出力10kW以上の太陽光発電は、20年間固定買取価格で売電し続けられます。しかし、固定買取価格制度終了後は、どのように運用するべきか分からず、悩んだり調べたりしている方もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、出力10kW以上の太陽光発電を検討・所有している方へ向けて、固定買取価格制度終了時期となる20年目以降の運用や対処法を詳しくご紹介します。固定買取期間終了後の運用方針が定まらない方は、参考にしてみてください。
太陽光発電は固定買取価格制度終了後も売電可能?
出力10kW以上の産業用太陽光発電は、固定買取期間終了後も引き続き売電に向けた手続きを進められます。
ただし、FIT制度の適用期間終了済みとなった設備は、電力会社の電力買取義務ではなくなります。そのため、固定買取価格で売電し続けることはできません。売電価格や売電契約については、電力会社側で設定されます。
そして、FIT制度は2012年に始まった制度のため、初年度にFIT承認を受けた設備でも20年を経過していません。
FIT承認年から20年後も安定的に売電できるかどうかについては、2021年時点で不明点もある状況です。
太陽光発電設置から20年後に想定される運用方針
太陽光発電の設置およびFIT承認から20年後は、固定買取価格で売電できないこと、必ず売電契約を結べるわけではない点について理解できたかと思います。
続いては、産業用太陽光発電設置から20年後にどのような運用方針へ切り替えられるのか、いくつかの選択肢を想定および解説していきます。
引き続き電力会社と契約し売電継続
前段でも軽く触れた方針ですが、引き続き電力会社と売電契約を結ぶという選択肢を検討できます。
固定買取期間10年間の住宅用太陽光発電設備の中には、2021年時点でFIT制度終了となった設備もあります。このような設備に対して電力会社は、引き続き売電契約を結べるよう新たなプランを作成・提供しています。
そのため、産業用太陽光発電に関して電力会社は、今後電力買取に関する新プランを提供する可能性があります。
太陽光発電設置から20年以降も売電を継続したいと考えている場合は、定期的に電力会社の対応方針について調べてみるのが大切です。
売電をとりやめて自家消費型へシフト
売電契約を結ばない場合は、自家消費型太陽光発電への切り替えを検討することが可能です。
自家消費型太陽光発電は、逆潮流という売電の回路を遮断し、発電した電気を全て自家消費していく設備を指します。企業の場合は、自社工場や事務所などへ電力を供給し、電力会社からの買電を削減することが可能です。
自家消費型太陽光発電へ切り替えるメリットは他にもあります。発電した電気を全て自社の設備へ常時供給できるため、ピークシフトカットによる基本料金の抑制やBCP対策につながります。
法人などが契約する高圧電力は、30分ごとの電力量のうち最も高い値を示した部分を基準に基本料金を算出します。ピークシフトやカットを行うことで、電気料金削減効果を見込めます。(ピークシフト:電量消費量の少ない時間帯に電力を使用する。ピークカット:電力の消費量を削減)
BCP対策は、有事の際に事業活動の速やかな回復、継続を行うための対策を指します。
自社の固定費やBCP対策を重要視している場合は、自家消費型太陽光発電も検討してみてはいかがでしょうか。
太陽光発電所を売却
維持費用や維持管理の手間、固定資産税などの関係から設備の稼働が難しい場合は、太陽光発電所の売却という手段も考えられます。
太陽光発電所の売却では、以下のようなメリットを得られます。
- 売却益を得られる
- 維持管理費用や固定資産税などの負担から解放
- 維持管理の手間や負担から解放
- 売却益を次の投資へ回せる
- 災害時の破損や二次被害などのリスクを気にせずに済む
なお弊社サービスのとくとくファームでは、中古太陽光発電の売買仲介およびサポートサービスを展開しています。また、売却事業では、仲介手数料0円で売却の手続きや契約代行など含め一括サポートします。
太陽光発電所の売却を検討している時は、とくとくファームで30秒査定を検討してみてください。
土地を借りている場合は返却もしくは相談
20年間の契約で土地を借りている場合は、FIT制度の終了と同時に土地の返却および相談を進める必要があります。
引き続き発電や売電を継続していきたい場合は、契約更新手続きを行います。一般的に契約更新を行う際、更新料を支払います。
一方土地を返却する場合は、返却前に太陽光発電設備の撤去と整地を行います。
既に土地を借りて太陽光発電設備の設置工事を進めている、設備を稼働している事業者は、契約期間や契約満了後の運用方針について確認してみるのが大切です。
20年後に太陽光発電所を撤去
太陽光発電の老朽化やその理由から撤去を検討している時は、太陽光発電の施工業者などへ撤去やリサイクルの相談を行うことが可能です。
太陽光発電所の撤去費用は、経済産業省の調達価格等算定委員会によると1kWあたり1万円程度で算出されています。また、事業用太陽光発電の運用にあたって撤去費用は、積立を行う義務が課されています。
