太陽光発電を設置するには、100万円や1,000万円単位の資金を用意しなくてはいけません。そこで国や自治体では、太陽光発電や関連機器の設置時に補助金を提供しています。しかし補助金制度には募集期間があったり、すでに終了した制度もあったりするため、2022年と2023年の補助金情報は異なる場合もあります。
そこで今回は、2023年に実施される予定の補助金制度や2022年の実施状況について詳しくご紹介します。2023年に太陽光発電を設置する予定の方や補助金を活用しながら太陽光発電を設置したい方は、参考にしてください。
国主導の主な補助金制度
国では2023年も太陽光発電関連の補助金制度を実施します。ただし法人向けなので、個人の太陽光発電投資家や住宅用太陽光発電を検討している方は、自治体の補助金制度を検討してください。
それでは、2023年度予算がついた国主導の主な太陽光発電関連補助金制度について紹介していきます。
地域脱炭素の推進のための交付金
「地域脱炭素の推進のための交付金」事業は、地方公共団体に向けた補助金制度で、脱炭素化につながる設備に関する補助金を交付してもらえます。
地域脱炭素ロードマップや地球温暖化対策計画といった国の方針に沿って脱炭素事業に取り組む地方公共団体は、以下の2種類の対策についてサポートしてもらえます。
項目 | 概要 |
---|---|
(1)地域脱炭素移行・再エネ推進交付金 (2)重点対策加速化事業への支援 |
(1)脱炭素先行地域に指定された地方公共団体で、省CO2設備や再エネ電源などの導入に対する補助金 ・原則として導入費用の3分の2 (2)再エネ電源を一定以上導入している地方公共団体向け ・導入費用の3分の1~3分の2 |
特定地域脱炭素移行加速化交付金 |
二酸化炭素排出削減効果の高い脱炭素製品や技術に対する補助金 ・原則として導入費用の3分の2 |
引用:環境省「地域脱炭素の推進のための交付金」を加工して作成
同制度は、100ヵ所の脱炭素先行地域で2030年までに脱炭素事業を実施し、なおかつ2050年を待たずに脱炭素化を達成するための補助金ということです。地方公共団体と共に脱炭素事業を進めている企業は、この補助金制度を受けられます。
地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業
「地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業」は地方公共団体向けの補助金制度で、公共施設への再生可能エネルギー導入を支援してもらえます。
国と地方による会議「地域脱炭素ロードマップ」では、国や自治体の公共施設へ再生可能エネルギーを積極的に導入し、脱炭素化だけでなく災害および停電の際に地域レジリエンスの強化を目指しています。また設備導入支援策として、同補助金制度が実施されます。
以下に補助金の内容を紹介します。
項目 | 概要 |
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設備導入に対する補助金事業 | 再生可能エネルギー設備、コージェネレーションシステムや附帯設備(蓄電池や充放電設備、自営線、熱導管など)、省CO2設備(高機能換気設備、省エネ型浄化槽含む)の導入費用に対する補助金を交付 ・指定都市:費用の3分の1 ・市区町村(太陽光発電やコージェネレーションシステム):費用の2分の1 ・市区町村(地中熱やバイオマス熱など):費用の3分の2 |
設計などに関する補助金事業 | 再生可能エネルギー設備などの導入時に必要な調査および計画策定を行う 事業の費用の一部を補助。 |
引用:環境省「地域脱炭素の推進のための交付金」」を加工して作成
補助金率は、対象経費に対して3分の1~2分の1とされています。特に太陽光発電やコージェネレーションシステムを導入すると、補助金率2分の1と多くの補助金を交付してもらえます。
太陽光発電を公共施設へ導入したい地方公共団体は、「地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業」を検討してみるのがおすすめです。
民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業
国主導の補助金事業は、民間企業向けの補助金制度も実施しています。中でも「民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業」は脱炭素化経営を目指す企業にとってメリットの多い制度で、太陽光発電の導入支援に関する内容も含まれています。
それでは、「民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業」内の各補助金制度について1つずつ確認していきましょう。
ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」は、主にオンサイトPPAの自家消費型太陽光発電や蓄電池を導入する企業に対する補助金制度です。
補助金額は、設置場所や設置方法によって異なります。
設置方法 | 補助金 |
---|---|
設備を購入 | 1kWにつき4万円、戸建て住宅は対象外(経費対象設備に対して3分の1を上限) |
PPA、リース | 1kWにつき5万円、戸建て住宅への設置なら1kWにつき7万円(経費対象設備に対して3分の1を上限) |
PPAとは、初期費用0円で設備の導入が可能なサービスのことです。PPA事業者所有の太陽光発電を自社の敷地に無償で設置してもらい、運用保守や維持管理費用も負担してもらえます。契約期間終了後は、撤去もしくは無償で譲渡してもらえる仕組みです。
リースは、初期費用を分割で支払いながら運用していく方式を指しています。
なおオンサイトは、自社の敷地内に設置する場合のことです。(送配電設備を使用せずに送電・自家消費可能な状態)
新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業
「新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業」は、ソーラーカーポートといった地域との共生を前提とした太陽光発電導入を行う企業に向けた補助金制度です。
