EVタクシーのメリット・デメリットから導入事例まで紹介!

EVタクシーのメリット・デメリットから導入事例まで紹介!

気候変動問題の解決へ向けたアイデアの1つが、脱炭素につながるEVの導入です。最近では、EVタクシーの導入事例も出てきており、交通業界にもEV化の動きが見えています。

今回は、EVタクシーの導入メリット・デメリット、導入事例について詳しくご紹介します。自社にEVタクシーを導入するか悩んでいる方などは、参考にしてみてください。

EVタクシーとは?

EVタクシーは、バッテリーに貯められた電気のみで走行するタクシーを指しています。

EVはガソリンを使用しないため、走行時に二酸化炭素を含む温室効果ガスの排出を抑えられるのが強みの一つです。静音性や振動といった点でも、ガソリン車やHV車(ガソリン+モーターで走行)に優る利点を持っています。

EVタクシーが導入されている背景には、脱炭素社会へ向けた大きな動きが関係しています。(脱炭素:主に二酸化炭素の排出量0を目指す考え方)

2015年にCOP21で採択されたパリ協定では、環境対策として2050年までのカーボンニュートラル目標が定められました。カーボンニュートラルとは、二酸化炭素を含む温室効果ガスの排出量と吸収量を一致させ、排出量実質0の状態を目指す考え方です。

気候変動問題の原因と考えられている温室効果ガスの排出量を抑えるため、世界的に脱炭素・カーボンニュートラルに向けた取り組み、規制が進んでいます。

日本政府は、2020年に2050年までのカーボンニュートラル達成を掲げています。国内での脱炭素関連事業の支援、再生可能エネルギーの導入支援事業など、さまざまな取り組みを始めている状況です。

このような脱炭素社会へ向けた動きは消費者にも影響を与え、環境に配慮されたサービスや製品の利用を意識させるきっかけにつながります。

交通・流通業界は、その業態から脱炭素が非常に困難です。こうした状況下で、少しでも二酸化炭素排出量を減らすためにEV自動車の導入が拡大してきています。

また単純な脱炭素の側面だけでなく、消費者からのイメージアップや信頼性向上という点でも重要な選択といえます。

EVタクシーのメリット

とはいえ、それでもガソリン車の方が慣れていて運転しやすいと感じる方や、コストが軽減できるのかわからないなどの疑問や不安を抱いている方も多いのでしょう。

ここからは、タクシー会社がEVタクシーを導入することで得られるメリットについて詳しく解説していきます。

走行中の騒音や振動を抑えられる

EVタクシーは騒音や振動を抑え、快適な走行を保てます。乗務員にとっては、走行中の負担軽減につながるでしょう。また快適な移動体験を顧客に提供できることで、リピーターを増やせる可能性があります。

ガソリン車に搭載されているレシプロエンジンは、シリンダー内部のピストンで往復運動を行い、変換した回転運動による力をタイヤに伝えています。往復運動では、ガソリンと空気を混ぜた混合気をシリンダー内部で圧縮させ、爆発・燃焼させることで生じるエネルギーを活用します。この混合気の圧縮・爆発に関する一連の作用が、振動や騒音につながっているのです。

一方、EVタクシーは混合気の圧縮・爆発を必要とするエンジンを使用せず、モーターを使っています。モーターはほとんど無音に近いため、騒音や振動を抑制できるのです。

太陽光発電の導入で充電コスト0円を目指せる

EVタクシーに必要な電力は太陽光発電でカバーできるため、社内での充電コスト0円を目指せるのも大きなメリットといえます。

EVタクシーの導入時に悩むポイントといえば、走行に必要な電力の充電コストです。バッテリー容量と契約中の電気料金プランによってコストは変わるものの、1回の充電で1,000~3,000円程度かかります。

