Jクレジットとは、環境経営によって削減されたCO2を取引できる制度のことです。これから環境経営や脱炭素経営を目指す企業は特に注目すべき制度なので、制度概要や参入方法について把握しておくのがおすすめです。
そこで今回は、Jクレジットの制度概要からメリット・デメリット、参加方法について詳しくご紹介します。環境経営について検討し始めている方やJクレジットについて関心を持っている方は、参考にしてみてください。
CO2削減・吸収量を市場で取引できる制度
Jクレジット制度とは、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの活用、あるいは森林経営により削減・吸収されたCO2排出量を国が「Jクレジット」として認証する制度です。
Jクレジットは、認証された企業や団体(「クレジット創出者」と言います)が市場で売却することができるようになります。
取引市場に公開されたクレジットは、CO2排出量削減目標達成が困難な大企業等(「クレジット購入者」)が有償で購入し、自社のCO2排出削減量として扱うことができるようになります。
Jクレジット制度の目的
Jクレジット制度の概要を確認したあとは、目的について確認していきましょう。そもそも、Jクレジット制度の目的は、日本だけでなく海外の動きが関係しています。
国際会議で示された環境目標を達成するための制度
2015年の「国連気候変動枠組条約締約国会議(通称COP)」で合意された「パリ協定」では、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃以内に抑える努力をするため各国が温室効果ガス(CO2)削減目標を策定することが求められました。
日本では、CO2排出量を2030年に2013年と比較して46%削減することが2021年10月に閣議決定されています。
この目標の達成には、これまでとは比較にならないスピードでのCO2排出量の削減が必要とされます。その促進策のひとつとして、Jクレジット制度が用意されています。
Jクレジットにかかわる企業や自治体の役割
主に中小企業を対象とした、省エネ設備の導入のための各種の補助金制度もありますが、それでも省エネ・再エネ設備の導入には多大な設備投資を必要とするため、個々の企業や団体の努力に任せていてはCO2削減目標の達成は困難となります。
自らに割り当てられた目標以上の削減ができた企業や団体には、市場でのクレジットの売却により金銭的メリットが得られるようになります。
クレジット購入者にとっても、自社目標達成のためのカーボンオフセットとして利用でき、さらに省エネや再エネ導入への間接的な投資というかたちで企業イメージの向上につなげられるメリットがあります。
Jクレジット創出者のメリット
続いては、クレジット創出者のメリットについて解説していきます。
クレジット売却で利益を得られる
まずは、市場でのクレジット売却により利益を上げられることです。「オフセットプロバイダー」と呼ばれる仲介業者を介した個別の企業間取引も可能ですが、Jクレジット事務局による入札も定期的に開催されています。
2030年の目標年度に向けて、取引も活発化し落札単価も上昇しています。
環境経営で固定費削減
省エネを軸とした環境経営は電気やガス、灯油等の使用量を抑えることにつながります。
昨今のエネルギー調達コストの高騰による経費の上昇は企業経営を圧迫しておりますが、補助金を活用した省エネ・再エネ設備の導入は企業経費の削減につながります。
Jクレジットを通じて社会へ環境経営をアピールできる
Jクレジットへ登録すると、企業名および取り組み内容が一般に公開されます。
広く一般消費者に向けてのアピールにもなり、企業イメージの向上につながります。
同様のサービスや商品であれば、より環境にやさしいほうが選ばれる傾向(「エシカル消費」)があり、売り上げの向上に貢献するケースもあります。
Jクレジット参加による新たな取引先の獲得
また、企業の環境経営のアピールとなります。
SDGs・ESG投資・RE100(再生可能エネルギー100%導入)への取り組みなど、環境に関する企業の取り組みが財務指標と同等、あるいはそれ以上に評価される時代です。
特に大企業はCSR(企業の社会的責任)を重視し環境経営を率先する義務があり、CO2排出量の削減にも大きな負担を強いられており、パートナー企業にもそれを求めます。
Jクレジットに登録することで、環境価値の交換マッチングとしてのみならず、新たな商取引が生まれる可能性が大いにあります。
環境経営について社内で取り組む意識が根付く
Jクレジットへの登録は社会へ広く公開されることになり、社内での環境経営に対する意識が根付きます。
環境経営についての議論や提案が活発になり、さらなる効果を生み出すでしょう。
Jクレジット創出者のデメリット
Jクレジットの創出者となることは良いことづくめと思われますが、デメリットについても解説します。
クレジットの売却額は常に変動している
クレジットの売却には市場原理が働くため、常に取引単価が変動しています。
現在のところ年々取引単価は上昇していますが、今後登録が増えると供給過多になり、価格が下落するリスクもあります。
登録や取引に時間がかかる
Jクレジット制度に登録するためには、CO2の削減や吸収のプロジェクトを立ち上げ、審査を受ける必要があります。
審査が通りプロジェクトが実行された後もモニタリング調査により実測値を検証する必要があるため、Jクレジットの認証を受け市場で取引できるようになるまでには3年〜4年掛かってしまいます。
そのため、短期的な収支計算は立たないのが現状です。
CO2削減のための機器導入のコスト負担
CO2排出量削減のための機器の導入には、環境省のSHIFT事業を代表とする各種の補助金制度がありますが、それでも企業には大きな設備投資コストの負担が掛かります。
Jクレジットの売却を通じて投資回収するには期間が掛かり過ぎるため、企業に環境経営の理念や目標が無いと、導入を進めることは難しいのが現状です。
Jクレジットへ参加する方法
「Jクレジットへ参加するにはどのような手続きが必要なのかわからない」という方も多いのではないでしょうか?
ここからは、省エネ・再エネ設備の導入で認証を受ける場合について解説します。
プロジェクトへの登録手続き
一連の手続きは、「Jクレジット登録簿システム」を利用した電子申請となります。
CO2排出量の削減につながる省エネ・再エネ設備の導入についての具体的な手法(「方法論」と呼ばれます)を策定し、「プロジェクト計画書」を提出します。
Jクレジット制度認証委員会に内容が妥当だと判断されれば、プロジェクトが登録され一般に公開されます。
一定期間モニタリングの実施と報告
プロジェクトの認証を受けただけでは、Jクレジットは発行されません。プロジェクトを実行した後のモニタリング調査で、CO2排出量の削減値を実測し検証報告をする必要があります。
検証報告がJクレジット制度認証委員会に諮問され、認証されて初めてJクレジットが発行されます。
Jクレジット制度事務局による支援制度
プロジェクトの作成やモニタリング調査の実施には、制度事務局による報告書作成や費用の支援制度があるため、ハードルは決して高くありません。
空調機の入替や照明のLED化から太陽光発電の導入まで様々な事業が該当しますので、積極的にチャレンジしてみる価値があります。
Jクレジット制度を活用する時は中古太陽光発電の検討がおすすめ!
Jクレジット制度を活用し、エネルギー創出者となることを検討される企業様におすすめなのが、太陽光発電設備から得られたCO2フリーの再生可能エネルギーを自社の消費電力に取り入れることです。
太陽光発電設備の導入には、和上ホールディングスの「とくとくファームZERO」をおすすめします。
近年増加しているのは、太陽光発電で得られた電力を売電するのではなく、自家消費電源(Non-FIT電源)として活用する方法です。「とくとくファームZERO」は、既存の太陽光発電設備の売却、あるいは遊休地を活用して太陽光発電設備の新設を検討している事業者様と、環境経営のため再生可能エネルギーの導入を検討する企業様をマッチングするシステムです。
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