カーボンニュートラルやCO2削減、SDGsなど、さまざまな環境関連用語を耳にしている企業の中には、環境アセスメントについて関心を持ち始めた企業もいるのではないでしょうか?
環境アセスメントは、1997年に制定された環境影響評価法に含まれている法律で、環境関連の枠組みや用語の中でも歴史があります。また、一部の太陽光発電は、環境アセスメントの対象です。
そこで今回は、環境アセスメントの意味や特徴について詳しくご紹介します。環境経営のために環境アセスメントを調べている方や環境アセスメントの必要性について調べている方は、参考にしてみてください。
環境アセスメントとは?
まずは、環境アセスメントの概要と特徴について確認していきましょう。
環境へ配慮された事業計画の作成
1997年に制定された環境影響評価法に含まれている環境アセスメントは、事業計画の作成手続きに関するルールを定めたものです。
工場の新設や土地開発などといった新規事業を進める場合、環境への影響を考慮しなければ気候変動や環境汚染につながってしまいます。そこで環境アセスメントには、環境への影響を調査、予測、評価した上で事業計画を作成するよう求められています。
- 環境への影響を予測評価するために土地の調査などをおこなう
- 調査結果から環境への影響を計算、予測
- 環境保護をおこなった場合の予測を評価
環境の影響に関する予測や評価、調査といった作業は、事業者自ら進める仕組みです。
4種類の環境アセスメントに分かれている
環境アセスメントは、4種類に分かれています。以下に各環境アセスメントの意味を紹介します。
項目、通称 | 概要 |
---|---|
法令アセス | 国の法律に定められた環境アセスメント |
条例アセス | 地方自治体の条例に定められた環境アセスメント、法令アセスと異なり条例ごとにルールが異なる |
生活アセス(ミニアセス) | 廃棄物処理法に沿って調査、予測、評価されるアセスメント 法令アセスより簡易的 |
自主アセス | 文字どおり自主的に環境への影響調査、環境保護へ向けた対策をしながら事業を進めていくアセスメント 特に決められたルールやフォーマットはない |
今回解説している環境アセスメントは、通称「法令アセス」です。
法令アセス(=環境アセスメント)は、法律に定められた内容に沿って環境や事業調査、予測、評価をすることが定められています。さらに出力30MW以上のメガソーラーは、法令アセスの対象事業としてみなされました。
そのため、太陽光発電事業を展開していく場合は、法令アセスを覚えた後、条例アセスについても確認していく必要があります。
環境アセスメントの目的
環境アセスメントは、環境へ配慮された事業を進めてもらえるよう導き、なおかつ環境破壊を防ぐといった目的で作られています。
基本的な理念などは、SDGsの環境に関連する項目や脱炭素化などと共通しています。ただし、脱炭素やカーボンニュートラルとは異なり、水質や大気の成分、土壌など環境評価の項目が多岐にわたります。
太陽光発電は環境アセスメントに含まれている
太陽光発電事業は、環境アセスメントに含まれています。そのため、環境汚染や環境破壊につながらないよう、環境への影響を調査~評価する必要があります。
続いては、太陽光発電と環境アセスメントの関連について解説していきます。
法令アセスに含まれている太陽光発電事業
通称法令アセスの対象として定められている太陽光発電事業は、前半でも触れたとおり出力30MW以上のメガソーラーです。
具体的には、出力30MW以上40MW未満のメガソーラーを第2種事業、出力40MW以上のメガソーラーを第1種事業として区分しています。
第2種事業は、必要に応じて環境アセスメントに沿った調査や事業計画の作成手続きが求められます。一方、第1種事業は、必ず環境アセスメントに沿った対応をおこなわなくてはいけません。
法令アセス以外のアセスメントに含まれている太陽光発電事業
出力30MW未満の太陽光発電事業を始める場合、条例アセスもしくは自主アセスによって環境への影響調査、環境保護に向けた対策をする必要があります。
地方自治体の各条例によって対象事業は異なります。8MW程度以上30MW未満のメガソーラー事業については、条例アセスの対象事業として定められることもあるようです。
出力10kW以上8MW未満の小中規模を含む太陽光発電事業に関しては、自主アセスで対応していくことが求められます。
環境アセスメントの流れ
ここからは、環境アセスメントの手続きに関する流れと何を調査すべきなのかを紹介します。
環境省向けに5種類の書類を作成
環境アセスメント(法令アセス)の対象事業を始めていく場合は、環境への影響調査や情報の整理と予測、評価をしながら環境省へ5種類の書類を提出する必要があります。
- 配慮書の作成と提出
- 環境保護に関する方法の書類作成と提出
