BCP対策に太陽光発電は役立つ!メリットや重要性について紹介

BCP対策に太陽光発電は役立つ!メリットや重要性について紹介

電力スポット価格の高騰や電力需給のひっ迫による電気のコストや供給に関するリスク、台風や豪雨、地震といった災害リスクに見舞われる昨今、企業はBCP対策をしっかり立てておく必要があります。中でも太陽光発電は、非常時の事業活動再開やデータ保護といったさまざまな点でメリットの多い設備です。

そこで今回は、BCP対策という点から太陽光発電のメリットや注意点、対策のポイントについて詳しくご紹介します。災害に備えるため太陽光発電を検討している方やBCP対策に何が必要か分からず悩んでいる方は、参考にしてみてください。

そもそもBCP対策とは何か

BCP対策(Business Continuity Plan)は、災害や事件、テロなどの有事の際に事業を継続したり早期に再開したりするための対策をまとめたものです。日本語では、事業継続計画と呼びます。

緊急事態の際、事前に対策を立てておけば非常食や非常用機器をすぐに取り出して安全確保に努めたり事業再開へ向けて早期に対応したりできます。BCP対策は、企業にとって事業の損害や従業員のリスクを抑えるために重要な計画の1つです。

最近では、2020年から起きている新型コロナウィルスの感染拡大による営業自粛、外出自粛なども緊急事態に該当します。新型コロナウィルスに対する対応策としては、従業員や顧客の安全確保を最優先にした衛生環境の確立、自粛による営業利益低下をカバーするための新規事業策定なども考えられます。

いつ緊急事態になるかどうかは、誰にもわかりません。だからこそ、常日頃からBCP対策を進めておく必要があります。

BCP対策を立てることが企業にとって急務な理由

BCP対策について理解した企業の中には、「とは言っても担当者の決定、予算などでなかなか作業を進められない」、「その時になれば対応できるの?」など、さまざまな理由から対策を講じる事に対して悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。

そこでここからは、BCP対策の計画や策定が企業にとって急務な理由を解説していきます。

大規模災害のリスクが生じている

日本は地震や火山大国で、なおかつ大規模災害のリスクもあります。

2011年に発生した東日本大震災では、最大震度7の大きな揺れだけでなく、東北地方の太平洋沿岸に津波が発生しました。

津波の被害を受けた地域では、建物ごと流されているケースもあります。また、地震の大きな揺れによる電気、ガス、水道といったインフラへの被害も発生し、個人や企業へ大きな影響を与えました。

さらに直接的な被害を受けていない企業も、取引先や仕入れ先、運送会社の操業停止など間接的に被害を受けました。

日本にいる限りどの場所にいても、巨大地震や津波といった大規模災害リスクから逃れることは難しい状況です。そのため、企業は少しでも早くBCP対策を始めるのが大切です。

電力不足の可能性が出てきた

2022年頃より政府では、電力不足に関する状況説明を行い始めていて、企業も停電を想定したBCP対策を早期に立てる必要があります。

なぜ電力不足の可能性が考えられているのか、それは複数の原因が重なっているためです。

  • 新型コロナウィルスによる自粛から、経済活動再開による電力需要増加
  • 火力発電所の休廃止が相次いでいる
  • 地震などに被害によって火力発電所が破損、停止
  • 原発の稼働停止状態が続いている
  • 記録的寒波、猛暑による電力需要増加

特に夏や冬は冷暖房機器の使用頻度が高くなるため、電力不足による停電リスクに備えておくのも重要なポイントです。

電力は当たり前に供給されるものと捉えず、停電の可能性も想定しながら非常用電源の確保、データのバックアップを行っておくのがおすすめです。

電気料金の高騰が続く

特に2022年は電気料金の高騰が続き、企業にとって固定費負担の増加につながる厳しい状況です。

日本の主力電源は火力発電所で、石炭、原油、LNGなどを燃焼させてタービンの回転、発電を継続しています。石炭、原油、LNGを確保するには、どれも輸入でカバーしなければいけません。また、燃料価格はさまざまな原因から値上がりしているため、電気料金に上乗せされています。

電気料金の高騰は、災害や事件、テロ、ウイルスなどと比較すると緊急事態に相当しないかもしれません。しかし、企業にとって固定費の増加は、事業運営に支障をきたす可能性もあり、早急に対応しておくのがおすすめです。

BCP対策として太陽光発電を導入するメリット

ここからは、BCP対策として太陽光発電を導入するメリットについて確認していきます。

事業の早期再開と継続ができる

広域かつ長期の停電でも事業の早期再開と事業継続を目指せるのが、太陽光発電の導入メリットです。

マグニチュード9クラスの地震や震度7クラスの直下型地震が発生した場合、揺れの強い地域を中心に停電してしまう場合もあります。被害状況によっては1週間以上停電してしまうこともあるため、企業にとって大きな損失です。

一般的な非常用電源装置や蓄電池単体では、一時的に電力を確保できるものの、7日など長期停電に備えられません。

そこで太陽光発電を導入しておけば、事業活動を行う上で重要な電力を確保できます。また、晴れの日が続けば継続的に電気を使用できますし、必要最小限の事業活動を継続することが可能です。

