2021年6月18日に経済産業省は「グリーン成長戦略」という政策および方針を発表しました。今後の脱炭素経営や環境経営を検討している企業は避けては通れない方針ですので、早期に内容を把握しておくことが大切です。
そこで今回は、グリーン成長戦略の概要や特徴、太陽光発電事業との関連性について詳しくご紹介します。環境経営へ向けた準備を行っている方や太陽光発電事業を展開している方は、ぜひご参考にしてください。
グリーン成長戦略とは何?
まず、「グリーン成長戦略」を策定するに至った経緯から説明します。
日本の温室効果ガス(CO2)削減目標
2015年の「国連気候変動枠組条約締約国会議(通称COP)」で合意された「パリ協定」では、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃以内に抑える努力をするため各国が温室効果ガス(CO2)削減目標を策定することが求められました。
それを受けて日本では、CO2排出量を2030年に2013年と比較して46%削減することが2021年10月に閣議決定されています。
さらに長期的な目標としては、2050年に「カーボンニュートラル」を目指すというものがあります。これは、国内の経済活動や国民生活から排出されるCO2量を、植林による吸収や科学的な除去を差し引いてゼロにするというものです。
環境を保護しながら経済成長を目指す戦略
CO2排出量を削減する一番早い方法は、経済活動を停止しエネルギー使用量を縮小することです。
しかし、それでは経済成長を制約することになり国民の生活も貧しいものになってしまいます。その対策として、CO2排出量を削減し環境を保護しながらも、逆に成長の機会と捉え経済成長を目指す「グリーン成長戦略」を策定することとなりました。
対象の産業は14分野におよぶ
「グリーン成長戦略」では、2050年のカーボンニュートラルに向けて成長が期待される14の重点分野を選定しています。
「グリーン成長戦略(概要)」(経済産業省)を加工して作成
- 洋上風力・太陽光・地熱
- 水素・燃料アンモニア
- 次世代熱エネルギー
- 原子力
- 自動車・蓄電池
- 半導体・情報通信
- 船舶
- 物流・人流・土木インフラ
- 食料・農林水産業
- 航空機
- カーボンリサイクル・マテリアル
- 住宅・建築物・次世代電力マネジメント
- 資源循環関連
- ライフスタイル関連
これらの14の分野では、今後国家予算が重点的に配分され、各種の税制優遇や投資を呼び込むための規制緩和も進むでしょう。
更に産学を挙げての研究開発も活発になり、技術革新も進んで行く見込みとなります。
グリーン成長戦略のロードマップ
政府策定の「グリーン成長戦略」の描くロードマップは下記のようになります。
出典:「グリーン成長戦略(概要)」(経済産業省)を加工して作成
【2030年の46%削減目標達成まで】
(非電力分野)
- 規制と支援措置による徹底した省エネの推進
- 水素社会の実現に向けた取組強化
(電力分野)
- 再生可能エネルギーを主力電源へする取組
- 原子力政策の再構築
- 火力発電比率の引き下げ
- 水素・アンモニア発電の活用
【2030年以降2050年のカーボンニュートラル達成まで】
(非電力分野)
- 脱炭素化電力による電化
- 水素・アンモニア・CCUS/カーボンリサイクルなどの新たな選択肢の追求
- 脱炭素化が困難な領域は植林、DACCSやBECCSなど炭素除去技術で対応
(電力分野)
- 再生可能エネルギーの最大限導入
- 原子力の活用
- 水素・アンモニア・CCUS/カーボンリサイクルなどの新たな選択肢の追求
となっており、「火力発電比率を引き下げ」「脱炭素化電力による電化」を目指し「再生可能エネルギーを最大限導入」するという大きな流れは2050年まで確実に続きます。
グリーン成長戦略における太陽光発電の課題と戦略
「グリーン成長戦略」における太陽光発電の位置づけと今後の課題について説明します。
カーボンニュートラルを目指す上で重要な設備と位置づけ
太陽光発電は、2050年のカーボンニュートラルを目指す上で更なる規模の拡大と技術革新が求められ、今後も更なる規制緩和と補助金や税制優遇によるメリットが得られる可能性が大きい産業分野となります。
