自家消費向けパワコンの選び方を解説!

自家消費向けパワコンの選び方を解説!

太陽光発電の運用方式は、固定買取価格の変化などから売電型から自家消費型へシフトし始めています。これから自家消費型太陽光発電を導入・切り替える方の中には、売電型と自家消費型の違いについて把握していない方もいるのではないでしょうか?自家消費型太陽光発電を導入するには、パワコン(パワーコンディショナ)の選び方について把握しておく必要があります。

そこで今回は、自家消費型太陽光発電に必要な自家消費向けパワコンの機能や選び方について詳しくご紹介します。自家消費型太陽光発電を導入したい企業や自家消費型と売電型の切り替えに必要な作業を知りたい太陽光発電投資家などは、参考にしてみてください。

パワーコンディショナの機能についておさらい

パワコン(パワーコンディショナ)は、主に3種類の役割および機能を持っています。

  • 直流から交流への変換
  • 電力の制御
  • 自立運転機能

太陽光パネルから発電された電気の性質は、直流です。家庭やオフィスにある電気製品や設備は、どれも交流の電気で稼働するように設計されています。そのため、直流から交流へ変換するための装置が必要です。パワコンには電力の変換機能が搭載されているので、コンセントや配線から交流の電気を取り出せます。

他にもパワコンは、太陽光パネルから発電された電気を効率よく自家消費したり売電したりするための制御機能が備わっています。今回のテーマでもある自家消費向けパワコンは、制御機能という点で特に優れているのが特長です。

自立運転機能は、停電時に太陽光パネルから発電された電気で稼働するための機能です。多くのパワコンは、自立運転機能を搭載しています。

自家消費向けパワコンの特徴

パワコン(パワーコンディショナ)の基本的な機能を把握したあとは、自家消費向けパワコンの特徴について確認していきます。

自家消費ならではの問題に対応しているのが、自家消費用パワコンの強みです。

逆潮流防止機能が付いている

自家消費向けパワコンには、逆潮流防止機能が付いています。

太陽光発電の発電量は、太陽光パネルの設置枚数や日照時間によって変わります。消費電力量より発電量が上回ってしまった場合は、電気の性質によって一部電力会社の送電線へ流れようとします。

国では、認可を受けていない発電設備からの売電を禁止しています。そこで自家消費向けパワコンには、電流を制御するための「逆潮流防止」機能(RPR)が搭載されています。

逆潮流防止とは、消費電力量より発電量が上回った場合に売電しないよう、パワコンの稼働を止める機能のことです。

売電しないようパワコンの電源を自動で切り、消費電力量と発電量のバランスを維持してくれるのが、自家消費向けパワコンならではの強みといえます。

追従型抑制装置と連携可能

自家消費向けパワコンの中には、追従型抑制装置と連携させながら電力を制御することが可能なパワコンがあります。

前述で紹介した逆潮流防止機能は、パワコンの稼働そのものを一時的に止めてしまうため、停止中に発生した消費電力分だけ買電量が増えてしまいます。買電量が増えるということは、その分電気代の負担増加につながります。

そこでメーカー側は、逆潮流防止機能による自動停止が起きる前に電力の需給バランスを制御できる追従型抑制装置を開発しました。

追従型抑制装置は、太陽光発電の発電量と自家消費を行う建物内の消費電力量を計測します。消費電力量より発電量が上回る場合は、パワーコンディショナの出力を制御し、発電量の抑制を実行してくれます。

自家消費向けパワコンは、売電型のパワコンと異なり発電量と消費電力量のバランスを維持するための機能が組み込まれたり連携できたりするのが強みです。

自家消費向けパワコンの選び方

最後は、自家消費向けパワコン(パワーコンディショナ)の選び方をしょうかいしていきます。

消費電力に合わせた制御機能の性能

自家消費向けのパワコンを選ぶときは、逆潮流防止機能だけでなく追従型抑制装置と連携しているかどうか確認するのが大切です。

逆潮流防止機能は、電力会社への送電を防ぐという点で重要な役割を持つ一方、一時的な稼働停止による買電量の増加をまねいてしまいます。もちろん、消費電力量に合わせて太陽光パネルを減らしたり、パワーコンディショナの容量を選んだりすれば、逆潮流のリスクを抑えられます。

