企業に求められる役割や責任は時代と共に変化しています。2023年時点では、環境保護や人権意識向上といった社会貢献に関する活動についても求められている状況です。CSRは、このような社会的責任についてまとめられたもので、多くの企業が導入および内外に示しています。
そこで今回は、CSRとはどのような内容なのか、何をすべきなのかといった点について詳しくご紹介します。CSR活動について強い関心を持っている方や自社の成長に必要な取り組みを調べている方などは、参考にしてみてください。
CSRとは何?
CSR(Corporate Social Responsibility)とは、企業が果たすべき社会的責任のことです。企業は利益を追求するだけでなく、自社の従業員や取引先、投資家、消費者に対してさまざまな活動を行い、社会貢献を進めていく必要があります。
CSRの具体的な活動内容や方針は、企業の抱える課題や業種によって異なります。そのため、経営者や従業員で独自に検討していくのが基本です。なお、日本だけでなく世界中の企業がCSR活動を進めています。
CSR活動が求められている経緯
CSRがなぜ必要とされているのか、その歴史から確認していきましょう。
1950年代から国内で議論されてきたテーマ
日本の場合は、結果的にCSR活動へ注力しなければいけない状況に置かれ、環境や社会・人権といった問題意識の向上につながった経緯があります。
国内でCSRの議論が活発化し始めたのは1950年代です。
当時の日本では、「企業の社会的責任=利益追求と納税」が風潮で、人権や環境、社会に対する配慮は後回しの傾向がありました。しかし利益追求の姿勢が強すぎたため、1970年代にかけて公害問題が起こり、住民運動にまで発展します。また、石油ショックによって企業の利益優先という姿勢が批判されたことから、CSR活動に取り組む企業が出てきました。
バブル経済の80年代に入ると、長時間労働や男女の不平等などに関する社会問題も取り上げられるようになり、人権意識や社会の在り方について企業も少しずつ対応し始めます。
1999年には日本初の環境関連ファンド「エコファンド」が誕生。国内外で環境や社会問題に対する意識も向上しました。
このように、社会や時代の変化によって、日本の企業はCSR活動をしなければいけない状況へと変化したのです。
欧米でもさまざまな問題解決のためにCSRが重要視されている
欧米の場合は、経営課題の一環として、企業の果たすべき社会的責任に関する議論が1920年代から行われています。
とくにアメリカでは、第一次世界大戦によって発展した重工業の輸出産業、戦争から戻ってきた兵士たちの消費活動などによって経済が成長し、企業の社会的責任や環境問題に対しても注目されるようになりました。
1970年代に入るとテレビなどのメディアが発達し、人種差別問題などさまざまな問題に関心が集まります。ボランティアや寄付といった活動が根付いていることもあり、企業のCSR活動も広まっている状況です。
一方、ヨーロッパの場合は、EU主体でCSR活動の推進や枠組みの策定を進めています。
たとえば2000年のリスボン会議では、CSR活動に関する目標達成を掲げました。さらに2008年のリーマンショック後、EUは10ヵ年経済成長戦略という新たな目標を掲げ、より具体的なCSR活動の内容や方針を定めています。
CSRを自社に取り入れるメリット
CSRの歴史や意味を把握したあとは、CSR活動を始めることの具体的なメリットについて確認していきましょう。
自社のイメージ向上
CSR活動を進めて消費者へアピールすることは、企業価値の向上につながります。
日本では、2050年のカーボンニュートラル達成という目標を掲げ、企業や個人に対して脱炭素に関する情報の共有や脱炭素経営の推進に向けた支援制度を構築しています。
そのため、消費者の中には環境や人権などに対して関心を持つ方もいます。そこでCSR活動を始めれば、自社製品に対するイメージと売上のアップにつながる可能性がありますし、ブランド力の向上といったメリットにもつながるでしょう。
取引先との関係性強化
前段で紹介したように、CSR活動は消費者からのイメージアップや売上向上といったメリットにつながります。すると株主からの信頼性も高まることから、事業の成長にとってプラスといえるでしょう。
