グリーンビルディングとはどのような建物?企業のメリットについて解説!

グリーンビルディングとはどのような建物?企業のメリットについて解説!

現在、環境に配慮した製品やサービス作りに社会が動き始めていて、さまざまな制度なども誕生しています。中でもグリーンビルディングは、不動産や建設業界を中心に注目されている環境配慮型建物です。自社ビルや工場、事務所を所有している企業の場合は、グリーンビルディングについて検討してみることで、企業価値アップなどさまざまなメリットを得られるようになります。

そこで今回は、グリーンビルディングの特徴や企業が導入することで得られるメリット・デメリット、認証制度について詳しくご紹介します。グリーンビルディングについて関心を持っている方や脱炭素経営につながる制度や製品の導入を検討している方などは、参考にしてみてください。

グリーンビルディングは環境に配慮された建物

グリーンビルディングとは、土地や建物の設計段階から環境に配慮し、なおかつ環境性能の高い建物のことです。具体的には、以下のような特徴を持つ建物を指します。

  • 建物の維持に必要なエネルギーが少ない(省エネ)
  • 建物内の水使用量が削減されている
  • 施設内、土地に植物が植えられている(緑化)

また、ビル利用者のウェルビーイング(心身共に良好な状態や幸福を表す)という点でも優れているのが、主な特徴です。

グリーンビルディングという考え方が生み出された背景には、ビルのエネルギー消費量と環境問題が関係しています。世界グリーンビルディング協会という国際的な組織が、世界の二酸化炭素排出量や飲料水の消費量などを調査しました。すると、飲料水の消費量の14%、そして排出される二酸化炭素の30%が建物による、というデータが記録され、グリーンビルディングへの関心も高まりました。

グリーンビルディングの事例

イオングループのイオンリート投資法人は、同社で所有しているイオンモールに関するグリーンビルディング認証を2022年1月に発表しました。

株式会社日本政策投資銀行は、DBJ Green Building 認証というグリーンビルディングに関する制度を実施・管理しています。そこでイオンリート投資法人の所有するイオンモール7棟については、2022年1月28日にグリーンビルディングとして認証されました。

たとえばイオンモール小松は、吹き抜けによる日光の入りやすい構造やバックヤードでの人感センサー設置、節水性能の優れた水栓や便器設置など、省エネ・節水に配慮された商業施設といえます。

またイオンモール新利府の北館では、無料WiFiの設置や生木の植栽、モールウォーキングという独自の健康システムを設置するなど、省エネだけでなく環境性や利便性、利用者の健康も配慮しているのが強みです。(モールウォーキング:館内に設置されたウォーキングコース)

グリーンビルディングには認証制度がある

グリーンビルディングとして建物を維持管理していくには、認定を受けなければいけません。その認証制度はいくつかの種類に分かれていて、日本でも独自の制度が敷かれています。

それでは、グリーンビルディングの認証制度についてわかりやすく紹介していきます。

各国で独自に設定された認証制度

グリーンビルディングに関する世界基準の認証制度は、2022年時点ではまだ作られていません。そのため各国では、国や国と連携した機関で独自の認証制度を立ち上げて、さまざまな企業から申請を受け付けています。

審査基準や申請方法は制度ごとに違いがあるため、申請者自身で各制度の特徴や仕組みについて確認しておく必要があります。

世界的に有名な認証制度はLEED

グリーンビルディング認証制度の中でも世界的に知名度が高いのは、LEEDという認証制度です。

LEEDは、USGBCというアメリカのグリーンビルディング協会が立ち上げた認証制度で、アメリカ以外の国でも信頼されています。また日本でも、以下の建物がLEED認証を受けています。

