「蓄電池にはどんなメリット・デメリットがあるんだろう」
「自分の家の場合、蓄電池を購入するメリットってどのくらいあるのかな」
こんな疑問をお持ちではありませんか?
蓄電池は、日常生活ではあまり馴染みのないものですので、どんなメリットがあるのかわからないですよね。まず最初に、蓄電池のメリット・デメリットはこちらです。
また、蓄電池をおすすめする人としない人は以下のように分かれます。
蓄電池はどんな家庭にも向くわけではありません。メリットとデメリット、さらに自分の家の環境の場合、向いているか向いていないかを知った上で設置をしないと、高額な蓄電池を購入したのに、あまりメリットを享受できなかった…ということにもなりかねません。
この記事を最後までお読みいただくと、蓄電池のメリットとデメリットを知ることができ、さらに自分の家の場合に購入すべきかしないべきか、も判断することができるようになります。
蓄電池を購入したときのメリットや自分に向いているのかどうかを知り、購入したほうが良いのか正しく意思決定できるようにしていきましょう。
1.蓄電池6つのメリット
この章では、冒頭でもご紹介した以下の蓄電池のメリットについて、詳しく解説をしていきます。以下の表のように、太陽光発電や電気自動車の有無によってメリットが異なりますので、ご自身の該当する箇所をご覧ください。
1-1.停電時でも電気が使えて安心
蓄電池とは、充電して電気を貯めておき、必要な時に電気機器に電気を供給することができる設備です。そのため、災害などで停電が発生した時でも、電気を使用できるという点が最も大きなメリットです。
特に、子供や高齢者と同居している場合は、照明がつかないと転倒やケガにつながる恐れもありますし、精神的にも不安定になってしまうことが考えられます。そのため実際に多くの方が、災害時でも安心して電気を使用できるようにしたい、という目的で蓄電池を導入しています。
停電時のメリットは、太陽光発電を導入しているかどうかによって、以下のように分かれます。
①太陽光発電を導入していない場合
停電の前に電気を貯めておくことで、停電中も電気の使用ができるようになります。種類や容量によって、使用できる電化製品や時間は異なりますが、『照明・冷蔵庫・テレビ・携帯電話充電』など、生活に必要な家電を1~3日程度稼働させることが可能です。
突然の災害による停電に備えたいという場合でも一定期間電気を使用できるというのは、精神的な安心にもつながるでしょう。
②太陽光発電を導入している場合
昼間は発電した電気を消費しながら蓄電池に電気を溜め、発電できない夜間は蓄電池から電気を供給するというサイクルを作ることができるため、停電が長く続く場合でも電気の自給自足ができます。災害によって停電が生じたとしても、電気が使えなくて困るという事態を避けることが可能です。
ただし、停電のときに電気が使えず困ることを避けたい、という目的を一番にお考えの場合は、「蓄電池だけ」「太陽光発電だけ」ではなく、「太陽光発電と蓄電池の両方を導入すること」が最もおすすめです。なぜかというと、災害時に使用するためには、停電が長く続いた時のことを想定すると、どちらか片方だけでは充分ではないためです。
以下の記事では、なぜ太陽光発電と蓄電池の両方を導入する必要があるのか、それぞれの停電時の役割や弱点を詳しく解説しておりますので、参考にしてみてくださいね。
1-2.深夜の安い電力を溜めて昼に使うことで電気代の節約になる
二つ目のメリットも、太陽光発電導入の有無によって以下のように分かれます。
①太陽光発電を導入していない場合
一般的に電気代は、使用者の少ない夜間のほうが料金が安く、昼間の時間帯は高く設定されています。
しかし蓄電池があれば、以下の図のように電気料金の安い夜間に電気を貯めておいて、それを昼間の時間帯に使用することができるため、その分電気代を節約することができます。
