個人事業主が太陽光発電を行うメリットとは?注意点も紹介

個人事業主が太陽光発電を行うメリットとは?注意点も紹介

個人や法人は、太陽光発電を設置および売電もしくは自家消費できます。さらに個人の場合は、個人事業主として開業届を提出し、太陽光発電を始めることも可能です。しかし、個人事業主として始めるメリットが分からず、悩んでいる方もいるかと思います。

そこで今回は、個人事業主として太陽光発電を始める方法とメリット、注意点について詳しくご紹介します。太陽光発電投資に関心を持っている会社員などは、参考にしてみてください。

個人事業主として太陽光発電を始めるには?

個人事業主として太陽光発電を始めるには?

個人事業主とは、雇用されずに事業を行い、利益を継続的に確保している状態のことです。また、個人事業主として太陽光発電を始めるには、個人事業主の開業届と申告方法に関する手続きを進める必要があります。

まずは、個人事業主になる方法を1つずつ確認していきます。

開業に必要な書類を作成、提出する

個人事業主として事業を始めるには、開業届の提出が必要です。開業届は、国税庁のHPもしくは最寄りの税務署から取得可能な書類です。正確には「個人事業の開業・廃業等届出書」という書類で、開業もしくは廃業の手続きを進められます。

提出期限は、開業日から1ヶ月以内です。太陽光発電事業の場合は、太陽光発電の契約日などを記入できます。

  • 納税地
  • 住所
  • 氏名
  • マイナンバー
  • 職業
  • 所得の種類
  • 屋号

開業届には、上記のような項目も記述する必要があります。

屋号は、サービス名を指します。たとえば、○○事務所、○○サービスなどといった名称を付けることが可能です。ただし、○○株式会社など法人と混同されやすい名称は認められていないため、注意が必要です。

職業に関しては、現在の職業ではなく、個人事業主として始める事業の種類を指します。太陽光発電を始める場合は、「太陽光発電事業」といった内容を記載していきます。

所得の種類は確定申告と関係のある項目で、太陽光発電事業であれば事業所得に区分されます。

そして、開業届の提出先は、管轄の税務署です。管轄の税務署とは、自身の居住地域を管理している税務署のことで、国税庁HPより税務署の住所を確認できます。なお、提出の際は、税務署へ直接持ち込む、もしくは郵送にて行うことが可能です。

青色申告か白色申告どちらかを選択

青色申告 ・特別控除あり:複式簿記で65万円、簡易簿記で10万円

・簡易簿記:収入と支出を記録する簡単な帳簿

・複式簿記:経費などさまざまな項目を記録、仕訳していく

白色申告・控除無し

個人事業主として事業を始める時は、青色申告と白色申告どちらを選択しておくか決めておくのも大切です。

青色申告と白色申告は、確定申告や帳簿付けと大きく関係しているもので、控除額や帳簿付けの方法が異なります。

青色申告の方が、節税メリットの多い申告方法です。また、簡易簿記より複式簿記にて帳簿付けしていくことで、65万円の控除後を受けられます。

そして、青色申告を選択する場合は、開業届に加えて所得税の青色申告承認申請書を管轄の税務署へ提出する必要があります。

青色申告承認申請書は、国税庁HPや税務署より取得可能な書類で、青色申告を行えるようになります。提出期限は、開業届よりも厳密に定められています。

1月1日~1月15日に開業した場合は、同年3月15日までに提出します。また、1月16日以降に開業した場合は、開業日から2か月以内が提出期限です。さらに開業後、白色申告から青色申告へ切り替える時は、同年1月1日~3月15日までに提出する必要があります。

青色申告承認申請書には、以下の項目を記述します。

  • 提出日
  • 納税地
  • 住所
  • 氏名
  • 職業
  • 青色申告を始める年度
  • 所得の種類など

記入項目について不明点が生じた場合は、管轄税務署で聞いてみるのがおすすめです。税務署の窓口では、確定申告や青色申告承認申請書などに関する基礎知識、不明点などについて相談することができます。

なお、書類の提出方法は、税務署へ持参もしくは郵送から選択できます。

太陽光発電事業の準備を進める

必要書類の提出を先に行った場合は、すみやかに太陽光発電事業の準備を進めていきます。太陽光発電を始める時は、運用方法を決めておくのも大切です。たとえば、太陽光発電の売電収入は、出力によって大きく異なります。

土地付き太陽光発電は、敷地面積や予算によって出力50kW未満の低圧もしくは50kW以上の高圧設備など幅広い種類があります。さらに低圧と高圧では固定買取価格も異なるため、事前にFIT制度の確認と収支のシミュレーションを行ってみるのも大切です。

