太陽光発電の課題と解決策について解説

太陽光発電の課題と解決策について解説

太陽光発電は、個人でも導入可能な発電システムで、売電収入や電気代削減といったメリットを期待できます。一方で出力抑制による売電不可や自然災害などいくつかのリスクや課題も存在します。
そこで今回は、太陽光発電の課題点や解決策について詳しくご紹介します。太陽光発電の持つ長所や短所を知りたい方などは、参考にしてみてください。

太陽光発電の課題点とは?

太陽光発電には、自然災害や経年劣化などによる設備の破損とコスト、FIT制度や出力抑制といった電力関係の制限や枠組みなど、さまざまな課題があります。このような課題は、太陽光発電を効率的に売電したり自家消費したりする上で重要なポイントです。
それでは、太陽光発電の課題について確認していきます。

自然災害による設備破損リスク

太陽光発電設備は、自然災害によって発電停止や設備の破損といった課題が想定されます。
災害による具体的な影響は以下の通りです。

  • 地震:架台やパネルの破損、ケーブルの切断など
  • 台風:浸水による破損、風でパネルが飛ばされたり飛来してきた物に直撃したりなど
  • 豪雨:設置地域の浸水や河川の氾濫による設備水没、漏電リスク
  • 土砂災害:太陽光発電が巻き込まれた場合、設備全損、第三者へ被害を与える可能性

住宅用太陽光発電は、屋根に取り付けるタイプが主流です。そのため、太陽光発電の破損で、屋根の破損および雨漏りといった被害につながる可能性があります。
一方、産業用太陽光発電は地面に取り付けるため、住居への影響は避けられるものの、地震による地面の亀裂で基礎部分から破損・倒壊リスクもあります。また、地面に架台を取り付けるため、豪雨などによる水没リスクにも注意が必要です。
さらに土砂災害に巻き込まれ、周辺の施設や人へ被害を与えてしまう可能性もあります。

気象現象による発電率低下

太陽光発電は、火力発電や原子力発電と異なり、発電量の不安定さがネックです。具体的には、気象現象や時間帯によって発電量が低下したり0になったりなどの課題もあります。
以下に気象現象と時間帯、季節と発電量の関係性について整理します。

気象現象 発電量低下:雨、曇り、雪の日など
一定の発電量を維持:晴れの日
時間帯 午前11時前後から午後12時頃にかけて発電量増加
午後12時頃が発電量のピーク
午後13時頃から発電量が低下していき、日没後は発電量0
季節 春から初夏にかけて発電効率が良い傾向
猛暑日などを記録する8月頃は、温度の関係で発電効率が低下しやすい
梅雨・冬は発電量の低い時期

日照時間が長く晴れの日も比較的多い8月は、一定の発電量を見込めます。しかし、太陽光パネルの多くは高温に弱い性質を持っているため、発電効率という点でデメリットもあります。
太陽光パネルの発電効率は、気温約25度でピークとなるため、猛暑日を記録する7月後半から8月にかけて低下していきます。発電量を伸ばすことができる時期は、一般的に4月頃から7月はじめです。

劣化によるセルの破損や火災リスク

太陽光発電設備は、設置から10年・15年と経過していくたびに劣化していきます。

  • パワーコンディショナの変換効率低下
  • ケーブルなど周辺設備の劣化による破損
  • 架台の耐久性低下など
  • 太陽光パネルの劣化による発電効率低下、破損

さらに太陽光パネルに組み込まれているセル(太陽電池の単位)は、経年劣化による接続不良などによって火災リスクも生じます。
セルから流れた電流は、一部熱損失に変換されます。経年劣化などによる接続不良が生じていると抵抗も大きくなるため、発熱および焦げや火災につながるという仕組みです。
このようなセルの抵抗値が高いポイントは、ホットスポットと呼びます。

電力需給バランスの偏り

近年、太陽光発電など再生可能エネルギー設備の普及が進んだことによって、各地域の電力需給に関するバランスにも影響を与えています。万が一電力の需要に対して供給量が上回ると、大規模停電などにつながります。
電力会社は、このような大規模停電を防ぐために、出力抑制を実施しています。そのため 電力の需要状況によっては、一時的に発電・売電不可となってしまう点に注意が必要です。

設置や維持管理費用の負担

太陽光発電は、出力10kW未満の住宅用太陽光発電でも本体価格と設置工事費用で100万円程度かかります。
また、出力10kW以上の産業用太陽光発電は、さらに本体価格や設置工事費用が高額になりますし、土地の造成工事やフェンスなどの費用も発生します。
設置後は売電収入や自家消費で手元に残った資金を活用し、初期費用回収も可能です。しかし、メンテナンスや保険、税金などといったコストも定期的にかかるため、収支バランスを維持するのが難しい側面もあります。

