太陽光発電事業を始める際は、自然災害補償などの各種保証サービスに加入し、万が一の損害に備える必要があります。ただし近年は、太陽光発電設備の盗難被害の増加によって、スムーズに加入できない事例も出てきています。
そこで今回は、太陽光発電の保険に関する概要や特徴、盗難増加と保険への影響について詳しくご紹介します。太陽光発電関連の保険加入について検討している方などは、参考にしてみてください。
太陽光発電関連保険の種類
太陽光発電を運用していくにあたって、盗難を含むさまざまな被害やリスクに備える必要があります。太陽光発電関連の保険に関しては、3種類に分かれています。まずは、太陽光発電に関する保険の種類と概要を確認していきましょう。
設備への損害に備えた火災保険と地震保険
盗難を含む太陽光発電設備の被害に対して補償してもらえるのが、火災保険と地震保険です。
火災保険は火災だけに限らず、落雷、水害、盗難、落下物などによって受けた損害を補償してもらえます。また、火災保険以外にも動産総合保険や企業包括保険は、太陽光発電への損害に対する補償を行なってくれるのが強みです。
以下に火災保険を含む各種保険の特徴を紹介します。
普通火災保険 | 火災・落雷・ひょう災・風災・水害・盗難・落下物による損害を受けた場合に補償してもらえる保険 ただし、被害によって生じた残存物の撤去費用などは補償対象外 |
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動産総合保険 | 普通火災保険と同じく、火災・落雷・ひょう災・風災・水害・盗難・落下物による動産(建物や土地など動かせない財産以外を指す)の損害を補償してもらえる また、普通火災保険でカバーされていない自然災害、電気設備のショート、漏電、設備の不具合による破損なども補償してもらえる場合がある |
企業向け包括保険 | 事務所、工場をはじめとした自社の所有物件を複数まとめて補償してもらえる 太陽光発電所を複数所有している場合に適した保険 |
なお、細かな補償内容や契約条件については、各保険会社の商品によって異なるため注意が必要です。さらに盗難被害に関してはほとんどの保険でカバーされており、盗難リスクを抑えたい太陽光発電所有者にとって検討しやすい内容と言えます。
ただし、地震に対する損害の補償は対象外です。地震による被害を重視するのであれば、各保険に地震保険の特約を付帯する必要があります。
地震保険は単体では契約できず、地震補償の特約付き保険に契約することで、地震や津波、噴火といった災害による損害を補償してもらえる仕組みです。
地震リスクのない場所で太陽光発電事業を始めることは難しいため、地震保険を含めたリスク対策を進めていきましょう。
発電停止などに備えた休業損害補償
休業損害補償とは、自然災害などによって太陽光発電の発電が停止し、なおかつ売電収入を得られないことで発生した損害を補償してもらえる保険のことです。
例えば落雷で太陽光発電が故障した場合、破損した太陽光パネルの交換、不具合の生じた機器の修理交換なども行なわなくてはいけません。しかし、修理交換が完了するまで売電や自家消費できないため、損失を被ってしまいます。
このようなリスクに備えられるのが、休業損害補償の強みです。
第三者への損害に備えた施設所有者賠償責任保険
施設所有者賠償責任保険は、第三者に被害に与えることで生じる損害賠償を補償してもらえる保険を指します。
例えば、台風によって架台から太陽光パネルが外れ、近隣の住宅や設備、第三者へ飛散および直撃した際に、発生した被害を補償してくれます。また、お見舞金や事故発生後の撤去費用なども補償に含まれます。
太陽光発電の盗難被害とは
盗難被害を含む太陽光発電の各種損害に対する補償および保険を把握した後は、盗難被害の内容やリスクについて確認していきましょう。
銅線や太陽光パネルの盗難が多い傾向
太陽光発電の盗難被害で特に目立つのは、銅線(配線ケーブル)や太陽光パネルです。
