近年、蓄電池メーカーでは、AI搭載型の蓄電池を開発・製造しています。既存の蓄電池より効率的に充放電できるため、電気代削減効果を伸ばすことが可能です。
そこで今回は、AI付き蓄電池の特徴や強み、価格、製品事例について詳しくご紹介します。全量自家消費型太陽光発電による電気代削減を目指している方や、優れた制御システムを持つ産業用蓄電池を導入したい方などは、参考にしてみてください。
AI付き蓄電池とは?
AI付き蓄電池とは、電力を貯めることができる蓄電池にAI(人工知能)を組み込んだ蓄電池システムのことです。一般的な蓄電池は電力を貯めておき、必要な時に使用することができます。
しかし蓄電池にAI(人工知能)技術を組み込むことにより、各家庭の電気使用状況や天候を考慮して自動でコントロールし、蓄電池の充放電を最適に調整することが可能になります。
つまり、AI(人工知能)が使用する電力量を予測したり天候から発電できる量を予測したりすることで、効率的に蓄電池システムを活用できるということです。
AI付き蓄電池の主な特徴
一般的な蓄電池との違いは、AI付き蓄電池だけが行うことができるさまざまな機能を備えていることです。ここではAI付き蓄電池が持つ主な特徴を詳しく説明します。
各地域の天候予測をインプットして消費電力量の計算と制御を行う
AI付き蓄電池の主要な特徴の一つが、天候予測をインプットして消費電力量を予測し、制御することです。
まずは、蓄電池のAIに各地域の日射量・気温・風速・降水量を含む気象データや天候予測データをインプットします。そして、AIが過去の天候と消費量や供給のデータからパターンを分析することで、これから消費される電力量予測の計算を行います。
天候予測データや予測の消費電力量を基に、電力の供給と使用を最適に制御することで、電力を効率的に利用できるようになります。最適な電力制御は節電になり、節電は電力料金の削減につながります。
家庭の電気使用実績に基づいた充放電を行う
一般的な蓄電池は、貯めておいた電力を必要な時に使用しますが、AI付き蓄電池の場合はそれぞれの使用実績に基づいた充放電が可能です。AI付き蓄電池は、各家庭の過去の電気使用実績データから時間帯・曜日・季節などの電気消費パターンや特徴を解析し、使用電力量の予測を立てます。
予測した電気使用量や電力需要のピークなどをベースに、蓄電池の充電や放電のタイミングを調整することにより、効率性が最大化できます。
電力需要のピーク時に蓄電池からの電力を使用すれば、ピーク緩和になり、電力供給の安定化や電気料金の削減にもつながるでしょう。
太陽光発電があれば電力需給に合わせた充放電を実施
AI付き蓄電池と太陽光発電システムを組み合わせて活用することで、電力需要に合わせた充放電が可能になります。AI付き蓄電池は、季節・日照時間・天候条件をインプットすることで太陽光発電の発電量を予測します。
太陽光発電の発電予測と、各家庭の過去の電気使用実績や時間帯の傾向から使用電力量の予測を組み合わせ、蓄電池の最適な充放電を実現します。
例えば、太陽光で十分な発電ができる場合、余った電力は蓄電池に充電しておき、需要がピークに達した際にそこから電力を供給します。
このように、AI付き蓄電池と太陽光発電を組み合わせて活用することで、自家消費の最大化や電力需要のピークカットなど、エネルギーの効率的な利用が実現できるようになります。
AI付き蓄電池の価格
AI付き蓄電池の価格は、ブランドや製品の機能・性能・容量・市場の競争や需要変動によっても大きく異なりますが、一般的な相場は百数十万〜数百万円です。
AI付き蓄電池はAIの機能やデータ解析能力を搭載しているため、従来の蓄電池よりも開発と製造のコストがかかり、値段も高い傾向があります。しかし、地域の補助金や税優遇措置などを活用すれば、導入費用を軽減できることもあります。
AI付き蓄電池は通常の蓄電池を利用するよりも最適な充放電制御を行うことができ、効率的に電力を使うことができるようになります。
AI付き蓄電池の事例
市場にはさまざまなAI付き蓄電池製品が出ていますが、それぞれのメーカーや製品により機能や性能・容量など異なった特徴を持っています。AI付き蓄電池製品の事例の一部を紹介します。
伊藤忠商事のSMART STAR
総合商社の伊藤忠商事が事業の一環として力を入れているのが、「SMART STAR」という名のAIを活用した蓄電池のシリーズです。AI機能である「Grid Share」が、太陽光発電での発電量と各家庭での電力消費量を48時間先まで予測することで、充放電の計画を計算します。
家庭ごとに異なる生活パターンから消費電力をAIが学習し、また刻々と変わる天候にも合わせて、太陽光で発電する電力の充放電を自動管理することができます。