  • 日本郵政の本社ビル
  • スターバックス コーヒーの神戸メリケンパーク店
  • 大阪大学の箕面キャンパス

LEEDの申請を行う際は、USGBCが審査を進めます。審査会数は2回で、必要書類の提出後、1ヵ月程度で結果が通知されます。

なお、LEEDの認証を受けたあとは、認証取得年から5年間、建物内のエネルギー消費量といったデータを提出する必要があります。

日本の認証制度

日本では、以下のようなグリーンビルディング認証制度が運用管理されています。

  • CCASBEE建築評価認証
  • CASBEE戸建評価認証
  • CASBEE不動産評価認証

冒頭でも軽く触れたDBJ Green Building 認証は、日本初の金融機関によるグリーンビルディング認証制度です。5つの評価項目を用いながら、社会や日本経済に重要な不動産を総合的に評価します。

評価項目は、以下のとおりです。

  • 建物の環境性能
  • リスクマネジメント
  • 周辺環境・コミュニティへの配慮
  • テナント利用者の快適性・多様性
  • ステークホルダー(企業の利害関係者)との協働

審査は5段階のスコアリングで評価し、5つ星は国内トップクラスの環境・社会に配慮された建物を示します。

また日本政策投資銀行は、不動産の所有者や投資家、建設会社などのステークホルダーが認証情報を確認しやすいように、評価項目をシンプルな内容に変更しています。

そのため、他のグリーンビルディング認証制度と比較して、活用しやすい制度といえます。

グリーンビルディングのメリット

ここからは、グリーンビルディングのメリットについて1つずつ確認していきましょう。

建設や不動産業界の市場拡大

グリーンビルディング認証制度は、世界的に注目および重要視されている制度ということもあり、不動産や建設業界の市場拡大につながる可能性があります。

実際、グリーンビルディング関連市場は2015年~2022年にかけて13%以上成長し、建材関連の市場も伸び続けています。中でもアジア太平洋地域で成長している市場なので、不動産会社や建設会社を経営している方にとってメリットの多い制度といえます。

再生可能エネルギーとの相乗効果で雇用が増える

グリーンビルディング関連市場の成長は、雇用創出というメリットにもつながります。アメリカでは、グリーンビルディング認証制度の実施によって、2018年までの雇用が110万件増加するという効果を生み出しました。

また、カーボンニュートラルやSDGsといった取り組みが社会に広まりつつある中、環境やガバナンスに強い関心を持つ方も出てきています。そのため、グリーンビルディング認証を受けた建物を導入すれば、再生可能エネルギーや省エネなどとの相乗効果で、環境関連の知識を持つ人材を確保することも可能です。

脱炭素経営が求められている現代において、グリーンビルディングは再生可能エネルギーなどと同じく積極的に取り組むべき項目といえます。

企業価値向上

環境や社会、人権といった意識の高まっている今の世の中では、企業も環境活動などをアピールしていく必要があります。

グリーンビルディングの認証を取得した場合、自社ビルや商業施設の省エネ・創エネ、利便性をアピールしやすくなりますし、消費者や投資家などからの評価アップも期待できるでしょう。

グリーンビルディングが普及しない理由

グリーンビルディングは、人や社会、企業にとってメリットの多い取り組みです。しかし、なかなか普及していないという課題も抱えています。

ここからは、グリーンビルディングが普及しにくい理由について確認していきましょう。

認証取得に時間がかかる

グリーンビルディングの認証取得には手間と時間がかかるため、多くの企業があきらめているという現状があります。

認証の申請に際して、まず対象となる建物に関する設計図面をはじめ、電気やガス、水などの使用実績に関する資料を作成する必要があります。

さらにグリーンビルディングとして適正な建物を示すための客観的な資料や情報がなければ、審査にも影響します。

審査や認証取得に時間がかかるのは仕方のないことです。脱炭素経営を目指す際は、グリーンビルディングだけでなく、比較的スピーディに導入可能な非FIT型太陽光発電の設置や電力の購入、省エネ設備の導入といった対策も同時に打ち出すのがいいかもしれません。