その理由のひとつとして、銅価格の高騰が挙げられます。配線類に含まれる銅線は高値で取引される傾向があり、盗難に遭いやすいと言えます。また、高く売却できる太陽光パネルも、盗難被害の可能性が高い機器として注意が必要です。
復旧まで発電ができない
銅線を含む配線類が切断および盗難されてしまうと、太陽光パネルから発電された電気を送電できず、稼働を停止しなくてはいけません。
太陽光パネルが盗難された場合も復旧するまで稼働できないため、本来得られるはずだった売電収入や電気代削減効果を得られず、大きな損害を被ってしまいます。
このように太陽光発電の盗難被害は、企業にとって大きな問題です。
電力系統にも影響があり社会的に問題がある
太陽光発電設備の盗難は、電力系統に大きな影響を及ぼすだけでなく、電力の安定供給という点でも社会的に問題のある事象だと言えます。
例えば、電力需要が多すぎれば電力不足で停電し、また電力供給量が多すぎる場合でも停電につながります。つまり電力を安定して供給するには、常に電力需要と供給量を一致させる必要があるということです。
そのため、送配電網と接続されている多数の太陽光発電が盗難被害で発電を停止してしまうと、停電リスクを高めることにつながります。
太陽光発電の盗難補償付き保険で対応できない可能性
近年、太陽光発電の盗難被害で生じた損害は、盗難補償付き保険で対応してもらえないケースが出てきています。
なぜなら多発する盗難被害に伴う補償の負担増加によって、保険会社が保険の新規引き受けを制限したり更新を停止したりしているためです。例えば、配線類の盗難による補償額は1,000万円を超えるケースもあります。また、売電停止で生じた補償は億単位におよぶ場合もあり、保険会社にとっては大きな問題です。
今後は、盗難被害を保険でカバーしきれない状況になることも考えられるため、他の方法で対策を立てていくようにするのがいいでしょう。
太陽光発電の盗難被害を防ぐのが重要
太陽光発電の盗難被害による損害を保険でカバーできない可能性もあるので、被害防止策に力を入れるのが大切です。ここからは、太陽光発電の盗難被害を防ぐ方法を4つ紹介します。
フェンスなどで侵入対策を施す
盗難被害を防ぐためには、まず太陽光発電所へ侵入させないための対策を施しましょう。
複数の太陽光パネルや大量の銅線は、人の手で持ち運べないほどの重量です。そのため、泥棒はトラックなどの車両で敷地内に侵入し、太陽光パネルなどの機器や配線類を盗難しようとします。
太陽光発電所の敷地をフェンスで囲んだり、バリケードや有刺鉄線を設置したりすれば、車両による侵入を防げます。またフェンスやバリケードなどの破壊には時間がかかるので、その間にセンサーなどで検知し、警備会社へスピーディに通報できれば盗難リスクの低減を図ることが可能です。
ほかにも有刺鉄線をフェンスなどに巻き付けておけば、侵入を諦めさせることができるでしょう。
ブレーカーを落とさせないよう鍵をかける
太陽光発電の盗難防止は、電気的な対策に力を入れることも有効です。
太陽光発電設備には常に電気が流れており、そのまま太陽光パネルやその他の機器類、銅線などを取り外したり切断したりしようとした場合、感電のおそれがあります。そのため泥棒は、感電しないようブレーカーを落として電気の流れを止めた後、太陽光パネルや周辺機器などを配線から取り外したり配線類を盗んだりします。
主な対策は、ブレーカーのあるキュービクル(変圧器機を格納する金属の箱)に鍵をかけることです。また、キュービクルの扉を破壊されないよう、外部からの衝撃に耐えられる補強工事を施しておくのも、防犯対策として検討すべきポイントです。
鉄板などで配線類を保護
敷地内に侵入された場合、キュービクルを保護できていたとしても配線類を無理やり切断される可能性があります。そのため、地上で固定されている幹線ケーブルを切断されないよう、鉄板などで保護しておくのがおすすめです。
鉄板などで強固な対策を施しておけば、警察の到着まで被害発生を防ぎやすく、なおかつ盗難を諦めさせることにもつながります。