また、気象警報を自動で検知した場合は災害時に起こり得る停電に備えて充電を自動で行うほか、全負荷型の蓄電池で200Vの出力も可能なため、停電が起こっても普段使用している家電を使うことができるので安心です。
DMM蓄電池のDMM.make smart
DMM蓄電池のDMM.make smartも全負荷太陽型蓄電池を展開しており、停電時でも家全体の電気をいつもと変わることなく使うことができます。蓄電できる容量は9.8kWhと大容量で、一般的な家庭であれば1日分の使用電力をまかなうことが可能です。
停電時には、蓄電システムから自宅に電気を供給するシステムに自動的に切り替わるため、手動での操作が必要ありません。
また、停電時でも太陽光発電で発電した電力を利用することができ、余剰分はDMM.make smartに充電されます。
DMM.make smartは蓄電の残りがゼロに近い状態であったとしても、満充電に必要な時間は3時間程です。WEBモニタリングシステムがあり、スマートフォンなどで発電量や消費量、蓄電残量などの確認、操作設定を行うこともできます。
ネクストエナジーは自社製品にAIを付帯
ネクストエナジーは、2018年11月より自社ブランドであるリチウムイオン蓄電システムにAI制御サービスを付帯し、販売を開始しました。
FIT制度が順次終了していく中で、太陽光で発電した電力をより効率的に使用できるように、蓄電システムの需要が急速に増加しています。
「グリッドシェアサービス」という名の、AIによる蓄電池の充放電を最適化できるサービスを付帯することで、それぞれの生活スタイルに合わせて充放電をコントロールすることができ、電気料金の節約につなげることができます。
容量も9.8kWhと大きく、一般的な家庭であれば停電時でも1日は電気を蓄電池でまかなうことができます。
またインターネット接続により、メーカーの遠隔での見守りサービスも受けることができるため、安心して使用できるでしょう。
PowerX
PowerXは、すでにある蓄電池にクラウド型のAIを導入することで、AIが自動で予測を行い、卸電力取引・充放電制御を実行して蓄電池運用を最適化させます。
気象や電力価格の動きが複雑化した場合には、当日の需要状況に合わせた価格の予測や、蓄電池の充放電を手動で最適に運用することは困難です。
蓄電池にPowerXのクラウド型AIを導入すれば、データ収集と分析を自動で行ってくれるため、リアルタイムでエネルギー需要のバランスを調整し、蓄電池の充放電を最適化させることができます。
スマートソーラーのスマートAI
スマートソーラーのスマートAIは、クラウドと連携して蓄電システムを最適化し、経済性を向上させることができます。各家庭の生活スタイルから消費電力の予測を行い、充放電の最適化が可能です。
状況に合わせた運転モードを搭載しており、通常時は太陽光発電での余剰電力を蓄電池に充電する「自家消費モード」、FIT制度を活用している場合には余剰分を売るための「売電モード」があります。
また、災害情報を受け取った際は停電に備え、自動で蓄電池に充電を行う「災害対策モード」に切り替わります。
蓄電池の設置場所が狭い場合には、測定ユニットとコントローラを分離することができ、広い場合には一体型として配置できるなど、設置場所の状況に合わせた対応が可能です。
蓄電池と太陽光発電の蓄電量・発電量・使用量などの状況をスマートフォンなどからいつでも確認できる、スマートAI公式のアプリも使用できます。
AI付き蓄電池と自家消費型太陽光発電で電気料金を効率よく削減!
AI付き蓄電池は、電気を貯めて使用する従来の蓄電池と異なり、天候や生活スタイルから電気消費のパターンを学習し、充放電を最適化することができます。
さらに太陽光発電と併せて利用すれば、季節や日照時間、天候から予測したその日の発電量と電気消費の予測と合わせることで、効率的なエネルギーの使用だけでなく、停電時の災害対策としても役立てることができます。
FIT制度が徐々に終わりを迎えている中、燃料費の価格高騰に伴う電気料金の値上がりが続いています。蓄電池を導入して太陽光発電で発電した電気を効果的に自家消費することは、電力料金の削減につながります。
環境経営や電気代削減などから自家消費型太陽光発電の導入を検討している方には、弊社、和上ホールディングスの自家消費型太陽光発電サービスをおすすめします。
和上ホールディングスの自家消費型太陽光発電サービスでは、設備の企画設計から設置工事、設置後の保守点検まで一括サポートしております。自家消費型太陽光発電に関心をお持ちの方・検討している方は、ぜひお気軽にメールや電話にてお問合せください。