太陽光発電付き住宅を譲り受けるなどといった場合は、名義変更手続きの必要があります。ただし、名義変更手続きをどのような流れで行うのか分からない方もいる方もいるかと思います。
そこで今回は、太陽光発電の名義変更手続きの流れや注意点について詳しくご紹介します。太陽光発電付き住宅や設備を譲り受けた方などは、参考にしてみてください。
太陽光発電の名義変更が必要なタイミングを確認しよう
太陽光発電は、自家用車やバイク、住宅などと同様に所有者を明確にしておく必要があります。何らかの理由で所有者が変わる時は、名義変更手続きを行います。
名義変更のタイミング1つ目は、生前贈与です。生前贈与とは、親や祖父母などから生前に住宅などの資産を譲り受ける手続きのことです。
産業用太陽光発電や住宅用太陽光発電付き住宅を譲り受けた際には、名義変更手続きが必要です。
名義変更のタイミング2つ目は相続です。産業用太陽光発電や住宅用太陽光発電付き住宅の所有者が亡くなった場合、相続人が太陽光発電を含む資産を相続します。相続際に名義変更手続きも行う必要があります。
名義変更のタイミング3つ目は、中古太陽光発電設備の購入です。中古太陽光発電所を購入する際は、前所有者から売電契約や設置者、その他名義を変更しなければ運用することはできません。
このように太陽光発電の名義変更は、相続や生前贈与といった身内の中だけでなく第三者同氏でも発生します。
太陽光発電の名義変更をしないとどうなる
太陽光発電の名義変更をせずに相続や購入は、行うことができません。また、太陽光発電を引き渡したり売却したりといった手続きも進めることはできません。
- 相続、生前贈与できない
- 設備を引き渡すことができない
- 売電できない(事業計画の変更手続きができない)
- メーカー保証を受けられない
- 売却できない
- 購入できない
太陽光発電の相続・生前贈与、中古太陽光発電所の売買を行う場合は、名義変更手続きの準備を始めるのが大切です。
名義変更の必要がある手続き
太陽光発電を譲り受けたり購入したりする際には、複数の名義変更手続きを行う必要があります。
ここからは、主な名義変更手続きの種類および特徴について解説します。
売電契約の名義変更
産業用や住宅用太陽光発電の売電収入を自身の口座へ入金してもらうためには、売電契約の名義変更手続きが必要です。
売電契約の名義変更手続きは、電力会社へ問い合わせ・相談していきます。
以下に売電契約の名義変更で用いる書類や情報を紹介します。
- 口座振替依頼書
- 電力受給契約申込書
- 太陽光発電の設置住所
- 前所有者の氏名
書類の様式などは電力会社により異なるため、契約先の電力会社へ問い合わせもしくはHPで確認するのが大切です。また、前所有者の氏名をはじめ個人情報の確認も必要のため、あらかじめ情報を整理しておきます。
変更手続きは、電力会社へ名義変更手続きに関する問い合わせを行い、担当者からの指示に沿って進めていきます。
事業計画認定に関する名義変更
事業計画認定は、太陽光発電で発電した電気を売電するために必要な手続きです。生前贈与や相続などで設置者(設備の所有者)が変わる際は、名義変更手続きを行います。
生前贈与および事業譲渡の名義変更手続きで必要な主な書類は、以下の通りです。
- 譲渡証明書
- 譲渡を行う、譲渡される方の住民票(写し)と住民票記載事項証明書もしくは戸籍謄本(原本)
- 譲渡を行う、譲渡される方の印鑑証明書など
- 土地取得を伴う生前贈与では、土地登記簿謄本、不動産売買契約書といった書類も必要です。
続いて、以下に相続の場合に必要な書類を紹介します。
- 被相続人の戸除籍謄本と附票
- 各法定相続人の戸籍謄本(原本)
- 各法定相続人の印鑑証明書
- 遺産分割協議書もしくは全相続人の同意書など
事業計画認定の名義変更手続きは、JPEA代行申請センターサイトで進めていきます。
サイトへアクセス後は、まず前所有者のIDでログインし、変更認定申請のページへ進みます。続いて、必要書類の画像アップロードと申請情報の入力を行うと、登録メールアドレス宛てにメールが届くので、承諾手続きを進めれば手続き完了です。
出力50kWの太陽光発電は、原則電子申請です。
数か月程度の審査期間があるため、早めに手続きを済ませておくのがポイントです。
不動産登記簿の名義変更
土地や建物の所有者変更の際は、不動産登記簿の名義変更手続きも必要です。
事業計画認定と同じく相続や生前贈与など、状況に応じて必要な書類が変わります。
生前贈与および事業譲渡の名義変更手続きで必要な主な書類は、以下の通りです。
- 贈与者(設備を引き渡す)の印鑑証明書、登記済権利証、固定資産評価証明書、登記簿謄本
- 受贈者(設備を譲り受ける)の住民票
- 贈与契約書など登記原因証明情報など
続いて、以下に相続の場合に必要な書類を紹介します。
