太陽光発電では、機器を設置する場所によっては、造成工事が求められることがあります。どのような場所に、造成工事が必要になるのでしょうか。
今回は、太陽光発電の造成工事について、詳しい内容を紹介していくので、参考にしてみてください。
太陽光の造成工事はどのような場所に必要なのか?
太陽光発電の造成工事を行う場合、どのような場所に必要になってくるのでしょうか。実際に、太陽光発電設備を作った事例から、太陽光発電の造成工事が必要な場所について紹介していきます。
急斜面や地盤が緩い場所
太陽光発電の造成工事としては、急斜面や地盤が緩い場所で必要になります。急斜面では、太陽光発電の設備を設置することができないので、整地と呼ばれる、土地を平らに地固めが必要です。他にも、地盤や斜面の切り取りが必要な場合には、切土を行うでしょう。
地盤が緩い場合には、地盤改良工事を実施して、土地の強度を上げるなどの対策が必要になります。
本来であれば、太陽光発電の設備を設置することが難しい際に、造成工事が求められるので、どのような土地でも諦めずに、業者に相談することが大切です。
空き地や地盤が硬い岩場
空き地や地盤が硬い岩場などでも、太陽光発電の造成工事を行うことが求められます。特に空き地に雑草が生えている場合には、草木を伐採して根を取り除く作業が必要になるでしょう。
また伐採して草木を除去した後には、防草シートをかぶせて、雑草の生育を防ぐ必要も出てきます。
地盤が硬い岩場では、凹凸が激しいのであれば、整地を行って地固めをする必要があり、あまりにも地盤が硬い場合には地質変更を行う必要があるでしょう。
山林の土地など
山林の土地に太陽光発電設備を設置する際にも、造成工事が求められます。まず山林の土地には、草木が生い茂っているので、伐採や防草といった処置が必要になるでしょう。
ただ一般的な土地よりも伐採する木々が多いことから、木材を廃棄物処理場に運搬するまでの費用もかかってくることもあり、高額な造成工事となることがほとんどです。
また太陽光発電の設備を山林に設置する手間などもかかるので、比較的費用がかかるのが難点とも言えるでしょう。
太陽光の造成工事とは?
実際に太陽光の造成工事とは、どのようなことを指しているのでしょうか。造成工事の目的や造成工事の種類について紹介していくので、参考にしてみてください。
土地や目的に合わせて整える工事
太陽光の造成工事とは、空き地・農地・田んぼ・畑といった、様々な土地を用途に合わせて変更するための工事のことを指しています。
今まで農地として利用されていた土地を宅地に変更する場合には、土地の造成を実施して、安全に家が建てられる状態に土地を整える必要があるのです。
ただ土地の造成については、「宅地造成等規制法」によって、土地の造成が行える業者が定められているため、どのような業者でも対応できる訳ではありません。
小規模・中規模の造成工事であれば、解体業者や外構業者に依頼することができます。
造成工事の種類
土地を太陽光発電の設備を設置するために、改良する造成工事には、いくつか種類があります。どのような造成工事の種類があるのか紹介していきましょう。
整地
整地とは、傾斜や凹凸のある土地を平らに地固めすることを指しています。住宅地でも、空き地に家を建てやすくするために、造成工事を行い、整地することが基本です。
他の造成工事を行った後も、仕上げとして整地を行うことがあるため、造成工事を行う際にはほとんど整地を行います。
また整地は、土地を平らに地固めするだけでなく、状況に応じて砂利やアスファルトを敷くこともあるでしょう。
伐採や防草
伐採や防草とは、草木が生い茂っている土地に、必要な工事を行う造成工事の種類です。草木が生い茂っているままでは、太陽光発電設備も設置することができません。
そのため、草木を伐採して、その後は根を取り出す作業が必要になります。伐採した後は、防草シートを被せる措置を取ることもあり、防草シートを被せることで、草木の成長を抑制する効果が期待できるのです。
ただ伐採費用は、対応しないといけない木々の数が多いほど、木材を廃棄物処理場に運搬する費用が追加で求められるので、事前に予算を検討しておく必要があります。
地質変更や地盤改良
長期にわたってメンテナンスされていない土地は、地質が悪くなっていたり、地層の表面が弱くなっている傾向にあります。そういった土地を安全にして、地盤を整えるために行う造成工事が地盤改良工事です。
主な地盤改良工事としては、表層の土にセメント系固化材を混ぜて、土地の強度を上げることで鋼杭を打ち込みやすくするといった方法があります。
土盛や土止
土地がある場所によっては、太陽光発電を設置したい場所が他の土地よりも低いケースがあります。そんな時は、土盛や土止が必要になるでしょう。
土盛は土砂などで埋め立て底上げする工事のことを指しています。土止は、土盛で埋め立てた際に、土砂が流出したり、崩壊することを防ぐための工事です。
二つの工事を合わせて、擁壁工事も行われるケースもあり、防災目的として行われることが多いと言われています。
残土処分