固定買取価格が下落傾向

初期費用回収および利益を残すために重要なFIT制度の固定買取価格は、年々下落方向で改定されています。
FIT制度の固定買取価格は、FITの申請年によって変わる仕組みです。たとえば、2020年に太陽光発電を設置し、2021年にFIT申請を行うと同年に定められた固定買取価格で10年間・20年間売電していきます。
今後も固定買取価格は下落する可能性が高く、売電に頼らない運用方式の検討も必要です。

太陽光発電の課題へ対応するには

続いては、太陽光発電の課題に対応する方法を紹介します。

設置場所の災害リスクを事前に調査

自然災害リスクを少しでも軽減するためには、設置予定場所もしくは設備購入地域の災害リスクを事前に調査しておくのが大切です。
過去に地盤沈下や土砂災害、浸水被害を受けている地域であれば、太陽光発電の設置を検討し直すなど、災害リスクの少ない地域での運用を検討します。
また、災害による損害を受ける前提として、メーカーによる有料補償や住宅用火災保険、個人賠償責任保険などの保険の検討を同時に行うのが重要です。

蓄電池と併用し効率よく運用する

太陽光発電の発電効率低下や出力抑制などによる損失を軽減するには、蓄電池の併用もおすすめです。
蓄電池を太陽光発電へ接続すると、発電した電気を蓄えて任意のタイミングで売電・自家消費できるようになります。さらに産業用太陽光発電向けの蓄電システムでは、高圧電力契約特有の最大デマンド更新(電力消費量)を抑えるような運用も可能です。
高圧電力契約では、30分ごとに電力消費量を計測し、1年のうち最も高い電力消費量を基準として翌年の基本料金を決めます。そのため、1回でも消費電力の高い瞬間があると、基本料金の値上げにつながります。
太陽光発電と蓄電池を併用した場合は、電力消費量のピーク時に自家消費するよう設定できるので、基本料金の値上げを伏せることが可能です。
また、出力抑制時に発電した電気は、蓄電池にいったん蓄えておき、電力需要の少ない時間帯に売電することで発電ロスを軽減できます。

補助金の利用で導入コストを抑える

売電型太陽光発電に関する国の補助金制度はありませんが、自家消費型太陽光発電や蓄電池の補助金制度は2021年時点で存在します。
そのため、設備の種類や運用方法によっては、初期費用を抑えることが可能です。
補助金制度は、国による制度と自治体独自の制度に分かれています。国の補助金や支援制度は資源エネルギー庁の「なっとく!再生可能エネルギー」サイト、各自治体の補助金制度は、自治体HPなどで確認できます。
また、太陽光発電施工業者や販売店に相談するのもおすすめです。

自家消費型太陽光発電の切り替えも検討

FIT制度は、今後も続く保証はありません。また、固定買取価格が年々下落しているため、後発組になればなるほど売電収入を伸ばすことが難しい状況です。
そこで近年注目されている運用方法が、自家消費型太陽光発電です。自家消費型太陽光発電では売電を一切行わず、自宅もしくは自社のオフィスや工場などに電力供給を行います。
売電収入を得られないデメリットもありますが、同時に電気代削減メリットを伸ばすことが可能です。さらにFIT制度終了による影響を受けないため、長期的に運用しやすいメリットも得られます。

中古太陽光発電所の購入で高い売電単価を維持

どうしても売電を続けたい、売電収入を伸ばしたいという場合は、中古太陽光発電所という選択肢もおすすめです。
中古太陽光発電所とは、既に設置・FIT申請・運用が行われた設備のことです。仲介業者などを通して売りに出されており、個人も購入できるようになっています。
中古太陽光発電は、FIT申請年の固定買取価格で売電を再開できるのが大きなメリットです。たとえば、2013年に新規設置・FIT申請された中古太陽光発電所を2021年に購入した場合、2013年の固定買取価格で引き続き売電を行うことができます。

太陽光発電の長所

続いては、太陽光発電導入のメリットについて解説していきます。

長期的に収入を見込める

2021年時点でも太陽光発電は、FIT制度の新規申請可能ですしFIT申請済みの中古太陽光発電所で売電することが可能です。
さらにFIT制度の固定買取期間は、出力10kW未満の住宅用太陽光発電10年間、出力10kW以上の一部産業用太陽光発電20年間と長期間です。
不動産投資は空き室リスクなどもあるため、長期的な収支の予測が難しい側面もあります。対して太陽光発電は、FIT制度のおかげもあり長期的な収支、初期費用回収時期を予測できる強みを持っています。

電気代を削減できる

自家消費型太陽光発電や余剰買取型の太陽光発電は、自宅や自社のオフィス、工場などへ電力を供給できるのが特長です。
さらに蓄電システムと併用と、電気消費量の少ない日に電気を蓄えておき、消費量の多い日に自家消費することで電気代削減効果を伸ばすことが可能です。
光熱費の削減方法を模索している個人や固定費の削減が必要な事業者などにとっても、太陽光発電の導入メリットはあります。