タクシーが待機する会社・支社の敷地に、自家消費型太陽光発電と蓄電池を導入しておけば、タクシーが稼働していない時間帯に給電できます。

自家消費型太陽光発電とは、発電した電気を自社の設備や建物内で消費していく運用方法のことです。

太陽光発電で発電した電気には、電気料金や再エネ賦課金、燃料費調整額といった費用がかからないため、電気料金が削減できます。

和上ホールディングスでは、全量自家消費型太陽光発電のご提案から設計、部材調達、施工、保守運用まで一括サポートしております。

タクシーEVの導入と同時に太陽光発電の設置も考えている方は、ぜひこの機会にご相談ください。

環境への負荷を抑えた走行ができる

温室効果ガスの排出を抑えた走行ができるため、環境負荷の軽減に貢献できます。

冒頭でも解説したように気候変動問題の原因には、二酸化炭素を含む温室効果ガスが関係していると考えられています。ガソリン車の走行時に排出される排気ガスには、温室効果ガスが含まれており、脱炭素という点で課題も残されています。

EVタクシーへ切り替えていけば、排気ガスの排出量0で運行できます。またガソリン車とは異なり化石燃料を使用しないため、資源の消費という点でも環境に優しい車両といえます。

脱炭素経営につながり企業価値向上を図れる

企業価値の向上を図れるのも、EVタクシーを導入するメリットのひとつといえます。

現代は利益追求だけでなく、脱炭素経営やESGを意識した経営が求められている時代です。タクシー会社にとっても他人事ではなく、自社の価値を高める上で脱炭素やESGを意識する必要があります。

ESGは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を組み合わせた用語で、経営において重要とされる要素を示したものです。

EVタクシーの導入は、脱炭素実績を伸ばすだけでなく、ESGの環境を意識した事業活動として消費者にアピールできます。投資家や取引先からの評価や信頼性向上を図ることも可能です。

導入時に補助金を受けられる

EVタクシーの導入時には補助金を受けられる可能性があります。

たとえば、2023年度に公募が始まった「商用車の電動化促進事業(タクシー)」は、EVタクシーやPHEVタクシー、FCVタクシーの導入にかかる費用を補助してもらえます。

補助金額については、車両本体価格に対して補助率をかけた金額が補助されます。EVタクシーの補助率は4分の1で、車両価格500万円であれば125万円の補助金が交付されます。

EVタクシーの車両本体価格は上限600万円とされているため、補助金額最大150万円という点に注意が必要です。

税金の減免措置を受けられる

EVタクシーの導入によって税金の減免措置を受けられるのは、コスト面の負担軽減につながる大きなメリットです。減免措置を受けられるのは、環境性能割と自動車重量税、自動車税の3種類とされています。

環境性能割は2025年末まで非課税とされるため、車両の購入費用削減効果を期待できます。

またエコカー減税によって新車登録時と初回車検時の自動車重量税が免税され、維持管理コストの削減も図れます。さらにEVはグリーン化特例の対象で、自動車税が75%軽減されます。同特例の期間は、2026年3月31日までです。

このような税金の減免措置は、物価高やガソリン代値上げといった状況でメリットの大きな制度といえます。燃料費や固定費に悩むタクシー会社は、EVタクシーの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

EVタクシーのデメリット

メリットの多いEVタクシーですが、デメリットや注意点も存在しています。これからEVタクシーの導入を検討する事業者は、メリットとデメリットを把握した上で、自社に適しているかどうか判断してみましょう。

続いては、EVタクシーのデメリットについて詳しく解説していきます。

ガソリン車と比較して車両価格が高い

EVタクシーを含むEVの車両価格はガソリン車と比較して高いため、導入費用の負担が大きいです。

ガソリン車のタクシーは、装備品を含めた標準価格で1台あたり300万円台とされています。一方、EVの標準的な車両価格は400万円~600万円で推移しており、ガソリン車より高いです。運賃メーターやドライブレコーダーなどタクシー用として車両装備品を追加することを考慮すると、さらに費用がかさみます。

ただし、前段のメリットで紹介したように補助金制度で導入費用を削減できるほか、税制面で優遇措置を受けられる点を考慮すると、初期費用はガソリン車と同程度、ランニングコストは使い方次第で低くなる可能性もあります。

充電設備を導入する必要がある

車両の運用頻度が高いタクシー会社では、自社の充電設備が必須です。車両に加えて充電設備の費用もかかってしまう点は、デメリットの一つです。

充電設備の設置費用は、標準的な普通充電器で1台あたり70万円前後とされており、複数台の運用であれば100万円以上の負担がかかる計算です。出力の低い普通充電器は設置費用を抑えられるものの、充電時間が長く、業務に支障をきたす可能性もあります。

