワコンのバリエーションも豊富と言えます。

定格出力125kWの比較的大型のパワコンでも、トランスレス方式であれば1m前後のサイズ感で重量100kg以下のタイプもあります。

パワコンの容量を選ぶ際は、太陽光パネルの出力を超えるタイプから検討するのが大切です。太陽光パネルの出力より小さいパワコンでは、発電された全ての電気を変換・制御できないためです。

パワコンの価格相場

パワコンの価格相場は、本体の容量(出力)や機能、業者ごとの設置工事費用によって変わります。

以下に容量別の一般的な本体価格を紹介します。

  • 5.5kW:12~25万円前後
  • 10kW:30~50万円前後
  • 50kW:50万円前後
  • 100kW:100万円前後

またメーカー別に見ていくと、安川電機のパワコンは1台あたり45万円前後(出力10kW台)、オムロンのパワコンは1台あたり16万円前後(出力5kW台)と、相場と同程度の価格帯と言えます。

施工費用に関しては、経済産業省の「令和5年度以降の調達価格等に関する意見」に相場が記載されています。パワコンの設置費用については1kWあたり3万円です。

出典:経済産業省ウェブサイト

太陽光発電の施工販売店によって本体価格や施工費用は異なるため、相場を目安に安すぎない・高すぎない見積りを提示してくれる業者から検討するといいでしょう。

パワコンを選ぶ際のポイント

メガソーラーで効率よく発電事業を進めていくには、パワコンの選び方について把握しておくのが大切です。それでは、パワコンを選ぶ際のポイントについて確認していきましょう。

サイズと重量

設置スペースに合ったパワコンを選ぶには、サイズや重量についても確認しておく必要があります。

一般的にパワコンの設置場所として適しているのは、ブレーカーの近くです。なぜなら、ブレーカーとパワコンの間に距離があると、電気的なロスにつながるからです。

そのため設置場所のスペースからパワコンのサイズを検討する際は、ブレーカーの設置場所を基準に比較してみることが大切です。パワコンのサイズについては、容量や回路方式、メーカーによって変わります。メガソーラークラスに対応したパワコンなら、横幅や奥行は1~2m前後が多いようです。

縦・横・奥行、重量に関するスペックは、メーカーHPのカタログなどから確認できます。

最大定格出力

効率よく発電するには、パワコンの最大定格出力にも注目しましょう。最大定格出力は、パワコンで出力できる電力の最大値を指しています。

太陽光パネルの出力を下回るパワコンを導入してしまった場合、発電された電気を全て交流変換および出力できません。そのため、パワコンの最大定格出力を確認する際は、太陽光パネルの出力を超えるスペックかどうか把握した上で検討する必要があります。

変換効率

変換効率が高い製品を選ぶのも、メガソーラー事業において重要なポイントです。パワコンにおける変換効率とは、直流電力をどの程度交流電力へ変換できるかをパーセンテージで示したものです。変換効率80%なら、直流電力100に対して交流電力80という割合で変換されます。

一般的にパワコンの変換効率は95%前後で、高効率なタイプなら98%程度の場合もあります。

設置方式

メガソーラー事業を始める際は、分散型か集中型どちらにするかについても決めておきましょう。

集中型パワコンは、1台あたり100kWなど大型のタイプを指しています。大きな容量のパワコンを1台もしくは数台導入することで、数100枚以上の太陽光パネルをまとめて制御できるのが特徴です。

一方、分散型パワコンは、1台数kWや数10kW程度の小型タイプを指しています。大量の太陽光パネルを数10台以上の小型パワコンで運用するため、故障時のトラブルリスクを抑えられます。

なお、分散型パワコンに関するメリットや注意点については、以下記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

売電と自家消費どちら向けか確認

パワコン選びを失敗しないための重要なポイントとして、売電重視と全量自家消費型どちらの運用方針にするか決めておくことも挙げられます。

前半でも触れたように、パワコンには全量自家消費に特化したタイプも存在しています。そのためメガソーラーで自家消費を検討しているのであれば、特にパワコンの種類を間違えないようにするのが大切です。

以下の記事では、全量自家消費型太陽光発電向けパワコンの選び方や特徴について詳しく解説しています。自家消費を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

メガソーラーの運用時はパワコンのメンテナンスも重要

メガソーラーを運用開始した後は、パワコンを含めシステム全体のメンテナンスをO&M業者へ依頼しましょう。

一般的に、パワコンは10~15年程度で交換時期を迎えますが、使用環境などで前後します。また交換やメンテナンスをせずに運用し続けるとさまざまなトラブルにつながるため、早めの対処と対策を進める必要があります。

パワコンとは電力制御全般を担う設備のこと!メガソーラー事業でも重要!

パワコンとは、太陽光パネルで発電された直流の電気を交流へ変換するなど、制御全般の機能を搭載した機器です。また万が一故障が発生した場合、瞬時に電流を遮断させる系統保護機能も備えています。

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