また取引先は、このような動きを見て今後も関係を続けていくべき企業と認識するかもしれません。つまり、ステークホルダーとの関係性強化に力を入れていくには、業績だけでなくCSR活動も重要なポイントになるということです。
社会貢献活動による社員のモチベーションアップ
CSR活動は従業員のモチベーションアップにつながるので、自社の環境を改善していきたい事業者にもメリットの多い取り組みです。
環境保護活動などに取り組むと、従業員は社会貢献につながる活動に参加しているという意識を持ちます。これにより、日々の仕事に対する意欲が上がる可能性があり、しいては生産性の向上や改善といったメリットを得られるかもしれません。
また、従業員の離職率低下につながることも考えらえるため、事業の安定性を高める上でも重要な活動といえるでしょう。
CSRを自社に取り入れるデメリット
ここからは、CSR活動のデメリットについて紹介していきます。
CSR活動に対する予算を確保しなければいけない
CSRを始めるには、予算を新たに確保しなければいけません。
短期的に見ると、CSRは利益に直結しない活動なので自社の利益減少や従業員への負担増加につながります。本業に取り掛かっている人員をCSR活動へ回さなければいけないため、生産性の低下というリスクも発生します。
そのため、人員や時間、費用に関して余裕のない企業や創業から間もない企業は、慎重に考える必要があるでしょう。
社内で社員教育などの準備も必要
社内で社員教育を実施しなければいけないなど、事前にさまざまな準備を行う必要もあります。これにより、自社のリソース不足といったデメリットにつながる可能性があります。
たとえば、人権意識の向上や職場環境の改善といった活動を行う場合、健康増進や社内での嫌がらせ、差別問題の解決などに向けた議論や社内研修を実施します。また環境保護活動を始めるには、予算の他にも具体的にどのような保護を行うのか決めなければいけません。
CSRとひと言で表しても、実現には従業員の意識改革や細かな計画の策定など、さまざまな準備が必要です。
CSR活動を始める時は、現時点のリソースを確認した上でどのような取り組みを始めるべきか、計画書の作成から進めていきましょう。
取り組み内容が幅広い
企業によって達成すべきCSRは異なります。そのため、初めて取り組む企業にとっては何から着手すべきかわかりにくく、複雑な内容といえます。
これからCSRを始めるなら、一般的なジャンルを把握した上で、自社の現状と照らし合わせながら検討していきましょう。
CSRに関する一般的なジャンルは以下のとおりです。
- 組織の適切な意思決定
- 人権問題の解決や改善
- 環境の保護活動
- 労働環境の改善や悪化防止
- 消費者保護
- 法律に沿った事業(健全な事業の実施)
地域社会への貢献活動を行いたい時では、周辺地域の清掃や地域行事への参加、サポートなどといった取り組みも検討できます。
他にも環境保護活動に力を入れたいなら、植林活動や自社の敷地の緑化、環境に配慮した製品の開発など、さまざまな形で実現することが可能です。
CSR活動の流れ
CSR活動を始めるためには、はじめに、自社で取り組んでいく内容を策定しましょう。
前段でも紹介した7つのジャンルは、活動内容を決めていく上でわかりやすく活用しやすいといえます。国際規格ISO26000には、CSRに関するジャンルや原則などが記載されています。
活動内容やルールを決める時は、国際規格ISO26000を基準にするとよいでしょう。
活動内容を決めたあとは、以下の流れで組織体制を構築していきます。
- 各部署からCSR担当部門の人員を選定
- CSR対象のステークホルダーと活動内容の情報共有
- 計画に基づいて活動を開始
- CSRの活動報告書の作成
- 分析と改善
ステークホルダーとは、従業員や消費者、株主、取引先、地域住民のことです。ステークホルダーごとに必要とされるCSR活動は異なるので、計画の段階で対象とするCSRと活動内容にずれがないか確認しておくのも大切です。
CSRの活動を始めたら、自社のWebサイトで活動内容の詳細や効果を逐次公開し、積極的にアピールしていきましょう。