しかし、電気を使用しない・少ない時間帯は出てきてしまう可能性があります。そこで、追従型抑制装置と連携できれば、リアルタイムでパワーコンディショナの出力を制御しながら継続的な自家消費を実現することが可能です。

遠隔制御可能な仕様

遠隔地からパワコンの操作やデータ収集を行えるかどうかが、比較検討の際に重要なポイントです。

パワコンの操作を遠隔で行えないタイプの場合は、太陽光発電所まで担当者を派遣させて、データの収集、トラブルの発生状況などを確認する必要があります。しかし、リアルタイムでデータを確認できないという点や担当者の負担増加という点が、懸念されます。

遠隔制御可能なパワコンを導入すれば、事務所からインターネット経由でデータ収集や確認を行うことが可能です。

メンテナンスしやすいコンパクトな設計

自家消費向けパワコンを比較検討する際は、メンテナンス方法の簡単なコンパクトな設計かどうか確認しておくのもおすすめです。

自家消費型太陽光発電は、10年・20年と長期的に稼働させていく設備です。そのため、パワコンも定期的にメンテナンスする必要があります。

パワコンによっては、冷却用のファンとフィルタを利用者側で簡単に取り外せるタイプも販売されています。このようなタイプは、清掃に時間がかかりませんし、誤って重要な部品を取り外すリスクを抑えられます。

静音性が高い

周辺に住宅やオフィスが建てられていたり人や車の通行量の多い道路があったりといった場合は、パワコンの静音性について注目してみてはいかがでしょうか。

パワコンの種類によっては高周波音の発生するタイプもあるため、騒音につながる可能性があります。高周波音はいわゆるモスキート音で、人によって聞こえるのが特徴です。

万が一周囲に聞こえてしまうような設計では、苦情やトラブルにつながります。トラブルへ発展させないためにもパワコンを選ぶ際は、カタログスペックや販売店から静音性について確認するのが大切です。

静音性の高いパワコンは高周波音に関しても配慮されていて、広範囲に駆動音などが広がらないよう設計されています。設置場所の周辺環境から駆動音などについて気になる方は、静音設計タイプのパワコンを検討してみてください。

可能であれば周辺機器が一体になったパワコン

予算に余裕がある場合は、周辺機器とパワコンが一体型のタイプを検討してみるのもおすすめです。

全量自家消費型太陽光発電を導入するには、パワコンの他、追従型抑制装置などの周辺機器も必要です。そのため、設置スペースの確保や施工期間の長期化といった手間がかかることもあります。

周辺機器と一体型のパワコンは、逆潮流防止機能搭載でなおかつ追従型抑制装置や関連部品も1つにまとまっていて、簡単施工です。

国内では、オムロンのkpw-a-2という一体型パワコンが代表的です。kpw-a-2のサイズは、小型の専用保護継電器1台分とコンパクトで、表面から取り付けられる簡単設計です。

なお、オムロンの完全自家消費型ユニットおよびパワコンについては、以下記事にて詳しくご紹介しているので参考にしてみてください。

自家消費向けパワコンの選び方が電気料金削減効果を左右する!

自家消費向けパワコンを選ぶときは、価格帯だけでなく追従型抑制装置との連携機能もしくは一体型かどうか確認するのが大切です。また、オムロンで販売されているパワコンは、その他周辺機器や部品もパワコンに組み込まれていて、制御性能についても優れています。

全量自家消費型太陽光発電の導入を検討している方やパワコンの選び方について気になっている方は、今回の記事を参考にパワコンの比較検討を進めてみてはいかがでしょうか?

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