マイクログリッドの意味やメリットを徹底解説!事例についても

マイクログリッドの意味やメリットを徹底解説!事例についても

従来、電力の供給方法といえば、数ヵ所の大規模な火力発電所や原子力発電所から発電された電気を各地域へ供給する方式です。しかし一極集中型の発送電では、災害などの有事で故障した際に大規模停電という大きなリスクへつながります。そこで近年注目されている電力供給方法が、マイクログリッドです。

そこで今回は、マイクログリッドの意味やメリット・デメリット、事例や発電方法について詳しくご紹介します。自社の電力調達方法について検討している方やマイクログリッドについて関心を持っている方などは、参考にしてみてください。

マイクログリッドの意味

マイクログリッドは、小規模な電力設備で構成されたシステムの総称です。

現在、主流といえる電力ネットワークは、大規模な火力発電所や原子力発電所で発電した電気をさまざまなエリアへ供給する方式です。しかし、長距離の送電になってしまうことや災害や故障の際に大規模な停電につながってしまうことから、マイクログリッドと呼ばれる新しい電力ネットワークに注目が集まっています。

マイクログリッドの特徴

マイクログリッドは、分散型電源で各地域の小規模な電力需要を満たすシステムなので、短・中距離送電で済みますし、有事の際に大規模発電所がストップしても再エネ電源などでカバーできます。

主な特徴は、以下の5点です。

低予算小規模な電源を活用しながら運用できるため、低予算で導入可能
電力の安定性送配電事業者の送配電網から独立しているため、有事の際に非常用電源として活用しやすい
損失の少なさ自社の敷地内に設置することも可能なので、既存の長距離送電より電力損失を抑えられる
導入しやすい大規模な土地、多額の費用が必要ではないため、導入しやすい
環境に配慮された設備マイクログリッドの主な電源は再生可能エネルギーなので、脱炭素社会と相性のいい設備

このようにマイクログリッドは、かぎられた敷地でも導入しやすく、設備投資にかける費用を抑えながら効率よく発電できるのが特徴です。

また二酸化炭素排出量を削減した運用ができるため、脱炭素経営を目指す企業にとっても導入しやすいシステムといえます。

マイクログリッドとvppの違い

マイクログリッドとVPP(仮想発電所)の主な違いは、制御方法です。マイクログリッドはある地域に太陽光発電や風力発電、バイオマス発電などを設置し、同地域でエネルギーを消費していきます。

VPPの場合は、複数の地域に設置されている分散型電源をIoTなどの技術を用いながらネットワーク上で管理し、1つの発電所として幅広いエリアへ電力供給していきます。

VPPの方が大規模なシステムで、多くの予算を確保しなければいけません。そのため、個人や中小企業、自治体にとって導入しやすいのはマイクログリッドといえます。

マイクログリッドと各地域の相性

マイクログリッドの特徴を把握したあとは、各地域との相性について確認していきましょう。マイクログリッドの運用方法は、地域によって異なります。

都市部での発電・供給体制

とくに人口の多い都市部では、災害やテロなどといった有事の際に停電してしまうと、混乱や事故につながってしまいます。

さらに郊外などと異なり、既存の送配電システムが複雑に組み合わさっているため、非常時に送配電網から切り離すポイントや分散型電源の構築などの大規模な工事を必要とします。これらの理由により、国内の都市部におけるマイクログリッドの事例は少ないのが現状です。

郊外の発電・供給体制

山間部などの郊外は、有事の際に長期停電しやすく、マイクログリッドの必要な地域といえます。また、都市部と比較して送配電網から切り離すポイントが少なく、マイクログリッドと接続しやすい構造です。

そのため、郊外に工場や倉庫を構えている方は、マイクログリッドの導入を検討してみるのもおすすめです。とくに太陽光発電は小規模な土地でも導入可能で、発電効率20%台と以前より改善しています。

