太陽光発電を導入するときに、気になるのはその発電量です。高額な投資をする以上、十分な発電量を得たいと考えるのが当然のこと。ここでは、太陽光発電システムの発電量についてと、発電量に関連する用語の意味も解説します。
太陽光発電システムの発電量の単位「kWとkWh」について
まずはじめに、太陽光発電システムの発電量の単位や用語について解説していきます。
kW(キロワット)とは?
「kW(キロワット)」は、電力の単位で、「瞬間的な電力の量」を表します。
例えば、家庭の電力需要を賄うために必要な電力が1 kWの場合、1,000ワットの電力を意味します。太陽光発電システムの場合だと、3 kWの出力を持っている場合、3,000ワットの電力を瞬間的に供給できるということになります。これは多くの電化製品や機器が使用する電力量に関係しています。
kWh(キロワットアワー)とは?
「kWh(キロワットアワー)」は、「電力の消費量」を表します。
これは「電力(kW)×時間(h)」として計算できるのですが、例えば、1時間に太陽光発電システムが1 kWの電力を供給し続けた場合、それは1 kWhの電力を生成したことになります。太陽光発電システムが1日に10時間稼働し、その間に1 kWの電力を供給した場合、それは1日に10 kWhの電力を生成したということです。
つまり「kW」は瞬間の電力を示し、「kWh」は時間にわたる電力の消費量を示します。太陽光発電システムの出力は「kW」で表され、発電量や消費量は「kWh」で表されます。
このように、「kW」と「kWh」は太陽光発電システムの性能や電力の使用量を理解するための重要な指標となります。
太陽光発電の発電量の目安について
太陽光発電の発電量について、どのくらいの電力量を得れば元が取れるのか気になりますよね。一般的な目安としては、1kWあたり年間約1000kWh程度です。ただし、これはあくまで目安であり、実際の発電量は季節によって変動します。特に季節の変化が顕著な地域では、年間の発電量にも差が生じます。
一日あたりの発電量は約2.5~3.8kWh/kW程度、一ヶ月あたりの発電量は約80~120kWh/kW程度が目安とされます。冬季は日射量が減少し、発電力が低下する傾向がありますが、実は夏場には高温によりソーラーパネルの出力が低下し、発電量が減少することもあります。四季だけで発電量を予測するのが難しいことをわかっていただけるかと思います。
また、個々の環境によっても発電量は異なります。設置面積や地域の特性、機器の性能などによっても発電条件に大きな差が生じることがあります。そのため、具体的な発電量を評価するには、個別の環境要素を考慮する必要があります。
太陽光発電の発電量を左右する条件
太陽光発電の発電量は多くの要素によって左右されますが、環境や設置条件に合わせた最適な設計と適切な運用が重要です。そのポイントをご紹介します。
設置条件と発電量
太陽光発電の発電量は、設置エリアの気候や設置場所、ソーラーパネルの設置枚数や性能によって左右されます。広い面積を使えるほど、ソーラーパネルの設置枚数を増やせるため発電量が増えます。また、屋根の広い建物に設置する場合は有利ですが、近年のソーラーパネルの省スペース化・軽量化により、小規模な屋根でも導入が可能となりました。
ソーラーパネルの性能と気候条件
ソーラーパネルの性能は、変換効率や気候条件によっても影響を受けます。変換効率は太陽光エネルギーを電気エネルギーにどれだけ効率よく変換できるかを示し、高いほど性能が良いです。平均的な太陽光発電の変換効率は10〜19%であり、数値が高いほど価格も上昇します。
気候条件も太陽光発電の効率に影響を与えます。晴天の日はより多くの発電量が得られますが、夏場の高温により発電力が低下する特性もあります。日照時間が長く、雨や曇りの少ない地域が太陽光発電にとって有利です。また、雪国でも適切な角度でソーラーパネルを設置すれば、雪による反射が発電にプラスの影響を与えることもあります。理想的な設置角度は傾斜角30度であり、角度や周囲の乱反射による光の量も考慮する必要があります。
時間帯ごとの発電量の変動は?