②太陽光発電を導入している場合
太陽光発電を導入している場合は、深夜の安い電力を電力会社から購入して蓄電池に充電しておいて、昼間に使用すると、昼間に太陽光発電で作った電気を、以下の図のように自家消費ではなく売電にまわすことができるため、その分経済的なメリットが生まれます。
このように、深夜の安い電力を溜めて昼に使えるようになることで、電気代の節約や、売電量の増加につなげることができるというのが、二つ目のメリットです。
1-3.環境問題に配慮した生活ができる
蓄電池を利用すると、他の人の使用量が少ない深夜の時間帯に電気を貯めておいて、ほかの人の使用量が多い昼間に電気を使うことができます。
電力の必要量が最も高くなる昼間の時間帯の電気の使用量を減らすことは、CO2排出量の多い火力発電所の発電電力を減らすことにも繋がるため、 地球温暖化などの環境問題への対策にもなります。
環境問題に配慮した生活をしたいという方にとっては、上記の点もメリットとなります。
1-4.太陽光発電で作った電気を貯めて夜間に使用することで電気代を節約できる
三つ目は、太陽光発電を導入中の方にとってのメリットとなりますが、昼間に太陽光発電で作った電気のうち、使わずに余った分を蓄電池に貯めておくことで、発電できない夜間でも使用することができるというものがあります。
これは、太陽光設置から10年が経過する方には特にメリットとなります。
なぜかというと、まず、太陽光発電を導入しているご家庭のほとんどは、自家発電した電気を固定買取制度によって高値で売って利益を得ていると思います。
しかし、この固定買取期間は太陽光設置から10年間限定の措置となっているため、その後の売電価格は以下のように大幅に安くなってしまいます。
・現状の売電価格 48円/kWh (2011年3月以前に太陽光を設置した方の場合)
↓
・固定買取期間終了(卒FIT)後の売電価格 8円/kWh (大手電力会社の平均金額)そのため、固定買取期間終了(卒FIT)後は、太陽光で発電した電力は安く売電(8円/kWh)するのではなく、以下の表のように蓄電池を活用して夜間の使用分に回し、その分電気代を減らすほうがお得になります。
蓄電池があれば、夜間や雨の日などの太陽光による発電量が減る時間帯でも、貯めておいた電力を使用することができるため、電力会社から購入する費用が浮いて電気代の節約になります。
1-5.ハイブリッド蓄電池なら太陽光パネルのパワコンの寿命を伸ばすことができる
三つ目も、太陽光発電と一緒に蓄電池を使用する場合のメリットとなります。
通常、太陽光で作った電力を家庭で使用できるようにするためには「パワーコンディショナ」という機械で電気を変換する必要があります。
しかし、一般的にパワーコンディショナの保証期間・寿命は10~15年といわれており、以降は有償での修理や交換が必要となります。
しかし、蓄電池の中には、この太陽光で作った電気も変換できる「ハイブリッド蓄電池」というものがあり、これを導入すると以下のメリットがあります。
・既存の太陽光パネルのパワコンを新しいものに替えることができ、保証と寿命が延びて安心
・既存のパワコンより高性能で電気の変換効率が良い場合は、売電量の増加も期待できる
太陽光発電を設置して10年近く経過している方や、パワーコンディショナの調子が悪い方の場合は、ハイブリッドの蓄電池を導入すると、太陽光パネルのパワコンの買い替え費用を節約することができるので、その分がお得になります。
1-6.電気自動車のエネルギーも賄える
太陽光発電と電気自動車の両方の導入している方の場合は、「トライブリッド」と呼ばれるタイプの蓄電池を選ぶと、電気自動車を走らせるために必要なエネルギーのほとんどを太陽光発電で賄うことができます。
トライブリッドタイプの蓄電池は、以下の図のように、太陽光で作った電気を蓄電池に貯めておき、夜間など、家に電気自動車が停まっている時間帯に、貯めておいた電気を車に送るという仕組みになっています。