充電設備の費用を抑えるには、充電設備関連の補助金制度について調べてみるのがおすすめです。

たとえば、国の充電インフラ補助金は、事業所駐車場などへのEV用充電設備の設置費用に関して、機器費用50%(補助上限額:2口まで300万円、3口以上150万円×口数)、工事費用100%(補助上限額:140万円)の補助率で補助金を受けられます。(50kW以上)

充電時間が長いため計画的な充電も求められる

タクシー会社にとって充電時間の長さは、事業にかかわる大きな問題です。

ガソリン車の給油時間は数分で済むため、すぐにタクシーを運行できます。一方、バッテリー容量40kWhの標準的なEVを充電した場合は、普通充電器で約12時間程度かかります。急速充電器を使用すれば1時間程度まで短縮できるものの、1台あたり700万円前後の設置費用をかけなければいけません。

充電設備そのものの費用を抑えながら充電不足を防ぐには、全国に設置されている充電スタンドを利用したり計画的に充電を行ったりすることが大切です。充電スタンドでは急速充電設備を利用可能なケースもあり、こうした設備の場所を把握しておきましょう。

自社の充電設備を活用する場合は、営業時間外や休憩時間に充電を行ったり、複数のEVタクシーを充電・運行したりすることで、充電不足による損失リスクを抑えられる可能性があります。

充電スタンドが全国に普及していない

EVタクシーの運行を支える充電スタンドは普及しておらず、全国各地ですぐに利用できる状態ではありません。そのため、充電スタンドの少ないエリアでEVタクシーを運行させる場合は、長距離の走行が難しい可能性もあります。

政府では2030年までに30万口の充電スタンド設置目標を掲げ、2014年から2015年にかけて設置台数が急増しました。しかし、充電スタンドの耐用年数は7~8年程度のため、2020年頃に撤去数が増え始め、設置台数の減少が起きてしまいます。

2022年頃からは再び増加傾向で推移しており、将来的に普及が進む見込みもあります。

これからEVタクシーを導入する企業は、充電スタンドだけに頼らず、自社で普通充電器や急速充電設備の設置も検討してみることが大切です。

適切に扱わないとバッテリーの劣化が早まる

EVタクシーを運用する上で注意すべきポイントのひとつが、バッテリーの劣化と寿命です。

通常、EVバッテリーの寿命は、走行距離8万kmもしくは16万km程度です。しかし充放電の回数が増えてしまうと、その分劣化は早く進んでしまい、故障や蓄電容量の低下につながります。

また高温・低温環境下での充放電、充電量0%での長期間放置も経年劣化や故障を招くため、管理方法に関する注意点を従業員へ周知しなければいけません。

EVタクシーの補助金制度

前半でも少し触れた「商用車の電動化促進事業(タクシー)」は、運輸部門の脱炭素化を促進させる目的で実施されており、EVタクシーを導入するタクシー会社が補助対象です。

補助対象車両に関しては、EV(BEV)とPHEV、FCVの3種類です。EVの補助対象メーカーには、日産やトヨタ、ホンダ、マツダなどの国内メーカーとアウディ、ジャガーなどの海外メーカーが多数含まれています。

また、補助対象の車種が定められているため、事前にJATAの「商用車の電動化促進事業(タクシー)」ページから確認した上で、導入車種を決めましょう。EVの補助金額は車両本体価格×4分の1とされており、最大600万円まで補助してもらえます。

交付決定後に車両を購入する通常申請の流れについては以下の通りです。

  1. 指定の申請書類を準備し提出
  2. 交付決定通知を受けたのち車両購入を購入、完了実績報告書類の提出
  3. 交付額の決定通知を受けたあとに指定書類を提出
  4. 車両の管理台帳を作成保管
  5. 補助対象車両の走行距離に関する報告を行う

補助金の交付は、補助対象車両を購入したあとに行われる仕組みです。

申請手続きの前に車両を購入していた場合は、通常申請という形で申請手続きを行います。

  1. 交付申請書兼完了実績報告書に関する指定書類の提出
  2. 車両の管理台帳を作成保管
  3. 補助対象車両の走行距離に関する報告を行う

補助金の交付は、交付決定通知を受けたあとに行われます。

通常申請の申請期間は2024年5月27日~2025年1月31日、実績申請の申請期間は2024年2月1日〜2025年1月31日と1年程度のため、早めに準備と申請を進めるようにしましょう。

