ゴルフ場に太陽光発電が設置される理由や導入メリットを解説!

ゴルフ場に太陽光発電が設置される理由や導入メリットを解説!

太陽光発電の設置場所は多種多様で、ゴルフ場やゴルフ場跡地に導入されるケースもあります。一般的にゴルフ場の敷地面積は広いため、メガソーラークラスの大規模設備を導入しやすく、導入を検討している方もいらっしゃるでしょう。

今回は、ゴルフ場に太陽光発電が設置される理由や導入メリット、注意点について詳しくご紹介します。ゴルフ場を運営している方やメガソーラーに関心を持っている方などは、参考にしてみてください。

ゴルフ場に太陽光発電が設置される理由

まずは、ゴルフ場に太陽光発電が設置されている理由を解説していきます。

企業価値の向上につながる

ゴルフ場の運営企業にとって太陽光発電の導入は、企業価値の向上につながります。

近年、日本を含む世界各国では、気候変動対策として脱炭素へ向けたさまざまな取り組みが始められています。(脱炭素:二酸化炭素排出量0を目指すこと)なぜなら気候変動の原因は、二酸化炭素を含む温室効果ガスとされているためです。

脱炭素の大きな流れに沿って、投資家や企業は取引先や投資先の環境活動、脱炭素経営の実績・内容の分析などを行っています。また環境に関心の高い消費者は、環境負荷低減に向けた取り組みを行っている企業を評価する可能性があります。

このような中でゴルフ場への太陽光発電設置は、二酸化炭素排出削減効果という点で信頼性や企業価値の向上につなげやすい事業です。

電気代削減効果を見込める

自家消費型太陽光発電としてゴルフ場へ設置した場合、企業価値向上だけでなく電気代削減効果を得られるのが大きなメリットです。

自家消費型太陽光発電とは、太陽光パネルから発電された電気を自社の建物や設備で活用していく運用方法のことです。自家消費分の電気代はかからないため、自社の光熱費負担を直接削減できます。

近年、電気料金については、円安や国際情勢の変動による燃料価格高騰で値上げの状況が続いています。今後も電気料金の値上げが続いてしまうと、節電や省エネによる対策のみで固定費を抑えきれなくなってしまいます。

ゴルフ場では、電動ゴルフカート、クラブハウスの空調設備や照明、厨房といった各種設備の稼働により、年間1,000万円以上の電気代がかかります。電気代値上げによる影響が大きく、節電以外での対策も必須です。

太陽光発電による自家消費を実践した場合、通常通りの営業を続けながら年間数10%の電気代削減効果を期待できます。

ゴルフ場跡地が太陽光発電に活用される理由

ゴルフ場への太陽光発電導入は、企業価値向上や電気代削減効果といったメリットのある取り組みです。一方、コロナウィルスによる影響で経営が困難となり閉鎖されたゴルフ場の跡地に、太陽光発電を設置して再開発するケースも増えてきています。

続いては、ゴルフ場跡地で太陽光発電が設置・活用されている理由について解説します。

既存の設備や環境を活用しながら設置できる

ゴルフ場跡地に残されている設備や環境を活用できるのが、太陽光発電の導入理由として挙げられます。

自社の敷地外で太陽光発電事業を始めるためには、取得した土地の環境整備から進めなければなりません。たとえば、敷地内の地盤に問題があったり、整備しなければ基礎工事を進めたりできない場合は、造成工事から行います。

造成工事は、木々の伐採や除草作業、整地(地面を平面にする)、盛土や切土、地盤の改良など多岐にわたります。また、太陽光発電から発電された電気を送電するためには、送電設備の導入も必要です。

ゴルフ場跡地は、木々や雑草が生い茂っている可能性があるものの、すでに整地されていて太陽光発電も設置しやすい環境です。中には、送配電網との連系に必要な高圧配電線などがそのまま残されていることもあります。

