近年、全国的に太陽光パネルやケーブルなどの盗難被害が相次いでおり、物理的な対策に加えて盗難保険の活用も重要になってきています。とくに盗難保険は、機器類や部材の盗難被害を補償対象とした保険で、損害をカバーする上で欠かせません。そこで今回は、太陽光発電の盗難リスクと盗難保険の概要・補償内容・加入メリットについて詳しくご紹介します。太陽光発電所の盗難保険について詳しく知りたい方などは参考にしてみてください。
太陽光発電の盗難被害は増加傾向
現在、太陽光発電設備の盗難被害は増加傾向にあります。
2021年度の被害件数は、2017年度と比較して約4倍も増えており、盗難リスクは高まるばかりです。2022年の被害件数に関しては、2017年度を基準とした場合に約20倍にも増加しています。
太陽光発電設備で盗難されやすいのは主に配線ケーブルや太陽光パネルで、いずれも発電に関わる重要な機器・部材です。
設備を所有している事業者は、盗難被害を防ぐためにも、防犯や盗難保険を含むさまざまな取り組みを実施する必要があります。
太陽光発電関連の保険に加入すべき理由
太陽光発電関連の保険は、自然災害だけでなく事故による損失をカバーできるものもあります。ここからは、太陽光発電関連の保険に加入すべき理由を詳しく解説します。
無保険では損害を自社でカバーしなければいけないため
無保険の状態では、盗難を含む損害を自社でカバーしなければなりません。
配線ケーブルが切断されたり、太陽光パネルを大量に外されたりしてしまうと、設備の故障につながります。発電停止を招き、売電収益も減少するため、太陽光発電事業者にとって大きな損害です。
無理やりパネルを外された場合は、架台とパネルを固定するボルトなども破損してしまい、パネル交換だけでなく架台の修理・交換費用も発生するケースもあります。
また配線ケーブルが盗難されれば、新たに調達し、盗難箇所と交換する必要性が出てきます。防犯設備や敷地を囲む柵などが破壊されることもあり、このような設備機器類の交換や復旧工事費用も捻出しなければなりません。
保険へ加入していれば、盗難被害によって生じた損失を補償してもらえるため、自社の損害を軽減することが可能です。
盗難を含む多くのリスクはメーカー保証で対応していない
盗難を含むリスクはメーカー保証で対応していないため、別途太陽光発電関連の保険に加入する必要があります。
太陽光発電のメーカー保証は、一般的に製品保証と出力保証の2種類です。製品保証は、製造時の不具合による損害を補償してくれます。補償対象機器については、主に太陽光パネルやパワーコンディショナ、接続箱、架台などほとんどがカバーされています。
また、出力保証は、保証期間内に一定の出力を下回ると太陽光パネルや周辺機器の無償修理交換を行ってもらえる保証制度です。各メーカーでは、公称最大出力の○○%以下の場合に補償といった形で保証内容を記載しています。
上記の保証制度は、あくまでも製品の品質を担保するものであり、自然災害や第三者からの被害に対する補償サポートは含まれていません。自然災害や飛来物の衝突、盗難や破壊行為による損失をカバーするには、太陽光発電関連保険を検討する必要があります。
盗難リスクが高まっているから
冒頭でも解説したように太陽光発電設備の盗難リスクは年々高まっており、いつ配線ケーブルなどを切断・盗難されるかわかりません。
もちろん、太陽光発電の周辺設備には、防犯関連のシステムも製造・販売されています。たとえば、防犯カメラをはじめとする監視システムを敷地内に設置し、侵入を検知したら警備会社へ通知するといった基本的な対策は可能です。
しかし、防犯システムを導入していたとしても、盗難リスクを0に抑えることは難しいです。
太陽光発電関連の主な保険
太陽光発電の保険は、主に企業総合保険と施設所有者賠償責任保険、休業損害補償を指しています。続いては、太陽光発電関連の主な保険をわかりやすく解説します。
企業総合保険
企業総合保険は、補償対象設備のさまざまな損害をカバーできます。動産総合保険も企業総合保険と同じく、盗難被害をはじめとした損害に対して補償してもらえます。
以下に補償対象とされる主なケースを紹介します。
- 落雷
- 火災
