太陽光発電投資を行っている方の中には、冬場の積雪および落雪被害に悩んでいる方も多いのではないでしょうか?太陽光発電の落雪被害を防ぐ方法には、早めの除雪やパネルの設置角度調整の他、雪止めという選択肢もあります。特に雪止めは落雪被害に対する効果が高いのが特長です。
そこで今回は、雪止めの仕組みや取り付け方、太陽光発電へ設置するメリットやデメリットについて詳しくご紹介します。太陽光パネルからの落雪被害を抑えたい方や雪止めに興味があるものの悩んでいる方などは、参考にしてみてください。
太陽光発電の雪止めとは?
太陽光発電の雪止めは、主に住宅用太陽光発電で用いられている落雪事故防止設備を指します。住宅用太陽光発電を始めた方、野立て太陽光発電を設置し、かつ自宅で住宅用太陽光発電を行っている方は、特に注目すべき設備でしょう。
それでは、太陽光発電の雪止めに関する仕組みと特徴、費用について説明します。
太陽光パネルに積もった雪が滑り落ちるのを防ぐ
雪止めの設備は、太陽光パネルや屋根に積もった雪が地面へ滑り落ちていくのを防ぐ役目をします。設置後は、屋根や太陽光パネルに積もった雪は滑り落ちず、日中に少しずつとけて、雨どいをつたって流れていきます。
そのため、雪止めを導入しても屋根の除雪作業が増えることはありません。
後付けで設置可能
雪止めは、基本的に既築の住宅や太陽光パネルが設置された屋根に後付けできます。ただし太陽光パネルに適した雪止めとそうでないタイプがあるので、種類を把握しておくのも重要なポイントです。
以下に、雪止めの主な種類を紹介します。
種類 | 概要 |
---|---|
雪止め金具 | 屋根材の間にL字型などの金具を固定し、屋根に積もった雪をせき止める (太陽光発電向きではない) |
雪止め瓦 | 雪止め用の特殊な形状で成形された瓦を瓦屋根の中に取り付け、落雪を防止する (瓦屋根専用の雪止め設備) |
アングル型 | 屋根の傾斜に対して垂直に雪止め金具を取り付ける (太陽光発電向きではない) |
金網型 | 屋根の端などに金網型の雪止め設備を取り付ける 太陽光パネルの取り付けられた屋根にも設置できるのが特長 |
住宅用太陽光発電向きの雪止めは「金網型」です。金網上に雪が溜まり、その隙間からとけた雪が流れていきます。
住宅用太陽光発電の他、倉庫や工場の屋根に太陽光パネルを取り付ける場合は、金網型のような雪止めを検討するのがいいでしょう。
費用は数10万円~
住宅用太陽光発電向けの雪止めを設置する場合は、1回の工事で数10万円の費用を見積もっておいた方がいいかもしれません。
また設置の際は建物に足場を組む必要があり、その費用などもかかります。この他、雪止めの部材や固定工事費用、人件費などといった項目も追加されるでしょう。
そのため、場合によっては合計40万円程度の費用がかかることもあります。
工場や倉庫の屋根など、規模の大きい建物の場合では、さらに費用を負担しなければいけません。雪止めを検討する際は、しっかりと見積を取ってもらうようにしましょう。
太陽光発電に雪止めを取り付けるメリット
続いては、太陽光発電の設置されている屋根に雪止めを取り付けるメリットを確認していきます。
落雪被害を抑えられる
雪止めを設置する大きなメリットは、落雪による事故リスクを軽減できるという点です。
雪の重量は1㎡あたり50~500kgなので、直撃してしまうと大事故につながります。また、第三者やその所有物へ被害を与えてしまうと、賠償責任も生じます。そのため雪止めの設置は、多くのリスクを回避できることにつながるのです。
この他にも、太陽光パネルの表面は滑りやすいので、雪以外の落下を予防する効果も大きいといえます。1m以上の積雪量を記録する地域で住宅用太陽光発電を設置する時は、雪止めを検討するのがおすすめです。
雪がとけると自然に流れていく
雪止めは、パネルや屋根に積もった雪をせき止めるだけでなく、隙間から融けた雪を流せる構造になっています。そのため、日中にとけた雪は雨どいから少しずつ流れていきます。
屋根に積もった雪を取り除くには、基本的に人力で除雪作業を行わなければいけません。しかし雪止め設備があれば、落雪を防ぎながら自然にとけるのを待つだけです。これにより、除雪作業の負担の軽減や、作業中の事故リスクを回避できる可能性が高まります。
太陽光発電に雪止めを取り付けるデメリット
ここからは、太陽光発電が設置されている屋根に雪止めを取り付けるデメリットについて確認していきましょう。
雪がとけるまで発電量は低下しやすい
雪止めの種類によっては、屋根の除雪作業が難しくなることがあります。雪が太陽光パネル表面に積もった状態では、自然にとけるまでの間の発電量は低くなり、晴れの日でも十分な発電ができない可能性もあります。
なるべく早く屋根の雪を取り除きたい時は、除雪作業の方が効率がよくなります。ただし、屋根の上で除雪作業を行うのは落下事故などのリスクが伴うことを覚えておきましょう。
安全性を重視するには、除雪作業の回数を減らせる雪止め設備を検討してみるのがおすすめです。
雪が流れにくくパネルや屋根の負荷も増加
1mや2m単位で雪が積もる地域で太陽光発電をしている場合、その重量が原因となって太陽光パネルや屋根の破損につながってしまう場合もあります。
なぜなら、雪止め設備があると屋根や太陽光パネルに積もった雪が融けるまで待たなければならないことが多く、また、雪下ろしが困難なためです。
このような環境での太陽光発電は、屋根の耐久性や積雪量の問題だけでなく、十分な発電ができない可能性があります。雪止め以外の方法で対策を検討するのがいいかもしれません。
野立て太陽光発電の雪対策は?
