家庭用蓄電池の導入を、省エネ対策や停電時などの防災用品として、あるいは太陽光発電システムと併用するため、検討されている方は多くいらっしゃるでしょう。
自宅でエネルギーを確保する鍵となる蓄電池。今回はおすすめメーカー品や価格のメリット・デメリットをはじめ、注意点、寿命や容量、選び方について解説します。
家庭用蓄電池の導入について検討中で節約や環境への貢献を考える方にとって必ずお役に立てる記事です。
家庭用蓄電池を設置するリフォームのポイント
まずは、家庭用蓄電池を設置するリフォームのポイントについて、簡単に確認しておきましょう。
家庭用蓄電池を設置する際の価格相場は?
家庭用蓄電池の価格相場は、様々な要素によって異なります。以下に一般的な価格の目安を示しますが、実際の価格はブランド、容量、機能、インストールの複雑さなどによって変動します。
小規模な蓄電池システム(容量数キロワット時)の場合、約30万円から70万円程度が一般的な価格帯です。
中規模な蓄電池システム(容量数十キロワット時)では、100万円から200万円以上が予想されます。
大規模な蓄電池システム(容量数百キロワット時以上)では、数百万円以上の投資が必要となる場合もあります。
ただし、これらはあくまで一般的な価格の目安であり、実際の価格は市場の競争や需要と供給のバランス、地域による補助金や税制優遇措置などの影響を受けます。
注目すべきは、家庭用蓄電池の価格は近年下がってきていること。技術の進歩や需要の増加に伴うことが理由の一つですが、さらに改善されることが期待されている点です。
複数のメーカーや販売業者から見積もりを取り寄せ、価格と性能を比較することで、自身の予算やニーズに合った蓄電池システムを選ぶことが重要です。
家庭用蓄電池の選び方は?寿命はどのくらい?
家庭用蓄電池で特に人気があるのは、蓄電容量が5~7kWhのタイプです。貯めたい・使いたい電気の量をそれぞれ考えた上で選択しましょう。
なお、寿命の目安は10〜15年くらいです。それでは、家庭用蓄電池の設置費用や、蓄電容量、寿命目安、長持ちさせる使い方、特徴などの詳細について、順番に見ていきましょう。
家庭用蓄電池の設置価格・費用相場
家庭用蓄電池の価格相場は、様々な要素によって異なります。以下に一般的な価格の目安を示しますが、実際の価格はブランド、容量、機能、インストールの複雑さなどによって変動します。
小規模な蓄電池システム(容量数キロワット時)の場合、約30万円から70万円程度が一般的な価格帯です。住宅用の据え置き型蓄電池を設置する費用は、本体+工事費込みで約80〜200万円が相場です。
容量が10kWh未満であれば、160万円以下でおさまる可能性が高いでしょう。大規模な蓄電池システム(容量数百キロワット時以上)では、数百万円以上の投資が必要となる場合もあります。
基本的には、蓄電容量が多い物や、性能が高い製品ほど、価格が高くなりやすいです。ただし、値段が高い物ほど停電時の動作がよいため、より便利と言えます。
1kWhあたりの参考費用は、15〜21万円(本体価格+工事費込み)です。単純計算で、5kWhの蓄電池なら75〜105万円、7kWhの蓄電池であれば105〜147万円程度の予算を見込んでおくと安心でしょう。
内訳の目安としては、設置工事費用が20〜35万円ほどで、ここに本体価格がプラスされるイメージです。配線工事費や諸経費などが別途かかる場合もあるため、見積書をもらう際には内訳金額も確認しておくとよいでしょう。
ただし、これらはあくまで一般的な価格の目安であり、実際の価格は市場の競争や需要と供給のバランス、地域による補助金や税制優遇措置などの影響を受けます。補助金の対象となる機種を選択することで、設置にかかる費用を抑える方法もおすすめです。
家庭用蓄電池でおすすめ・主力のメーカーや商品は?
