今や誰もが他人事ではない太陽光パネルの地震被害と有効な対策

今や誰もが他人事ではない太陽光パネルの地震被害と有効な対策

災害時に停電が起きても、自立運転モードで電力を使用できるなど「災害に強い」というイメージがある太陽光発電ですが、近年では地震による被害で太陽光パネルやそれを設置している家屋の倒壊などによりダメージを受けてしまい、災害時に強みを発揮できない事例が起きています。

しかも、太陽光パネルは日光が当たると発電をしてしまうため、発電施設がダメージを受けてしまうと漏電や感電の事故につながるという指摘もあり、地震対策は太陽光発電の重要項目になりつつあります。

地震が発生すると太陽光パネルや太陽光発電施設にはどんなリスクが考えられるのか、そのための有効な対策とは?

太陽光パネルで知っておくべき地震リスク

太陽光パネルを設置し、発電施設を運用している人が知っておくべき地震発生時のリスクについて解説します。まずは、「こういうことが起こり得る」という認識を持っておきましょう。

発電不能リスク

地震によって太陽光パネルを設置している架台から落ちたり、架台そのものが崩壊してしまうと、通常どおりの発電はできなくなります。状況によっては発電はしているもののケーブル類の接続が切れてしまい、送電ができなくなることもあります。

また、架台がダメージを受けることで太陽光パネルの向きが変わってしまい、それによって発電量が著しく低下したり、発電をほとんどしなくなるといった被害事例もあります。

感電リスク

太陽光パネルは無事なのに、架台やケーブルなどが地震によってダメージを受けてしまうといったケースもあります。太陽光パネルは強化ガラスで覆われているため、実は太陽光発電システムのなかでは最も頑丈なパーツです。それだけに太陽光パネル以外の部分がダメージを受けてしまうといった被害事例は多くあります。

この場合に危惧されるのが、感電リスクです。太陽光パネルが無事だと発電はいつもどおりに続いている可能性があり、行き場を失った電気がケーブルの断裂部分やむき出しになった送電部分などから出てきてしまうことがあります。

この場合、うかつにケーブルの断裂部分などを触ってしまうと感電する恐れがあります。感電は重大な事故につながりやすいため、ダメージを受けた太陽光パネルや関連パーツをうかつに触ってはいけません。

漏電リスク

上記のように太陽光パネルでは発電が続いているのに他のパーツが破損してしまったという場合、被災した現場に水があると漏電のリスクがあります。

地震によってダムが破損したりその可能性が高まると緊急的は放水をすることで洪水が発生することがあります。こうしたケースでは太陽光発電所が水につかってしまい、うかつにその水に入ることで漏電による感電の恐れがあります。

これも人命にかかわる重大なリスクなので、太陽光発電所の運営をしている人は留意しておくべきでしょう。

発熱、発火リスク

これも太陽光パネルが無事で他のパーツにダメージが及んでいる場合に考えられるリスクです。発電が続いていることで太陽光パネルからは電力が送られてくるものの、ケーブルやパワーコンディショナーなどがショートを起こしているとその部分が発熱します。

最悪の場合はそこから発火して火災に発展するリスクがあるので、これも重大なリスクとして留意しておく必要があります。

令和6年能登半島地震で太陽光発電はどうなった?

当記事は2024年8月に執筆していますが、この時点で記憶に新しい災害に「令和6年能登半島地震」があります。元日に起きた大地震ということで、被災地はもちろんのこと、日本全国に衝撃が走りました。

被災地である能登半島では、初期段階で少なくとも19か所で被害が発生したとのことです。地域柄、太陽光発電所が多いこともあって、地震による被害も顕著になりやすかったものと思われます。

石川県穴水町では太陽光パネルが設置されていた斜面そのものが崩落したため、そこに設置されていた太陽光パネルが住宅街に流れ込む状況になりました。幸い住宅に被害は及びませんでしたが、地盤ごと流れ込んできた土砂や太陽光パネルが道路をふさぎ、地震発生の翌月である2月まで通行止めとなりました。

これ以外には同じく能登半島の珠洲市で発生した被害事例があります。珠洲市宝立町にあるスーパーマーケットの屋根には200平方メートルほどの太陽光パネルが設置されていましたが、スーパーマーケットが入っていた建物が倒壊したため、太陽光パネルも一緒に倒壊しました。この場合は建物という太陽光パネルの基礎部分が倒壊したため、太陽光パネル自体にはあまり被害が及ばず、このことが感電や漏電などのリスクを高めることとなりました。

これらは被害事例の一部ですが、太陽光パネルを設置している地震発生時にこうしたリスクが顕在化することが改めて示されたといえるでしょう。二次的な災害を防ぎ、太陽光発電が本来有している強みを発揮できるようにするための対策が求められます。

今すぐできる、太陽光パネルの安全度チェック

地震発生時のリスクは、事前の対策で防ぐことができます。そこで、すでに太陽光パネルを設置・運営している人、もしくはこれから太陽光発電の導入を検討している人に向けて、安全度チェックとして留意するべきポイントを4つの項目で解説します。

地震に強い架台を使用しているか

架台は太陽光パネルを支える基幹的なパーツです。この架台は強度別にグレードが分かれており、国の基準では「等級1」と表記されているものが最も強いグレードです。太陽光パネルの強度に関する基準を定めている国土交通省の定義によると、「等級1」は「500年に一度程度の発生する暴風による力に対して倒壊崩壊せず、50年に一度発生する暴風による力に対しても損傷を生じない程度」となっています。

一般的に大きな地震があると「100年に一度」という表現をよく目にします。この国土交通省による「等級1」の定義はそのさらに5倍である500年に一度を想定しているので、地震による被害を回避するには理想的な強度といえるでしょう。

