オフィスの省エネにおすすめの方法とポイントを徹底解説!

オフィスの省エネにおすすめの方法とポイントを徹底解説!

物価高や電気・ガスの値上げが続き、オフィスの固定費をどのように削減していくべきか悩んでいる方も多いかと思います。また、テナントオフィスの省エネには制約があり、電気代削減に苦労している企業も少なくないでしょう。

そこで今回は、オフィスの省エネアイデアや事例について詳しくご紹介します。オフィスに適した省エネを知りたい方などは、参考にしてみてください。

オフィスの種類についておさらい

オフィスの省エネについて調べる際は、オフィスとテナントをわけて考える必要があります。(省エネ:省エネルギーの略称。エネルギーを効率的に活用していくこと)

出典:資源エネルギー庁ウェブサイト「省エネって何?」

テナントは、ビルもしくは一室を借りて事業を行っている借主を指しています。対してオフィスは事務作業を行う部屋を指しており、利用目的を指す用語です。

一室もしくはビル全体を事務所として借りるテナントオフィスでは、オーナーの許可がなければ取り組めない対策などがあります。またオフィスビルを所有している企業は、テナントオフィス向けの対策を考慮し、より広範囲かつシステムそのものを改修していく対策を含めて検討してみましょう。

オフィスのエネルギー消費割合

オフィスのエネルギー消費割合については、経済産業省から公開されている「夏季の省エネ・節電メニュー」を参考に紹介します。

それでは、各地域のオフィスに関する電力消費の特徴を見ていきましょう。

地域 電力消費の割合(夏季17時頃)
北海道 空調:34.3%
照明:29.5%
パソコン:8.5%
複合機:9.4%
エレベーター等:9.4%
その他:9.0%
本州・四国・九州 空調:48.6%
照明:23.1%
パソコン:6.6%
複合機:7.3%
エレベーター等:7.3%
その他:7.0%
沖縄県 空調:53.7%
照明:20.8%
パソコン:6.0%
複合機:6.6%
エレベーター等:6.6%
その他:6.3%

いずれの地域でも空調の電力消費は、とくに多い傾向にあります。ついで全体の20%以上を占める照明が多く、空調の割合と合わせると50%を超えます。またオフィスビルで電力消費量の高い時間帯は、一般的な勤務時間と一致する9時~19時頃です。

省エネを実施していく際は、勤務中の空調・照明の利用方法に焦点を当て、優先的に対処する必要があるでしょう。

出典:「夏季の省エネ・節電メニュー(事業者)北海道」(経済産業省)

出典:「夏季の省エネ・節電メニュー(事業者)本州・四国・九州」(経済産業省)

出典:「夏季の省エネ・節電メニュー(事業者)沖縄」(経済産業省)

オフィスで省エネを行うメリット

テナントオフィスおよび自社所有のオフィスビルで省エネを実施すれば、3つのメリットを期待できます。

  • 光熱費の削減
  • 不動産の価値向上
  • 災害対策

光熱費削減はもちろんのこと、太陽光発電や蓄電池といった自社でエネルギーを生み出すための施策は、結果的に非常用電源としても役立ちます。

自社オフィスビルを所有している企業は、環境へ配慮された設備や構造へ変え、環境認証を取得することで不動産価値にプラスの影響を得られる可能性もあります。

自社ビルオフィスだからこそ取り組める省エネ

ここからは、自社ビルオフィスで取り組める主な省エネをわかりやすく解説します。

エネルギーの見える化から体制作りを構築する

自社ビルオフィス全体の省エネを実践したい場合は、エネルギーを見える化し、その上で仕組み・体制作りを検討するのが大切です。

エネルギーの見える化は、エネルギー消費量の割合のうちどのような設備の影響が大きいのかなど、エネルギー消費と活動を把握する作業やシステムを指しています。たとえば、EMS(エネルギーマネジメントシステム)は、エネルギーの使用量から無駄なエネルギー消費を繰り返している設備や箇所を把握し、自動制御によって最適化することができます。

制御部と監視部、管理部といった3種類の体制で、ビル内のエネルギー監視と制御を行う仕組みです。

制御部は、電力量計やガスメーター、人感センサーや温度・湿度センサーを始めとする、各種計測機器からのデータを監視部に送信するシステムを指しています。データを受け取った監視部は、データ内容からエネルギー需要の予測と施設や機器のエネルギー削減に向けて制御してくれます。管理部は、空調設備や照明設備の保守・清掃といった役割を担っています。