そして活動内容に関する分析や改善については、東京商工会議所で提供されている企業行動規範対応チェックシートなどで、CSR活動にミスや未達成の部分がないか確認できます。
CSR活動の例
大手自動車メーカーのトヨタでは、豊かな社会の実現と持続的な発展という目標を掲げ、人材育成と社会貢献活動に力を入れています。
たとえば、障害を持つ方や高齢の方、子どもも安心して移動可能な社会を作り上げるという目標の下、移動型バリアフリートイレの開発や交通安全教育といった活動を行っています。
地域共創というテーマでは、トヨタの持つ技術を活用して車両の貸し出しや災害ボランティアコーディネーターの育成、車中泊避難の支援活動などを進めている状況です。
このように、1種類だけでなく複数のテーマを掲げ、自社の技術やノウハウを活用しながら支援を行うことが、CSR活動を発展させていくポイントといえます。
CSRにおすすめの活動は自家消費型太陽光発電
CSR活動の内容に悩んでいる時は、全量自家消費型太陽光発電で環境保護活動を検討してみてはいかがでしょうか。
全量自家消費型太陽光発電は、CSR活動に役立つだけでなく、自社のコスト削減という点でもメリットの多い設備です。最後は、全量自家消費型太陽光発電とCSRにおけるメリットを紹介していきます。
脱炭素につながりイメージアップ
全量自家消費型太陽光発電は、CSR活動および脱炭素経営につながります。
近年、企業は、CSR活動による社会貢献活動だけでなく、環境保護の観点から脱炭素経営についても求められている状況です。脱炭素経営とは、二酸化炭素の排出量削減につながる経営のことで、国内でも多くの企業が取り入れています。
太陽光発電は、火力発電と異なり発電時に二酸化炭素を排出しません。そのため、次世代のエネルギーとして期待されています。
自社の電気料金を大幅に削減可能
自社の電気料金を大幅に削減できるのは、太陽光発電ならではの強みといえます。
電気料金は2022年に高騰し、2023年も引き続き値上がりしていく見込みです。節電活動や省エネ機器への切り替えは、一定の電気料金削減効果を期待できるものの、限界があります。
全量自家消費型太陽光発電なら、電気料金を10~30%程度まで削減することが期待できます。また太陽光パネルの設置枚数を増やせば、その分、電気料金削減額を伸ばすことが可能です。
さらに、太陽光発電による自家消費は電力会社から買電する場合と異なり、再エネ賦課金や燃料費調整額の負担も減らすことができます。
CSR活動ですぐに経済的メリットを得たい時は、太陽光発電を検討してみてはいかがでしょうか。
太陽光発電を活用した事業展開も可能
全量自家消費型太陽光発電を導入した場合、将来的にさまざまな事業へ展開することも可能です。
たとえば、小売電気事業者として太陽光発電の電気を売電できますし、再エネ電力証書を発行および販売することで収益を得られます。
太陽光発電には将来性があるので、これからCSR活動を始める方や太陽光発電に関心を持っている方にもメリットの多い設備です。
CSRとは社会や人権保護に関する活動のこと!
CSR(Corporate Social Responsibility)は、企業の果たすべき社会的責任を指す専門用語で、国内の企業にも求められています。ただしCSRを始めるためには、専門部署の立ち上げや人員の確保など多くのコストとリソースを必要とします。
CSR活動の準備を始めている方やCSRを始めたいもののコスト面からあきらめている方は、今回の記事を参考にしながら全量自家消費型太陽光発電を検討してみてはいかがでしょうか?
和上ホールディングスでは、全量自家消費型太陽光発電のプラン作成とご提案、施工から保守運用まで一括サポートしています。
そのため、他のCSR活動と異なり手間をかけることなく準備から運用まで進められます。また、短期的に見てもカーボンオフセットによる収益、電気料金削減による固定費負担の軽減といったメリットを得られるのが強みです。
敷地内への設置だけでなく遠方の土地から送電していく自己託送方式、初期費用0円のPPAなど、お客様の状況に合わせたプランをご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。