発電量調整供給契約とは?接続供給契約との違いについても解説

発電量調整供給契約とは?接続供給契約との違いについても解説

非FIT型太陽光発電や卒FIT後も売電を行うには、一般送配電事業者と発電量調整供給契約を交わす必要があります。しかし初めて太陽光発電を導入した方にとっては、発電量調整供給契約の詳細や必要性についてよくわからない部分も多いかと思います。

そこで今回は、発電量調整供給契約の概要や特徴、FITを活用しない太陽光発電の運用や出口戦略について詳しくご紹介します。卒FIT後も太陽光発電で売電事業を行いたい方や、卒FIT後の太陽光発電をどうすべきか悩んでいる方などは、参考にしてみてください。

発電量調整供給契約とは

冒頭でも紹介したように、非FIT型太陽光発電で売電事業を進めるには、発電量調整供給契約を交わす必要があります。まずは、発電量調整供給契約に関する特徴や要件について1つずつ確認していきましょう。

一般送配電事業者を介して小売電気事業者へ電力供給

発電量調整供給契約は、発電所で発電した電気を需要家(電気の使用者)へ供給するために必要な契約およびサービスです。

発電所を所有している事業者が売電を行うには、一般送配電事業者の送配電ネットワークを使用します。その際に交わすのが、発電量調整供給契約です。

また一般送配電事業者は安定した電力供給を実現しなければいけないため、発電事業者は事前に発電量調整受電計画電力量という予想発電量を提出する必要があります。

契約には要件を満たす必要がある

発電量調整供給契約には、いくつかの要件が定められています。

以下に主な要件をわかりやすく紹介していきます。

  • 発電量調整受電計画電力量に合わせて電力供給を行う
  • 契約した一般送配電事業者の送配電設備で電力供給を行う
  • 一般送配電事業者の送配電設備と系統連系する際、法令や技術基準に沿う
  • 高圧や特別高圧契約の場合は、一般送配電事業者からの給電指令(電力供給)に従う
  • 発電量調整供給の契約内容の遵守

発電量調整供給契約の契約期間は、一般送配電事業者と個別に協議を進めて決めていく流れです。そのため、契約期間は発電契約者ごとで異なります。

要件を満たせる場合は、管轄の一般送配電事業者サイトへアクセスし、専用窓口から問い合わせおよび相談を行います。また、接続検討という申込手続きを行う際、1受電地点1検討につき22万円(税込)の検討料金がかかります。

利用には工事費負担金がかかる

発電量調整供給には、工事費負担金という費用がかかります。

太陽光発電所で発電した電気を供給するには、送配電設備と発電所を接続するための工事である系統接続を進めなければいけません。ただし、この工事は一般送配電事業者で準備および施工してもらえます。

そのため発電事業者は、系統接続に必要な費用を、工事費負担金という形で一般送配電事業に支払います。

工事費負担金の金額は、一般送配電事業者によって異なります。北海道電力や東北電力などでは、発電所ごとの設備規模や電線の距離に応じて費用を算出しています。一方、東京電力や中部電力などは、各発電所の出力1kWごとに算出しているのが特徴です。

発電量調整供給契約では電力料金がかかる

発電量調整供給契約によって太陽光発電の電気を売電する場合は、電力料金という費用がかかります。

一定規模以上の太陽光発電所をはじめ、大規模な発電所で発電された電気は、そのすべてを蓄電池に貯めることはできません。また、停電リスクを抑えながら安定供給を実現するには、常に電力供給量と消費電力量(需要)を一致させる必要があります。

そのため電力供給に関しては、電力需給を一致させるための制度が定められています。これを計画値同時同量といいます。

発電量調整供給契約を交わした発電事業者は、需要家(電力使用者)の電力需要の予測値(消費電力量)に関する計画を策定し、電力広域的運営推進機関経由で一般送配電事業者へ計画書を提出します。

しかし、実際に発電および電力供給を始めると、事前の計画値と需要や供給量が異なるケースが出てきます。

このような場合、一般送配電事業者は、電力を安定供給するために余剰電力や不足分を調整します。一方の発電事業者は、その調整分のコストをインバランスコストとして一般送配電事業者に支払うことになります。インバランスコストは、30分ごとの余剰電力や不足分(計画値との差分)をベースに算出されます。

なぜ太陽光発電の売電で発電量調整供給契約が必要?

非FIT型太陽光発電で売電を行うには、計画値同時同量という制度に沿って電力供給しなければいけません。そのため、計画値同時同量の含まれた発電量調整供給契約が必要なのです。

FIT型太陽光発電の場合は、FIT制度の特例によって計画値同時同量を考慮せずに電力を買い取ってもらえます。また、一般送配電事業者はFIT電力の買取義務があるため、出力抑制以外の理由で買取を拒否するといったリスクもありません。(※出力抑制:余剰電力が発生するため、一時的に電力買取を止める措置)

しかし、非FIT型太陽光発電の電力には買取義務がなく、かつ計画値同時同量の対象です。

つまり、FIT制度を活用しない発電事業者は、新たに一般送配電事業者と発電量調整供給契約を交わさなければ売電事業を始められないということです。

FIT型太陽光発電のみ運用したい場合は今後どうする?