離島の発電・供給体制

離島の場合は、島全体をマイクログリッドのネットワークに組み込むという考え方も可能です。

離島は、郊外と同じく停電発生時の復旧工事に時間がかかりやすく、長期停電によるさまざまなリスクも想定されます。そのためマイクログリッドによる独立した電源システムを構築することは、地域住民の生活や医療機関を守るという意味でも重要です。

マイクログリッドのメリット

次は、マイクログリッドの導入メリットについてわかりやすく紹介していきます。

有事の際に電源供給に関するリスク分散

有事の際に火力発電所など既存の大規模発電所がストップしてしまった場合、マイクログリッドを稼働させることで、停電リスクを低減できます。

東日本大震災のような大規模災害が発生すると、電気の復旧工事に数日から数週間、場所によっては1ヵ月以上かかることもあります。そのような状況下で避難生活や事業の再開を行うためには、個人や企業で独自に電力システムを持っておく必要があるでしょう。

マイクログリッドを自治体や企業、個人で構築したり連携したりできれば、非常時でもスムーズに電力を確保できますし、医療機関などへ早急に電力供給することが可能です。

長距離送電による電力損失の軽減

大規模発電所と異なりマイクログリッドは短・中距離送電なので、送電による電力損失を軽減できます。電力会社の管理運用している火力発電所や原子力発電所、メガソーラーなどの電気は、遠隔地から各地域の家庭や工場、ビル、倉庫、商業施設などへ送られています。

しかし、長距離送電であればあるほど電気は少しずつ損失していき、発電した100%のうち数%~数10%は熱などで消えてしまいます。

マイクログリッドなら、自宅や自社の敷地内に再エネ電源を設置できますし、地域内に設置された電源を近隣の施設へ供給することで電力損失を抑えられるでしょう。

地産地消による地域活性化への期待

自治体や企業、個人で協力しながらマイクログリッドを導入すれば、新たな地域産業の発展につながる可能性があります。また、地域の活性化につながる活動でもあるので、地域活性化の方法に悩む自治体にとってもメリットが大きいといえます。

企業の場合は、マイクログリッドを活用した電源を導入し、発電した電気を地域の住宅や避難所へ供給します。そうすることで、地域住民からの評価アップや太陽光発電など再エネ電源に対する反対活動といったリスクを回避することも考えられます。

マイクログリッドのデメリット

続いては、マイクログリッドのデメリットについてわかりやすく紹介していきます。

黒字化の難しいシステム

マイクログリッドの大きなデメリットでもあるのが、黒字化が難しいという点です

地域全体でマイクログリッドを構築していくには、送配電ネットワークの構築にかかるコスト、発電設備の費用、維持管理費用といった点を正確に計算しなければいけません。また、導入後にどのような収益をどの程度得られるのか計算できなければ、収支のバランスを保つことは難しいといえます。

地域住民や自治体の協力が必要不可欠

マイクログリッドを構築するには、地域住民や自治体、企業同士の協力や連携が必要不可欠であり、導入にあたって地域住民への説明を行わないと、同意が得られません。

また、マイクログリッドに関する問題ではないものの、地域住民や自治体との合意が不十分であれば、再生可能エネルギーに対する反対活動や設置の規制条例なども起こってしまうでしょう。

今後、マイクログリッドを活用した事業を展開していくには、地域にとってどのような利便性をもたらせるのか、どのようなデメリットがあるのかを地域住民や自治体に説明し、納得してもらうのが大切です。

分散型電源の多くは不安定な電力供給

マイクログリッドに用いる分散型電源の多くは、電力供給が不安定という性質を持っています。そのため、安定的な電力供給を実現するには、制御システムの開発および導入がポイントになってきます。

分散型電源として活用されている再生可能エネルギーは、天候や環境によってエネルギー量が大きく変わります。たとえば、風力発電に必要な風の強さは常に変動しているため、一定の発電量を維持できません。