太陽光発電の雪止めは、主に建物の屋根に取り付けます。野立て太陽光発電を検討もしくは運用している時は、他の方法で進める必要があります。最後は、野立て太陽光発電の雪対策について1つずつ確認していきましょう。
太陽光パネルの角度を調整
野立て太陽光発電に雪を積もらせないためには、パネル角度を調整しましょう。野立ての場合は、屋根設置と比較して架台およびパネルの角度を調整しやすい状況です。50㎝、1mと積もる前に15度以上の傾斜をつけることで、自然に雪が落ちていきます。
O&M業者へ除雪作業を依頼
O&M業者へ除雪作業を依頼するのは、太陽光発電設備の故障を防ぐ上で欠かせないポイントです。
O&M業者とは、設備の運用と保守サービスを提供しているメンテナンス専門業者のことです。野立て太陽光発電に関するO&M業者は、太陽光パネルや架台、配線やパワーコンディショナなどの定期的な保守点検の他、除雪作業といったサービスにも対応しています。
野立て太陽光発電の太陽光パネルは、住宅用太陽光発電をはじめとした屋根設置と比較して、地面に近い位置に設置されています。しかし、素人が梯子などで太陽光パネルの頂点近くまで上るのは危険ですし、落下による負傷や感電事故に遭ってしまう可能性もあります。
O&M業者なら太陽光発電設備の維持管理方法やリスクについて熟知しているので、除雪作業を含めて安心して任せることができます。
弊社とくとくサービスは産業用太陽光発電のメンテナンスサービス専門業者で、定期点検パックや緊急時の駆けつけサービスなど、多彩な保守点検プランを提供しています。
太陽光発電の雪止めでは対策できない、野立て太陽光発電の雪対策について悩んでいる時は、お気軽にご相談ください。
融雪機能付き太陽光発電を設置
近年では、融雪機能が付いた太陽光発電設備の研究開発も進んでおり、実用化に向けた動きも見られます。融雪機能付き太陽光発電は、太陽光パネルにヒーターが内蔵されていて、降雪センサーや融雪に関する回路なども組み込まれたシステムです。
たとえば、シャープで研究されている融雪機能付き太陽光発電は、パワーコンディショナに融雪機能が搭載されています。
融雪モードに設定すると、積雪量などを測定する降雪センサーが働きます。融雪が必要と判断されれば、パワーコンディショナの制御によって太陽光パネル内のヒーターが稼働し、雪を融かす仕組みです。
融雪ヒーターのコストが除雪作業・雪止め設備の設置費用より安ければ、導入の価値はあると言えます。ただし、融雪用の電力が必要になるので、効率的な自家消費や売電が難しいという側面もあります。
太陽光発電の雪対策はO&M業者へ相談するのがおすすめ
太陽光発電の雪止めとは、主に住宅の屋根に設置されている落雪防止金具やフェンスのことです。野立て太陽光発電に雪止めを取り付けるのは難しいため、パネル角度や高さの調整、O&M業者への依頼などを検討するのが現実的な対策といえます。
野立て太陽光発電の雪対策について調べている方や野立て太陽光発電の落雪被害に悩む方は、記事を参考にしながらO&Mサービスを検討してみてはいかがでしょうか。
弊社とくとくサービスは、24時間365日、駆けつけ対応を行っているO&M業者で、定期的な保守点検の他、除草作業や防汚コーティング、管理者による遠隔監視など、運用に関するさまざまなサポートを行っています。
また、自然災害などで破損した場合は、復旧工事や保険手続きまで対応いたしますので、お客様の負担を最小限に抑えられます。産業用太陽光発電投資を行っているものの総合的な保守点検サービスに入っていない方は、この機会にぜひご相談ください。
現在、お試し無料点検サービスを実施中ですので、費用をかけずにO&Mサービスを体験できます。