傾斜のある土地を平らに地固めする場合、地盤や斜面の切り取りが必要なことがあります。この造成工事のことを切土といい、切土を実施することで、斜面の余分な土が出ることがあるでしょう。
切土で発生した余分な土を敷地外に運搬する必要があり、運搬する作業のことを残土処分と言います。残土処分については、受け入れ先が限定されていることが多く、都道府県が厳しく土質を規制しているのです。
太陽光の造成工事の費用
太陽光発電の造成工事は、土地の状況によって費用が微妙に異なります。最も費用がかからないのは、平易であまり工事の手間がかからないためです。
土地の状況によって、造成工事の費用が異なるので、状況に合わせて造成工事費用相場について紹介していきます。
すでに整地されている土地
工業団地などで使用されていた土地は、比較的整地されていることがあります。ただ土地が使用されていなかったことから、雑草が生えていることがあるでしょう。太陽光発電設備を導入するためには、防草が必要になります。
造成工事としては、伐採と防草が必要になるので金額的には、1平方メートル当たり500円~1,000円以内といったところです。
平地で草が生い茂っている
平地で草が生い茂っている状態の土地では、多くの雑草が生えていることから、伐採作業と防草が必要になってくるでしょう。雑草を全て取り除いた後は、整地を行い、完了した後には砂利を敷く作業で準備は終わりです。
金額的には、1平方メートル当たり2,000円ほどが相場になるでしょう。草木の量によっては、さらに費用がかかることもあるので、事前に確認しておくことが大切です。
平地で地盤が緩い
平地で地盤が緩い土地の場合には、太陽光発電設備を設置するためには地盤を固める必要があります。
地盤を固めるためには、比較的費用もかかることから、相場として1平方メートル当たり5,000円ほどかかるでしょう。
丘陵地や山林
土地代が比較的安い丘陵地や山林については、規模によって細かい費用は変わってくるでしょう。相場としては、1平方当たり1万円から3万円程度はかかります。
土地代はかからないので、そのままでは太陽光発電設備が設置し辛いことから、造成工事には多額の費用がかかるでしょう。
山林で造成工事をして太陽光発電を設置するメリット・デメリット
太陽光発電設備を設置し辛い環境であることから、多額の費用がかかる山林。しかし山林で造成工事を行い、太陽光発電を設置するのには、いくつかメリットがあります。
具体的に、山林で造成工事を行って太陽光発電を設置するメリットやデメリットについて紹介していくので、参考にしてみてください。
メリット
山林に太陽光発電を設置するメリットとして考えられるのは、有効活用されていない土地から売電収入を得ることが出来るという点です。
山林の土地は、土地としての資産価値が低い傾向にあります。そのままでは、有効活用することが出来ないことも多いのですが、太陽光発電に利用すれば、宅地に太陽光発電設備を設置する時と、同様の収益を得ることが可能です。
土地の初期費用としては、山林や農地といった安い土地や宅地よりもコストパフォーマンスが良い傾向にあります。
デメリット
土地を有効活用し辛い山林ですが、太陽光発電を設置すれば、売電収入を得られるなどのメリットがあります。しかし中には、デメリットに感じることもあるのです。
山林で太陽光発電を開始した場合、初期投資分を回収する必要があります。その期間は、他の用途で土地を使用することが出来なくなるでしょう。
一度FIT制度を適用した発電設備は、少しの移動や自由にレイアウトを変更するといった融通は利かないのが特徴です。
また初期投資分を回収するのは、設置してから10年後となるのがほとんどでしょう。
山林に太陽光発電を設置する場合は、平地や屋根で設営する費用に、追加でコストがかかります。それだけでなく、山林に太陽光発電を設置したいのであれば、森林法の制限対象である保安林などの場合には公的な手続きも必要になるでしょう。
森林法は、災害防止や産業保護といった公共の目的を達成するために、森林の使用方法を制限するといったものです。
自分が所有している山林であったとしても、森林法の対象と判断された場合には、太陽光発電設備を設置しても良いのか、行政に確認する必要があります。
注意点
山林に太陽光発電設備を設置する場合、山林特有の問題が発生することがあります。状況によっては、太陽光発電での収益が上がりにくいこともあるでしょう。
山林に太陽光発電設備を設置する際の主な注意点について紹介していきます。
樹木の位置に注意
山林に太陽光発電設備を設置するのであれば、樹木の位置によっては太陽光が十分に、太陽光パネルに当たらない可能性があります。
特に太陽光発電設備の周囲に、他の方が所有している土地があれば、勝手に伐採することができないので、注意が必要です。
伐採や造成工事には費用がかかる
山林に太陽光発電設備を設置するのであれば、周囲の木々を伐採するための費用がかかります。また土地を整地したり、造成工事にも費用がかかるので、状況によっては多額の初期投資がかかるでしょう。
他にも、電気が通っていない山林に送電するための設備も整える必要があるので、どれくらいの費用がかかるのか、事前に把握しておく必要があります。
