そこで今回は、自家消費型太陽光発電の仕組みやメリット・デメリットについてご紹介いたします。すでに知っているという方は再チェックのつもりでぜひ最後までご覧ください。
自家消費型太陽光発電の基礎知識
まずは、自家消費型太陽光発電の基礎知識をご紹介いたします。「自家消費型太陽光発電とは?」「注目されている理由」についてご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。自家消費型太陽光発電とは?
自家消費型太陽光発電とは、太陽光発電で作った電力を「売電(電力会社に売ること)」ではなく、「自家消費」に回すことを指します。つまり、発電した電力を工場や事業所内の電力として消費することです。なお、システム容量が10kW未満の家庭用太陽光発電は元から「自家消費+余剰売電」を行っています。自家消費型太陽光発電といわれているものは、一般的に10kW以上の産業用太陽光発電を表します。
自家消費型太陽光発電が今注目されている理由
自家消費型太陽光発電が今注目されている理由は次の通りです。- 1.売電単価が低下している 産業用太陽光発電は、これまでは電気を売ることで得られる「売電収入」をメインとした投資目的で設置することが主流になっていました。売電収入を決める電力1kWhあたりの売電単価は固定価格買取制度(FIT制度)によって経済産業大臣が決めています。 このFIT制度は、元々太陽光発電や風力発電といった「再生可能エネルギー」の普及を目的としてもので、現在はその役割を果たしつつあることや、設置費用が低下していることから、売電単価は年々値下がりしています。 2019年の売電単価は「14円/kWh+税」でした。東京電力の低圧電力プランの電気代が夏期で17円37銭、その他の季節でも15円80銭ですので、売電をするよりも自家消費で電気代を浮かせた方がお得という計算になります。
- 2.固定価格買取制度(FIT制度)の廃止 自家消費型太陽光発電が注目されるもう一つの理由として、産業用太陽光発電のFIT制度が2020年で廃止されることがあげられます。 政府は、将来的な主電源として、原子力や火力発電ではなく太陽光発電等の再生可能エネルギーに期待を寄せています。そのためには、太陽光発電の発電コストを下げる必要がありますが、現在はまだコスト水準が高い状態です。 FIT制度は、国民全員に負担を強いる制度でもあるため、発電コストを下げてFIT制度を廃止していくのは必然的な流れといえるでしょう。こうしたことから、自家消費型太陽光発電への注目度は非常に高くなってきています。
- 3.電気料金は2030年まで上がり続けるとの予測もある 自家消費型太陽光発電が注目されているのは「将来に対するリスク回避」という側面もあります。消費者が負担する電気料金は年々値上がりを続けています。これは、電力会社に支払う電気料金に「再エネ賦課金」と呼ばれる項目があり、金額が値上がりしていくためです。 再エネ賦課金とは、国内の再生可能エネルギーを拡大させるため、国が消費者に対し電気を消費する代わりに、再エネ事業への報酬として電気料金に含まれているものです。 この再エネ賦課金が、FIT制度の財源となっています。FIT制度による太陽光発電が増えれば、その分事業者に支払う報酬は多くなり、この再エネ賦課金の高騰が問題視されています。 2012年の再エネ賦課金は0.22円/kWhでしたが、2020年は2.98円/kWhまで高騰しています。金額に換算すると、月に300kWhを使用した場合、月額66円だったものが894円にまで上昇している状態です。 この再エネ賦課金の値上がりは2030年まで続き、緩やかに値下がりを始めます。これは、買取期間(20年)が終了する太陽光発電所が年々増加することから、2030年が再エネ賦課金のピークになると考えられています。そこまでは、電気料金は上がり続けると考えた方がいいでしょう。 これらの理由から、自家消費型太陽光発電は今大きな注目を集めているのです。