非常用電源として役立つ

日本は地震大国で、台風やその他災害も毎年発生しています。
太陽光発電は、大規模災害発生時に起こりやすい1週間や1ヶ月の長期停電でも非常用電源として役に立ちます。
住宅用太陽光発電の自立運転機能では、災害発生時に太陽光発電で発電した電気でシステムを稼働させ、さらに専用のコンセントから電力を取り出せるようになります。
産業用太陽光発電は、専用の外部コンセントを含むシステムの導入などで災害時にも電力を取り出すことができます。
災害発生時は、ラジオなどによる情報収集、照明、企業であれば事業活動の継続といったさまざまな場面で電力の需要は増します。災害対策を進めている個人や事業者は、この機会に太陽光発電を検討してみてください。

事業として実施する場合は企業価値を高められる

法人が事業として太陽光発電に取り組む場合は、取引先や消費者などから環境への配慮などの点から評価されるケースもあります。また、近年では、SDGsやESGなどの環境を考えた事業活動を行う企業に注目が集まっています。

太陽光発電の短所

太陽光発電を運用するにあたって、導入デメリットも理解しておく必要があります。

化石燃料よりも不安定なエネルギー源を使用

火力発電に用いられている化石燃料に対して太陽光の日射量や日照時間は、晴れや雨など気象状況や場所によって大きく変わります。また、夜間に太陽光は降り注がれないため、発電を継続できません。
24時間自家消費・売電を行いたい方には、特にデメリットといえるポイントです。
現状では、蓄電池を併用したりパネル枚数を増やしたりすることで、夜間や雨の日でも自家消費や売電を継続もしくは改善できます。
さらにカリフォルニア大学では夜間に発電できる反ソーラーパネルを開発中なので、将来的に日中・夜間問わず自家消費や売電を行えるようになる可能性があります。反ソーラーパネルは、地表と宇宙空間の温度差を利用し、太陽光パネルと逆方向で電流・電圧が流れる仕組みです。

一定の設置スペースが必要

太陽光発電には、太陽光パネルやパワーコンディショナ、ケーブル、接続箱、架台など複数の部品で構成されています。さらに太陽光パネルや架台は、m単位の部品でなおかつ複数必要です。
出力10kW未満の住宅用太陽光発電では、住宅の屋根全体に架台と太陽光パネルを設置しなければいけません。
出力10kW以上の産業用太陽光発電では、100㎡以上の敷地面積を確保する必要があります。さらに出力1MWのメガソーラークラスでは、1ha以上もの広大な土地が必要です。1haは、野球場やサッカー場クラスの規模と同程度です。
特に産業用太陽光発電は、設置スペースに加えて固定資産税や土地取得費用といった負担も発生するため、さらにコストがかかります。

FIT制度終了後の売電単価が安い傾向

FIT制度の適用期間終了後は、市場価格で売電する必要があります。
具体的には、電力会社の提示している売電単価で売電契約を結びます。売電単価は、電力会社によって異なるのが特徴です。
たとえば東京電力の「再エネ買取標準プラン」は、8.50円 / kWh(税込)で売電を行うことができます。
FIT制度の固定買取価格(2021年)は、10kWで20.9円 / kWh(税込)、10kW以上50kW未満で13.2円 / kWh(税込)、50kW以上250kW未満で12.1円 / kWh(税込)といずれも10円を割り込んでいません。
このように市場価格は、固定買取価格よりも低い傾向です。
そのため、自家消費型太陽光発電など売電以外の活用方法を検討、余裕を持った収支計画を立てておくのが大切です。

ホットスポットといった劣化が生じる

太陽光パネルはシンプルなシステムですが、 10年・20年と使用していくうちに経年劣化していきます。また、太陽光パネル特有のホットスポットという劣化・破損が起こるため、定期的なメンテナンスや修理、パネル交換なども必要です。
また、劣化や破損状況によっては、火災や漏電といった重大事故のリスクもあります。
太陽光発電の優れたポイントに注目するだけでなく、破損や事故リスクも理解および注意しながら利用するのが基本です。

太陽光発電には課題点だけでなく長所もある

太陽光発電には、自然災害による破損や経年劣化、出力抑制、発電効率低下、初期費用や維持費用負担、FIT制度など制度関連など複数の課題があります。
課題の中には改善・解決可能な課題もあるので、課題とメリット、デメリットを理解しながら設置運用を進めていくのが大切です。
太陽光発電投資に関心を持っている方や太陽光発電のリスクについてよく分からない方は、今回の記事を参考にしながら準備を行ってください。
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