電気自動車を使用している家庭の場合は、このように太陽光で作った電気で、電気自動車のエネルギーも賄えるという点がメリットとなります。
2.蓄電池4つのデメリット
蓄電池のメリットをご紹介いたしましたが、同時にデメリットも知った上で、蓄電池を導入するかどうかの検討を進めたいとお考えの方も多いと思います。そのためこの章では、以下の蓄電池のデメリット4つについて解説いたします。
2-1.10~15年で寿命を迎える
蓄電池は使い捨ての電池とは違って繰り返し使えるものですが、永久に使用できるものではありません。電気を貯める「充電」と、電気を使う「放電」を繰り返すことで、徐々に劣化します。この、充電と放電を繰り返すことのできる回数には寿命があり、保証されている回数を超えると蓄電できる量が減り、最後には、蓄電容量が減少し、電気を貯められる量が減ってしまいます。
現在家庭用蓄電池の主流であるリチウムイオン電池の寿命は、10年~15年程度と言われていますが、蓄電池の費用対効果を考えた場合には、この保証されている回数は多いに越したことはありません。
蓄電池を選ぶ際には、寿命がどのくらいなのか、も意識して選ぶと良いでしょう。
ただし蓄電池は寿命を迎えたしても、その瞬間からすぐに使えなくなるわけではありません。スマートフォンやパソコンなどのバッテリーと同様に、充電と放電を繰り返しているうちに徐々に蓄電容量が減少していくものだからです。
実は、購入した蓄電池をできるだけ長持ちさせるためにはいくつかのコツがあります。これを知っていると、寿命を迎えるのを少しでも遅らせて、長い期間お得に蓄電池を使用することができますよ。詳しくは以下の記事で解説していますので、参考にしてください。
2-2.「電気を貯められる量」に限りがある
蓄電池は、容量によって貯められる電気の量が異なります。
もし購入した蓄電池の最大容量が、ご自身の家の場合の使用電力を満たしていないと、頻繁な充電が必要になり、電池の寿命も早くなってしまいます。
容量が多いほど価格も高くなりますが、値段だけを見て容量の小さいものを選んでしまうと、想定よりも早く寿命を迎えてしまう可能性もあります。容量不足で困らないよう、ご自身の家庭に合った容量の蓄電池を選ぶようにしましょう。
2-3.「エアコンの室外機より一回り小さいくらい」のスペースの確保が必要
家庭用蓄電池は、設置するためのスペースを屋外か屋内に確保する必要があります。
目安としては「エアコンの室外機より一回り小さいくらい」のサイズで、事前にスペースを確保しておく必要があるため、考えに入れておきましょう。
また、場所だけでなく「直射日光が当たらない」「高温や低温になりすぎない」「重塩害地域でない」などいくつかの条件もあります。
屋内型の場合は、多少の音が発生する機器ですので、ベッドルームなど、静かに過ごしたい部屋への設置は避けたほうが良いでしょう。
2-4.初期投資費用が高い
導入のための費用が高いという点も、蓄電池のデメリットのうちのひとつです。
メーカーや機種によって差がありますが、一般家庭向けでよく購入される蓄電池の費用目安は以下となります。導入する蓄電池のスペックにより、低価格、標準価格、ハイスペックの3つに分類されています。
・通常価格帯の蓄電池・・・100~200万円程度
・ハイスペックの蓄電池・・・200万円~また上記のほかにも、最近では、家庭用蓄電池の開発・販売に参入するメーカーも増加しており、徐々に蓄電池本体の価格は下がってきています。実際に以下のような低価格モデルも発売されておりますので、「何よりも初期費用を抑えたい!」という場合は、このような蓄電池を選ぶのも良いでしょう。
・低価格蓄電池の例 シャープ JH-WB1621 : 本体価格36万円程度(2016年)