太陽光発電事業の課題
これまでの太陽光発電設備の導入促進は、主にFIT制度(固定価格買取制度)による投資メリットを前面に打ち出したものでした。
FIT制度のもとでは、10〜20年の長期間に渡って発電全量を地域電力会社が固定価格で買い取ることが保証されます。
設置コストが高額であった制度発足の初期には高額な固定買取価格が提示され、急速な拡大に貢献しましたが、参入事業者が増え設置コストも大幅に下がった現在では固定買取価格も下がり新規の投資メリットは薄れています。また、その地域の電力需給バランスを無視した昼間発電過多を引き起こしたり、乱開発による森林破壊を招くという負の側面も近年目立っています。
太陽光発電事業の課題解決のための政策
その課題を解決するため、下記のような政策が取られています。
- 再エネ賦課金財源に依存したFIT制度(固定価格買取制度)からFIP制度(市場取引や相対取引の買取優遇制度)への移行
- 大型蓄電池を導入した需給バランスの平準化
- FIT制度の利用が前提の投資案件としての設置から「自家消費型太陽光発電」モデルへの移行
- オンサイト/オフサイトPPAモデルによる初期投資無しでの太陽光発電導入の促進
この中でも、「自家消費型太陽光発電」モデルへの移行は、FIT制度の適用期間が終了した太陽光発電設備の受け皿として今後多くの需要が見込まれる分野です。
グリーン成長戦略では建物の省エネ化へ向けた方針も
「グリーン成長戦略」の重点分野の中には建物の省エネ化によりエネルギー使用量を削減する方策があります。
住宅やビルのゼロエネルギー化による固定費削減
「住宅・建築物・次世代電力マネジメント」が重点分野のひとつとされています。
これは住宅やビルなどの建築物の断熱性能を向上し外気温による影響を抑えるとともに、設備の省エネ化および太陽光発電を想定したエネルギー生産により、建物全体で消費エネルギーを差し引きゼロとすることを目指すものです。
この理念を実現し認定されたものをZEH(ゼッチ:ネットゼロエネルギーハウス)・ZEB(ゼブ:ネットゼロエネルギービル)と呼びます。
断熱性能の向上などで健康リスクの低減
ZEH・ZEBを実現することにより建物の断熱性能がアップするため、年間を通して安定した室内環境を得ることができます。住宅内での「ヒートショック」などの健康リスクを低減することにもなり、さらなる促進政策が取られています。
グリーン成長戦略は環境経営に関わる重要な戦略
「グリーン成長戦略」は単なる環境目標達成のための促進策ではありません。企業の環境経営を考える上での重要なヒントになります。
国がどのような産業へ支援・促進へ向けた活動を行うのか把握できる
先述のように、「グリーン成長戦略」では2050年のカーボンニュートラルに向けて成長が期待される14の重点分野を選定しています。今後これらの分野には、補助金などの政府予算が優先的に付き、積極的な投資を呼び込むための税制優遇や各種制度改革など、規制緩和も進みます。
この14分野は、今後大きなビジネスチャンスが生まれる分野と考えて良いでしょう。
グリーン成長戦略を読み込むことで関連制度も理解できる
「グリーン成長戦略」を正しく理解することにより、今後の産業成長フェーズを見誤ることがなくなります。
更には、環境に関わる各種の関連制度の意味を正しく理解することにつながり、企業の環境リスクを軽減します。
グリーン成長戦略を理解した上で環境経営への取り組みを検討してみよう!
ここまで、「グリーン成長戦略」の概要から2050年のカーボンニュートラルまでのロードマップを説明し、その中での太陽光発電の位置づけについて解説してきました。
「脱炭素」は環境経営を検討する上で避けては通れないものであり、企業経営に大きな負荷が掛かるものではありますが、「グリーン成長戦略」を正しく理解しその促進策に乗ることで、逆に大きなビジネスチャンスをつかむ可能性もあります。
環境経営への最短の道筋は、太陽光発電設備の導入により再生可能エネルギーへ転換し、脱炭素を図ることです。
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