そして、中古太陽光発電所を購入したい場合は、中古太陽光発電所の売買に関する仲介サービスを利用する必要があります。

弊社とくとくファームは、中古太陽光発電所の売買手続きサポートや物件情報の公開、税務サポートまで対応しています。

太陽光発電を設置したあとは帳簿付けも準備

太陽光発電を設置したあとは帳簿付けも準備

開業届や青色申告承認申請書の提出方法について理解したあとは、帳簿付けについても確認しておきます。個人事業主として事業を始める時は、確定申告や帳簿付けの基礎知識を身に付けるのも重要です。

帳簿付けとは会計業務のこと

帳簿付けとは、いわゆる会計業務のことで、確定申告につながる重要な作業です。特に青色申告を選択した場合は、帳簿付けについて理解しておく必要があります。

帳簿付けは、日々の取引および支出、経費、入金、源泉所得税などを仕訳していきます。簿記には、勘定科目(項目)があり、貸方と借方に分けながら記帳するのが基本です。このような記帳および取引分類を仕訳と呼びます。

そして、1年間記帳した帳簿付けから年間の売上や支出、経費などを整理し、確定申告書の作成時に活用していきます。

取引および帳簿付けの方法

帳簿付けを行う時は、主に売掛金と入金、経費といった項目を記帳していきます。

  • 売掛金:口座には振り込まれていない状態の確定収入
  • 入金:口座へ振り込まれた収入
  • 経費:事業を展開していく上でかかった支出

たとえば、毎月10日売上が確定し、翌月10日に収入が指定口座へ振り込まれている場合は、売掛金として売上を記録した上で入金額および入金日も記録します。

日付借方貸方
1月10日売掛金:10万円売上高:10万円
2月10日普通預金:10万円売掛金:10万円

1月10日の仕訳は、売上10万円が発生したことを示しています。2月10日の仕訳は、事業用口座へ1月10日の売上金10万円が入金されたことを示したものです。太陽光発電の場合は、売電による売上と入金に関する仕訳を日々記帳していく必要があります。

太陽光発電関連の経費

事業に関する費用は、経費へ計上することで節税につながります。個人事業主として太陽光発電事業を始める場合は、各種機器類の購入費用や設置工事費用などを経費として計上することが可能です。

以下に太陽光発電の関連の主な経費を紹介していきます。

太陽光発電設備の減価償却

太陽光パネルやパワーコンディショナなど太陽光発電設備は、減価償却費として計上できるようなっています。

減価償却費は、長期間使用する固定資産(減価償却資産)の費用を指定された年数に分けて計上していくことを定めた項目です。

太陽光発電設備の場合は法定耐用年数17年なので、17年に分けて経費として計上できます。法定耐用年数は、資産の種類によって異なります。

なお、経費の計上方法は、定額法と定率法に分かれていて、どちらかを選択することが可能です。定額法は毎年一定の金額を計上でき、定率法は初年度に多くの費用を計上できるのが特徴です。

合計の償却額(経費計上額)は変わらないものの、計算方法が異なります。

工事費負担金やその他経費

太陽光発電事業では、工事費負担金や太陽光発電の修理費用なども経費として計上することが可能です。今後、節税しながら事業を展開するには、太陽光発電関連の経費について理解を深めるのも事業者として大切です。

以下に設備費用以外で経費計上可能な項目を紹介します。

  • 工事費負担金
  • 太陽光パネルや部品の修理、交換代
  • メンテナンス費用
  • 遠隔監視システムの利用料
  • 太陽光発電ローンの利息など

工事費負担金に関しては、繰延資産として計上する必要があります。繰延資産は、減価償却のように費用を年数で割ったのちに毎年計上していきます。また、工事費負担金の償却期間は、15年間です。

年間の所得を確定申告する

年間の所得を確定申告する

個人事業主として得た所得は、事業所得として所得税を納付します。所得税を納付するには、帳簿内の各収支から確定申告書類を作成し、翌年2月16日~3月15日までに確定申告を行う必要があります。

それでは、確定申告を行うための準備と流れについて解説していきます。

一般的には会計ソフトで準備

帳簿付けおよび確定申告書類の作成は、紙書類よりも会計ソフトがおすすめです。会計ソフトは、帳簿付けに必要な機能が揃っていて、なおかつサポートツールも備わっています。たとえば、事業用口座と紐づけておくことで、入金額を自動仕訳してもらえます。

さらに帳簿データから確定申告データを自動で作成される機能が、会計ソフトに搭載されています。そのため、確定申告データの作成に関しては、手軽かつ短時間で完了させることが可能です。

指定期間に確定申告書を提出

確定申告データを作成したあとは、翌年の2月16日~3月15日までに申告を行います。従来の確定申告方法は、税務署へ紙書類の持参もしくは郵送でした。しかし、現在はe-Taxという電子申告システムがあるので、自宅で確定申告を行えます。

e-Taxを利用する際は、事前に利用者識別番号と暗証番号を取得、もしくはマイナンバーカードでのログインが必要です。また、ソフトウェアをインストールするタイプとWeb上で申告可能なタイプがあるので、利用しやすいを選択します。