一般的な土地と比較して、太陽光発電の設置工事にかかる負担やコストを抑えやすいため、ゴルフ場跡地は太陽光発電所に転用しやすいのです。

小規模からメガソーラークラスまで設置運用できる

ゴルフ場跡地は、比較的小規模な太陽光発電だけでなくメガソーラークラスまで挿入しやすい環境であることも、検討される理由の一つです。

産業用太陽光発電の設置面積は、出力および太陽光パネルの設置枚数によって変わります。

  • 出力50kW台で約500~700㎡
  • 出力100kW台で約1,000~1,500㎡
  • 出力1MW台で約20,000㎡(2ha)

ゴルフ場の面積は一般的に数10万㎡以上あり、小規模な太陽光発電を複数設置しやすく、なおかつ1MWを超えるメガソーラーの設置も検討することが可能です。

土地取得や造成費用を抑えられるケースもある

状況によっては、土地取得、造成にかかるコストを抑えられる可能性があります。

前段で解説したようにゴルフ場跡地は、すでに木々の伐採や整地などが行われている状態です。雑草の増加などによって再度造成工事をしなければならない部分はあるものの、新規に土地を取得するケースよりコストを抑えやすいといえます。

ただし、地盤の弱い土地や傾斜地の場合は、雨による土砂の流出などが懸念されます。

ゴルフ場跡地にかぎらず太陽光発電用地を取得したあとは、必要に応じて地盤の強化や土砂流出対策などを進めていきましょう。

社会貢献活動につながる

ゴルフ場跡地の活用は社会貢献および企業価値向上につながるという考え方もあります。

閉鎖されたゴルフ場は長期間放置され、環境や獣害被害の悪化リスクなども発生します。

企業がゴルフ場跡地を取得し、除草作業、整地や地盤の補強工事を進めていくことで防災や獣害対策につながるほか、地域社会に貢献することが可能です。

ゴルフ場で太陽光発電を始める際の注意点

ここからは、ゴルフ場で太陽光発電事業を始める際の注意点について解説していきます。

設置予定地の災害リスクを調査する

運営中のゴルフ場やゴルフ場跡地で太陽光発電事業を始める際は、地盤の状態や周辺環境、災害リスクを詳細に調査分析する必要があります。

日本は、台風や地震をはじめとした災害の発生しやすい環境です。そのため、災害リスクについて把握しておかなければ、被害の拡大を招く可能性があります。

土地の災害リスクについては、国土交通省HPのハザードマップポータルサイトから調べることが可能です。また、ハザードマップのみで判断できない部分もあるため、災害リスク調査に対応した保険会社のサービスを活用したり、施工販売業者へ相談したりしてみるのも大切です。

住民説明会を実施し納得してもらう

運営中のゴルフ場やゴルフ場跡地で太陽光発電事業を進める場合は、計画段階で住民説明会を実施し、納得してもらう必要があります。

たとえば、騒音対策をはじめ、景観や環境に配慮された設備の設置、防災対策といったあらゆるリスクをわかりやすく説明することが、良好な関係を保つ上で重要なポイントです。

少しでも不信感を持たれたままの状態で太陽光発電の設置工事を進めた場合、反対運動や苦情といったトラブルを招いてしまう可能性があります。

なお、2024年4月からは、出力50kW以上のFIT・FIP型太陽光発電所を導入する前に住民説明会を実施する義務が課されます。また、出力50kW未満の設備でも周辺地域への影響が懸念される場合は、義務化の対象です。(※出力10kW未満の住宅用太陽光発電は対象外)