このようにお伝えすると、「参入メーカーが増えて、今後もっと安くなるなら、購入するのはもう少し待った方がいいのかな?」とお考えになる方もいらっしゃると思います。
しかし、プロの間では、今後、家庭用蓄電池の価格はこれ以上は下がらない、と予想されています。そのため、安易に蓄電池の導入を先延ばしにしてしまうと、補助金などの適用タイミングを逃して逆に損してしまうこともあります。以下の記事では、蓄電池の今後の価格動向予想と、導入を先延ばしにしないほうが良い理由について解説していますので、気になる方はぜひ参考にしてくださいね。
3.蓄電池の導入をおすすめする人、しない人
蓄電池のメリットとデメリットを見てきましたが、実際に自分は蓄電池を導入したほうがいいのか、しないほうがいいのか、どっちなのか知りたい、という方も多いのではないかと思います。そこで、蓄電池の導入をおすすめする人としない人を以下のように表にまとめました。
3-1.蓄電池の導入をおすすめする人
蓄電池の導入がおすすめなのは、以下のような方です。
①太陽光発電を設置している人
太陽光発電は、電気を作れる点がメリットですが、夜間には発電することができません。しかし、蓄電池を導入すると、普段の生活に必要になる電気全てを自家発電で賄うことも可能になり、電気会社から電気を購入する必要がなくなります。
この特徴により、固定買取期間終了(卒FIT)後に家庭用蓄電池を導入し、今まで売電していた電気を自家消費に回すという方法をとる人も増えています。
②毎月の電気代が高い人
蓄電池を導入すると、電気料金の安い深夜電力を貯めておき、電気の使用量が増加する昼間に、貯めておいた安い電気を使うという方法をとることができます。そうすると、今までと電気の使用量は同じだとしても、昼間と夜間の電気代の差額分、電気代を安くすることが可能です。
③災害時に備えておきたい人
蓄電池があると、災害時でも照明や冷蔵庫、スマートフォンなどを使用することができます。そのため、万が一災害などで停電になっても電気が使える環境を整えておきたいという方には、蓄電池の導入をおすすめします。
蓄電池には、容量や機能、サイズなど、種類がたくさんありますので、家族構成や部屋数、ライフスタイルに合ったものを選ばないと、失敗してしまうかもしれません。実際、自分の家の場合はどんな蓄電池がいいんだろう?自分にぴったりの蓄電池を選びたい!という方は、こちらの記事をお読みいただき、蓄電池選びの参考にしてください。
3-2.蓄電池の導入をおすすめしない人
逆に、蓄電池の導入をおすすめしないのは、以下のような方です。
①毎月の電気代が高くない人
もともと電気代がそこまで高くないご家庭の場合は、蓄電池を導入してもあまり電気代が安くならないこともあります。
②昼間に電気をほとんど使わない人
共働きなどで昼間は家に誰もおらず電気をあまり使わない、という場合も、蓄電池による電気代削減効果は感じにくいことが多いです。
もともと昼間の電気使用量が少ないので、蓄電池に安い深夜電気を貯めてもあまり意味がないためです。蓄電池を導入したのに、今までと電気代が変わらない、ということになる可能性もあるでしょう。
③蓄電池の設置場所が確保できない人
最後に、設置場所をきちんと確保できない場合も、蓄電池の導入はおすすめできません。エアコンの室外機に近い大きさがありますし、そのスペースが確保できたとしても、高温多湿になりやすい場所など、不適切な場所に設置すると、性能や寿命に悪影響を及ぼすこともあります。設置場所が確保できない場合は、蓄電池の導入は控えざるを得ないでしょう。
4.まとめ
今回の記事では蓄電池のメリットとデメリットについてお伝えしました。表を再掲いたします。
<蓄電池のメリット・デメリット>
また、おすすめする人、しない人は以下の通りでした。
<蓄電池をおすすめする人・しない人>
この記事を参考にしていただき、自分の場合は蓄電池を購入したほうが良いのかどうか、正しく判断できるようになって頂けたら幸いです。