カーボンネガティブとは?事例や技術について紹介!

カーボンネガティブとは?事例や技術について紹介!

脱炭素経営や環境関連の取り組みを行っている企業の中には、カーボンネガティブについて調べている企業もあるでしょう。カーボンネガティブは、特にマイクロソフト社が大々的に掲げていて、世界的にも注目されています。

そこで今回は、カーボンネガティブの意味や事例、技術、カーボンポジティブとの違いについて詳しくご紹介します。カーボンネガティブについて調べているものの情報が少なくわからない方や脱炭素経営につながる考え方や枠組みを取り入れたい方などは、参考にしてみてください。

カーボンネガティブとは何?

カーボンネガティブは、人間の経済活動により排出されるCO2などの温室効果ガスの量よりも、吸収・除去する量が上回っている状態を指しています。

地球温暖化が世界的に問題となっており、その原因となっているのが、産業革命以降の経済活動により人工的に排出されているCO2などの温室効果ガスです。

人間が地球の環境を保護しながら経済を成長させる持続可能な社会を目指すには、温室効果ガスの削減が非常に重要です。

そのため、今後はより積極的に吸収・除去するカーボンネガティブに取り組むことが大切になってきます。

カーボンネガティブとその他用語との違い

環境問題に関連するカーボンネガティブには、意味合いが似ている用語などもあります。他の用語との違いについて詳しく解説します。

カーボンポジティブは同じ意味

「カーボンネガティブ」と似た言葉に「カーボンポジティブ」という言葉があります。ネガティブとポジティブという反対の意味を使っていますが、この2つの言葉の意味合いはほぼ同じです。

「カーボンネガティブ」がCO2を除去することに焦点を当てているのに対し、「カーボンポジティブ」はCO2の吸収に重点を置いています。

どちらの言葉も、排出されるCO2の量よりも吸収・除去する量が上回っている状態で、企業によって使用する言葉が異なります。

カーボンニュートラルとはCO2の削減に対する取り組み方が異なる

カーボンニュートラルとは、人間が経済活動の中で排出するCO2をはじめとする温室効果ガスの排出量から、植林などによるCO2の吸収量を相殺することで、実質的な排出量をゼロにすることを言います。

人間が経済活動を行なっていく上で、完全にCO2の排出量をゼロにすることは容易ではありません。そこで植林などCO2を吸収する森林を増やすことで、CO2の排出量がプラスマイナスゼロになるような取り組みを行っています。

カーボンオフセットとは仕組みが異なる

カーボンオフセットとは、CO2の吸収量を証書にし、カーボンクレジットとして購入することで、他社が行ったCO2削減を公式に自社の排出量削減としてもちいる仕組みのことを言います。

たとえば、カーボンニュートラルを目指している企業が、自社ではCO2の排出量の削減が目標値を下回った場合、その差の分のカーボンクレジットを購入することでカーボンニュートラルを達成することができます。

しかし、カーボンオフセットは企業自らが排出しているCO2排出量の実質的な削減とはいえないため、世界各国で問題が指摘されています。

カーボンネガティブの普及メリット

CO2の積極的な削減を行うカーボンネガティブは、どのような普及メリットがあるのかを紹介します。

脱炭素社会の実現に貢献

人的な要因による急激な地球温暖化がもたらす気候変動が、世界的に深刻な問題となっています。

地球規模での温暖化により平均気温が上昇し、氷河がとけて海面が上昇することで国が水没する可能性や、急激な気候変動で起こる豪雨による洪水、異常乾燥による大規模な森林火災など、世界各地で異常気象や自然災害が頻繁に起こっています。

地球温暖化の主な原因となっているのが、化石燃料の使用や森林伐採などによるCO2を含む温室効果ガスの排出です。

長期にわたる継続可能な社会を目指すには、環境保護をしながら経済を発展させる必要があります。そのため、企業が積極的にCO2の削減に力を入れるカーボンネガティブの取り組みは、脱炭素社会の実現に大きく貢献できます。

脱炭素経営のアピールにつなげられる

世界的に問題となっている環境問題に対し、企業が積極的に環境対策を行い、社会的な責任を果たしていくことが求められています。

そのため、カーボンネガティブを目指し、環境対策に積極的に取り組んでいる企業であることをアピールすれば、企業価値を高め、企業のブランディングに役立てることができるでしょう。

環境分野の事業発展を後押し

カーボンネガティブを目指し、世界規模で脱炭素社会を実現させるためには、エネルギー分野の再生可能エネルギー技術などの発展や、環境分野の革新的な科学技術によるイノベーションが必要です。

企業自らが積極的に技術の発展に力を注ぐことで、新たな事業展開の後押しに繋がっていきます。

カーボンネガティブの課題

地球温暖化による急激な気候変動などが起こっており、世界規模での環境対策を早急に行なっていく必要があります。そのためには、カーボンネガティブやカーボンニュートラルへの企業の取り組みが大変重要になります。

