スーパーマーケットの管理運営をおこなっている事業者は、2022年の燃料費高騰による電気料金の負担増加について悩んでいるのではないでしょうか?スーパーは、商品の鮮度を保つために常時冷凍・冷蔵設備を稼働しなくてはならず、オフィスの節電などと異なり、電気代削減へ向けた対策の難しい環境です。
そこで今回は、スーパーで節電をおこなうためのポイントや電気代削減方法について詳しくご紹介します。スーパーの電気料金負担増加に悩んでいる方や、スーパーの節電に関するアイディアが浮かばない方は、参考にしてみてください。
スーパーの節電方法を考える前に確認すべきこと
スーパーマーケットでは常に電気を使用しているため、経費の中でも電気代の割合が非常に高くなっています。さらに燃料費高騰により電気料金が上がっており、スーパーを経営する上で節電は避けられない課題です。
スーパーの節電方法を考える前に、最初に確認しておくことについて詳しく説明します。
どの設備で電気を使用しているか整理
スーパーマーケットでは、冷凍冷蔵設備・照明・空調など、さまざまな設備で電気を消費しています。同じようにスーパーを経営していても、規模や地域の違いにより実際の使用量の内訳は異なってきます。
効率的に節電対策をおこなうためには、まずはどの設備がどのぐらいの電気消費をしているかを把握する必要があるのです。電気使用の無駄を省くために、現状の電気使用の整理をおこないましょう。
節電へ向けた取り組みは電気使用量の多い設備から実施
各設備の電気消費を把握できたら、設備の種類や現在の使い方により何をどのように改善すべきかが分かります。効率よい節電のためには、まずは電気使用量の多い設備から節電対策を実施するのが効果的です。
スーパーマーケットでの節電方法
生鮮食品の鮮度を保つための冷凍冷蔵設備や、お客様が快適に買い物できる環境を整えるための空調・照明設備などを、コスト削減のためだけに闇雲に節電することはできません。ここでは、スーパーマーケットならではの節電方法を詳しくご紹介します。
空調設備を効率的に運用する
スーパーでは、電気消費量が大きい冷暖房を使用する夏場と冬場の電気代が高くなります。空調の消費電力を低減するには以下のような方法があります。
冷暖房の設定温度を見直す
空調の設定温度を夏場は1℃上げ、冬場は1℃下げるだけで空調消費エネルギーを約10%削減することができると言われています。
設定温度の目安としては、冷房時は28℃・暖房時20℃が推奨されていますが、スーパーの場合、冷凍・冷蔵用ショーケースがある場所とお客様が出入りする入口付近では。4店内の温度も大きく異なります。
お客様や従業員の様子を見ながら、それぞれの場所に適した設温度設定をこまめにおこないましょう。
冷暖房のON・OFFを管理し使用する時間を短くする
日々の冷暖房の使用時間を短くするだけでも、大幅な電気消費量の削減が可能です。冷暖房共に運転開始は開店後、そして運転停止は冷房時の場合は閉店30分前、暖房時は60分前にすることで稼働時間を抑えられます。
ルールを決め、誰がおこなうかなどのチェックリストを作成して管理を徹底することで、冷暖房の使用時間の短縮・閉店後の切り忘れ防止ができ、節電に繋げることができます。
建物内の予冷・予熱時に外気を入れない
冷暖房の使用時に外気が入ってくることで店内の温度が変わり、空調使用量の増加に繋がります。スーパーの多くは入り口が自動ドアになっており、自動ドア付近にお客様が停滞し開放時間が長くなると外気が店内に入りやすくなります。
自動ドア付近への商品陳列を避けるなど、無駄な自動ドアの開放時間を減らし、外気の侵入を減らすことが節電に繋がります。
照明設備のこまめな消灯
スーパーでは照明設備の電気使用量も高くなりがちです。バックヤードなど常時使用しない場所の電気や、外光が入る時間帯・場所の電気をこまめに消灯することで使用時間短縮となり、節電になります。
ショーウィンドウやネオン看板を開店直前に点灯したり、閉店直後に消灯したりするだけでも使用時間の削減が可能です。また店内の照度を定期的に測定し、明る過ぎる場合には不要な照明を消すこともおすすめです。
ショーケース内にカバーを設置
スーパーでは商品の鮮度を保つため、オープンショーケースなどは店舗閉店後も稼働しています。オープンショーケースへナイトカバーを設置すると冷気の漏れを防ぐことができ、ショーケース内の温度が保持されるため、電気使用量の削減になります。
各設備の定期的な点検と清掃