ここで、2023年1月時点で国の補助金(通称「DER等導入事業」)や、自治体が実施する補助金・助成金の対象となりやすい、主な蓄電池メーカー商品についてチェックしてみましょう。
京セラ
京セラは、携帯電話やスマートフォン、ソーラーパネルなどの実績豊かな大手企業。蓄電池は高い品質と信頼性が特徴です。
リチウムイオンバッテリーを採用し、高いエネルギー密度と長寿命を提供します。安定した電力供給と高い充放電効率で、自宅のエネルギー管理を効果的にサポートします。
また、京セラは太陽光発電システムとの統合提案にも力を入れており、シームレスな利用が可能です。環境への貢献と高い性能を兼ね備えた京セラの蓄電池は、多くのユーザーに支持されています。
太陽光発電と好相性の機器はもちろんのこと、屋内・屋外どちらにも設置できる商品や小型蓄電池など、バリエーションに富んでいます。
シャープ
テレビやエアコン、携帯電話やパソコンなど、スリムで使いやすい商品を扱ってきたシャープ。
設置スペースが必要になりがちな家庭用蓄電池でも、同社ならではの発想でコンパクトサイズを実現しています。「蓄電池を置けそうな場所がない」と悩んでいる方は、シャープの製品を検討してみてはいかがでしょうか。
また、シャープは太陽電池のメーカーでもあり、蓄電池と太陽光発電システムの連携に強みを持っています。エネルギーの最大効率化と環境への貢献を追求したシャープの蓄電池は、多くのユーザーから高い評価を得ています。
ニチコン
ニチコンは家庭用蓄電池の世界トップレベルのメーカー。太陽光設置済みの方向けの単機能蓄電システムから、ハイブリッド蓄電システム、EV(電気自動車)充電も可能なトライブリッド蓄電システムなど、様々なタイプがあります。
蓄電池容量も、2〜16.6kWと幅広く商品展開しています。また、ニチコンは長年にわたり電子部品の製造に携わってきた実績を持ち、品質管理にも力を注いでいます。
オムロン ソーシアルソリューションズ
太陽光発電システムのパワーコンディショナで有名なオムロン。エネルギーを無駄なく活用する技術に加え、より効率的なエネルギー利用に欠かせない蓄電システムの提供も行っています。
特に、オムロンの先進的なエネルギー管理システムとの連携により、最適な充放電制御や需要予測を実現します。
また、設置や運用の簡易性にも配慮されており、使いやすさと信頼性を追求しています。狭い場所にも設置できるので、あまりスペースがないという場合にも適しています。
オムロンの蓄電池は、エネルギーの消費やライフスタイルなどの変化に合わせ、柔軟に機器を選択・追加できる『マルチ蓄電プラットフォーム』シリーズが好評。
パナソニック
キッチン・トイレなどの住宅設備や家電製品を数多く手掛け続けてきたパナソニック。
住まいと電気どちらのノウハウも積み上げてきた同社の蓄電池は、非常時に備えた小型の物から、太陽光発電システムと一緒に使用しやすい「創蓄連携システム」タイプなど、ラインナップも豊富です。
リチウムイオンバッテリーを採用し、優れたエネルギー密度と長い寿命を提供します。高い充放電効率と安定した電力供給を実現し、自宅のエネルギー使用を最適化します。省エネ性を重視したい方にもピッタリと言えるでしょう。
Tesla(テスラ)
補助金の対象ではありませんが、電気自動車で有名なテスラの蓄電池についても触れておきましょう。
テスラの製品は「認定施工会社」のみが工事を許可されています。ただ、13.5kWhと大容量であるにもかかわらず、国内メーカーの物よりも低価格でデザイン性が高いため関心を持っている方が多く、今後どれほど普及していくか注目していく価値があります。
上記のほかにも、屋内に設置しやすいコンパクトタイプや、ご家族が多い場合に適している大容量タイプなど、色々な製品があります。スマートな機能やモニタリングアプリを通じて、リアルタイムのデータや制御が可能です。さらに、バーチャルパワープラント(仮想発電所)の構築にも積極的で、エネルギー共有の概念を推進しています。
専門的な内容が多く、設置の仕方や商品選びで迷ってしまうこともありますが、まずは気軽に蓄電池に詳しい施工業者に相談してみましょう。プロの意見も参考にしながら、ご自宅に最適な蓄電池を導入できると良いですね。
家庭用蓄電池の選び方!寿命(耐用年数)や容量は?