電子手続きが苦手な人にとっては、慣れない方法です。しかし、青色申告の特別控除65万円を利用するには、以下2点をクリアしなければいけません。

  • e-Taxによる申告
  • 電子帳簿保存法に対応した会計ソフトによる記帳もしくは電子帳簿保存の承認申請書を提出(税務署へ提出)

e-Taxによる申告と電子帳簿保存法非対応の会計ソフトを利用している場合は、青色申告の特別控除55万円へ減額されます。少しでも税負担を軽減するには、e-Taxおよび電子帳簿保存法に対応した会計ソフトを導入するのが大切です。

個人事業主として運用するメリット

個人事業主として運用するメリット

個人事業主として太陽光発電事業を行う主なメリットは、節税対策を施せる点です。

個人の副業として太陽光発電を始めた場合は、雑所得として確定申告を行います。雑所得は青色申告の対象外となるため、複式簿記による経費計上、青色申告の特別控除などといった節税対策を実行できません。

個人事業主の場合は、太陽光発電の売電収入を事業所得として申告できるようになります。事業所得は青色申告の対象なので、設置費用や部品交換代金などを経費として計上できますし、青色申告の特別控除などを活用することが可能です。

個人事業主として運用するデメリット

個人事業主として運用するデメリット

個人事業主として太陽光発電を始めるデメリットは、帳簿付けや所得税、青色申告について理解し、適切に記録・手続きする必要がある点です。

帳簿付けや確定申告は、会計ソフトを用いることで手軽に作成できるものの、初心者にとって難易度の高い側面もあります。

ただし、記帳方法や確定申告に関する疑問点は、税務署で相談することが可能です。また、太陽光発電の収入は売電収入のみで、記帳内容もシンプルな傾向です。

個人事業主として太陽光発電を行う際の注意点

個人事業主として太陽光発電を行う際の注意点

節税や帳簿付けや税の基礎知識を学べるメリットのある個人事業主ですが、いくつか気を付けるポイントもあります。最後に個人事業主が、太陽光発電を始める際の注意点について紹介していきます。

所得区分を間違えないようにする

所得区分を間違えないよう、事前に所得税に関する基礎を学んでおくのは注意点の1つです。

所得の種類は、10種類あります。

  • 給与所得
  • 不動産所得
  • 雑所得
  • 事業所得
  • 配当所得
  • 退職所得
  • 利子所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 山林所得

個人の副業として太陽光発電の売電を始める場合は、雑所得に区分されます。一方、個人事業主として太陽光発電事業を進める時は、事業所得に区分されます。

事業所得と雑所得の税率や計算方法などには、共通点もあります。しかし、譲渡所得などは、事業所得と異なる計算方法で所得税を計算しますし、税率も異なります。

さらに出力50kW未満の太陽光発電は、個人事業主でも雑所得として区分できるという噂も出ていましたが、経産省資源エネルギー庁で否定されています。

所得区分の種類と意味を理解し、混同したり間違った判断を行わないよう注意が必要です。

帳簿付けや確定申告のミスを防ぐ

太陽光発電事業を始める時は、帳簿付けや確定申告に関するミスをしないよう気を付けるのも大切です。

たとえば、確定申告の時期を間違えて認識していて、3月16日以降に申告してしまうと延滞税がかかります。延滞税とは、遅延した日数に指定の数値をかけた金額を納付しなければいけないペナルティのことです。

他にも仕訳の方法を誤り、実際の所得よりも少ない所得を申告してしまうと、過少申告税という税を追加で納付する必要があります。

このようなミスをしないよう、特に帳簿付けや確定申告のミスに注意が必要です。

個人事業主として太陽光発電を行うと節税メリットを得られる

個人事業主として太陽光発電を行うと節税メリットを得られる

個人事業主として太陽光発電を始めるには、開業届を税務署へ提出します。また、青色申告承認申請書の提出した場合はは、青色申告を選択できるようになります。

個人事業主として開業する主なメリットは、節税対策を進められる点です。青色申告は、経費計上や細かな仕訳、青色申告特別控除などを活用できます。個人の場合は青色申告を選択できないため、各種控除を利用できません。

これから太陽光発電事業を始める方や産業用太陽光発電に関心を持っている方は、今回の記事を参考に個人事業主として開業という方法も検討してみてはいかがでしょうか。

弊社とくとくファームでは、専任の担当者が太陽光発電や関連機器の基礎知識や疑問点に関する相談も受け付けています。また、中古太陽光発電所購入時の契約手続きや税務サポートにも一括対応していますので、お気軽にお問い合わせください。

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