太陽光発電の事故事例と対策について解説!安全性に関するメリットとデメリットも

太陽光発電の事故事例と対策について解説!安全性に関するメリットとデメリットも

太陽光発電事業において、事故対策やシミュレーションは、リスクを軽減させる上でも重要な取り組みです。しかし、どのような事故が起こる可能性があるのかわからない方も多いかと思います。

そこで今回は、太陽光発電の事故事例や対策方法について詳しく解説します。太陽光発電事業のリスク管理について知りたい方や、太陽光発電の導入を決めた方などは参考にしてみてください。

太陽光発電の事故件数

経済産業省が公開している「令和3年度における再エネ設備に係る事故発生状況について」によると、2021年度に起こった太陽光発電の事故件数は435件でした。

その内訳は、10~50kW未満の小出力発電設備に分類される太陽光発電で178件、事業用電気工作物に区分される設備で257件です。

事故の大半は、太陽光発電設備の保守・設備に関する不備が原因とされています。特に小出力発電設備においては、約96%を占めていました。保守設備の不備以外では、積雪荷重や大雨による土砂流出などといった災害で破損しています。

出典:経済産業省ウェブサイト

太陽光発電の事故事例5つ

太陽光発電の事故リスクに対して適切な対処を進めていくには、過去の事例から学んでいく必要があります。続いては、太陽光発電の事故事例を5つ紹介します。

土砂崩れによる崩落

経済産業省の資料「今夏の太陽電池発電設備の事故の特徴について」によると、兵庫県姫路市に設置されていた太陽光発電所は、平成30年(2018年)7月に豪雨を原因とした土砂崩れに巻き込まれて地盤ごと崩壊しました。また、設置されていた太陽光パネル3,543枚のうち1,344枚が、さらにパワーコンディショナも70台中60台が破損しました。

姫路市の平均降水量は、7月の1ヵ月間で167mmです。しかし平成30年7月の豪雨の際は、わずか2日間で212mmという平均降水量を超える状況でした。

そのため、太陽光発電所の設置前に排水施設をはじめとした災害対策を講じていたものの、法面(のりめん:盛土などの人工的な斜面)に雨水が入ってしまったことで、地盤の崩落を招きました。

土砂流出による設備損壊を避けるには、土地選定の段階でハザードマップなどを用いながら、災害リスクの低い場所を確認しておきましょう。

出典:経済産業省ウェブサイト

台風によってパネルが引きちぎられ火災事故に発展

経済産業省の資料「今夏の太陽電池発電設備の事故の特徴について」によると、⼤阪府⼤阪市で稼働していた出力6,500kWの太陽光発電所は、平成30年に発生した台⾵21号の強風によって太陽光パネルの損傷や発火といった被害を受けました。

太陽光パネル28,160枚のうち13,780枚は、割れたり飛散したりしたほか、取付金具なども近隣の建物に飛散していました。そのため、被害が広範囲に及んだケースと言えます。

事故の原因は、設計上の計算を上回る強風です。

同設備は、最⼤⾵速34m/sまで耐えられる仕様でした。しかし、実際は34m/sを大幅に超えため、架台ごと破損する結果となりました。

強風の多い地域で運用する場合は、耐風圧性能の高いパネルを設置したり、強度の高い架台を活用したりするのが大切です。

出典:経済産業省ウェブサイト

台風によってパネル表面のガラスが割れる

⼤阪府⼤阪市に設置されていた出力9,990kWの太陽光発電所も、前段と同じく平成30年に発生した台⾵21号によって破損しました。

太陽光パネルのパネル表面にあるガラスが、飛来物や強風による風圧で36,480枚のうち13,413枚も割れてしまったとのことです。

このように、太陽光パネルが飛散しなくとも、飛来物や風圧でパネル表面の破損を招くケースもあるので、耐荷重性能の高いパネル設置といった対策も重要になります。

出典:経済産業省ウェブサイト

水上設置型太陽光発電のパネルがめくれ上がる

平成30年に発生した台⾵21号は、⼤阪府⼤阪狭⼭市に設置された出力1,990kWの水上設置型太陽光発電にも被害を与えました。

台風による強風が、水上設置型太陽光発電のアンカーやフロート(太陽光パネルを固定するための架台)に使用されているボルトを破損させ、パネルの飛散や故障につながりました。アンカーやフロートの強度不足、耐風圧性能を超える暴風の発生、暴風による水流など複数の原因が重なり、破損したとみられています。