ご自宅に蓄電池を設置する際には、寿命・容量などを基準に選びましょう。
家庭用蓄電池の法定耐用年数=6年、寿命=約10〜15年
蓄電池の寿命は、一般的には約10〜15年とされていますが、短い場合は5~6年程度で交換が必要になることもあります。ちなみに、たいていの製品のメーカー保証は「10年」もしくは「15年」です。
法的な規定は国や地域によって異なるため、特定の法定耐用年数は存在しません。各国や地域の消費者保護法や保証規定に基づいて、メーカーが保証する期間が一般的な目安となります。
家庭用蓄電池の寿命は、使用状況やメーカー、バッテリーの種類などによって異なります。一般的には、10年以上の耐用年数が期待されますが、正確な寿命はメーカーや製品によって異なるため、公式な情報や保証書を参照することが重要です。蓄電池の寿命は、バッテリーの劣化や容量の減少によって徐々に影響を受けます。
適切な使用とメンテナンス、定期的な点検やバッテリーの管理は、寿命を延ばすために重要です。基本的に蓄電池は、充放電回数の上限を超えると、交換しなくてはいけません。
充放電サイクル回数の限度は、メーカーや商品によって異なり、また設置する場所の温湿度などによっても左右されます。寒冷地や塩害がある地域には対応しない物もあるため、お住まいの環境に合った製品を選びましょう。
また、一部のメーカーはバッテリーの交換プログラムやアップグレードオプションを提供している場合もあります。
蓄電池を長持ちさせる使い方=サイクル回数を減らすこと
蓄電池の寿命を延ばすコツは、充放電のサイクル回数を工夫して減らすことです。過度な充放電を避けることで、バッテリーやシステムにかかる負荷を軽減し、劣化を遅らせることができます。
通常、蓄電池は0%の状態から100%まで充電し、それから再び0%まで放電するサイクルとして数えられます。ただし、多くの家庭用蓄電池は、過剰な充放電を防ぐために、残量が100%や0%にならないよう制御されています。
さらに寿命を延ばすためには、頻繁に充電することをおすすめします。フル充電後、30~50%程度まで放電させた後、再び充電する使い方を心がけましょう。蓄電池内の残量が多いほど、非常時に使用できる電力も増えるため、より安心です。
家庭用蓄電池の蓄電容量
「蓄電容量」とは、電気エネルギー(kWh)を蓄えることができる量を示す指標です。容量が大きいほど、使用可能な電力量が増え、停電時に稼働できる時間も長くなりますが、本体価格も高くなります。
実際に利用できる電気容量は、製品の定格容量よりも少ない場合がありますので、ご注意ください(前述したように、ほとんどの家庭用蓄電池は電池の容量を100%または0%にしないように制御されています)。
家庭用蓄電池の一般的なメーカー品は、1~12kWhの範囲に多くありますが、特に5~7kWhの商品が人気です。蓄電容量の選択は、必要な電力の量や使用計画に基づいて考慮する必要があります。
ここまでの情報をご覧になり、「蓄電池の導入は必要なのかな?」と悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。そこで、次に「蓄電池とは何か?」や「蓄電池の設置にはどのようなメリットがあるのか?」について再確認していきましょう。
蓄電池の主な特徴・種類・タイプとは
蓄電池の特徴・主な種類
蓄電池には、主に以下のような種類があります。
リチウムイオン蓄電池
パソコンや携帯電話のバッテリーにも使われる「リチウムイオン蓄電池」高エネルギー密度、長い寿命、高効率を備えた先進的なバッテリーです。
ニッケル・水素蓄電池
携帯音楽プレーヤーのバッテリーや充電式乾電池『エネループ』などに多い「ニッケル・水素蓄電池」高いエネルギー密度と長い寿命が特徴です。
また、高温環境に対しても安定して動作し、高い耐久性を持っています。さらに、急速な充放電が可能であり、繰り返し使用されることが多い要求の厳しい環境に適しています。
鉛蓄電池
自動車のバッテリーとして広く使用されている「鉛蓄電池」。高い起動能力と大容量を持ち、急速な充電と放電が可能です。また、比較的安全で信頼性も高く、広い温度範囲で使用することができます。
ただし、鉛蓄電池は比較的重く、大きなスペースを必要とする場合があります。また、定期的なメンテナンスや適切な充電管理が必要です。
ちなみに「蓄電池(二次電池・充電式電池)」とは、貯蓄した電気を、使いたい時に必要な分だけ利用できる電池のことを指します。
一般的な乾電池のように、完全に放電すると捨ててしまう使い切りタイプの電池のことを「一次電池」と呼ぶのに対し、充電することによって何度も繰り返し使用できる電池のことを「二次電池」あるいは「蓄電池」「充電池」などの名称で呼んでいます。
コンセントなどからの充電や、太陽光発電システムと連携などにより、電気を貯められる仕組みになっています。
家庭用蓄電池のタイプ=「コンセント型」と「系統連携型」
家庭用蓄電池には主に、ご自宅のコンセントで充電できる「コンセント型」と、容量・サイズが大きく配線工事が必要な「系統連系型(据え置き型)」の2タイプがあります。
「コンセント型」は、家庭のコンセントに直接接続して使用することができるタイプです。テレビや冷蔵庫などのバックアップ用電源として利用でき、価格もサイズも手頃ですが、特定の機器に対して一時的にしか使用できないという欠点があります。