補助金対象設備や事業は、以下のとおりです。
対象設備 | 概要 |
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ソーラーカーポート |
補助金を受けながらソーラーカーポートを導入することで、調達価格等算定委員会から提示されている導入費用と同じもしくは下回ると補助金を交付してもらえる ・補助金率3分の1 |
ソーラーシェアリングなど |
補助金を受けながら営農地やため池、廃棄物処分場で太陽光発電を始めることで、調達価格等算定委員会から提示されている導入費用と同じもしくは下回ると補助金を交付してもらえる ・補助金率2分の1 |
オフサイトによる太陽光発電導入 |
オフサイト型太陽光発電を導入する際、自営線で仕組みづくりを行う場合に補助金を交付(自営線:送配電網を活用せず、自社で電柱などを設置) ・補助金率2分の1 |
再エネ熱、未利用熱、自家消費型再エネ |
再エネ熱利用、未利用熱利用(工場廃熱など)、自家消費型再エネ発電(太陽光発電以外)に関する計画策定や導入費用を補助金でサポート ただし、補助金を交付してもらうことで、調達価格等算定委員会から提示されている導入費用と同じもしくは下回ると補助金を交付してもらえる ・補助金率2分の1、3分の1、4分の3 |
新たな手法による再エネ導入 | 新たな再生可能エネルギー導入手法に関する調査や検討、情報を公開した際に補助金を交付 |
設備導入費用に対する補助金率は、対象費用に対して3分の1もしくは2分の1です。計画策定に対する補助金率は4分の3で、上限1,000万円とされています。
農業に必要な電源を太陽光発電事業でカバーしていきたい場合やソーラーカーポートを自社の敷地に設置したい場合などは、検討しやすくメリットの多い制度です。
再エネ主力化に向けた需要側の運転制御設備等導入促進事業
「再エネ主力化に向けた需要側の運転制御設備等導入促進事業」は、再エネ電源の需要家や発電側の制御システムなどに関する補助金制度です。
太陽光発電や風力発電などは、電力の安定供給という点でデメリットがあります。「需要家=電力の利用者」側で買電量を調整できれば、電力の需給安定や再エネの普及拡大にもつながります。そこで国では、需要家や発電事業者の設備導入支援を行っています。
1つ目は、省CO2および需要家側からの電力調整力強化を目指した補助金制度で、エネルギーマネジメントや省エネにつながる設備の導入に対して補助金を交付してもらえます。
たとえば、ヒートポンプやコージェネレーションシステム、蓄電池などの設備が補助対象です。補助金率は2分の1と、補助金制度の中でも高めの設定といえます。
2つ目は、発電設備をオンラインで制御可能なシステムに対する補助金制度で、補助金率3分の1とされています。また3つ目は、屋外照明設備をスマート街路灯やソーラー街路灯へ切り替える事業に対する補助金制度で、補助金率4分の1、4分の3、3分の1と事業によって異なります。
離島における再エネ主力化に向けた運転制御設備導入構築事業
「離島における再エネ主力化に向けた運転制御設備導入構築事業」は、離島での再生可能エネルギー設備や需要家側に関する設備導入を支援している補助金制度です。
同補助事業の主な目的は、離島で再生可能エネルギー設備や需要家側設備の導入と管理制御システムを導入することで、再生可能エネルギーの自給率を向上させることです。
補助対象は、再生可能エネルギー設備やオンラインで制御可能な需要家側設備、蓄熱槽、充放電設備、通信・遠隔制御機器と多種多様な設備が含まれています。
計画策定に対する補助金率は4分の3(上限1,000万円)、設備に対する補助金率は3分の2とされています。
平時の省CO2と災害時避難施設を両立する新手法による建物間融通モデル創出事業
「平時の省CO2と災害時避難施設を両立する新手法による建物間融通モデル創出事業」は、第三者保有モデルを活用した省エネや再エネ設備の導入および避難拠点機能を両立するための設備を構築している場合に受けられる補助金制度です。
第三者保有モデルとはPPAモデルのことで、PPA事業者所有の再エネ電源を自社の敷地内に無償で設置してもらい、運用保守や維持管費用も負担してもらえます。初期費用や維持管理費用を抑えながら再生可能エネルギーを導入できるため、再エネ電源の普及につながります。
補助金対象の設備は、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーや蓄電池、省エネ設備、自営線などです。補助金率は、事業の計画策定に対して4分の3(上限1,000万円)、設備導入費用に対して3分の2もしくは2分の1とされています。
データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業
「データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業」は、データセンターの再エネ電源使用比率や省エネ設備の性能向上、再エネ電源の活用によるレジリエンス強化に関する取り組みに対する補助金制度です。(レジリエンス強化:環境への適応や強靭化けといったもの)
補助金の対象は、ゼロエミッション用のデータセンターに活用される再生可能エネルギー、蓄電池、省エネ設備で、太陽光発電も含まれています。他には、データセンターの移設や集約、省エネ設備の改修、コンテナ・モジュール型データセンターの導入費用、再エネ活用型データセンターの利用促進に関する調査や検討に対して補助金が交付されるのも特長です。
補助金率は、対象設備の導入費用に対して3分の1もしくは2分の1で、他の補助金制度と同程度の水準といえます。
公共施設の設備制御による地域内再エネ活用モデル構築事業
「公共施設の設備制御による地域内再エネ活用モデル構築事業」は、公共施設で再生可能エネルギーの活用比率を高めるための取り組みに関する補助金制度です。
2023年度に新規募集が行われないため、2022年度以前から継続的に補助金制度を活用している企業や地方自治体のみ受けられます。
補助対象は、再生可能エネルギー設備と蓄電池、通信機、エネルギーマネジメントシステム、自営線といった設備です。また補助金率については、対象設備の導入費用に対して3分の2とされています。
自治体主導の補助金制度はある?