既存の建築物では認証ハードルが高い傾向

既に建てられている工場やビル、商業施設については厳しい評価を付けられやすく、グリーンビルディングの認証を受けにくい傾向があります。

実際に、日本のグリーンビルディングの認証制度CASBEEは、既築建物に対する一般的な評価を1~5のうち1以下に定めるケースも珍しくありません。

なぜなら、90年代もしくはそれ以前に建てられた建物の環境性能は、最新の審査基準よりも低いためです。当たり前ですが、建築当時と現在では、建築の基準は異なります。たとえ当時の基準をクリアしていたとしても、グリーンビルディングの審査では厳しい評価を受けやすいのが現状です。

そのため企業によっては、時間やコストを割いてグリーンビルディング認証を取得するよりも、別の方法で脱炭素経営を模索し、効率よく企業価値をアップさせる方法を選択するケースもあります。

グリーンビルディング以外に取り組みやすい環境対策

これから自社ビルや工場などを新規に建設する企業にとっては、グリーンビルディング基準で設計ができるというメリットがあります。

しかし、数年~数10年前に建てられた建物を所有していて、かつ直近で新たに建物を建てる予定のない企業は、グリーンビルディング以外で脱炭素経営を進めた方がいい場合もあります。

そこで最後は、グリーンビルディング以外で環境対策・脱炭素経営を行う方法についてわかりやすく紹介します。

再エネ電源の調達

再エネ電源(再生可能エネルギー電源)を調達し、自家消費することは、手軽かつ二酸化炭素排出削減効果を上げやすい方法です。

再エネ電源の調達・自家消費とは、再生可能エネルギー発電事業者が発電している電気を購入し、自社の設備で使用することです。

小売電気事業者(電力会社)の中で再エネ電力に特化したプランを提供している事業者と契約するのが、いちばんシンプルな方法です。電気料金の切り替え以外に手間がかからないため、環境活動のリソース不足で悩んでいる企業でも導入しやすいといえます。

ただし再エネ特化型の電気料金プランは、一般的なプランより電気料金が高めに設定されている傾向があるので、コストという点で注意しましょう。

非FIT型太陽光発電の設置

より効率よく二酸化炭素排出量の削減を行いながら電気料金負担の軽減、企業価値アップを目指すには、非FIT型太陽光発電を設置するのがおすすめです。(非FIT型太陽光発電:FIT制度の認定を受けていない太陽光発電)

非FIT型太陽光発電は、他の再エネ電源と比較して、導入コストが数100万円以上安くなる可能性もあります。また設置場所の制約が少ないため、多くの企業で採用しやすい設備といえます。

設置場所については、自己託送方式を採用すれば、自社の敷地内や遠方の土地からでも送電が可能です。

設置コストを抑えたい時は、PPAモデルというPPA(Power Purchase Agreement)事業者所有の太陽光発電所を、自社の敷地や建物の屋根に無償で設置してもらう方法も検討できます。PPAモデルの場合は、契約期間中、契約料もしくは自家消費分の電気料金をPPA事業者へ支払います。

さまざまな方法を検討できる非FIT型太陽光発電は、脱炭素経営の足掛かりとして役立つ再生可能エネルギーです。

グリーンビルディングは発展中の新しい技術および認証制度!

グリーンビルディングとは、環境や社会に配慮された建物のことです。認証を受けた建物を所有している場合は、グリーンビルディングとしてアピールできます。ただし、グリーンビルディングの認証には審査の通過が必須で、なおかつ低い評価を受けてしまう場合もあります。

脱炭素経営を始める場合は、グリーンビルディングと並行しながら他の取り組みを進めてみるのが大切です。

脱炭素経営へ取り組みたいけれど始め方がわからない方やグリーンビルディングに関心を持っていたが自社に合っていないと感じた方は、今回の記事を参考にしながら非FIT型太陽光発電を検討してみてはいかがでしょうか?

弊社とくとくファーム0では、非FIT型太陽光発電物件の売買仲介や購入を検討されている方へ向けた物件情報の調査や提案、太陽光発電用地の斡旋なども行っています。

また、遊休地を所有されている場合は、土地の活用方法に関するサポートから行います。

少しでも太陽光発電事業に関心を持った方は、この機会にお電話やメールからご相談ください。無料の個人セミナーでは、脱炭素経営の基礎など幅広い疑問にお応えいたします。

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