EVタクシーの導入事例

ここからは、EVタクシーの主な導入事例を紹介していきます。

富士急グループ

2023年11月6日、富士急グループの甲州タクシーでは、峡東地域で軽EVタクシーの「サクラ」を2台導入しました。また、軽EVの導入に合わせて女性乗務員を2名採用するなど、女性活躍に関しても力が入れられています。

軽EVタクシーが導入された背景には、乗務員不足に関する課題が関係しています。そこで同社は、タクシー車両として安全基準を満たし、かつ地方在住の女性が運転している軽自動車タイプの日産「サクラ」を採用しました。

このように小回りの利く軽EVタクシーは、運転しやすさという点でもメリットがあり、乗務員不足解消という点でも魅力的です。

EVタクシーの導入を検討している企業は、軽EVタクシーについても検討してみてはいかがでしょうか。

住友商事と第一交通産業

2024年、住友商事と第一交通産業では、住友三井オートサービスと連携し、北海道と沖縄県でEVタクシーの実証実験を始めました。

多くのタクシーで用いられてきたLPG車(LPガスを燃料として走行する車)は、燃料の供給拠点減少などによって運用の難しい状況へ追い込まれてきました。

そこで住友商事と第一交通産業は、二酸化炭素排出せずに走行可能で、なおかつ充電設備を自社の事業所へ設置できるEVタクシーの導入拡大を進め続けています。

第一交通産業は、2022年に福岡県・広島県・和歌山県でEVタクシーの実証実験と101台の導入、2023年に120台のEVタクシー導入計画を進めてきました。2024年の計画は、寒冷地の北海道と温暖な沖縄県でEVタクシーに搭載されているバッテリーへの影響を検証する予定です。さらに、約100台のEVタクシー導入が予定されており、本格的な運用を期待できます。

住友商事では、EVタクシー向けメンテナンスサービスなどの提供を目指している点も、多くのタクシー会社にとってメリットの大きな動きです。

EVタクシーの導入支援に関する事例

EVタクシー関連企業の中には、車両や充電設備の導入支援に関するサービスをスタートさせた企業も出てきています。

たとえば、GO株式会社は、タクシー産業の脱炭素プロジェクトを掲げ、充電設備の提供からエネルギーマネジメント、EV車両のリースサービスなどを展開しています。同プロジェクトへ参加しているタクシー会社は約130社と、増加傾向で推移しているのも注目すべきポイントです。

株式会社電脳交通は、EVタクシー取次サービスを提供しています。EV車両のリースサービス紹介、要望や状況に合ったEV車種情報の提供などを行っています。EVタクシーや充電設備の導入や運用にかかるコストで悩むタクシー会社へ向けて、さまざまな提案や選択肢を提示してくれるのが主な特徴です。

このような導入支援サービスの登場は、EVタクシーの導入ハードルを下げるきっかけにつながり、初めて導入を進める企業にとって嬉しい動きといえます。

EVタクシーのメリットとデメリットを比較した上で導入を検討しよう!

電気で走行するEVタクシーは化石燃料不要で、排気ガスを排出しないため、環境負荷の少ない車両です。脱炭素経営やESG経営を考慮して事業を展開したいタクシー会社にとって、一度は検討したい選択肢でしょう。

一方、デメリットとしては、充電コストの負担やバッテリーの劣化などが挙げられます。ただし、充電コストに関しては、太陽光発電の導入によって抑えることが可能です。

これからEVタクシーを導入するにあたって運用コストが不安な事業者などは、今回の記事を参考にしながら自家消費型太陽光発電についても検討してみてはいかがでしょうか。

弊社和上ホールディングスでは、自家消費型太陽光発電の企画から設計、部材調達、施工、保守運用まで一括サポートしております。

自家消費型太陽光発電で発電した電気はEVタクシーの充電、事業所内の設備に使用できるため、電気料金の削減効果を見込めます。さらに、二酸化炭素の排出削減効果によって、脱炭素経営を加速させることが可能です。

自家消費型太陽光発電について少しでも気になる方は、お電話やメールよりお気軽にご相談ください。

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