空調・照明・ショーケースなどすべての設備は、正常に稼働することで効率よく使用できるため、定期的に点検・保守をおこなう必要があります。
また、ホコリや汚れが付着することで照明設備は減光し、空調やショーケースの効率が下がるため、こまめに各設備の掃除をおこないましょう。
スーパーに省エネ設備を導入して電気代削減
省エネ設備を導入することで、電気の使用量を抑えることができ、電気代の削減へと繋がります。スーパーに適した省エネ設備を詳しく紹介します。
高効率のHf型照明器具を導入
Hf型照明とは、高周波点灯専用形蛍光ランプのことで、専用インバータと専用ランプを組み合わせて使用します。従来の蛍光灯よりも高効率のため、高い省エネ効果があります。
LEDライトの導入
多くの照明設備を使用するスーパーでは、電気消費量が少ないLEDライトを導入することで電気代の削減が可能です。また、LEDライトは寿命が長いことから買い替えの頻度を低減でき、利用コストも減らすことができます。
人感センサーライトを設置
従業員のための更衣室や休憩室、バックヤードやトイレなど、不定期に利用する場所がスーパーには多くあります。人感センサーライトを設置すると、消し忘れを防ぐことができ、無駄な電気使用の削減ができるため、節電に繋がります。
冷凍・冷蔵コンプレッサーのマルチタイプを導入
冷凍・冷蔵のコンプレッサーは、温度を一定に保つために電源のオンとオフを繰り返していますが、頻繁にオン・オフを切り替えると電力の消費効率が下がります。マルチタイプやマイクロコントローラー搭載の設備であれば、電源を停止することなくコンプレッサーの回転数を制御するため、電力消費の無駄を削減することが可能です。
インバータの導入で熱損失軽減
インバータとは、圧縮機の回転数を制御する装置のことです。設備の負荷に合わせてモーターの回転をコントロールすることで、必要以上に消費している電力の使用を防止することができ、省エネ効果を発揮します。
ショーケース用の照明にインバータを導入すれば、電力消費の削減と合わせて照明からの発熱量が抑えられるため、熱損失の低減にもなります。
スーパーで節電しすぎると夏は暑い
スーパーでは、夏場には空調の使用などにより通常時期に比べ電気代が高くなるため、節電対策は大切です。
しかし、空調などを過度に節電し過ぎると、店内が暑くなりお客様が快適に買い物できなくなったり、冷凍冷蔵設備などの使用量が増える原因にもなったりするため、逆効果になる可能性があります。
スーパーの大型設備を省エネ機器に入れ替えて電気代削減
電気設備の多いスーパーの運営では、節電対策だけで大幅に電気使用量を減らすことには限界があります。高騰が続く電気料金の削減をおこなうには、電気使用量の多い大型設備を省エネ機器に入れ替えることが効果的です。
スーパーマーケットで効果のある、大型設備の省エネ機器を紹介します。
省エネ型空調設備の導入
スーパーでは空調設備の電気使用量の割合が高いため、省エネ型空調設備の導入が効果的です。省エネ型空調設備には下記のようなシステムがあります。
外気冷房システム
外気の温度・湿度が店内より低い場合に外気を店内に取り入れて冷房の負荷を軽減します。通常の冷房設備より約10〜20%の熱エネルギーの削減が可能です。
全熱交換器
換気扇のファンのタイプには、外気を店内に取り入れるファンと、店内の空気を排出する排気ファンがあります。全熱交換器は、店内に取り入れる外気と店内から外に排気する空気を「熱交換エレメント」で交差させることで、店内の湿度を保った状態で換気をおこなうことができます。
そのため空調設備の負荷が抑えられ、電気使用量削減に繋がります。
ガス吸収式空調システム
ガス吸収冷温水機(ナチュラルチラー)は、水の気化熱を活かした空調設備です。温室効果ガスであるフロンを使用しない、環境にやさしい空調システムです。
デシカント空調システム
デシカント空調は、空気中の水分を取り除き、除湿された温風を吹き出します。食品の多いスーパーでは湿度コントロールは重要であるため、店内の空気を効率的に換気でき、エネルギー効率の高いデシカント空調はスーパーに適した空調システムといえます。
一体型ショーケースでランニングコスト削減
ショーケースには冷凍機が内蔵されているタイプと、別置きタイプがあります。冷凍機を別置きタイプにすることで、複数のショーケースを1台の冷凍機でコントロールすることができ、ランニングコストの削減に繋がります。
また、内蔵型と比較すると排熱も削減できるため、店内の温度上昇を抑えることもできます。
スーパーに自家消費型太陽光発電を導入すれば無理な節電から解放!