マイクログリッドを構築するには、制御システムの開発や関連情報にも注目するようにしましょう。

マイクログリッドの事例

大手建設会社の大林組では、大林組技術研究所でマイクログリッドの研究開発を行っており、実際にマイクログリッドを構築して各研究棟や施設へ電力を供給しながら実証実験をしています。また大林組では、太陽光発電や風力発電、ガスエンジン発電機、レドックスフロー電池など、さまざまな電源を導入しています。

さらに発電した電気を効率よく活用するため、EMS(エネルギーマネジメントシステム)と呼ばれるシステムで電力需給予測も行っています。

マイクログリッド導入におすすめの電源は非FIT型太陽光発電

「マイクログリッドを導入してみたいけれど何をすればいいのかわからない」、「マイクログリッドにつながる電源を導入してみたい」といった時は、非FIT型太陽光発電を検討してみるのがおすすめです。

そこで最後は、非FIT型太陽光発電の特長について確認していきましょう。

他の電源より初期費用を抑えやすい

非FIT型太陽光発電の初期費用は、他の分散型電源より抑えやすいといった強みがあります。風力発電や水力発電、地熱発電などは、設備投資に億単位の費用が必要でしょう。

さらに風力発電は、風の強い場所でしか導入できませんし、水力発電ならダムの建設もしくは既存のダムを活用しなければ稼働できません。また地熱発電は、地中深くに熱が溜まっていなければ発電できないでしょう。

太陽光発電であれば100万円単位の低圧も販売されており、自社の敷地内やビル・工場・倉庫などの屋根に設置することも可能です。カーポートの屋根に設置すれば、駐車場でも発電を始められます。

FIT制度に頼らず売電事業を進められる

非FIT型太陽光発電は、FIT制度の影響を受けずに売電事業を進められます。

FIT制度の認定を受けた場合は、10年間もしくは20年間固定買取価格で売電を行えます。しかし、出力10kW以上50kW未満の低圧太陽光発電は、原則余剰買取です。また、売電で得た収入から廃棄費用が差し引かれるため、以前より手取りの少ない状況といえます。

そこでFIT認定を受けずに太陽光発電を導入すれば、低圧でも発電した電気を全て売電できますし、廃棄費用の積立額を独自に決めることが可能です。

さらに今後、FIT制度で規制が追加されても影響を受けずに済みます。

マイクログリッドとして活用しなくとも企業価値アップにつながる

非FIT型太陽光発電は、マイクログリッドに活用しなくとも、企業価値向上に役立つのが強みです。

太陽光発電は、発電時に二酸化炭素の排出量を抑えられます。そのため脱炭素経営につながりますし、企業イメージアップによって売上の向上が期待できる可能性もあります。また同時にCSR活動も行えることから、社会的信用が高まるといったメリットも得られます。

マイクログリッドは分散型電源で太陽光発電にも役立つ!

マイクログリッドは、分散型電源を地域に設置し、電力損失を抑えながら効率よく供給可能な新しい電力ネットワークです。またマイクログリッドに用いられる分散型電源は主に再生可能エネルギーによるもので、持続可能な社会のニーズともマッチしています。

脱炭素経営の方法について考えている方やマイクログリッドにつながる分散型電源を導入したい方は、今回の記事を参考にしながら非FIT型太陽光発電を検討してみてはいかがでしょうか?

弊社とくとくファーム0では、脱炭素経営を検討している方へ向けて非FIT型太陽光発電設備のプランニングや太陽光発電用地の斡旋、太陽光発電物件のご提案などを行っています。

また、非FIT型太陽光発電の導入時に悩むポイントがコストです。とくとくファーム0は、大量一括仕入れや流通のコストダウンなどを積み重ねることによって、導入費用の負担軽減を実現しています。

少しでも関心をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。無料の個別セミナーでは、太陽光発電事業だけでなく脱炭素経営全般についても解説いたします。

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