- 補償対象設備の爆発、破裂
- 雹
- 雪災
- 風災(台風や暴風など)
- 水災(洪水など)
- 盗難
- 電気的、機械的事故
- 飛来物などによる衝突、破損
- 車両などの衝突
一般的には盗難被害も補償対象とされているケースが多く、配線ケーブルや太陽光パネルなどを盗難された際に損失を補償してもらうことが可能です。水災や風災などさまざまな自然災害もカバーされており、災害リスクの高い場所で太陽光発電を運用している方にとってもメリットがあります。
ただし、近年では盗難被害の増加に伴い、盗難を補償対象外としているケースもあるため、よく確認する必要があります。
施設所有者賠償責任保険
施設所有者賠償責任保険は、台風などの自然災害や管理方法のミスによって第三者へ損害を与えてしまった場合に補償を受けられるものです。
たとえば、太陽光発電所の点検不足でボルトが緩み、暴風などで太陽光パネルが飛散し、住宅や人への衝突事故を引き起こしたとします。このような現象で被害を与えた場合は、損害賠償責任が生じるため、賠償金の支払いを求められます。
施設所有者賠償責任保険へ加入しておくと、法律上で認められた損害賠償や弁護士費用、訴訟費用などを補償してもらうことが可能です。さらに、被害者へのお見舞金や残置物の撤去費用などもカバーしてくれるケースもあります。
しかし、盗難被害に対する補償は含まれていません。
休業損害補償
休業損害補償は、災害や事故などで本来受け取れるはずだった利益の損失分を補償してもらえる保険です。
盗難被害をはじめ、落雷や風災(台風や暴風など)、水災(洪水など)、雪災(積雪など)、飛来物の衝突事故などによる損害が、補償対象とされています。また災害や事故による発電停止と売電収入の減少、設備の修理や復旧、部材や機器の調達費用なども対象となります。
ただし盗難被害に関しては、企業総合保険と同じく補償対象外になるケースもあるため、盗難保険を別途探さなければならない場合もあります。また自家消費型など、売電収入を得ていない場合も対象外です。
太陽光発電用の盗難保険付きサービスを利用するメリット
それでは、太陽光発電用の盗難保険付きサービスを利用するメリットを紹介します。
さまざまな方式の太陽光発電に対応
太陽光発電用の盗難保険付きサービスは、さまざまな方式の太陽光発電に対応している傾向です。太陽光発電の運用方式は、売電型太陽光発電だけでなく、自家消費型太陽光発電、PPA方式の太陽光発電、ソーラーシェアリングなど多岐にわたります。
盗難保険付きサービスは、上記のような幅広い太陽光発電を補償対象としていることが多いです。売電以外の方式で運用している事業者・PPAなどのサービスを活用している事業者にとっても、導入しやすいサポートサービスです。
他の保険と異なり盗難や自然災害の損害を補償
盗難を含むさまざまな被害によって受けた損害を補償してもらえるのが、加入メリットのひとつです。
近年、企業総合保険や休業損害補償には、盗難被害を補償対象外としているケースも出てきています。同保険へ加入していたとしても、自然災害や飛来物からの衝突による損害でなければ補償を受けることが難しいことも少なくありません。
太陽光発電用の盗難保険付きサービスは、配線ケーブルや太陽光パネルなどの盗難被害によって生じた損害を補償はもちろんのこと、自然災害によって受けた被害も補償対象となっている商品もあり、幅広くサポートしてもらえます。
メンテナンスサービスも受けられる
太陽光発電用の盗難保険付きサービスなら、盗難保険に加えてメンテナンスサービスを受けられる商品もあります。
太陽光発電所の出力低下や経年劣化による故障は、収益の大幅な減少につながります。また太陽光発電事業では、点検が義務化されおり、専門業者による点検や運用管理に関するサポートが必要です。
盗難保険付きサービスへ加入すれば、1つのサービスで太陽光発電所の盗難保険を受けながら、保守点検・メンテナンスサービスも受けられるため、手間も少ないです。
太陽光発電所の運用管理に関する負担で悩んでいる方や点検・メンテナンスサービスを見直している方も、盗難保険付きサービスを調べてみてはいかがでしょうか。
O&Mサービスの盗難保険とは?
