エネルギーミックスをわかりやすく解説!

エネルギーミックスをわかりやすく解説!

日本は発電に必要なエネルギーを輸入に頼っているため、万が一の際に社会活動を維持することが難しい状況です。そこで政府は、エネルギーミックスという考え方を取り入れて、エネルギーリスクに備えています。また、脱炭素・カーボンニュートラルという目標によって、エネルギーミックスの内容や目標が変わりつつあります。

そこで今回は、エネルギーミックスの意味や構成、国の取り組みについて詳しくご紹介します。環境経営に向けてエネルギーミックスについても理解しておきたい方やエネルギーミックスの方針に沿って自社のエネルギーについて見直していきたい方は、参考にしてみてください。

エネルギーミックスとは?

エネルギーミックスとは?

エネルギーミックスというのは、火力発電や原子力発電、再生可能エネルギー発電を組み合わせてエネルギーを維持させる考え方、運用方法を指しています。

さまざまな発電所を管理運用していれば、各設備のデメリットを補うことができ、かつエネルギー不足による社会インフラ崩壊のリスクを抑えられます。例えば、火力発電に必要な燃料を輸入できない場合、原子力発電と再生可能エネルギーで不足分を補う、という方向で対応できる可能性があります。

日本でエネルギーミックスが必要な理由

日本でエネルギーミックスが必要な理由は、エネルギーを自給できない・安定供給に課題があるためです。

日本のエネルギー自給率は8%前後と非常に低く、海外から石炭や石油、天然ガスを輸入しなければ火力発電を稼働し続けられません。また火力発電の比率が高いため、燃料を調達できなければインフラの維持すらできない状況です。

さらに災害リスクの高い環境ということもあり、原子力発電のみに頼りきれない事情があります。2022年時点で原子力発電の稼働実績は、33基中6基です。残り27基は、点検および停止中です。

そこで日本の場合は、再生可能エネルギーを含めたエネルギーミックスを目指し、日々発電設備の開発研究・増設などを進めています。

各エネルギーと発電設備の強みと課題

各エネルギーと発電設備の強みと課題

エネルギーミックスの意味と必要な理由を把握した後は、エネルギー(燃料)と発電設備、強みと課題について確認していきましょう。

火力発電

火力発電は、内部で燃料を燃やし蒸気を発生させます。発電機と接続されている蒸気タービンが蒸気の力で回転し、発電します。火力発電の主な強みは、燃料調達方法が複数あること、安定した発電を継続できること、といった点です。また発電効率は55%で、再生可能エネルギーや原子力発電より高い水準というメリットもあります。

しかし各燃料には限りがあり、CO2排出量が多いというデメリットもあります。さらに資源輸出国の内情や国際情勢によって価格が変動しやすく、調達コストの負担という点でも課題のある発電設備およびエネルギーです。

原子力発電

原子力発電は、火力発電と同じくタービンを回転させて発電します。タービンは発電機と接続されていて、蒸気の力によって回転しています。

火力発電との大きな違いは、名称にも含まれている「原子力=核」で熱を生み出しているところです。具体的にはウラン燃料の核分裂反応によって熱を発生させています。発電効率は33%です。

メリットは、1度稼働させれば数10年単位で燃料の調達が不要で、かつ長期間運転させられる点です。また発電コストが安く、安定した発電を実現できます。

ただし、福島第一原発事故の例を見ると分かるように、核燃料棒の冷却停止による爆発リスク、事故などによる放射性物質漏れ、放射能汚染といった大きなリスクが常にあります。

さらに廃炉技術が発展途上で、すぐに設備を撤去できないという問題点もあります。

再生可能エネルギー発電

再生可能エネルギー発電とは、半永久的に調達可能で、かつCO2を排出せずに発電できる設備のことです。

再生可能エネルギーは、以下の種類に分かれています。

種類仕組みとメリット、デメリット
太陽光発電 ・太陽光を電気へ変換する設備
・メリット:住宅の屋根などさまざまな場所に設置可能、個人や企業も導入しやすく非常用電源としても役立つ
・デメリット:夜間は発電できない、安定した発電が難しい、発電効率20%台と火力発電より低い
水力発電 ・水を高い場所から低い場所へ流し、発電機につながった水車を回し発電する
・メリット:発電効率80%と特に高い水準、水量を変えることで電力需要に合わせて迅速に発電量の調整が可能
・デメリット:発電コストが高い、ダム建設のために住民の同意が必要
風力発電 ・発電機とつながった風車を風の力で回し、発電する設備
・メリット:陸上の他、洋上でも稼働可能、太陽光発電と異なり風が吹いていれば夜間も発電可能、発電効率30%台と原子力発電と同程度
・デメリット:発電コストが高く安定した発電は難しい、設置場所が限定される
地熱発電 ・火力発電と同じく蒸気の力でタービンを回す。地下のマグマから熱を取り出し、水を蒸気へ変える
・メリット:昼夜問わず安定した発電が可能、火山大国の日本に合っている
・デメリット:発電コストが高い、発電効率10~20%と比較的低い
バイオマス発電 ・一般廃棄物や木材資源などリサイクルによって作られたバイオマス燃料を燃焼させ、タービンの回転および発電
・メリット:リサイクルされた燃料を使用するため、カーボンニュートラルという観点からCO2の増加量実質ゼロに近い
・デメリット:発電効率10~20%と比較的低い、バイオマス燃料の調達や運搬のコストがかかる