- 被相続人の戸籍謄本や除籍謄本、住民票の除票
- 相続人の戸籍謄本、住民票
- 登記申請書など
各種書類を用意できた場合は、管轄の法務局へ提出していきます。管轄の法務局や住所は、法務局のHPから確認することが可能です。
その他各種契約の名義変更
前述以外にも、メーカー保証や施工保証の名義、損害保険などに関する名義変更が必要です。
メーカー保証や損害保険は、会社によって手続きの流れなどが異なります。そのため、各担当者へ名義変更手続きについて確認をとることが大切です。また、施工保証は、前所有者から継承できるか太陽光発電施工業者へ確認する必要があります。
メンテナンス契約は新たに業者と契約を交わすため、新規契約という形で手続きを進めていく流れです。
償却資産に該当する設備の場合は、償却資産申請の名義変更変更手続きも必要です。
住宅用太陽光発電付き住宅の売買や事業譲渡の名義変更
出力10kW未満の住宅用太陽光発電付き住宅や設備を購入、もしくは相続や生前贈与の場合は、以下の名義変更手続きが必要です。
住宅用太陽光発電で変更しなければいけない手続き
住宅用太陽光発電付き住宅の名義変更では、主に「事業計画認定」と「売電契約」の手続きが必要です。
また、住宅用太陽光発電付き住宅の購入と住宅用太陽光発電設備の事業譲渡では、必要な書類に違いがあります。
住宅用太陽光発電付き住宅の購入 |
・譲渡契約書もしくは譲渡証明書の原本(売却者・購入者どちらも必要) ・住民票の写しもしくは戸籍謄本の原本 ・印鑑証明書の原本(売却者・購入者どちらも必要) ※運転開始後初めての変更手続きであれば、受給開始の証明書類(電力会社発行) |
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事業譲渡 |
・物件目録 ・登記嘱託書もしくは登記識別情報通知書 |
産業用太陽光発電の名義変更
産業用太陽光発電を相続や生前贈与、もしくは中古太陽光発電所を購入した場合は、以下の名義変更手続きが必要です。
- 事業計画認定の設置者の変更手続き
- 売電契約の変更
- 土地登記簿の変更
- 遠隔監視装置の管理者変更
- 施工保証
- メンテナンス契約
- 損害保険
- メーカー保証
- 補助金制度など
このように前半で紹介した名義変更手続きも含まれています。特に売電契約と事業計画認定の名義変更手続きは時間がかかるため、早めに書類の準備および手続きを始めるのが大切なポイントです。
名義変更できない場合は代行業者へ依頼
太陽光発電の名義変更手続きを確認した方の中には、「必要な手続きと書類が多すぎて若からない」、「相続や生前贈与で必要書類が違うため、よく分からない」といった疑問や不安で名義変更できない時は、代行業者への依頼がおすすめです。
各種名義変更手続きは、太陽光発電施工業者や仲介業者へ依頼することができます。
また、弊社サービスでは、中古太陽光発電の売却や購入予定者に向けて、名義変更手続き含めサポートしています。
名義変更手続きで変わらない点
太陽光発電の名義変更手続きで変わらない点は、以下の通りです。
固定買取期間
太陽光発電の名義変更を行った場合は、固定買取期間を引き継ぎます。
たとえば、前所有者が産業用太陽光発電のFIT申請の承認を受け、10年売電を行ったのち設備を売却した場合は、残り10年間FIT制度を活用できます。
固定買取価格
太陽光発電の名義変更では、FIT制度の固定買取価格も引き継ぐこともできます。
2014年にFIT申請の承認を受けた中古太陽光発電所を2021年に購入した場合は、2014年の固定買取価格で売電することが可能です。
固定買取価格は、住宅用と産業用と共に年々下落傾向です。売電収入を重視している場合は、メリットがあります。
太陽光発電の名義変更は早めに行うのが大切
住宅用太陽光発電付き住宅や産業用太陽光発電を相続したり生前贈与を受けたりした場合は、名義変更手続きが必要です。また、中古太陽光発電所の購入や事業譲渡の場合、各種名義変更手続きを行う必要があります。
住宅用太陽光発電を取得・購入する際は、主に事業計画認定や売電契約の名義変更手続きを行います。一方産業用太陽光発電を取得・購入する場合は、事業計画認定や売電契約の他にも遠隔監視などの名義変更手続きを進めます。
名義変更手続きに必要な書類は、状況に応じて変わります。さらに事業計画認定や売電契約の承認は数か月程度かかるため、早めに準備しておくのが大切です。
弊社サービスでは、中古太陽光発電所の売却や購入予定者が悩みやすい名義変更手続きを含めてサポートいたします。また、専任の司法書士がサポート・代行しますので、ぜひお気軽にご相談ください。
売却の際は、細かい項目を入力するしっかり査定・30秒程度で完了するかんたん査定、購入時は、個別の無料セミナーや問い合わせにて対応しています。