EMSを活用したエネルギーの計測・制御ができれば、人が実施しなければならない社内設備の管理も限定され、保守の方針策定・省エネ達成に向けたルール作りなどもスムーズに実施できるでしょう。なおEMSの導入時には、ビル全体の改修工事にかかる施工費用の負担などを考慮する必要があります。したがってテナントでは実施が困難な方法です。

PDCAサイクルで課題をクリアしながら省エネを継続

省エネに向けた体制作りやEMSの導入ができたら、PDCAサイクルで課題の発見と解決を繰り返していきましょう。

PDCAサイクルとは、Plan(計画)・Do(実行)・CHECK(評価)・ACT(改善)を繰り返すことを指します。

以下に省エネ実施におけるPDCAサイクルの概要を紹介します。

Plan(計画) ・目標や目的の設定と計画の策定
・エネルギーの見える化によってオフィスのエネルギー消費量を分析し、目標と改善策を決める
Do(実行) ・計画に沿って省エネを実施する
CHECK(評価) ・省エネの実施後、どのような結果になったのか検証する
・目標との乖離を確認し、課題を見つける
・現場の負担や、継続可能性を検討する
ACT(改善) ・検証結果から改善策を策定および実施し、PDCAを継続していく

通常の業務と同様、省エネ施策には試行錯誤による最適化が必須です。無理な省エネ推進は現場の士気や効率を下げかねません。省エネ施策を打ち出したままにするのではなく、随時検証しながら自社にマッチした方法になるよう調整が必要です。

PDCAサイクルを回すうちに、初期の対策で見つけられなかった課題を発見できる場合もありますので、定期的に施策を見直しながら省エネを実施しましょう。

空調やボイラの改修・交換・コンジェネレーションシステムの採用

空調やボイラの改修・高性能機器への交換は、省エネ効果を高められる対策の1つといえます。

たとえば、ボイラの空気比が偏っていると、燃焼効率の低下につながります。省エネ法の範囲内に空気比を調整すると、効率が向上しガス消費量の削減を期待できるのです。また空調の全熱交換器を定期的にメンテナンスして性能を維持することで、エアコンの外気の取り込み量削減と温度変化抑制により光熱費削減を目指すことが可能です。(全熱交換器:換気による温度変化を抑える機器)

給湯や暖房など熱エネルギーを利用する機器を重宝する現場では、コージェネレーションシステムを導入するとよいでしょう。コージェネレーションシステムとは、発電時に排出された廃熱を暖房など熱が必要な設備に利用するシステムで、光熱費の削減を期待できます。

出典:資源エネルギー庁ウェブサイト

全照明設備の更新と改修

照明設備の更新や改修は、電気代の削減効果を期待できる省エネアイデアの1つです。

蛍光灯を使用している箇所があれば、LED照明に切り替えることで明るさを保ちながら電気代を削減できます。

また全体のバランスで照明の設置を検討しなおすことも大切です。たとえばタスク・アンビエント照明という設置なら、作業効率を保ちながら、照明設備の無駄な消費電力を抑えられます。通常、日本のオフィスでは天井に照明を設置し、すべて点灯させていることが多いです。しかしこの方法は、それほど照明が必要ではない箇所にも均一に光が届くようになっています。

タスク・アンビエント照明は、天井の設置数を減らして部屋の照度を下げる代わりに、LED型スタンドライトでデスク周辺(作業者の周辺)の照度を保つ設置方法です。このように証明の設置個所を工夫すれば、消費電力を抑えられます。

デマンド監視で電力のピークを更新しないようにする

デマンド値(30分間あたりの平均使用電力)が上がっている場合は、デマンド監視でピークの更新を抑える必要もあります。

高圧電力契約はデマンド値を基準として料金が決定され、過去12ヶ月間のデマンド値からピーク値を基準に計算されます。そのため、デマンド値が急激に上がってしまうと、電気料金の値上げにつながってしまうのです。したがって電気代を削減したければ、デマンド値の抑える取り組みが必要となるのです。

デマンド監視サービスを導入すれば、常に変化している電力消費量をモニタで観測しながら、社内の設備機器の使用方法を見直せます。また、サービス提供者から提案される省エネに関する情報などを参考に、より効率的に対策を進められるでしょう。

変圧器を交換し電力損失を軽減させる

自社オフィスビルに設置されている変圧器が劣化している場合は、最新のものへ交換することで、電力の損失の軽減が見込めます。

一般的な変圧器の耐用年数は25年程度で、経年劣化によって電力損失が生じます。製品の劣化状況にもよりますが、設備改修・更新で省エネ率を改善し、なおかつ年間の電力使用削減率を40%以上見込める場合もあります。

