太陽光発電のホットスポットを徹底解説|防ぐ方法についても

太陽光発電のホットスポットを徹底解説|防ぐ方法についても

特に大量の太陽光パネルを用いるメガソーラーを運用している場合は、ホットスポットによる事故や発電量低下に注意が必要です。

そこで今回は、太陽光発電のホットスポットに関するリスクや対策について詳しくご紹介します。メガソーラー事業を始めたばかりの方や、太陽光パネルの故障に悩んでいる方などは参考にしてみてください。

太陽光パネルのホットスポットとは?

太陽光パネルにおけるホットスポットとは、パネル内の一部もしくは全体が発熱してしまう不具合のことです。

太陽光パネルで発電された直流の電気は、セルという半導体から電極と配線を通じてパワーコンディショナへ送られます。

しかし何らかの理由でこの流れが悪くなると、電気をせき止めている部分に抵抗がかかるようになります。抵抗がかかり続けると発熱するため、発電損失および故障につながります。

特に太陽光パネルの設置枚数が多いと、ホットスポット現象に気付かず運用し続けてしまいやすいため、注意が必要なポイントです。

太陽光パネルでホットスポットが起きるとどうなる?

続いては、太陽光パネルでホットスポットが起きた場合にどうなってしまうのかわかりやすく紹介していきます。

発電量の低下を招いてしまう

太陽光パネルのホットスポット現象は、発電量の低下を招きます。

たとえば、5枚の太陽光パネルを直列につなげているとします。1枚目から4枚目までの太陽光パネルでホットスポット現象が発生してしまうと、5枚目のパネルでしか発電できません。

また、5枚目のみホットスポット現象が発生した場合、他の4枚のパネルで発電した電気を送電できず、発電量はゼロのままになります。

ホットスポット現象は、発電量の大幅な低下や発電量ゼロといったリスクにつながるため、早急に対処する必要があります。

状況によっては火災事故に発展する

ホットスポット発生後の状況によっては、発電量の低下に加えて火災リスクにも注意が必要です。

ホットスポットの発生後も太陽光パネルから光を受け続けていると、発電を行う一方で電気を流すことができない状況が続きます。さらに電気抵抗が高くなればなるほど発熱による温度上昇も続き、結果的に100℃以上の高温状態へ発展してしまいます。

これにより火災事故が起こると、設備の全損だけでなく近隣の土地や建物、人などにも被害をおよぼす可能性があるため、特に注意しなければいけないポイントです。

なお、太陽光パネルは燃えにくい素材が用いられていたり火災につながらないよう工夫されていたりしますが、それでも火災事故を防ぐことができない場合があります。

クラスタ故障につながる

ホットスポット現象を放置したり発見が遅れたりしてしまうと、クラスタ故障につながる場合もあります。

クラスタ故障とは、太陽光パネル内のクラスタに不具合が生じる状況のことです。太陽光パネル内に搭載されている太陽電池(セル)は、クラスタという単位でまとめられています。

クラスタは、パネル1枚につき3つのグループで構成されています。つまり、クラスタ故障が1ヶ所発生すると、パネル内の3分の1は発電不可の状態になります。

ホットスポットはクラスタ単位での故障につながる可能性があるため、見過ごせない不具合です。

ホットスポットのメカニズム

太陽光パネルには70個程度のセルが搭載されています。また、1枚のパネルに搭載されているセル同士は、直列に配線接続されています。

何かの原因で一部のセルが故障してしまうと、故障したセル以降のセルに電気は流れません。たとえば70個中60番目のセルが故障したとすると、1~59番目のセルで発電された電気を61番目以降のセルへ流せません。

さらに故障したセルに電気が流れ続けたり光を受け続けたりすると、電気エネルギーの一部は熱エネルギーへ変化します。熱エネルギーが発生し続けるとパネル内部は高温状態になり、さまざまな被害につながるおそれがあります。

ホットスポットの原因

ホットスポットの内容やメカニズムについて把握したあとは、原因について確認していきましょう。ホットスポットを防ぐためには、原因についても理解しておく必要があります。

初期不良による故障

製造過程で故障している太陽光パネルが検査を通ってしまい、そのパネルを使用することでホットスポット現象に見舞われてしまうケースもあります。

初期不良の場合は、メーカー保証で無償交換・修理してもらうことが可能です。一般的にメーカー保証は10~15年程度です。メーカー側では品質管理体制を整えているものの、数100万以上の太陽光パネルを製造・検査している過程で初期不良のパネルを出荷してしまう可能性もないとは言えません。

点検の結果、初期不良の場合は、製品保証を活用して修理・交換してもらいましょう。

経年劣化

太陽光パネルは、長期使用によって劣化していきます。劣化の状況次第では、ホットスポット現象が発生することもあります。

具体的には、長期間の使用に加えて振動や温度、湿度といったさまざまな影響を受けることで、セルがひび割れてホットスポットにつながる仕組みです。

マイクロクラックという細かなひび割れが発生した場合、電極も切断されてしまうことが

あります。また電極が切断すると、発電効率の低下や電気抵抗の上昇といった不具合が起こる可能性があります。

鳥の糞などによるパネル表面の影

鳥の糞などが付着してパネル表面に影が発生すると、ホットスポットを引き起こす場合があります。

影のかかったセルとかかっていないセルでは、発電量に差が生じます。すると、影のかかったセルでは発電量の大きなセルから流れてきた電気を流し切ることができず、電気抵抗の上昇につながります。