発電量調整供給契約と非FIT型太陽光発電の関係を把握した方の中には、FIT認定を受けずに売電するべきか慎重に考え始めた方も多いのではないでしょうか。

続いては、FIT型太陽光発電のみ運用したい場合にどうすればいいのか対応策を紹介していきます。

FIT期間終了前に設備を売却

卒FIT後の運用方針が定まらない場合は、固定買取期間中に売却するのがおすすめです。

セカンダリー市場では、FIT認定を受けた稼働済み中古太陽光発電所も人気です。固定買取期間の残る中古太陽光発電所なら、早期に買い手を見つけられる可能性がありますし、売薬額をアップさせやすい状況といえます。

稼働済み中古太陽光発電所の電力の固定買取価格は、FIT認定を受けた年度によって異なります。固定買取価格は年々下落傾向なので、中古太陽光発電所の方が売電収入を伸ばしやすく、需要のある設備です。

全量自家消費型太陽光発電へ切り替える

卒FIT後も太陽光発電所を活用していきたい一方で、発電量調整供給契約に伴う負担を避けたい時は、全量自家消費型太陽光発電へ切り替える方法も選択できます。

全量自家消費型太陽光発電は、一般送配電事業者との系統接続をせずに、自社の設備や建物へ電力を供給させる方式です。

売電に伴うインバランスコストを負担せずに済みますし、電気料金削減効果も伸ばせます。

その一方で、災害や飛来物による破損対策、保険の加入、保守点検のためのO&Mサービス費用など、維持管理費用がかかります。

設備の廃棄後マンション建設など他の土地運用を目指す

太陽光発電以外の事業へ切り替えたい場合は、設備の撤去後に駐車場経営やマンション建設といった運用方法を検討することも可能です。

しかし、自社の敷地や屋根に太陽光発電を設置している場合は、不動産経営を行えません。また、太陽光発電に適した土地でも遠隔地にある場合は都市部から離れていますし、交通の利便性などといった点で不利な傾向です。

太陽光発電以外の事業を行いたい場合は、まず太陽光発電所の売却益で資金調達してから、計画を立てるのがいいかもしれません。

太陽光発電を手放すなら売却の方が良い理由

最後は、太陽光発電所を手放す際に売却を選択した方がいい理由を確認していきましょう。

まとまった売却益を得られる

太陽光発電所を売却すると、まとまった売却益を得られます。稼働済み中古太陽光発電所の表面利回りは、10%前後で設定されている傾向にあります。たとえば、年間100万円の売電収入を得ている太陽光発電所なら、「100万円×10=1,000万円」前後で査定してもらえるでしょう。

出力50kW台の太陽光発電所でも年間の売電収入は100万円前後なので、1,000万円前後の売却益を期待できます。

全量自家消費型太陽光発電と異なり運用コストがかからない

中古太陽光発電所の売却は、全量自家消費型太陽光発電と比較してコストという点でもメリットがあります。

卒FIT後に全量自家消費型太陽光発電として運用する場合、自家消費分の電気料金を削減できますし、非常用電源として活用することが可能です。

しかし、保険料や保守点検の依頼費用、廃棄費用の積立、故障時の修理や交換費用などといった負担がかかります。

全量自家消費型太陽光発電へ切り替える理由や目的がない場合は、売却についても検討してみるのがおすすめです。

弊社とくとくファームの場合、太陽光発電所の売却に伴う仲介手数料や物件掲載料などは不要です。また、売却後の税務処理にも無料で対応しています。負担を抑えながら売却を進めたい方は、ぜひご相談ください。

太陽光発電に適した土地は不動産経営に適していない可能性

太陽光発電事業ではなく不動産経営を始めたい場合は、太陽光発電所と土地を一緒に売却するのがおすすめです。

前半でも解説したように太陽光発電に適した土地は、一般的に都市部から離れていてマンションやアパート経営などに適していません。

そのため、不動産投資を始めたい場合は、太陽光発電用地の活用ではなく中古太陽光発電所の売却益で新たに土地を取得するなど、視点を変えて事業を検討するのが大切です。

発電量調整供給契約は卒FITや非FITで売電したい場合に必要!

太陽光発電事業において発電量調整供給契約は、FIT認定を受けずに売電を行う上で欠かすことのできない契約です。また、発電量調整供給を行う場合は、工事費やインバランスコストの負担などがかかります。

FIT型太陽光発電で売電を行いたい方や卒FIT後の運用方針を定めていない方などは、今回の記事を参考にしながら中古太陽光発電の売却について検討してみてはいかがでしょうか。

とくとくファームでは、FIT認定を受けた稼働済み中古太陽光発電所の売買仲介に対応しています。専任のアドバイザーがお客様に合わせたご提案を行い、スムーズな売却へ向けてサポートします。

また、売却後の税務処理にも無料で対応しており、売却額を少しでも多く残したいというご要望にもお応えいたします。

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