水上設置型太陽光発電を検討する際は、設置予定場所の災害リスクについて確認するほか、耐風圧・防水性能の高い部品や機器の導入といった対策も欠かせません。

出典:経済産業省ウェブサイト

施工不良による火災事故

太陽光発電設備は、浸水や施工不良などによって発火する場合があります。

消防庁の「太陽光発電設備の火災事故事例」によると、以下のような原因で火災事故につながったケースもあります。

  • 小動物が配線をかじってしまい漏電し、さらにスパークした瞬間に落ち葉へ着火
  • 接続箱のねじ締め付け不足で抵抗値が増加し、同製品の発熱を招く
  • パワーコンディショナの端子台にあるねじの締め付け不足で抵抗の増加および発火
  • 塩害でパワーコンディショナに穴が開いてしまい、浸水および発火
  • 津波や落雷による発火
  • 施工不良により昇圧ユニットから発火

また、小動物がパワーコンディショナ内に侵入してしまい、ショートする事例もあります。

このように太陽光発電所は、自然災害を原因とした火災事故だけでなく、小動物の侵入や被害、施工不良でも発火するリスクがあるため、設置後のスピーディなアフターフォローや定期点検・遠隔監視サービスの利用も大切です。

出典:消防庁ホームページ

太陽光発電は事故報告の対象

太陽光発電所を運用する上で、事故対策だけでなく事故発生後の報告義務についても準備しておく必要があります。

ここからは、事故報告に関する制度の概要や報告の流れについて解説します。

事故報告の対象は4項目

事故報告制度とは、事故発生時に管轄の産業保安監督部に報告することを義務付けた制度です。

事故報告の対象とされる項目は、以下の4つです。

  • 感電事故によって死亡、入院した場合
  • 太陽光パネルなどの設備が原因で生じた火災事故(電気火災事故)
  • 太陽光パネルなどの損壊で他社へ損害を与えてしまった
  • 設備の破損で運転が停止

太陽光発電の場合は、2021年4月1日の法改正によって、出力10kW以上50kW未満の設備も事故報告の対象となりました。

報告は速報と詳細の2回に分けて行なう

事故報告のタイミングは、2回に分かれています。

1回目の報告(速報)では、事故を把握した段階から24時間以内に、概要を電話やFAX、メールといったいずれかの方法で、管轄の産業保安監督部へ伝えなければいけません。

また2回目の報告(詳細)では、事故を把握した時から30日以内に、NITE(製品評価技術基盤機構)が運用している詳細作成支援システムを用いて、事故原因から被害の状況などを管轄の産業保安監督部へ伝えます。

資料を提出しなかったり報告しなかったりした場合は、30万円以下の罰金が課せられる可能性があります。

太陽光発電の安全対策で重要なポイント

太陽光発電所は、さまざまな原因で太陽光パネルやパワーコンディショナ、部品の損壊、火災や故障が発生してしまう可能性のある設備です。

そのため、設備所有者・企業は、安全対策のポイントについても確認しておきましょう。

定期メンテナンスの実施

太陽光発電所の経年劣化や小さな異常を早期発見するためには、定期メンテナンスを実施する必要があります。

電圧低下や抵抗値の増加、配線や基盤内部の劣化などは、目視ではわからない変化です。また、専門業者でなければ電気点検や機械点検もできないため、太陽光発電の施工業者や保守点検専門のO&M業者と点検サービスの契約を交わすのが大切です。