一方「系統連系型」は、家庭の電力グリッドと接続して使用するタイプです。電力会社の電力網から直接電気を貯めていくことができるので、停電時にも家全体で電気を長時間使いやすく、また電気代を節約しやすくなるという利点があります。
特に「系統連系型」のリチウムイオン蓄電池は、元々ほぼ産業用として用いられてきましたが、2011年の東日本大震災や福島原発事故の影響を受け、防災対策のために一般家庭でも導入する方が増えてきました。
電力の供給量不足などによる停電対策や省エネ対策にも有効であることから、現在は多くの自治体が家庭用蓄電池の設置工事に対する補助金制度を用意しています。
どちらのタイプの蓄電池を選ぶかは、個々の家庭のニーズや目的によって異なります。コンセント型は独立した電源としての機能が強調されますが、系統連携型はエネルギーの効率的な管理とバックアップ機能が重視されます。専門家と相談しながら、自宅の状況や要件に合った適切なタイプを選ぶことが重要です。
家庭用蓄電池を設置するメリット
家庭用蓄電池には主に、非常用電源として活用でき、光熱費削減の対策をしやすいという長所があります。
非常時のバックアップ電源!災害時・停電時も電気が使える
蓄電池に貯めておいた電気は、災害などで停電した際にも使用可能です。重要な電化製品やライフライン機器の動作を保証し、生活の安全性を確保します。
停電時における電力使用の持続時間について、パナソニックの人気蓄電池を例に見てみましょう。以下の電気製品(消費電力の合計:265W)を同時に使用する状況を考えます。
- 冷蔵庫(消費電力:50W)
- LED照明(消費電力:100W)
- 携帯電話の充電(消費電力:15W)
- テレビ(消費電力:100W)
パナソニックのデータによると、以下の蓄電容量の場合において、停電していてもこれらの機器を稼働させることができます。
- 蓄電容量 5.6kWh:約16~72時間以上
- 蓄電容量 11.2kWh:約32~72時間以上
これらの数値は目安であり、具体的な使用状況や電力消費量によって異なる場合があります。蓄電容量が大きいほど、より長い時間にわたって電力を使用できます。
なお、これらの数値はパナソニック社のデータに基づいていますが、他のメーカーや製品によって異なる場合があります。蓄電容量の選択は、個々の家庭の電力需要や優先度に合わせて検討する必要があります。また、実際の運用状況では、他の要素(例:充放電のパターン、外部の気温など)も影響を及ぼすことを念頭に置いておく必要があります。
それでも電気が復旧するまでの間、冷蔵庫や携帯電話を充分に利用できることがわかりますね。
電気代を安くできる可能性が高い
東京電力や関西電力などの電力会社では、電気代の契約プランが複数用意されています。その中には、昼よりも夜のほうが、電気代が安く設定されているプランがあります。
このような料金プランを利用し、自宅での電力使用量を自給自足することができます。すなわち電気代を削減できるのです。
太陽光発電と併用して、効率的に電力消費
すでに太陽光発電システムを設置されているご家庭はもちろん、これから太陽光発電を新設したい方にとっても、蓄電池の併用は非常に有効です。
蓄電池に接続された太陽光発電システムなどの再生可能エネルギーソースからの電力を貯めることで、自宅での電力使用量を自給自足することができます。昼間に発電した電気を蓄電池に貯めておき、必要な際に自家消費・余った分は売電できます。これにより、電気代の節約や環境への貢献が期待できます。
環境への貢献
再生可能エネルギーの活用や電力需要の最適化により、家庭の環境への負荷を軽減することができます。化石燃料に依存しないクリーンなエネルギーの使用を促進し、地球温暖化や環境問題への取り組みに貢献します。
まとめ
家庭用蓄電池は、停電時や自給自足のエネルギー供給など、さまざまなメリットがあります。価格や相場については、以下の要点をまとめることができます。
家庭用蓄電池の価格は、蓄電容量やメーカー、機能などによって大きく異なります。一般的な価格帯としては、数百万円から数百万円以上と幅広い範囲があります。ただし、これはあくまで一般的な目安であり、具体的な価格は蓄電池の種類や容量、インストールに関わる費用などによって変動します。
相場は、競争が激しくなっていることや技術の進歩に伴い、徐々に下がりつつあります。また、地域によっても相場は異なる場合があります。ただし、長期的に見ると、技術の進歩や需要の増加により、よりコスト効率の高い蓄電池が提供される可能性があります。
家庭用蓄電池を導入する際には、価格だけでなく、蓄電容量、メーカーの信頼性、保証内容なども考慮する必要があります。また、補助金や税制優遇措置などの政府の支援策も存在する場合がありますので、それらを活用することも検討しましょう。
家庭用蓄電池は、投資性やエネルギーの自給自足などの観点から、長期的な利益をもたらす可能性があります。総合的に考慮し、自身のニーズや予算に合った適切な家庭用蓄電池を選ぶことが重要です。
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