伐採や造成工事には届出や許可が必要になるケースも
山林に太陽光発電設備を設置する場合、土地が地域森林計画の対象になっている時には、1ヘクタール以上の造成工事に許可が必要になるでしょう。
状況によっては、伐採にも申請が必要になるので注意が必要です。
枯葉や雑草対策
山林に太陽光発電設備を設置したのであれば、枯葉が発電パネルに落ちたり、パネルの隙間に雑草が生えたりすると、発電効率が低下することがあります。そのため、枯葉の対策をどうするのかが肝心です。
また太陽光発電設備を設置する場所から、遠い場所に住んでいるのであれば、設備管理を業者に委託するなどの対応も考える必要があります。
固定資産税について
山林では、用途が限られるという観点から、地価も固定資産税も安いのが特徴です。ただ太陽光発電投資を開始すると、山林は「雑種地」としての扱いになり、固定資産税が大きく上昇することになります。
太陽光発電の造成工事をするなら複数社見積もりで比較
太陽光発電の造成工事を行う上で大切なのが、複数社に見積もり依頼をするということです。複数社に見積もりを依頼することで、費用や担当者の対応などを比較することができるでしょう。
具体的に、業者選びでどのようなポイントに着目すべきなのか、紹介していきます。
業者によって金額が大きく異なる
太陽光発電の造成工事では、業者によって金額が大きく異なります。主に費用として考えるポイントとしては、「どのような工法」・「重機の使用」・「設置場所」・「何人で作業」・「工事日数」についてです。
特に山林などでの太陽光発電の設置には、1,000万円程度は造成工事にかかることもあります。
太陽光発電の造成工事は、状況によっては高額になることから、複数社見積もりを取得して、慎重に検討することが大切です。
目安としては、5社から10社ほどから見積もりを出してもらった方が良いでしょう。
アフターサービスが充実しているところを選ぶ
太陽光発電の設置工事などを依頼する場合、アフターサービスが充実している会社を選ぶことが大切です。費用だけではなく、運用してからトラブルや不具合が発生した際に、手厚いサポートを行ってくれるかも重要な観点になります。
定期メンテナンスが充実しているかどうか、業者によって異なります。基本的には、1年に1度のメンテナンスを行う必要があるので、適切に対応してもらえるか確認しておきましょう。
他にも、保証についても大切です。長期保証がついている業者ほど、長期的に太陽光発電システムを利用しやすくなるので、事前に保証期間について理解しておきましょう。
また保証範囲についても、細かく把握しておくことが大切です。保証条件によっては不具合が発生しても、保証してもらえないこともあり、その場合には有償で修理や交換対応する必要があります。
信用できる業者を選ぶ上では、長期保証が適用される業者を選択した方が良いでしょう。
24時間緊急受付サポート体制が整っている
信頼できる業者を選ぶポイントとして、いつでもトラブル対応してもらうことができる24時間緊急受付サポート体制が整っているかも重要な要素になります。
太陽光発電のトラブルは、昼間平日に発生するとは限りません。状況によっては、深夜・早朝・祝日といったタイミングで、急なトラブルが発生することがあります。
そんな時に、手厚いサポートを行ってもらえる業者であれば、安心してトラブル対応を任せることができるでしょう。
「和上ホールディングス」では、同業社内では初の24時間緊急受付サポートを実施しているため、安心してトラブル相談を行うことができます。
またトラブル対応してくれるスタッフは電気工事の有資格者であるため、心強いサポートを受けることができるでしょう。
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まとめ
太陽光発電の造成工事は、設備を正しく設置するためには、必要な工事と言えます。特に、山林や凹凸の激しい土地では、造成工事を行わないと、適切な形で太陽光発電設備を設置することはできないでしょう。
造成工事にも種類があり、主に伐採・防草・整地といった工事が行われることが多い傾向にあります。
山林に太陽光発電設備を設置するのは、遊休地として持て余した土地に、売電収入を得るという目的を与えることができるので、有意義な土地の活用方法を実現することが可能です。
ただ山林に太陽光発電設備を設置するためには、初期費用がかかったり、送電するための設備を整えるなど、多額の費用が発生することがあります。
他にも、遠方から管理する必要がある場合には、設備の管理を行っている業者を雇うことも視野に入れなければなりません。
そのためにも、信用できる業者を選択して、定期メンテナンスやトラブルに迅速に対応してもらう必要があります。
業者を選ぶ時には、しっかり複数社から見積もりを取得して、比較してから適切な業者を選ぶことが大切です。選ぶ基準としては、アフターサービスが充実しているのか、すぐに対応してもらえる体制が整っているかなどになります。
業者はよく検討した上で、依頼をかけるようにしましょう。