太陽光発電の事故報告は義務化!対応方法や事故発生後の対処法についても解説

太陽光発電の事故報告は義務化!対応方法や事故発生後の対処法についても解説

メガソーラーを含む太陽光発電所で発電事業を展開している場合、事故報告の義務が課されます。2021年4月に法律が改正され、小規模な太陽光発電を所有している方であっても、事故報告制度について把握しておく必要があります。しかし、事故報告制度の内容は複雑な部分もあるため、わからないという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、太陽光発電の事故報告制度や改正内容、事故発生後の対処法について詳しくご紹介します。出力10kW以上の太陽光発電を所有している方や事故報告制度がわかりにくく悩んでいる方などは、参考にしてみてください。

太陽光発電の事故報告制度とは

まずは、太陽光発電の事故報告制度と改正内容について確認していきましょう。

太陽光発電の事故発生時に産業保安監督部へ報告する制度

事故報告制度は電気事業法によって定められた制度で、指定の発電設備が対象です。太陽光発電に関しては、他の発電設備と同じく事故報告義務の対象設備として扱われています。主な事故報告は、感電と火災、第三者への損害を伴う事象、設備破損です。

たとえば、火災により発電所が焼失した場合は、事故報告制度に則って管轄の産業保安監督部に内容を報告する必要があります。

なお、事故内容を報告しない、虚偽の内容を報告したなどの場合は、30万円以下の罰金刑が課されます。事故の報告はもちろん、誤った内容を報告書に作成しないよう気を付けましょう。

2021年4月に法改正が行われた

電気事業法の事故報告制度は2021年4月に改正され、これまで対象外とされていた低圧の太陽光発電も同制度の対象設備として含まれました。

低圧の太陽光発電は高圧より設置数が多い傾向にあり、なおかつ火災や感電事故なども多数起こっています。そのため、国による情報収集や分析が必要と考えられ、今回の法改正へと動きました。

法改正前、太陽光発電設備の対象は出力50kW以上の産業用太陽光発電のみでした。一方、2021年4月の法改正後は、出力10kW以上50kW未満の低圧太陽光発電も含まれています。

つまり、出力10kW以上の太陽光発電は、全て事故報告制度の対象ということになります。また野立て太陽光発電や屋根設置、ソーラーカーポートなど設置場所にかかわらず、事故報告の義務が生じます。

事故報告の必要な事故

出力10kW以上50kW未満の太陽光発電所を所有している方の中には、事故報告義務化によって何をどうすればいいのかわからず悩んでいる方も多いのではないでしょうか。ここからは、事故報告の必要な事故4種類についてわかりやすく紹介していきます。

感電などの事故

太陽光発電所の操作管理を行っている最中に作業員が感電してしまい、なおかつ入院や死亡した際は、事故内容をすみやかに報告しなければいけません。

具体的には、太陽光発電の稼働開始後だけでなく、稼働開始前の設置および電気工事、メンテナンスや試運転といった場面での感電事故も報告の対象です。また、太陽光発電設備の破損による作業員の死亡もしくは入院した場合でも、感電事故と同じく報告の義務が生じます。

電気火災

太陽光発電設備の火災で他者の財産に損害を与えてしまった場合は、すみやかに管轄の産業保安監督部に事故内容を報告しなければいけません。

太陽光発電は、感電だけでなく火災リスクもある設備です。たとえば2018年の台風21号では、高潮などの影響で太陽光発電の故障や漏電、火災事故が発生しました。出火元は複数あり、太陽光パネルだけではなく、パワーコンディショナや接続箱、断線したケーブルなども含まれます。

電気火災事故における他者の財産は、第三者の建物や山林、車両や設備などを指します。また、事故の対象場面は設備の稼働開始後だけでなく、開始前の工事やメンテナンス中も含まれます。

他者の物件へ損害を与えてしまう

太陽光パネルや周辺機器、敷地内に設置されている柵などが敷地外に飛んでしまった場合も、事故報告制度に則って報告する必要があります。

太陽光パネルなどが飛散してしまうケースは、一般的に暴風雨や台風などといった自然災害に巻き込まれた場合を指します。

また山間部に太陽光発電を設置している場合では、台風などによる影響で土砂災害に遭ってしまう可能性もあります。さらに太陽光パネルや架台が周辺の道路に飛散してしまうと、交通止めによる周辺地域の混乱も招きかねません。

このように、敷地外への飛散はさまざまなリスクにつながります。そこで国は、被害拡大を防ぐ対策を講じるため、上記のような事故状況も収集する必要があるわけです。

発電設備の一部でも敷地外へ飛散した場合、仮に人を負傷させていなくとも、事故内容をすみやかに報告しましょう。

太陽光発電設備の破損事故

太陽光発電設備の破損によって稼働を継続できない時は、事故報告の対象事例としてみなされます。

破損事故の主な対象部材や機器は、以下のとおりです。

  • 太陽光パネル
  • 架台
  • パワーコンディショナ
  • 変圧器
  • 遮断機
  • 整流器
  • コンデンサー

破損事故としてみなされる事象は、対象設備の変形や破壊、劣化などによる機能低下と定められています。また太陽光パネルに関しては、パネル全体の20%以上で損壊が認められた場合に破損事故と認定されます。