晴天の日において、太陽光発電の発電量は一日の中で時間帯によって変動します。発電できる時間は、日が照っている間だけです。
初夏の最長日では、発電可能な時間帯は朝の5時から夜の19時まで。冬場では、発電可能な時間帯は朝の7時から夕方の17時頃まで。特に発電量が多いのは正午前後で、約3時間で全体の約40%、5時間で約60%の発電量が集中しています。ただし、天候やパネルの設置条件によっても発電力は異なることに注意が必要です。
天候が快晴でも、午後13時に急に発電力が低下することがあるのですが、これはソーラーパネルが高温になり過ぎていることが原因です。一部の太陽電池は高温に弱い性質を持っているため、このような現象が起こることがあるのです。しかし、適切な太陽電池の選択や熱損失の防止策を取ることで、効果的な発電を実現することが可能です。
太陽光発電の発電量の計算方法と要素
専門的なことになるのですが、太陽光発電システムの発電量を計算する方法とその計算に用いられる要素について説明します。
太陽光発電システムの1日あたりの発電量および年間発電量は、以下の計算式に基づいて求めることができます。
- 発電量(1日)=1日あたりの平均日射量(H)×システムの容量(P)×損失係数(K)
- 年間発電量(Ep)=1日あたりの平均日射量(H)×システムの容量(P)×損失係数(K)×365÷1
上記の計算式で出てきた要素の詳細は次の通りです。
- 年間発電量(Ep): 予想される1年間の発電量(kWh)
- 1日あたりの平均日射量(H): 太陽光発電の設置面積における1日あたりの平均日射量
- システムの容量(P): 設置した太陽光発電システムの容量(kW)
- 損失係数(K): 発電時に発生する損失を考慮した係数。日本では一般的に「0.85」が使用されます。
損失係数は、セルの温度上昇による損失やパワーコンディショナーによる損失、配線や受光面の汚れによる損失などによって変動します。この計算式から分かるように、予測発電量はソーラーパネルの発電量に損失係数を乗じることで求められる値です。
発電量を最大化するための3つの対策方法
太陽光発電の発電量を最大化するためには、以下の3つの対策が考えられます。
ソーラーパネルの設置枚数を増やす
屋根の面積が限られている場合でも、ソーラーパネルの種類を選ぶことで設置枚数を増やすことができます。省スペースで効率的な機能を持つソーラーパネルの選択が必要になるので、専門業者に相談して最適な設置方法を検討しましょう。
ソーラーパネルの性能を向上させる
ソーラーパネルの性能が高ければ高いほど、より多くの発電量が期待できます。性能の低いパネルでは思うように発電できないこともあるため、安いからといって安直に飛びつくのは要注意です。品質は大事です。
ソーラーパネルの設置角度と場所の最適化
ソーラーパネルの設置角度や設置場所は、発電量に大きな影響を与えます。微妙な角度の調整によっても発電量が変化するため、業者の知識や技術を活用して最適な設置角度や場所を決定しましょう。
住宅に適したソーラーパネルの選び方
住宅に合ったソーラーパネルを選ぶためには、消費電力や地域の気象条件、目的に応じたシステムの規模などを総合的に考慮する必要があります。そのポイントを3つご紹介します。
消費電力を考慮した適切なシステム容量の選択
家庭の1年間の消費電力を目安にして、それに見合った発電量を得られるシステム容量を選びましょう。一般的な家庭での年間消費電力は約4,800kWh程度です。システム容量が0.25kW前後であれば、20枚以下のソーラーパネルで5kW前後の発電量が得られます。
気象条件のリスクを考慮した選択
地域ごとの気象条件も重要な要素です。北海道や東北・北陸地方では、年間の推定発電量が他の地域よりも低くなる傾向があります。地域の年間日照時間や気温などを考慮しながら、発電量のリスクを最小限に抑えたパネル選びをしてくださいね。
目的に応じたシステムの規模を検討
発電量だけでなく、目的に応じたシステムの規模を考慮することも忘れてはいけません。節電や自然エネルギーの活用を目的とする場合、システムの規模が小さくても十分に効果を発揮することがあります。年間消費電力量を少なく見積もって計画することも検討してみてください。
ソーラーパネルの大きさと発電効率の関係
ただ、ソーラーパネルの大きさが発電効率に直結するわけではありません。
ソーラーパネルの発電効率が高ければ、同じ発電量を得るために必要な枚数を減らせます。しかし、高性能なパネルは高価なので、コストを抑えたい場合は枚数を増やすことも一つの選択肢になりますね。
そして、大きなパネル面積は屋根に負荷をかけることになり、設置スペースの制約や屋根の向きによっては、大きなパネルの設置が難しい場合もあります。屋根の負荷や安全性に注意しながら、適切なパネルの大きさを選びましょう。
パネルのサイズに関しては、大きなパネルの設置には、雨漏りや事故のリスクが伴う場合があります。特に薄い屋根やカーポートの場合は注意が必要です。リスクを最小限に抑えるためには、高出力で面積の小さいソーラーパネルを選ぶことが有効です。
このようなことから、ソーラーパネルの大きさと発電効率が比例するとは一概には言えません。予算や屋根の負荷、リスクなどを総合的に考慮して、最適なパネルの選択を行ってください。
太陽光発電の発電量を把握するためのポイント
太陽光発電システムの発電量は、電力消費量や設置条件、気象条件など様々な要素が影響を与えます。
そのため、自宅の過去の年間電力消費量を調べ、電力消費量の把握することで太陽光発電システムの容量を決定することも忘れずに。気温や天候も発電量に大きく影響するので、日照時間や気温の関係を考慮しておくことも必要です。
ソーラーパネルの変換効率やパワーコンディショナの性能など、システム上の要因が発電量に影響するため、高性能なパネルを選ぶことで効率的な発電が期待できます。そしてソーラーパネルの設置枚数や設置場所、角度などの設計上の要因が発電量に影響してきます。
これらの要素を総合的に考慮することで、太陽光発電システムの発電量をより正確に把握できます。
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