地方自治体によっては、独自に太陽光発電の補助金制度を実施している場合があります。
以下に2023年度の補助金制度をいくつか紹介します。
自治体 | 補助金制度 |
---|---|
東京都 |
災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業 ・太陽光発電を含む省エネ設備の設置、省エネ性能に優れた住宅の建築といった場合に補助金を受けられる ・新築住宅への太陽光発電設置 出力3kW以下の場合:1kWあたり12万円(上限36万円) 出力3kWを超えて50kW未満の場合:1kWあたり10万円 出力3kWを超えて3.6kW未満:一律36万円 ・既築住宅への太陽光発電設置 出力3kW以下の場合:1kWあたり15万円(上限45万円) 出力3kWを超えて50kW未満の場合:1kWあたり12万円 出力3kWを超えて3.75kW未満:一律45万円 |
京都府 |
京都0円ソーラープラットフォーム ・京都0円ソーラープラットフォームを活用して住宅用太陽光発電を導入した場合、最大で10万円相当額の還元を受けられる |
2023年1月時点では、2023年度の補助金制度や予算について公開されていないケースも多く、一部の制度以外確認が難しい状況です。副業で太陽光発電投資を行う方や住宅用太陽光発電を検討している方は、年度の切り替わる時期に自治体HPや窓口、販売施工業者で確認してみましょう。
なお、自治体独自の補助金制度は、主に個人が対象です。また、対象設備は住宅用太陽光発電や住宅向け家庭用蓄電池とされていて、産業用太陽光発電や産業用蓄電池向けに作成されていません。
そのため、企業の場合は、前段で紹介した国主導の補助金制度を中心に内容を確認したり検討したりしてください。
蓄電池関連の補助金制度はある?
産業用蓄電池関連の補助金制度は、2023年も国主導で実施されています。
前半で紹介したように、脱炭素関係や再エネ電源関連の補助金制度の中には、蓄電池も補助対象設備として定められている制度もあります。また、蓄電池単体の補助金制度は少ないため、脱炭素や再エネ関連の補助金制度から比較検討するのがおすすめです。
家庭用蓄電池に関する補助金制度に関しては、自治体独自で実施しています。内容は、蓄電池単体の制度や「省エネ住宅+蓄電池+太陽光発電」に対する制度など、大きく異なる傾向があります。
今後蓄電池を設置する方は、定期的に国(環境省や経済産業省など)や自治体サイトから補助金制度の実施状況を確認するようにしましょう。
蓄電池の初期費用は、蓄電容量によって変わります。
- 家庭用蓄電池(4~12kWh):80万円~200万円程度
- 産業用蓄電池(13kWh~):200万円~
太陽光発電と蓄電池を同時に導入する時は、蓄電池の費用や補助金を含めて初期費用回収期間や利回りを計算しておく必要があります。
補助金制度の申請方法
補助金制度の申請方法は、制度の実施元によって変わります。補助金を交付してもらいたい場合は、管轄の省庁HPで補助金制度の概要や必要書類を確認してください。
なお各種書類の提出手続きは、一般的に太陽光発電の販売店や施工業者で代行してもらえます。施主側で対応しなければいけない作業は少ないため、比較的スムーズに申請手続きを進めることが可能です。
必要書類の提出先については、以下のとおりです。
【必要書類の提出先】
- 国の補助金制度:管轄の省庁へ書類を提出
- 自治体の補助金制度:最寄りの役場へ書類を提出
また、以下に太陽光発電関連の補助金制度で必要な書類を紹介します。
- 電力需給契約の写し
- 検針票など設備状況を示す書類
- 補助金対象機器の費用を示す書類(領収書など)
- 設備の存在を証明するための写真(機器が写っている写真)など
- 補助金制度によっては、先に太陽光発電などの設備を設置したあとに申請を行うタイプと設置前に申請可能なタイプがあります。
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2023年も太陽光発電の補助金制度が実施される!
太陽光発電に関する補助金制度は、2023年も実施される予定です。また、国主導の補助金制度は企業向けの内容で、種類によってソーラーカーポート、ソーラーシェアリング、蓄電池、省エネ設備などさまざまな導入費用に対して補助金を交付してもらえます。
一方、住宅用太陽光発電の補助金制度は、国で実施していません。ただし、自治体が独自で実施している場合もあり、住宅用太陽光発電の出力1kWにつき指定の補助金を交付してもらえます。
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