自社ビルとテナントオフィスで取り組める省エネアイデア

ここからは、自社オフィスビルとテナントオフィス、どちらでも取り組める省エネアイデアを紹介していきます。

照明の省エネアイデア

照明の省エネアイデアとしては、以下のような内容が挙げられます。

  • 休憩中のオフィス、空室の照明を消灯するよう習慣化させる
  • 消費電力の低いLED照明へ切り替える
  • 人感センサー式照明で消費電力を削減
  • 照明の定期的な清掃

すぐに始められる省エネアイデアは、消灯の習慣化です。会議室や執務室、廊下などの照明に関する使用状況をチェックし、消灯し忘れのケースがあれば従業員向けに消灯の重要性を周知させましょう。人感センサー式照明を併用すれば、消灯し忘れによる電力消費量増加を抑制することが可能です。

空調の省エネアイデア

空調に関する省エネアイデアは、以下の通りです。

  • 設定温度の見直しを図る
  • 空調を省エネモードで使用する
  • 定期的なフィルター清掃の実施
  • ブラインドによる遮光で室内の温度を抑える

空調の設定温度を1℃見直した場合は、10%前後の節電効果を期待できます。業務用エアコンのフィルター清掃頻度については、一般的に2ヶ月に1回とされています。ただし、フィルター以外の清掃については、専門業者へ依頼する必要があります。

セントラル空調ではなく業務用エアコンの場合は、室外機の清掃や遮光などの対策を実施してみましょう。室外機に直射日光が当たっていたり周辺に物を置いていたりすると、熱効率に影響を与えてしまい、光熱費増加を招きます。室外機周辺に物を置かないよう清掃・整理するほか、日除けカバーなどで温度変化を抑えるのが大切です。

OA機器の省エネアイデア

OA機器に関する省エネとしては、以下のようなアイデアが挙げられます。

  • 電源タップを活用し、使用していない機器の電力を遮断する
  • PCの省エネモードを活用する
  • 長期間席を離れる際はPCの画面を切る、スリープモードを活用する
  • 複合機の導入数もしくは使用率を抑える
  • 省エネ性能の高い機器へ交換する

PCなどのOA機器には省エネモードが搭載されており、活用するだけで節電につながります。またデスクトップPCより、ノートPCの方が電力消費量を抑えられます。ノートPCでも業務に支障がない場合は、デスクトップPCからの切り替えを検討してみるのも大切です。

時間帯に応じて照明や空調の使用方法を見直す

オフィスの省エネアイデアで悩んでいる場合は、設備機器の運用方法に着目してみましょう。

たとえば、空調の残熱利用で運転時間を短縮し、電気代を削減することが可能です。具体的には、終業時間の数10分前に空調の稼働を停止させて、室内に残った熱で過ごしますというイメージです。他には、業務開始時間に合わせて室内の温度を調整できるよう、空調の起動時間を見直すのも省エネ方法といえます。

照明の電力消費量を抑えたい場合は、時間帯や曜日ごとに照明を使用するエリア・部屋の情報をまとめておき、消灯可能な箇所を把握しておきましょう。

ポスターを貼り社内で啓発活動を行う

オフィスの省エネを継続していくには、従業員の協力や理解が必要です。

しかし、口頭での説明だけでは、空調や照明・OA機器の節電に関するルールを忘れてしまうこともあります。

オフィスの目立つ場所にポスターを貼り、日常業務で取り組める省エネアイデアを示すことが重要です。ただし、無理な節電は従業員の心理的負担・体調に影響を与えるリスクもあるため、慎重に取り組んでいくことが求められます。

自家消費型太陽光発電の導入

従業員の節電活動や設備機器の改修以外の方法としておすすめなのが、全量自家消費型太陽光発電の導入です。

全量自家消費型太陽光発電を導入すれば、太陽光発電で発電された電気を自社の建物内で消費できます。蓄電池を併用すれば、余剰電力を貯めておけるほか、電力消費量の増加に合わせて自家消費量を調整することが可能です。

使用電力の削減も大切ですが、従業員の作業効率を下げずに削減できる量は限りがあるため、自然エネルギーの比率を増やす方法の併用も検討しましょう。

オフィスの省エネ事例

ここからは3社の実際の省エネ事例を紹介していきます。

ユニ・チャーム

ユニ・チャームでは、省エネに向けた部門作りと節電活動の徹底などを進めており、年間30%の節電を達成しています。

たとえば、空調のスイッチ付近に温度計を設置することで温度設定の意識付けを行ったり、蛍光灯の間引きを行ったりなど、細かな取り組みが特徴の1つです。また、部門を超えた節電対策に関する協力体制が築かれており、フロア全体の省エネ活動を継続できるよう徹底しています。