太陽光発電用の盗難保険付きサービスを探す際は、O&Mサービスから提供されているサービスから検討してみるのがおすすめです。O&Mは、太陽光発電の運転管理から保守点検まで対応してもらえるサービスを指しています。
盗難被害が増え始めた影響で、既存の点検サポートに盗難保険を加えたサービスを提供し始めているO&Mサービスもあります。ここからは、O&Mの盗難保険付きサービスを紹介していきます。
リパワリングを含む保険付きサービス
運転管理・保守点検のほか、リパワリングや盗難保険を付帯したO&Mサービスも存在します。
通常、O&Mにおける運転管理には、遠隔監視システムを用いた発電量や設備状態のチェック、緊急時に現地まで駆けつけてくれるサービスなどが含まれています。保守点検は、定期的な電気・機械点検、敷地内の清掃やパネル洗浄などの作業を指しています。
一方、盗難保険付きO&Mサービスでは、上記に加えてリパワリングと盗難保険を受けられるのが大きな特徴です。
リパワリングとは、点検と異なり、発電能力の向上を目的として、劣化した太陽光パネルやパワーコンディショナ、接続箱などの設備機器を新しい機器と交換することです。最新の機器を導入し、発電効率や出力などを引き上げられます。
盗難保険の内容に関しては、O&Mサービスによって異なります。基本的には、売電型だけでなく、自家消費型太陽光発電やソーラーシェアリング、PPA方式によって導入された太陽光発電も補償対象とされています。
保証対象は太陽光パネルを含む全設備
一般的なO&Mの盗難保険付きサービスでは、太陽光パネルだけでなく設備全体を補償対象としてもらえるのが特長です。
以下に補償対象範囲の一般的な事例を紹介します。
- 太陽光パネル
- パワーコンディショナ
- 接続箱
- 架台
- 配線ケーブル
- 接続に用いられている金具類
- 太陽光発電用のモニタ
前半でも解説したように盗難被害を受けやすいのは、主に配線ケーブルや太陽光パネルです。しかし、各種機器を盗むため、パワーコンディショナなども破壊されるケースがあります。
こうした事情から、設備全体を補償してもらえるのは、事業者にとって大きなメリットです。O&Mサービスによっては、産業用蓄電池なども補償される場合があります。検討の際は、補償対象機器や範囲を確認した上で、判断しましょう。
補償対象は盗難を含む自然災害まで含まれる
補償対象の現象については、盗難だけでなく自然災害や事故なども含まれていることが多いです。
以下に、補償対象とされる主な現象を紹介します。
- 落雷
- 火災
- 設備の爆発や破裂
- 風災(台風など)
- 水災(洪水など)
- 雪災(積雪など)
- 雹
- 飛来物が太陽光発電に直撃(設備の損壊や倒壊被害など)
- 破壊行為
- 盗難
※具体的な補償対象は保険によって異なります。
日本は災害の多い環境でもあり、台風や暴風、ゲリラ豪雨、雹といった被害を受けやすく、災害をカバーできる保険は欠かせません。一つの保険で対応できる範囲が広いのは、手間を減らし、有事の際のスムーズな対応にもつながります。
事故直後の出費に臨時費用保険金を提供
O&Mサービスから提供されている盗難保険付きサービスには、臨時費用保険金が付帯している場合もあります。
臨時費用保険金は、事故直後に受け取れる保険金のひとつで、残置物の撤去や復旧などさまざまな費用に充てられます。損害保険金とは異なりスピーディに受け取れる点は、メリットのひとつといえます。
被害を受けた際は損害保険金でカバー
太陽光発電が被害を受けた場合は、損害保険金によって損失をカバーしてもらえます。
損害保険金の補償限度額は、各保険によって異なります。たとえば、再調達価額(システムを元に戻すためにかかる費用)や太陽光発電の導入費用、O&Mサービスで独自に設定された金額のうち、低い金額が補償限度額とされるケースもあります。
細かな補償条件や補償期間、損害保険金の金額については、加入前に確認しておくことが大切です。
太陽光発電の盗難保険はすべての事業者が検討すべきサポート!
太陽光発電の盗難被害は年々増加しているため、盗難保険や盗難補償付きサービスも検討が必要です。しかし盗難被害の急増に伴い、企業総合保険や休業損害補償には、盗難に対する補償を対象外とする事例も出てきています。
太陽光発電所の盗難リスクに関して対策できていない方などは、今回の記事を参考にしながらとくとくサービスの盗難保険付きサービスを検討してみてはいかがでしょうか。
とくとくサービスは、産業用太陽光発電向けのO&Mサービスで、災害対策や防犯についても取り組みを進めています。防犯に関しては、人感センサーの導入やCTKシリーズを活用したケーブル盗難防止策など、さまざまなご提案を行えるのが強みです。
さらに「リパワリング+免責ゼロで5年間盗難保険付帯サービス付」を提供しており、盗難被害へ備えたい方にもおすすめです。まずはお電話やとくとくサービスHPのお問い合わせフォームより、お気軽にご相談ください。