これから太陽光発電事業を展開していくすべての企業は、計画段階で住民説明会向けに準備を進めていきましょう。

周辺環境に配慮された施工や運用を徹底する

ゴルフ場周辺に住宅などがある場合は、周辺環境へ影響を与えないよう設備の施工や運用を徹底する必要もあります。

具体的には施工時の振動や音、パワーコンディショナの動作音、太陽光パネルの反射光といった事象が原因で、近隣トラブルや苦情を受けてしまうリスクもあります。

状況によっては訴訟に発展する可能性があるため、太陽光発電事業の一時停止や自社のイメージ悪化といったさまざまなデメリットも想定されます。

発電量や発電効率の改善だけでなく周辺環境への配慮やトラブル対策が、事業を継続させる上で重要なポイントです。

ゴルフ場の太陽光発電設置事例

ヤンマーホールディングスのグループ企業「ヤンマーエネルギーシステム」では、2021年10月1日より琵琶湖カントリー倶楽部で太陽光発電事業を始めました。

クラブハウスの屋根に太陽光パネルが設置されており、ゴルフ場内の二酸化炭素排出量を年間295t削減できる計算です。

他にも森トラスト株式会社では、福島県西白河郡泉崎村のゴルフ場跡地に合計10MWものメガソーラー「森トラスト・エネルギーパーク泉崎」を2013年から段階的に稼働させ、発電および電力供給を行っています。

太陽光発電事業のメリット

最後は、太陽光発電事業ならではのメリットについて解説していきます。

FIT・FIPを活用した売電が可能

太陽光発電事業では、FIT・FIP制度を活用した売電を始められます。

両制度は、認定を受けずに売電を始めるケースと比較して、売電収入の見通しを立てやすいといったメリットがあります。

FIT制度は一定期間、固定買取価格による売電が可能となる国の支援制度です。出力10kW以上の太陽光発電を導入した場合は、20年間売電できます。なお固定買取価格は、出力や認定を受けた年度によって異なるため、事前に確認する必要があります。

FIP制度は、電力市場の単価にプレミアムという補助金を上乗せした買取価格で、20年間売電可能な国の支援制度です。単価は電力需要の変化に応じて変動するため、需要の高い時間帯に売電できれば収益を伸ばせます。

自家消費による光熱費負担の大幅な削減

これから初めて太陽光発電を導入する企業や固定費の負担を減らしたい企業は、自家消費型太陽光発電として導入するケースも多いです。

FIT制度の固定買取価格は年々下落しているため、新規参入するほど売電事業にメリットはそれほど大きくありません。

また、FIP制度を利用しながら売電を行う場合、発電量の計画値と実績値の差額をバランシングコストとして支払わなければなりません。電力供給量を調整するには技術や知識が必要で、アグリゲーターという専門業者の利用を検討する必要もあります。アグリゲーターのサービス利用にかかるコストは維持管理費用に上乗せされ、収支のバランス維持に関するハードルも高いといえます。

一方、全量自家消費型太陽光発電は、発電した電気を電力会社へ売電せず、自社の建物や設備で消費していきます。使用する電気の量を発電で賄えれば、電気料金を大幅に削減することが可能です。

二酸化炭素排出量の削減効果を見込める

とくに全量自家消費型太陽光発電の場合は、二酸化炭素排出量の大幅な削減効果を見込めます。自社の企業価値向上や脱炭素経営をアピールできる点はメリットの大きなポイントです。

電力会社から供給されている電力は、主に火力発電から作られています。火力発電の発電には、石油や石炭・LNGといった化石燃料の燃焼が必要です。しかし、化石燃料の燃焼時には二酸化炭素を含む温室効果ガスが排出され、環境負荷を高めてしまいます。

火力発電由来の電力を使用し続ければ、二酸化炭素の間接的な排出につながります。

全量自家消費型太陽光発電によって買電量(電力会社から供給された電力の購入・使用量)を削減できれば、二酸化炭素排出量を削減でき、環境負荷軽減に貢献できます。

ゴルフ場やゴルフ場跡地は太陽光発電に適した環境!

ゴルフ場やゴルフ場跡地への太陽光発電設置は、電気代削減効果や企業価値向上といったメリットにつながります。また敷地面積が広いため、メガソーラークラスの発電所を設置しやすい環境です。

自家消費型太陽光発電に関心を持っている方や、太陽光発電用地探しで悩んでいる方などは、今回の記事を参考にしながらゴルフ場やゴルフ場跡地での太陽光発電導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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