NTTファシリティーズ

NTTファシリティーズは、システム面から省エネに向けた取り組みを行っています。

自社で提供もしているシステムにより、電力消費量の見える可を実施しています。従業員の業務用PCからリアルタイムで電力使用量を確認できるようにしており、業務を中断することなく電力使用量を把握でき、節電活動に取り組みやすい環境を構築しているのです。

またオフィス内にあるスマートライティングコントロールで、人のいない場所を検知・自動消灯してくれるシステムも導入されています。

ダイキン工業

ダイキン工業は、全社を挙げた省エネに関する体制作りを進めているほか、細かな節電活動と活動評価に取り組んでいます。

節電活動に関しては、蛍光灯の間引きや自動消灯の導入、空調と扇風機の併用や自動停止機能などを活用しています。自動消灯・空調停止後は、必要な箇所のみ手動で稼働・点灯できるよう設定されており、必要なタイミングで適宜調整できるようになっています。

ポスターを活用した節電に関する啓発活動や、照明の消し忘れ防止に向けた従業員向けのカード配布などが行われています。啓発活動などは、多くの企業で導入しやすい対策で参考にしやすいでしょう。

自家消費型太陽光発電がとくにおすすめの理由

先述したとおり、自家消費型太陽光発電は、オフィスの省エネにとってもメリットの多い選択肢です。最後は、オフィスの省エネにおいて自家消費型太陽光発電がとくにおすすめの理由を解説していきます。

既存の業務活動を大幅に見直さなくとも省エネ効果を得られる

既存の業務活動を大幅に見直したり無理な節電を行ったりしなくとも、電気代削減効果を得られるのが、自家消費型太陽光発電の強みです。

一般的な省エネアイデアを取り入れるときは、OA機器や空調・照明・各種設備の使い方を見直したり改修や更新を行ったりする必要があります。またEMSを導入する場合は、導入費用やエネルギー管理の体制作りなどの負担もかかります。

一方、自家消費型太陽光発電の活用は、太陽光パネルから発電された電気を自社のオフィスで使用するだけで、電気代削減効果や環境負荷の軽減効果を見込めます。

自社のリソースをなるべく温存した状態で再エネへ取り組みたい企業は、自家消費型太陽光発電を検討してみましょう。

テナントオフィスでも導入できる可能性がある

テナントオフィスを利用している企業でも、状況によって自家消費型太陽光発電を導入できる可能性があります。

オフィスのオーナーと相談し、同意を得られれば、ビルの屋上などへ発電設備を設置できる場合もあります。たとえば、株式会社YAMABISHIでは、テナントビルの経営会社から同意を得て、ビルの屋上へ太陽光パネルを設置しています。このように自家消費型太陽光発電の設置が認められるケースもあるため、検討してみるのもおすすめです。

ビルの屋上へ設置できない場合は、遠隔地から送配電網を経由して自家消費を行う自己託送方式で導入する方法もあります。オーナー・太陽光発電の施工業者へ相談してみましょう。

脱炭素経営として企業価値の向上を図れる

自家消費型太陽光発電の導入は脱炭素経営につながるほか、企業価値向上を期待できます。

近年、企業は環境活動や脱炭素経営が求められており、投資家や取引先からの評価や信頼性に影響を与えます。とくに二酸化炭素を含む温室効果ガスの排出量の増加は、企業のブランドイメージや信頼性にもマイナスのイメージを与えかねません。

自家消費型太陽光発電の発電時には二酸化炭素を排出しないため、脱炭素経営および環境負荷の軽減につながります。

オフィスの省エネへ取り組む場合は再エネを含めて計画を立ててみよう

オフィスの省エネは、自社オフィスビルとテナントオフィスで取り組み方が異なります。自社オフィスビルでは、エネルギーの見える化、EMSの導入といった大規模な管理体制の構築を検討できます。一方、テナントオフィスを利用している場合は、照明や空調の改修や更新、節電活動および従業員向けの啓発活動など小~中規模の方法を実施してみましょう。

オフィスの省エネ方法で悩んでいる方や再エネの利用について関心を持っている方は、今回の内容を参考にしながら自家消費型太陽光発電を検討してみてはいかがでしょうか。

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