- 準備書の作成と提出
- 環境への影響と対策に関する評価書の作成と提出
- 事業実施後、評価報告書の作成と提出
事業実施前に環境への影響調査・予測・評価をおこなうタイミングは、3番の準備書作成前の段階です。環境アセスメントの実施後、内容を準備書へ記入し、説明会をおこないます。
事業の開始に関しては、4番の評価書提出後に進めていく流れです。
環境に影響を与える可能性のあるものを調査
環境アセスメントで調査すべき項目は、事業内容や事業規模、事業を始める地域によって変わります。
そこで、一般的に調査されている項目を紹介します。
項目 | 環境へ悪影響を与えるケース |
---|---|
空気、音(騒音や大気) | ・設備設置後、駆動音などが騒音といえる程の大音量 ・工事中、機械から排出される汚れた空気 ・工事に伴う振動など |
水(水質) | ・設備の設置工事に伴い水質変化、悪化 ・設備の維持管理の際に使用している薬剤、洗浄剤に含まれる成分が周囲の水質悪化につながる |
土壌(地盤や地質などに対する影響) | ・森林伐採、地形の変化による土砂崩れリスク ・周辺の河川に流れる水量の減少や増加 |
動植物 | ・土地開発によって長期的に人など幅広い生態系へ悪影響を与える可能性 |
景観 | ・建物の建設や山林伐採などで景観の悪化といった影響 |
廃棄物 | ・工事や事業の際に発生した廃棄物の不法投棄による土壌汚染や生態系への影響など |
光(光害) | ・周辺に住宅がある場合、反射光の強い建物による光害リスクも考えられる |
このように、環境への影響を考慮せずに土地開発や山林伐採、建物の建設をおこなうと、さまざまな点で環境汚染につながってしまいます。特に開発規模が大きければ大きいほど、環境への影響は甚大です。
太陽光発電事業の場合は、太陽光パネルに含まれる有害物質が漏れないよう適切な管理と廃棄、災害リスクの高い地域での設置工事をしないことなどが、重要なポイントの1つといえます。
環境アセスメントの課題
環境アセスメント(法令アセス)の主な課題は、現在の環境に関する枠組みや現状に合ってないという点と、罰則規定が設けられていない点です。
環境アセスメントが制定されたのは1997年で、既に20年以上経過しています。そのため、現在新たに提唱されているカーボンニュートラル、SDGs、脱炭素といった考え方と比べて現状に合わない部分もあり、見直しが必要とされています。
そこで、カーボンニュートラルや脱炭素、ZEBといった新しい考え方や取り組みに力を入れながら、環境アセスメントに沿った事業計画を進めるのがおすすめです。
罰則規定なしという点は、企業にとって負担の少ないポイントです。ただし、有害物質の流出や騒音、土地開発を原因とした土砂災害といった事象を守らずに運営してしまうと、事業停止などの大きなリスクにつながります。
そのため、罰則規定の有無にかかわらず環境アセスメントの必要性を理解し、環境への配慮をベースに事業を始めるのが重要です。
自主アセスの場合は何をすればいい?
出力10kW以上8MW程度までの太陽光発電は、環境アセスメント(法令アセス)や条例アセスの対象外とされています。
そのため、自主的に環境への影響調査と分析の他、CO2削減効果などを調べていくことが大切です。さらにカーボンニュートラルやZEBなど、他の枠組みを取り入れていくことで、環境対策だけでなくステークホルダーからの評価向上につながります。(ステークホルダー:消費者や取引先など)
なお、太陽光発電の主なリスクは、経年劣化や破損による火災、太陽光パネルの内部に含まれる有害物質の流出、設備設置に伴う土地開発と生態系への影響といった点です。
特に太陽光発電に適した土地の選定は、初めて事業へ取り組む方にとって難しいポイントです。
とくとくファームZEROは、太陽光発電用地のご紹介も含めてサポートいたしますので、是非お気軽にご相談ください。
環境アセスメントは環境への影響を考慮した事業を進めていくためのルール!
環境アセスメント(法令アセス)は、土地開発などによる環境への影響を調査し、影響の予測と対策、評価をおこなう事業計画の手続きを指しています。
災害リスクの高い地域で太陽光発電を始めないよう気を付けたい方や、環境への影響を考慮しながら太陽光発電を設置したい方は、今回の記事を参考に太陽光発電の仲介サービスを検討してみてはいかがでしょうか?
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太陽光発電に適している土地かどうかは、災害リスク・日照時間・天候・気温・イノシシなどによる設備損壊リスク・地面の角度など、さまざまな点を詳細に調べなければいけません。
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