監視カメラの設置
防犯対策としても監視カメラの設置も欠かせません。
中でも、録画機能だけでなく不審者の侵入を検知および通報できる機能などが搭載された監視カメラであれば、より迅速に異常に気付くことが可能です。
特にAI機能を搭載した監視カメラ(防犯カメラ)は、AIによって人や車両を自動検知してくれます。また、従来の監視カメラとは異なりセンサー一体型であるため、設置コストや手間を削減できるのも強みです。
太陽光発電所の盗難対策にもO&Mサービスの活用が大切
太陽光発電所の盗難対策へ本格的に取り組む場合は、O&Mサービスの活用を検討するのがおすすめです。
それでは、太陽光発電の盗難対策としてO&Mサービスがおすすめの理由を紹介します。
遠隔監視システムで常時管理してくれる
O&Mサービスと契約すると、遠隔監視システムによるリアルタイムな管理が可能です。
O&Mサービスの遠隔監視は、24時間365日太陽光発電所の発電量や設備の状態、監視カメラによる不審者侵入の有無などを監視してもらえます。
そのため、自社で太陽光発電所の管理を常時行なわずに済み、また侵入者の検知だけでなく機器類の故障による発電低下といった点も早期に把握できます。
定期メンテナンスや敷地内の監視で異常を早期発見
O&Mサービスでは、定期メンテンナンスや緊急時の駆けつけサービスが提供されているので、異常を早期に発見できます。
敷地内に無断侵入などがあった場合、遠隔監視システムによって早期に侵入者を検知・確認できます。すると、O&Mサービスのスタッフが現地へ駆けつけたり通報したりしてくれるので、被害防止・軽減につながります。
万が一侵入に気付かなかったとしても、定期メンテナンスの際に設備点検や敷地内のチェックまで行なってもらえるので、形跡を発見することが可能です。また電気・機械点検は、設備の損壊や異常についても早期発見でき、速やかに修理交換ができます。
防犯対策についても提案してくれる
O&Mサービスによっては、遠隔監視やメンテナンスだけでなく防犯に関するアドバイスや具体的な対策までサポートしてくれる場合があります。
例えば、以下のようなサポートを行なってくれます。
- フェンスの設置による侵入防止
- 防犯カメラの設置および監視
- フェンスなどに注意喚起の看板を設置
- センサーを活用した異常検知システム
また、弊社とくとくサービスでは、ケーブル盗難対策として遠隔監視だけでなく、ケーブル盗難監視システムを提供しています。
CTKシリーズはケーブルや資材に直接接続するセンサーで、揺れによる傾きを瞬時に検知し、マスタユニットから警報装置などの各種機器を稼働させる仕組みです。またセンサーは小型なので、さまざまな場所に設置できます。さらにコストは通信費のみであり、運用にかかる負担も抑えられます。
太陽光発電の盗難リスクを抑えるには保険だけでなく防犯で対応しよう!
太陽光発電の盗難被害は増加傾向にあります。また保険会社は、その補償負担の大きさから盗難補償の新規引き受けを制限したり契約更新を停止したりし始めています。
そのため、太陽光発電事業者は補償だけではなく、防犯面でも対応する必要があります。
太陽光発電の盗難対策が間に合っていない方やこれからO&Mサービスの見直しを図る方などは、今回の記事を参考にしながらとくとくサービスを検討してみてはいかがでしょうか。
とくとくサービスは産業用太陽光発電のO&Mサービスで、定期メンテナンスだけでなく24時間365日遠隔監視サービス、敷地内清掃や防災対策、防犯対策までサポートしています。
またさまざまなサポートプランがあるので、試しに月4,000~1万円程度のプランや、ドローン点検や巡回目視などの項目を追加した最上級プランをご検討いただけます。
さらに、無料のお試し点検サービスで点検の内容や設備状態の確認を進めた後、本格的にサポートを受けるかどうか決めることができます。
盗難対策について悩んでいる時やより総合的なサポートを受けたい時は、お電話やwebフォームからお気軽にご相談ください。