防災・防犯対策を欠かさない

太陽光発電所の事故原因は、経年劣化だけではありません。

配線ケーブルや太陽光パネルの盗難、第三者による設備の損壊といった犯罪被害や、大雨や台風といった自然災害による損壊リスクも起こり得ます。

そのため、防犯カメラの設置や防犯・害獣対策用の柵で設備を守ったり、排水設備や補強工事で地震や台風に備えたりしておけば、被害の軽減を図ることが可能です。

急な異変に対応できるよう遠隔監視を行なう

事故による被害を少しでも抑えるには、早めの対処が肝心です。

太陽光発電関連の機器として、遠隔監視用のシステムが製造販売されています。遠隔監視とは、太陽光発電所の電圧や電流・抵抗値、発電量といった数値のほか、パワーコンディショナのエラーなどさまざまな情報をリアルタイムで監視・通知してくれるシステムのことです。

中でもパワーコンディショナからデータを取得するタイプは、CT(電流トランス)センサータイプと異なり、電流値だけでなく制御率や発電量、設備全体の異常まで監視してくれます。

太陽光発電の保守管理はO&Mで対応

太陽光発電所の保守管理、防犯・害獣対策などを進めていきたい時は、O&Mサービスへ依頼するのがおすすめです。

最後は、O&Mサービスならではの特長や利用メリットを紹介します。

遠隔監視で24時間管理してもらえる

O&Mサービスを利用した場合、遠隔監視で24時間太陽光発電所を監視してもらえます。

遠隔監視システムやカメラなどの購入費用は不要なので、コスト面でも大きなメリットがあります。また、O&Mサービスのスタッフが設備状況を確認し、発電量などを連絡してくれるので、自社による監視をしなくとも設備の状態を把握できます。

緊急時に駆けつけて点検修理

万が一、太陽光発電所の発電量が低下したり事故で故障したりした場合は、早期に駆けつけて点検や修理交換作業を行なってもらえるのも強みです。

また、異常発生時に自社で対応せずに済むのは、O&Mサービスを利用する主なメリットでもあります。

太陽光発電所は、経年劣化や小動物による破損、落雷による稼働停止といったリスクもあるので、なるべく早めに復旧できる体制を整えることが大切です。

O&Mサービスは遠隔監視で太陽光発電所を管理しているので、パワーコンディショナのエラーや発電量の低下などもリアルタイムで把握しています。そのため、迅速に異常を確認できるだけでなく、24時間いつでも太陽光発電所へ駆けつけてくれます。

定期点検サービスで劣化や破損を早期に発見

O&Mサービスには定期点検に関するプランも組み込まれており、都度点検を依頼せずに済みます。また点検内容が豊富なので、太陽光パネルだけでなくパワーコンディショナや架台、配線、接続箱などあらゆる機器や部品の状態をチェックしてもらえます。

例えば、ネジの緩みや部品の摩耗・腐食、太陽光パネルや配線などの破損といった機械点検のほか、電圧・電流の点検をはじめとした電気点検が、定期点検の一般的な内容です。

さらに、敷地内の清掃や除草作業なども行なってもらえるため、自社の業務負担を軽減することが可能です。

災害対策や復旧作業にも対応している場合も

O&Mサービスによっては、災害対策や事故・災害発生後の復旧作業を含めて総合的にサポートしている場合もあります。

例えば、弊社とくとくサービスでは、パネルの飛散を抑えるための対策や、火災・水害対策などといった点も重視しています。また、万が一災害によって太陽光発電所が破損した場合、太陽光パネルや架台などの撤去から新しい設備の搬入と組み立て・復旧作業まで対応します。

日本は災害の多い環境なので、災害対策だけでなく災害発生後の迅速な復旧対応も欠かせません。O&Mサービスを調べる際は、災害対策に対応しているかどうか確認しましょう。

太陽光発電の事故事例から安全対策を講じてみよう

太陽光発電の事故事例を見てみると、強風によるパネルや部品の飛散、パネル表面の破損、土砂流出による地盤を含めた崩落など、さまざまな原因で損壊していることがわかります。

太陽光発電所の運用を始める企業は、今回の記事を参考にしながら事故への対策を進めたりO&Mサービスの利用を検討したりしてみてはいかがでしょうか。

とくとくサービスは太陽光発電専門のO&Mサービスで、月額4,166円から遠隔監視のほか、緊急時の駆けつけサービス、定期点検、災害対策・復旧作業まで総合的にサポートしています。まずは、お電話やメールでお気軽にご相談ください。

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