つまり、影のかかった部分では、特にホットスポットが発生しやすいと言えます。

パネル表面への荷重と電気抵抗上昇

太陽光パネル表面に荷重がかかり破損した場合も、電気抵抗の上昇およびホットスポット現象につながります。

強風や積雪、点検作業員の不注意などで太陽光パネルに体重をかけてしまうといった理由で、パネル内のセルが割れてしまうことがあります。セルが破損したり断線したりすると、正常に発電できず危険な状態になります。

特に積雪量の多い地域で太陽光発電を始める場合は、パネルの角度を工夫したり定期的な除雪作業を行ったりするのが大切です。

地上設置型の場合は雑草などによる影

地上設置型太陽光発電は雑草の影響を受けやすいため、気を付ける必要があります。太陽光パネルに雑草の影がかかってしまうと、ホットスポット現象につながる可能性があるためです。

前段で解説したように、太陽光パネルの一部に影がかかると電気抵抗の上昇につながります。電気抵抗が上昇すると発熱するため、セルや周辺部分の破損や火災に発展しやすいと言えます。

太陽光発電の運用では、設備自体の保守点検だけでなく設置場所の環境についてもチェックするのが重要です。

太陽光パネルでホットスポットを防ぐには?

ここからは、太陽光パネルにおけるホットスポットを防ぐ方法を確認していきましょう。

日々発電量をチェックする

遠隔監視装置などで日々発電量をチェックすることが、ホットスポットをはじめとした異常の早期発見につながります。

ホットスポットの発生時は、正常に発電している状況と異なり発電量の低下といった現象が見られます。そのため、日々発電量をチェックしていれば、発電効率に関する異常や変化から早期の保守点検が必要かどうか判断することが可能です。

ただし、ホットスポットが小さい場合は、発電量に大きな影響を与えないケースもあります。対策としては、発電量のチェックに加えて次に紹介する内容も組み合わせることです。

太陽光パネルのこまめな洗浄

太陽光パネルのこまめな洗浄を欠かさないようにしましょう。ホットスポットの原因でもある太陽光パネル表面の汚れや落ち葉などの付着は、影の発生と発電量低下につながります。

太陽光パネルの洗浄はO&Mサービスに依頼するのがおすすめです。屋根設置型太陽光発電の洗浄は危険を伴うことがあります。また地上設置型太陽光発電の洗浄であっても、はしごを使用することがあり、転落事故の危険性もあります。

太陽光発電周辺の定期的な清掃

特に地上設置型太陽光発電を運用している場合は、発電所周辺の管理や定期的な清掃を怠らないようにしましょう。

雑草やごみなどの影響で影が発生し、なおかつ太陽光パネルにかかってしまうと、発電効率の低下やホットスポット現象につながるリスクがあります。そのため、除草作業や清掃を定期的に行うのは、ホットスポット防止という点でもメリットがあります。

またイノシシなどの野生動物が簡単に侵入できる状況では、配線ケーブルをかじられたり太陽光パネルが破損したりしてしまう可能性も出てきます。

害獣被害を防ぐには、太陽光発電所の敷地を防犯用のフェンスで囲むなどの対策を立てる必要があります。

赤外線サーモグラフィーでパネル表面の発電状況をチェック

ホットスポットの発生状況は、赤外線サーモグラフィーで確認することが可能です。

ホットスポットの発生している部分は発熱しているので、他のセルより高い温度で推移しています。つまり赤外線サーモグラフィーで太陽光パネルを計測すれば、一目で高温のセルを発見できます。

なお、太陽光パネルの角度や設置場所の関係で測定できない場合は、O&Mサービスに相談するといいでしょう。O&Mサービスは、太陽光発電のあらゆる不具合に関する知識とチェック方法、対処法を把握しています。

また、赤外線サーモグラフィーに対応しているケースがほとんどなので、ホットスポットの発生状況を含めすぐに確認してもらえます。

ドローンによる空撮で発熱や汚れを確認

ホットスポットの発生状況を効率的にチェックする方法としておすすめなのが、ドローンによる空撮です。

従来の方法は、人の手で太陽光パネルの状態を検査していました。しかし、メガソーラーなどの大規模な太陽光発電には数1,000枚以上の太陽光パネルが設置されているため、ホットスポットの確認だけでも時間がかかってしまいます。

一方、赤外線サーモグラフィーを搭載したドローンを活用すれば、上空から各パネルの汚れや異常の有無を一気に確認できます。

そのためO&Mサービスを比較検討する時は、赤外線サーモグラフィー付きドローンに対応しているかも含めて判断するといいでしょう。

太陽光パネルのホットスポットはドローン点検で早期発見!

太陽光パネルのホットスポットは、パネルの一部もしくは全体の発熱や発電量低下につながる不具合です。また、不具合の状況によっては火災事故に発展するおそれもあります。

メガソーラーのメンテナンス先を探している方やホットスポットが発生しているかすぐに確認したい方は、今回の記事を参考にしながらとくとくサービスを検討してみてはいかがでしょうか。

とくとくサービスでは、低圧からメガソーラーまで幅広い種類の太陽光発電に関するメンテナンスサービスを提供しています。今ならドローンを活用した無料メンテナンスサービスもあるので、試しに利用してみたい方もこの機会にぜひご相談ください。

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