熱中症などといった生命にかかわるリスクを抑えられる

BCP対策に重要な生命にかかわるリスクを抑えられるのが、太陽光発電の強みです。

特に夏場や冬場の停電では、熱中症や低体温症などの生命にかかわるリスクが発生します。また、介護施設や医療機関の停電は、時期にかかわらず危険な状況です。

他にも夜間など照明設備がなければ移動の難しい場所や状況では、建物から外へ出るための避難が遅れてしまう場合もあります。

太陽光発電を導入しておけば、空調機器や医療設備を稼働させることが可能ですし、照明設備への電力供給によってスムーズな避難を進められます。

なお、内閣府で提言している72時間稼働可能な非常用電源の確保というのは、人命救助における1つの基準が72時間のためです。

通信手段を早期に確保できる

通信手段を早期に確保できるのは、太陽光発電ならではのメリットといえます。

大規模・長期停電の際は、スマートフォンや固定電話で連絡を取ることができません。大規模災害の場合は、1週間以上停電してしまう可能性があり、復旧まで安否確認や取引先との状況確認を進められない状況です。

太陽光発電を設置した場合は、停電した日から各端末やWi-Fiなどへ電力を供給し、通信手段の復旧を進めることができます。

BCP対策として太陽光発電を検討する際に注意しておくべきポイント

ここからは、BCP対策として太陽光発電を導入検討する際、特に注意しておくべきポイントを紹介します。

非常時に必要な設備や電子機器を整理しておく

停電の際に事業活動を継続していくうえで、特に重要な設備や電子機器、端末を整理しておくのが、BCP対策で大切です。

太陽光発電の発電能力は、出力や日照時間によって変わります。

また、従業員の安全確保や必要最低限の事業活動を継続するために稼働させておくべき設備を把握しておかなければ、いざという時どのように電力を振り分けるべきか判断できません。

太陽光発電の発電量を確認した上で、Wi-Fiや電話機、廊下や階段などの照明設備、生産に必要な設備など、どこまで電力を供給できるか計算するのが重要です。

蓄電池と併用しなければ継続的な運用が難しい

BCP対策として停電時でも電力供給を継続させるには、蓄電池との併用が必要です。

太陽光発電単体では、発電した電気を貯められません。また、夜間に発電できないため、夜間の事業活動および避難生活に支障をきたします。さらに雨や曇りの日は発電できるものの、晴れの日と比較して3分の1〜20分の1程度まで発電量が低下します。

一方、蓄電池を併用した場合は、日中に太陽光発電で発電した電気を貯めておき、夜間や発電量の少ない日に振り分けることが可能です。

太陽光発電の導入を検討する際は、蓄電池の初期費用および設置スペースを考慮しながら計画を立てていくのも大切です。

施設規模によっては太陽光発電で事業再開が難しいケースもある

工場や医療施設、テナントビル、大型商業施設といった大型施設の電源は、太陽光発電でカバーできない可能性があります。

太陽光発電の発電量は、設置場所の日照時間や太陽光パネルの設置枚数などで変わります。予算に余裕があれば、施設の消費電力量をカバーできる枚数の太陽光パネルを設置したり土地を購入したりすることも可能です。

しかし、数1,000万円、数億円といった予算を捻出できない、資金調達できない時は、太陽光発電以外の方法やさまざまな種類の太陽光発電を比較検討してみる必要があります。

たとえば、PPAサービスを利用した場合は、初期費用0円で太陽光発電を設置する事が可能です。(PPA:PPA事業者所有の太陽光パネルを自社の敷地へ設置してもらう。一定期間自家消費分の電気料金をPPA事業者へ支払い、契約期間終了後は譲渡もしくは返却。)

他には、一部設備のみ太陽光発電で稼働させることで事業を継続できるよう、事業体制を見直すことも重要です。

BCP対策として太陽光発電を導入する場合に補助金を受けられる?

BCP対策として太陽光発電を導入する場合、補助金を受けられる可能性があります。

多くの補助金制度は、原則自家消費型太陽光発電が対象です。そのため、BCP対策として自家消費型太陽光発電を導入すれば、補助金を交付してもらえる場合もあります。

たとえば、「令和3年度補正・令和4年度 ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」という補助金事業は、自家消費型太陽光発電単体もしくは蓄電池の併用で1kW4~5万円の補助金を受け取ることが可能です。

他にも「平時の省CO2と災害時避難施設を両⽴する直流による建物間融通⽀援事業」は、太陽光発電で発電した電気を複数の建物へ送電し、CO2削減と非常用電源として活用できる場合に補助金を交付してもらえます。補助金額については、人件費などに対象経費の4分の3(上限1,000万円)、設備費用に対して2分の1(上限5億円)です。

企業向けの太陽光発電を含む補助金制度は複数用意されているので、資源エネルギー庁などのHPから補助金制度を確認してみてはいかがでしょうか。

BCP対策として太陽光発電を導入することは事業継続に重要な投資!

太陽光発電は、BCP対策にとってもメリットの多い発電設備です。燃料の必要な非常用電源は、燃料切れというリスクがあります。一方、太陽光発電は、晴れていれば常時発電できますし、蓄電池の併用によって夜間や消費電力量の多い時間帯へ電力を振り分けられます。

自社の電源をどのように確保するか悩んでいる方やBCP対策を始めたいものの何から手を付ければいいか分からない方は、今回の記事を参考に太陽光発電を検討してみてはいかがでしょうか?

中古太陽光発電は、新規設備より安価に購入できる可能性がありますし、自己託送制度(送配電網を活用して、遠方から自社まで送電・自家消費できる)の活用で自家消費も可能です。

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