その中で問題となっているのが「グリーンウォッシュ」と呼ばれる、実質を伴わない見せかけの環境配慮です。

環境対策に力を入れているような企業活動をアピールしつつも実態が伴っていなかったり、エコな商品であることを訴えて購入を促しているが科学的な根拠や数値的な裏付けがなかったりするなど、消費者に誤った印象を与えるような問題が起こっています。

欧米ではこのような「グリーンウォッシュ」に対し制裁や規制を強化しています。

一方、日本の場合は環境省などによるガイドラインの発表に留まっているため、消費者自身が誤った情報に操作されないようにすることが大切です。

カーボンネガティブの事例

企業がカーボンネガティブ実現に向けて、実際に行っている事例を紹介します。

マイクロソフト

アメリカのソフトウェア企業であるマイクロソフトは、これまでも率先して環境対策に取り組んでおり、2012年にはカーボンニュートラルを達成しています。

さらに、CO2排出の削減に向けて「ネットゼロ」をより迅速に達成できるよう、「2030年までにマイクロソフトはカーボンネガティブとなり、1975年の創業以来、直接的および電力消費により間接的に排出してきたCO2の環境への影響を2050年までに完全に排除します」とブログを通して発表しています。

出典:「2030 年までにカーボンネガティブを実現

花王

花王は、脱炭素社会の実現に向けて2040年にはカーボンゼロを、2050年にはカーボンネガティブを目指すと発表しました。2019年にはESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」を策定し、19の重点テーマに取り組んでいます。

また、原材料の調達から消費者の手に届くまでの一連の全ての拠点などで、使用電力の100%再生エネルギー化を2021年に実現済です。

出典:「2040年カーボンゼロ、2050年カーボンネガティブ実現に向けた活動を加速

三菱重工業

三菱重工業は2020年に発表した「2021年事業計画」において、エネルギー供給側で脱炭素化を目指す「エナジートランジション」と、エネルギー需要側で脱炭素・省エネ・省人化を実現する「社会インフラのスマート化」の2つの領域の事業を推進すること定め、2040年のカーボンニュートラルを宣言しています。

三菱重工業は1990年より関西電力株式会社と共同で、燃焼排ガスからのCO2回収技術の開発を開始し、下記のようにCO2回収プラントを世界各国で納入しています。

  • 1999年:マレーシアに初号機を納入
  • 2016年:アメリカのテキサス州にてlietra Nova社向けに世界最大のCO2回収プラントを納入

現在は、30年間の研究開発と商用実績で培ったCO2回収技術の提供のため、イギリスのDrax社が推進するBECCSプロジェクトへの参画を検討。気候変動対策をリードしていく脱炭素分野でのリーダーとして、カーボンニュートラル社会の実現に向けて貢献しています。

出典:「2040年カーボンニュートラル宣言

Nikeがカーボンネガティブの材料を開発

アメリカの大手スポーツウェアのNikeは、バイオテクノロジー企業であるニューライト社との提携を行いました。ニューライト社が開発したバイオ素材である「エアカーボン」を、さまざまな用途でNike製品への使用を検討すると言っています。

「エアカーボン」は、空気から温室効果ガスを吸収して細胞内で変換する海洋微生物を使用しており、カーボンネガティブな生体材料です。

カーボンネガティブの材料を開発、使用することで、二酸化炭素排出量の削減に貢献しています。

カーボンネガティブに関する技術にも注目

カーボンネガティブに関する下記のような新たな技術にも注目が集まっています。

  • 本来は大気に排出されるはずのCO2を回収し、コンクリートの内部にCO2を大量に固定する「カーボンリサイクル・コンクリート」
  • ミドリムシを原料とした「バイオジェット・ディーゼル燃料」

このような新しい技術の進歩も、脱炭素社会を目指すためにはとても大切なことです。

カーボンネガティブはCO2吸収量の方が多い状態!

カーボンネガティブとは、経済活動により排出されるCO2などの温室効果ガスの量よりも、吸収・除去する量が上回っている状態のことです。

温室効果ガスなどが原因で起こっている、国際社会全体の大きな問題である地球温暖化を食い止めるためには、企業が自ら積極的に環境問題の対策に向けて取り組んでいく必要があります。

環境経営を考えている経営者の方は、環境対策に対して何から取り組んでいくべきか悩んでいるかもしれません。

環境経営として取り組みやすいものとして、再生可能エネルギーである自家消費型太陽光発電の導入もおすすめです。

再生可能エネルギーを活用することで脱炭素への貢献ができることに加え、電気代の費用削減も同時に行うことができます。

弊社とくとくファームZEROでは、自家消費型太陽光発電の売買仲介および購入後の保守点検まで幅広くサポートしております。

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