燃料費の高騰により電気代が上がる中、節電対策をおこなっても電気代を大きく下げることは難しいのが現状です。電力会社から購入する電力量を下げるためには、自家発電した電力を自家消費できる「自家消費型太陽光発電」の導入が効果的です。
「自家消費型太陽光発電」ならば、自家発電した電力をすべて使用することができ、電力会社から購入する電力量を大幅に低減することができます。
自家消費型太陽光発電は屋根や地面などに設置可能
スーパーマーケットは広く平坦な屋上や屋根を持っている建物が多く、太陽光パネルの設置に適しています。
敷地面積が広いスーパーでは、地面に太陽光パネルを設置することも可能です。
年間の電気料金削減額は設備規模に応じて伸ばせる
現在電気料金の高騰が続いている主な原因は、ウクライナ情勢や円安による化石燃料の高騰です。さらに、今後は原発事故に関する負担金などでさらに電気料金が高くなっていくとされています。
今後も上がり続けることが予想される電気代を抑えるには、電力会社から購入する電力量を下げることが最も重要です。
「自家消費型太陽光発電」は自家発電した電力をすべて使用できるため、設備規模に応じて年間の電気料金の削減額を伸ばすことができます。
BCP対策としても活用できるのが強み
BCP対策とは、自然災害や事件などの有事の際に、事業の継続・事業を早期に再開するための事業継続計画です。
自家消費型太陽光発電と蓄電池の導入は、BCP対策に有効な方法です。自家消費型太陽光発電であれば災害時に停電した場合でも、日中であれば太陽光で発電した電力を利用することができます。
また、天候により太陽光発電の発電量が下がった場合や夜間は蓄電池で対応できるため、継続的に電気を使用することが可能です。
スーパーの節電には限界があるので省エネ設備や太陽光発電を導入しよう!
電気使用量の高いスーパーマーケットで、今後も高騰が続くことが予想される電気代を削減するには、節電だけでは限界があります。
そのため、省エネ設備を導入し大幅な使用量の削減をすることや、自家消費型太陽光発電の導入で購入電力量を抑えることが、電気代削減には効果的です。
現在、地球温暖化対策のために、再生可能エネルギーの設備導入には国や自治体から補助金が出ることもあり、いい機会だと言えます。
スーパーマーケットの運営者の方は、電気代削減・災害時の停電対策・さらに地球温暖化対策の一つであるCO2の削減もおこなうことが可能な、自家消費型太陽光発電の設置を検討してみてはいかがでしょうか。
創業から28年、累計15,000件もの施工実績を持つ和上ホールディングスでは、さまざまな業態の企業様に向けて自家消費型太陽光発電設計から施工、保守運用、諸手続きに対応しています。
また、施設ごとの特性に合わせたプランを作成いたしますので、スーパーでの電気代削減や太陽光発電設置を検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。