高水位時にも安全を保てる高さか

地震が発生すると津波や洪水のリスクがあります。太陽光パネル自体は雨水にさらされる環境を前提に作られていることもあって水に強い構造になっていますが、水につかってしまうと故障の原因になるため、そのリスクを想定した高さを確保することが有効な対策になります。

ちなみに、野立て(地面に架台を設置して太陽光パネルを設置する方式)の場合は理想的な高さが地面から60センチメートル程度といわれています。これによって太陽光パネルと地面の間に草刈り機を入れやすくなるため除草をしやすくなりますし、仮に雑草が伸びたとしても太陽光パネルの高さまでは到達せず日光を遮りにくくなるといったメリットもあります。また、夏の暑い日には地面からの照り返しが太陽光パネルの温度を高くしてしまう問題がありますが、地面から一定の高さを持たせることでこうした問題も解消しやすくなります。

施工業者の目線だと、地面から一定の高さを確保することで施工やメンテナンスをしやすくなるため、コスト面でもメリットがあります。

被災時の耐久性

近年では太陽光発電施設を設計する際に、災害による影響を考慮するケースが増えています。日本全国では依然として自然災害が頻発していることを考えると自然の流れといえますが、特にこれから太陽光発電システムの導入を検討しているのであれば、災害発生時の耐久性について施工店と十分なコミュニケーションをとることをおすすめします。

耐久性を高めると、当然ながら設置コストも高くなります。しかし設置コストを抑えすぎたことによって災害時に重大なダメージを受けてしまっては元も子もありません。耐久性はコストパフォーマンスをしっかりと検討する必要があるため、災害時の耐久性に関する十分なノウハウを有している施工店に依頼することもリスク管理上重要です。

ハザードマップによる災害リスクの有無

災害発生のリスクはある程度予測ができるため、自治体がハザードマップを発行しています。これを見ることでさまざまな災害のリスクを事前に知ることができるため、ハザードマップを活用したリスク管理も有効な対策です。

場所によってはハザードマップによって、太陽光発電には不向きな場所であるという結論になることもあるでしょう。事前に重大な事態を回避できたと考えると、ハザードマップの活用はきわめて有益です。

有効な対策をすれば太陽光発電もっと災害に強くなる

太陽光発電は「災害に強い」ことが大きなメリットとして注目されてきました。特にそのことは東日本大震災の被災地において停電が続いているのに太陽光発電で家電が使えたという話が多く聞かれ、自宅に発電設備を持っておくことがリスクヘッジになるとして導入が進んだ経緯があります。

しかし、いざ地震が起きたときに肝心の太陽光発電設備がダメージを受けてしまい、発電ができなくなるばかりか感電や火災のリスクまであるというのは、とても残念なことです。

「災害に強い」というメリットをしっかりと発揮し、考えられるリスクを解消するための方法について解説します。

地震に強い架台を選ぶ

先ほども解説したように、地震に強い架台を選ぶことは有効な地震対策になります。「等級1」が最も頑丈なので理想的ではありますが、等級が高くなるほどコストも高くなります。太陽光パネルを設置する場所のハザードマップなどをチェックして、コストパフォーマンに最も優れた等級の架台を選ぶのがよいでしょう。

建物の制震・免振性能を高める

令和6年能登半島地震では、太陽光パネルを設置していたスーパーマーケットの建物が倒壊し、屋根の上にあった太陽光パネルも甚大な被害を受けました。建物が倒壊したり傾いたりしてしまうと太陽光発電どころではありませんし、逆に太陽光パネルがあることがあだになってしまう可能性もあるため、太陽光パネルを設置することを想定しているのであれば建物の強度や制震・免振性能にも着目しましょう。

いわゆる後付けといって既存の建物に太陽光パネルを設置する場合は、建物の強度を損ねない範囲での設置プランである必要があります。そうではなく建物の設計段階から太陽光パネルの設置を前提としているのであれば、設置を予定している太陽光パネルが屋根の上にあっても十分な耐震性を確保できる建物の設計であることが求められます。

何度か述べているように、太陽光パネル自体は頑丈なパーツです。それ以外のところで重大なダメージが発生することで発電ができなくなることが最も避けるべきパターンなので、「太陽光パネルが設置される建物」にふさわしい性能を考慮しましょう。

高水位時にも耐えられる高さを確保する

野立て太陽光発電の場合は、地面からの高さにも十分な配慮が必要です。先ほど60センチメートルが理想であると述べました。これは災害への対策だけでなくメンテナンス性やコスト優位性などの面からもメリットが大きいので、60センチメートルを目安に太陽光パネルの設置プランを検討してください。

日本は災害と切っても切れない国という前提に立つ

自然災害は「まさか」の事態です。特に100年に一度といわれるような大地震はそう頻繁に起きるわけではありませんが、実際には100年に一度と呼ばれるような地震が数十年のうちに何度も起きています。

他の自然災害と比べて、地震は余地が難しい点が厄介です。いつ、どこで、どの程度の地震が起きるか分からない、起きてもおかしくないという前提に立って太陽光発電設備を設置することがきわめて重要です。

また、物理的な被害を回避するため対策だけでなく、それでも防ぎきれないような被害が現実になった際に備えて保険に入っておくこともおすすめします。

まとめ

太陽光発電が「災害に強い」というのは、これからも揺るぎのない事実です。その太陽光発電が災害でダウンしてしまっては意味がありませんし、そこから二次的な被害が発生してしまうのはもったいないだけでなく、残念なことです。

これからも太陽光発電が災害時に活躍できるよう、地震に強い立地選びやシステム設計など当記事で解説した情報に基づいてしっかり備えをしておきましょう。備えあれば患いなし、「しっかり備えている」という実感を持つことは、平時の安心感やストレス軽減にもつながります。

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