このように再生可能エネルギーは、どれも半永久的に利用可能でCO2発生量の少ないエネルギーです。しかし、発電コストや発電効率、設置場所などデメリットもあるため、組み合わせながら運用していくのが大切です。

日本のエネルギーミックス事情

日本のエネルギーミックス事情

続いては、日本のエネルギーミックス事情について解説していきます。

エネルギーを輸入に依存

日本はエネルギー自給率8%前後なので、海外からの輸入に頼っています。また、燃料を輸入し続けられなければ、火力発電所の稼働を継続できません。

エネルギーを輸入に依存することによるリスクは、以下のとおりです。

  • 海外の紛争や災害などでエネルギーの輸入が途絶える可能性
  • 国際情勢の変化によるエネルギー価格の高騰

2022年はロシアによるウクライナ侵攻によって、さらに燃料価格が高騰しています。そのため、電気料金に含まれる燃料価格「燃料費調整額」が上昇中です。

また円安の影響を受け始めていて、エネルギーミックスの見直しが急務です。

東日本大震災やカーボンニュートラルによって比率が変化

2011年の東日本大震災前は、原子力発電は25%台と高い比率でした。

しかし、東日本大震災の福島第一原発事故による原子力災害リスクの経験、カーボンニュートラルや脱炭素へ向けた国の政策によって、原子力発電の比率は2.8%まで減らされています。(2018年の比率)

2030年度と2050年度までの目標

国の政策では、エネルギーミックスに関して中期目標、長期目標を定めています。中期目標に関しては、2030年までに火力発電42%(石油2%、石炭19%、天然ガス20%)、 原子力発電20~22% 再生可能エネルギー36~38%という電源構成比率の達成という内容が含まれています。

原子力発電の比率は1桁台から2桁台へ増加、反対に火力発電の比率を押さえ、再生可能エネルギーは大幅な増加という目標です。

長期目標は、2050年までのカーボンニュートラル達成、火力発電の比率を可能な限り抑制、再生可能エネルギーの主力電源化、水素とアンモニアをエネルギーとして活用といった内容が盛り込まれています。

日本政府のエネルギーミックスに関する基本方針

日本政府のエネルギーミックスに関する基本方針

日本政府のエネルギーミックスに関する基本方針は、3E+Sをベースにした内容です。

3E+Sとは、4項目の頭文字を足したものです。また、それぞれの概要を簡単に説明します。

項目概要
Energy Security(安定供給)エネルギー自給率の低い日本は、エネルギーおよび発電の種類を分散させて安定供給を目指す
Economic Efficiency(経済性)発電コストを抑えて、誰でも電気を利用可能な社会にしていく
Environment(環境)地球環境への影響を可能な限り抑えられる方法で発電を継続していく
カーボンニュートラル、CO2排出量削減重視
Safety(安全)安全性の高い方法で発電する

つまり、環境に優しい方法でエネルギーの分散化を進めながら発電コストを下げていき、原子力発電のようなハイリスクな電源構成比率を抑えていくという方針が、3E+Sの概要です。

CO2を排出しない原子力発電は、再生可能エネルギーと同じく脱炭素という点でメリットの多い設備です。しかし事故発生時の被害が甚大で、安全性という点で課題の多い側面もあります。

そのため、エネルギーミックスの実現には、経済性や環境への配慮、電力の安定供給だけでなく、安全性が重要です。

企業に求められる再生可能エネルギーでおすすめの設備

企業に求められる再生可能エネルギーでおすすめの設備

エネルギーミックスの達成には、企業の協力が必要不可欠です。特に再生可能エネルギーの導入は、復旧・事業活動の継続、そして社会経済活動の維持に重要といえます。

中でも太陽光発電は、多くの企業にとって導入しやすい再生可能エネルギーです。

太陽光発電の発電効率は20%前後と特段高いわけではありません。しかし、初期費用を抑えることができ、屋根や地面、遠隔地などさまざまな場所で運用することが可能です。

さらに設置後の複雑な管理・調整は不要で、日光さえあれば毎日発電されます。また、蓄電池を併用すれば、夜間も自家消費することが可能です。

この他にも自家消費により削減したCO2量や電気料金などの情報を積極的に公開することで、消費者や取引先からの信頼性向上にもつながります。

エネルギーミックスの維持には企業の協力が欠かせない

エネルギーミックスの維持には企業の協力が欠かせない

エネルギーミックスとは、火力発電と原子力発電、再生可能エネルギー発電設備を組み合わせながら電力の安定供給を目指す考え方のことです。また企業は、エネルギーミックスに合わせて再生可能エネルギーを導入すれば、企業価値アップや固定費の大幅な削減といったメリットを得られます。

脱炭素経営の手法について検討中の方や再生可能エネルギー設備を導入すべきか悩んでいる方は、今回の記事を参考に太陽光発電の導入や太陽光発電由来のエネルギー購入を検討してみてはいかがでしょうか?

とくとくファームZEROでは、需要家様(再エネを利用する方)と再生可能エネルギー事業者様の仲介サービスを提供しております。

これから太陽光発電の電気を活用したい事業者様には、非FIT型の全量自家消費型太陽光発電物件のご案内、自己託送モデルの提案、太陽光発電用地の斡旋など、さまざまなプランをご提案いたします。

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