なお、設置工事中や試運転、メンテナンス中の事故は対象外である点が、他の事故と区分に大きな違いがあります。

事故報告の流れ

事故報告制度の改正内容や事故の範囲を把握したあとは、報告の流れについて確認していきましょう。

24時間以内に事故の概要を報告

事故報告制度の対象となる事故が発生した場合は、発生時から24時間以内に電話やFAX、メールで管轄の産業保安監督部へ概要を伝えなければいけません。

事故報告制度では、24時間以内の報告を速報と呼びます。速報の場合は、詳細な報告書作成などは不要です。主な報告内容は、事故の発生日時と場所、設備の種類、事故の内容と被害状況です。

経済産業省で公開されているサンプルの様式では、以下の項目が記載されています。

  1. 事故の発生日時(年月日、時間)
  2. 発電設備の種類(例:太陽光発電 50kW)
  3. 事故の種類(例:感電事故)
  4. 事故の概要(図などを用いて簡易的に説明)
  5. 死傷者の状況(性別、年齢、作業員か関係者以外か)
  6. 事故の原因
  7. 応急処置の対応状況
  8. 復旧の対策状況と予定日時
  9. 報告者の氏名や連絡先

なお、フォーマットなどはないので、Wordや紙面などに内容をまとめてください。

30日以内に事故の詳細を報告

速報の業務を行ったあとは、事故発生日から30日以内に、事故の詳細に関する報告書を指定のファイルで管轄の産業保安監督部へ提出します。

事故の詳細に関する内容は、「独立行政法人 製品評価技術基盤機構の詳報作成支援システム」にアクセスし、事故発生日時や被害状況、発電設備の仕様、事故原因などの情報を入力し、報告ファイルを作成していく流れです。

詳報作成支援システムで報告内容を作成すると、PDFファイルが出力されます。あとは、XMLファイルで保存したのち、メールなどでPDFファイルとXMLファイルを産業保安監督部へ提出します。

事故によって稼働が止まった太陽光発電所はどうする?

事故報告制度の内容を理解したあとは、事故発生時の太陽光発電所をどのように処理すべきか、という点について確認していきましょう。

販売施工業者へ連絡し速やかに二次被害を防ぐ対策を講じる

太陽光発電所が破損した場合は、まず販売施工業者へ連絡し、応急対応について確認しましょう。

絶縁手袋など感電対策をとれる状況であれば、感電や火災といった二次被害を防ぐために電流を遮断させたり、太陽光パネルにブルーシートをかけたりして発電しない対策を施します。

ただし出力50kW以上の太陽光発電所は、電気主任技術者でなければ操作管理できません。また、安全対策を施せない時は設備に近づかないでください。

設備の修理が難しい時は撤去作業もしくは建て直しを進めていく

設備の修理が難しい場合は、専門業者による解体・撤去を進めてもらい、新規で設備を設置という方法も考えられます。

たとえば、設備全体が水没している場合は、全設備・部材の破損や錆といった問題もあるため、新たに設備を設置しなければ再開するのは難しいといえます。

一方、太陽光パネルのみ破損しているようであれば、交換と設備全体のメンテナンス、安全性のチェックを進めてもらったのち、再稼働できる可能性があります。

このように、設備の損壊や水没といったケースでは、設備の改修作業や撤去および新設が必要です。

復旧後に運用が難しい時は売却を検討するべき

破損事故以外の事故で運用管理が難しい状況に陥った場合は、セカンダリー市場への売却も検討に入れたほうがいいかもしれません。

感電や火災による作業員の死傷事故で維持管理が難しい場合や、敷地外への設備飛散による賠償責任により損害を被った時は、コストや人的リソース、その他理由から運用を継続できないケースも出てきます。

撤去という選択肢もありますが、解体・撤去に伴う費用負担が発生します。

一方、セカンダリー市場へ売却すれば、数100万円や数1,000万円以上の売却益を得られることがあります。設備の洗浄やメンテナンスにより設備状態を改善できれば、売却額をさらに高く設定することも可能です。

太陽光発電の事故報告制度で運用が難しい時は売却を視野に入れるべき

2021年4月に法改正された事故報告制度は、出力10kW以上50kW未満の低圧太陽光発電も対象設備として定められました。そのため、小規模な太陽光発電を運用している個人や法人は、事故発生時に管轄の産業保安監督部へ事故内容を報告する必要があります。

太陽光発電の事故で運用管理が難しい状況の時や事故報告制度の範囲拡大で太陽光発電を手放したい時は、今回の記事を参考にしながら太陽光発電の売却を検討してみてはいかがでしょうか。

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取り扱っている設備は、メガソーラーといったタイプだけでなく、出力100kW台の中規模や10kW台の小規模太陽光発電まで含まれています。そのため、低圧太陽光発電を所有している方も気軽に売却へ向けた相談を進められます。

少しでも売却に興味をお持ちの方は、ぜひこの機会にご相談ください。

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