太陽光発電は再生可能エネルギーの一角を担い、気候変動対策とエネルギーセキュリティの強化に寄与しています。
この記事では、そんな太陽光発電の買取制度に焦点を当て、特に日本のFIT制度とその改正について詳細に解説します。
具体的には、固定価格買取制度が太陽光発電の投資や導入にどのような影響を与え、その終了後の可能性などについても考察します。
太陽光発電の固定買取制度(FIT)とは?
太陽光発電の「固定買取制度」を簡単に言うと、再生可能エネルギーを利用して発電した電力を電力会社が一定の期間と価格で買い取ることを国が保証する制度です。
この制度がスタートしたのは2014年7月で、その内容は2017年4月に一部修正され、現在に至ります。
固定買取制度が開始されたのは、人類が直面する「地球温暖化」問題に対応するための一策であり、その大前提として、再生可能エネルギーの普及が求められています。
ただし、この固定買取制度が適応される再生可能エネルギーは、太陽光だけではなく、風力、地熱、水力、バイオマスも含まれます。今回の記事では、「太陽光発電」にフォーカスして解説します。
固定買取制度の「余剰電力」と「全量買取」の違いとは?
太陽光発電の買固定取制度には、「余剰電力買取制度」と「全量買取制度」の2種類があります。買取対象となる電力量や買取期間などに大きな違いがあります。
家庭用太陽光発電で適用される「余剰電力買取制度」
余剰電力買取制度とは、自宅で使う電力量よりも太陽光発電による発電量が多い場合、その「余剰分」を電力会社が10年間にわたり買取る制度です。そのため、家庭での電力消費量が増えると、販売による収入は相対的に減少します。
この制度は、ソーラーパネルの総出力が10kW未満の場合に適用されます。日本の一般的な住宅の屋根に設置可能なソーラーパネルの総出力は約5kWであることから、個人住宅には主にこちらの制度が適用されます。
産業用太陽光発電で適用される「全量買取制度」
全量買取制度とは、太陽光発電により発生した全ての電力を、電力会社が20年間固定で買い取る制度です。ですので、設備を設置した側は、発電した電力を一切自己消費せずに全量を販売します。
この制度は、ソーラーパネルの総出力が10kW以上の場合に適用されます。標準的な住宅のソーラーパネル(約5kW)の二倍以上の大きさを想像していただければ、この規模のパネル設置には広大な土地が必要であることがわかっていただけるはずです。そのため、全量買取制度は主に産業用途の設備に適用されます。
2017年に改正された固定価格買取制度の内容を簡単に解説
太陽光発電の固定価格買取制度は、2017年4月に重要な変更が加えられました。
3つの主要な改正点について簡単に解説します。
1. 買取価格決定方法の多様化
改正前の制度では買取価格は年度ごとに決定されていましたが、新制度では太陽光発電のタイプや規模ごとに異なる方法で決定されます。これにより、太陽光発電の多様性を反映するようになりました。
2. 太陽光発電設備認定の見直し
改正により、太陽光発電設備の認定制度も見直されました。新制度では、より適切で安全な設備を目指し、設備認定に必要な基準項目に新しい項目が追加されました。これにより、設備の質の向上が期待されます。
3. 一般住宅用太陽光発電の買取価格低減
新制度では一般住宅用の太陽光発電の買取価格の段階的な低減が予定され、それに伴うスケジュールが示されました。これにより、住宅オーナーは買取価格の未来予測に基づいて太陽光発電への投資を計画できます。
出典:改正FIT法による 制度改正について – 資源エネルギー庁
既存の太陽光発電設備は安泰!FIT価格変動の影響とは?
太陽光発電設備を検討している方にとって、FIT価格の動向は気になるところですよね。
まず重要な点は、FIT価格が新制度下で毎年下降するとしても、すでにFITが適用されている設備については買取価格は下がらないということです。つまり、一度認定を受けた設備の買取価格は固定され、その認定状態が維持されます。
加えて、一度決定された買取価格や買取期間が変更されることは、原則としてありません。これはFIT制度の一貫性と予測可能性を維持するための重要な要素です。
しかし例外はあります。経済産業省により、「物価その他の経済事情に著しい変動が生じ、または生じる可能性があるとき、特別な必要性があると認められた場合には、調達価格を改定することが可能」とされています。これが指しているのは、急激なインフレーションやデフレーション、スタグフレーション(景気の停滞と物価の持続的な上昇が同時に進んでいる状況)のような、極めて特殊な経済状況の場合です。
太陽光発電の固定価格買取制度が終わったら?
太陽光発電の固定価格買取制度が終了した場合、その先はどうなるのでしょうか?
住宅用太陽光発電
住宅用太陽光発電は、現時点では経済産業省の方向性は確定していませんが、自家消費を促進する方向性が示されています。
具体的には、オール電化や電気自動車の活用などを通じて電力を自己消費すること、あるいは小売業者への売電が推奨されています。一部の電力会社では、低価格での買取を検討しているところもあります。
産業用太陽光発電
では、自家消費が難しい産業用の太陽光発電についてはどうなるでしょうか。
これについても、経済産業省からは具体的な方針は発表されていません。しかし、日本政府は2030年までに総発電電力の約22%から24%を再生可能エネルギーで供給するという目標を立てています。
さらに、環境保護の観点から、再生可能エネルギーの割合をさらに高めていく方向性があることを考えると、太陽光発電は今後も長期にわたり主力として期待されています。
そのため、固定価格買取制度終了後も、何らかの形での売電を検討している人々もいるでしょう。その際、メンテナンス費用や固定資産税についても考慮に入れる必要があります。
FIT改正から見える太陽光発電の未来
太陽光発電の固定価格買取制度について解説してきましたが、この固定買取制度による太陽光発電投資のデメリットとして顕著なものはほとんど存在しません。
一部で「買取期間が限られることがデメリットだ」と言う人もいますが、この固定買取制度がなければ、20年間も固定価格で電気を買い取ってもらう保証自体が存在しませんでした。
この制度がなかった時、融資を受けて太陽光発電設備を設置することの大きな不安を抱くのは簡単に想像できるのではないでしょうか。
しかし今では、固定価格買取制度があることで、太陽光発電を開始した時点で、融資返済期間がある程度予測できます。これは非常に大きなメリットと言えるでしょう。
再生可能エネルギーの発電は、今後も成長する可能性が高く、その中で主力とされているのが太陽光発電です。
これらの事実を踏まえると、固定価格買取制度が適用される太陽光発電は、リスクが低く、長期的な安定収入を見込むことができる投資と言えるでしょう。
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