今後事業用太陽光発電を運用する時は、撤去費用の積立額についても把握しておく必要があります。
20年後の運用に関するリスク
太陽光発電設置から20年後も運用継続する場合は、維持費用や設備の状態などに関するリスクを把握しておく必要があります。
そこでここからは、太陽光発電設置から20年後の運用に関するリスクを確認していきます。
売電を継続しても赤字になる可能性
太陽光発電設置から20年後も売電を継続できたとしても売電価格は、どのように変動するか分かりません。
なお、2021年時点で住宅用太陽光発電向けの売電契約では、FIT制度の固定買取価格よりも低い価格で設定されています。東京電力の再エネ買取標準プランは、1kWhにつき8.50円 (税込)です。出力10kW未満の固定買取価格は1kWhにつき17円(税込)なので、半額程度まで引き下げられています。
そのため、産業用太陽光発電の売電価格は、住宅用太陽光発電と同じく低く設定されることが想定できます。維持管理費用などの費用は、売電価格の下落によって負担できない可能性があります。
パネルや部材の老朽化
太陽光パネルは、一般的に20年~30年程度で寿命を迎えます。パワーコンディショナの寿命は、一般的に15年程度です。その他、架台や配線など周辺機器類も劣化するため、定期的に修理や交換する必要があります。
さらに設置から20年後も太陽光発電を運用する場合は、パワーコンディショナやパネルの交換工事を検討しておくのが大切です。
どの方法でも費用や一時的な手間はかかる
太陽光発電設備の撤去や売電の継続、どの方法でも何らかの費用や手間はかかります。
産業用太陽光発電の設置を検討している事業者は、20年後の運用方針に加えて費用やその他負担を把握した上で準備しておく必要があります。
太陽光発電を手放す場合は、基本的に撤去より売却の方が費用負担を抑えられます。設備撤去の場合は、売却益などの利益で費用を負担できません。一方売却は、売却益で所得税やその他費用をカバーできます。
弊社とくとくファームは、仲介手数料0円、無料のWeb掲載など売却に伴う各種コストや手間を避けられます。
20年後を待たずに運用方針を決めるメリット
産業用太陽光発電は、20年後を待たずに売却や売電継続などの運用方針を決めても問題ありません。状況によっては、メリットの方が多い場合もあります。
ここでは、20年後を待たずに太陽光発電の運用方針を決めるメリットについて確認していきます。
設備や土地を売却しやすい
設備設置から20年を待たずに運用方針を決めるメリットは、設備や土地を売却しやすいという点です。
リサイクルや設備の需要、売却に関する規制状況などは、20年後にどう変化するのか予測できません。そのため、20年・30年後の売却や撤去ハードルが上がる可能性もありますし、売却額の低下リスクも想定しておく必要はあります。
一方、10年や15年後など早めに出口戦略を決めておけば、設備や土地を売却しやすい可能性もあります。
老朽化によるメンテナンス負担を避けられる
太陽光発電設備は、年々劣化していきます。パワーコンディショナや配線、周辺機器、太陽光パネルは、状況に応じて修理交換する必要があります。また、専門業者へ定期的にメンテナンスを依頼するのも大切です。
設備の稼働期間が長ければ長いほど、故障リスクも上がりますし、メンテナンス関連の費用もかさみます。
売電収入や利回りなどさまざまな要素から早期に手放した方がいい場合は、20年を待たずに売却や撤去を検討してみるのもおすすめです。
今後の新制度追加やルール変更にも注目
国では、FIP制度の実施を予定しています。さらにFIT制度のルールを変更しており、太陽光発電を取り巻く環境が変化している点にも注目です。
FIP制度は、2022年4月に実施予定の新制度です。売電価格は、FIT制度と異なり変動制で、市場価格に連動していたりプレミアム価格という追加の収入を上乗せしたりしています。
今後産業用太陽光発電の設置を行う事業者は、国によるFIT制度の変更や法規制などといった情報にも注視してみる必要があります。
太陽光発電設置から20年後の方針は早めに決めておくのが大切
出力10kW以上の太陽光発電を設置する時は、FIT制度の適用期間終了となる20年後の運用方針および出口戦略について決めておくのが重要です。FIT制度の適用期間終了後は、電力会社提供の独自プランで売電を継続できる可能性があります。しかし、住宅用太陽光発電の売電プランを参考すると、固定買取価格よりも低い価格で設定される傾向です。
採算が合わない場合は、自家消費型太陽光発電で電気代削減やBCP対策に役立てることも可能です。他には、太陽光発電設備の撤去や売却も有効な手段です。
産業用太陽光発電を導入している方やこれから導入を検討する方は、今回の記事を参考に出口戦略についても考えてみてはいかがでしょうか。
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