太陽光発電投資は、一般的に15~20年間かけて初期費用を回収し、売電収益を取得していくのが基本です。免税事業者の場合は、消費税分も収入として手元に残しておくことが可能です。また課税事業者と免税事業者は、指定の要件を満たすと切り替えられ、太陽光発電投資において重要な制度でもあります。
そこで今回は、太陽光発電投資における免税事業者と課税事業者の特徴、新しい運用方法について詳しくご紹介します。太陽光発電投資で短期間のうちに利益を残したい方や太陽光発電の運用方法について調べている方は、参考にしてみてください。
太陽光発電における免税事業者とは何?
免税事業者とは、消費税の納付について免除を受けた事業者のことです。
税込で売上1,100万円の場合は、消費税10%分の100万円を利益として受け取ることが可能です。免税事業者として事業を継続できるのは、前々年度の課税売上高1,000万円未満の事業者のみとされています。
また、太陽光発電の売電収入には消費税が含まれています。つまり、免税事業者かどうかが課税負担や売電収益に影響を与えるということです。
課税事業者との違いは何?
免税事業者は、消費税の納付義務を避けられる事業者を指しています。一方、課税事業者は、消費税の課税義務やその他制度に関して、免税事業者と異なります。それでは、免税事業者と課税事業者の違いについて確認していきましょう。
消費税の納付義務の有無
免税事業者と課税事業者の大きな違いは、消費税の納付義務に関する有無です。免税事業者の場合は、前段でも触れたように消費税の納付義務が免除されています。一方、課税事業者は、消費税の納付義務が課されています。
消費税の標準税率は10%、軽減税率は8%です。軽減税率が適用されるのは、飲食品など一部なので、太陽光発電事業は対象外とされています。
消費税の還付を受けられるのが課税事業者
課税事業者には、還付というメリットがあります。還付というのは、利益に含まれる消費税から設備投資などで支払った消費税を差し引ける制度のことです。
例えば、税込1,100万円の太陽光発電を導入した場合、消費税の負担額は100万円です。設備導入年1年目に得た売電収入の消費税が10万円であれば、「100万円-10万円=90万円」の還付金を得られます。
このように消費税の課税事業者は、還付金によって効率よく初期費用回収を進められる可能性があります。
インボイス制度の影響で免税事業者から変更した方がいい?
太陽光発電投資を始めようか悩んでいる方の中には、太陽光発電事業もインボイス制度の大きな影響を受けるのではないか、と考えている方も多いのではないでしょうか。ここからは、インボイス制度と免税事業者の影響について解説していきます。
2023年10月から始まる制度
インボイス制度とは、2023年10月から始まる仕入税額控除に関する新しい制度のことです。国は、各事業者の取引によって発生した消費税額や控除額の正確な把握を目指すために、同制度の設計、実施していきます。
また、インボイス制度で影響を受けるのは、すべての事業者です。
制度実施前の場合、11,000円(税込)で仕入れた商品を消費者へ22,000(税込)で売る際、「販売にかかる消費税2,000円-仕入れにかかる消費税1,000円=1,000円」という控除を受けることができました。(控除:利益から差し引けるもの、節税につながるのが特徴。)
制度実施後は、自社だけでなく商品の仕入れ先もインボイス制度の適格請求書発行事業者でなければ、仕入れ額にかかった消費税を控除に活用できなくなってしまいます。
このようにインボイス制度は、控除という事業の負担軽減にかかわる重要な制度です。
インボイス制度の課題や注意点
免税事業者のまま取引を継続していくと、契約解消もしくは取引先から単価引き下げの交渉を持ちかけられる可能性があります。インボイス制度の適格請求書発行事業者に登録していない事業者や免税事業者へ支払った消費税は、控除へ活用できないというルールがあります。
そこで取引先は免税事業者との取引による消費税負担を避けるため、契約解消を検討される可能性が想定されています。
一方、インボイス制度に合わせて免税事業者から課税事業者へ切り替えると、消費税の課税負担や仕訳や申告に関する負担増加といったデメリットにつながります。
インボイス制度は、免税事業者にとって大きな課題やリスクのある制度です。
太陽光発電投資への影響は限定的
免税事業者や仕入れをおこなっている企業にとっては、大きな影響を受けます。しかし、太陽光発電投資において、インボイス制度の影響は限定的です。なぜなら、FIT制度によって電力の買い取り義務が明記されているためです。
仮に免税事業者としてFIT制度の承認を受けたとしても、固定買取期間中に電力の買取契約解消を持ちかけられることはありません。また、電力の買取価格は固定なので、値下げに関するリスクもないといえます。
ただし、今後FIT制度に変更点が生じた場合は、課税事業者へ切り替えることを検討した方がいいでしょう。
太陽光発電投資の免税と課税事業者を活用した運用にも注目!
太陽光発電購入年を含めた3年間だけ課税事業者として事業をおこない、4年目に免税事業者へ切り替えて設備を売却していくというのが、免税と課税事業者を活用した運用方法の大まかな流れです。
以下にわかりやすく流れを紹介します。
- 太陽光発電所の購入、免税から課税事業者へ切り替え
- 1年目の設備費用に含まれる消費税で控除
- 2~3年目は減価償却で節税
- 4年目に免税事業者へ切り替え、太陽光発電所の売却
- 別の太陽光発電所を購入し、1~4の流れを繰り返す
従来の太陽光発電投資は、固定買取期間20年間に合わせた運用を基本としています。また、15年前後で初期費用を回収し、回収後に利益を伸ばしていく手法です。
一方、今回紹介している方法は、消費税の還付と減価償却によって太陽光発電にかかる初期費用を可能な限り削減し、売却益を数100万円程度残していくのが特徴です。また早期に買い替えられるため、長期運用に伴う故障や経年劣化を避けられるのが強みといえます。
太陽光発電の免税と課税を活用した買い替えメリット
続いては、太陽光発電の免除と課税を活用した買い替えのメリットについて紹介します。
FIT単価が安くても消費税還付で利益を残すことが可能
免税と課税活用した4年スパンでの買い替えは、FIT制度の固定買取単価が安い状況でも利益を残しやすい運用方法といえます。
FIT制度の固定買取価格は、太陽光発電の普及および製造コスト下落に合わせて毎年調整されています。さらに単価は下落方向で調整されているため、売電収入を伸ばしにくい状況と言えます。
一方、4年ごとの買い替えを前提とした運用は売電収入に頼るのではなく、消費税の還付と減価償却、設備の売却益で手元に収益を残します。
20年間売電収入で利益を残す従来の方法と比較して、固定買取価格下落の影響を受けにくいといえます。
一般的な運用方法より早期に出口戦略を実行できる
一般的な運用方法と比較して早期に出口戦略を検討できるのが、免税と課税事業者を活用した運用方法のメリットです。
FIT制度を軸にした運用の場合、経年劣化による部品交換、定期的なメンテナンス、災害などによる故障といったリスクと向き合いながら20年間売電していく必要があります。
一方、免税と課税を活用した運用は、購入から4年間で買い替えることが可能です。短期間で費用回収できますし、経年劣化に伴うメンテナンスコストといった負担を抑えられます。
買い替え後は同様のサイクルで売電と売却が可能
今回紹介している運用方法は、何度も繰り返せるのが強みといえます。消費税還付を活用した太陽光発電投資は、中古発電所を4年間運用します。運用後は売却し、別の中古太陽光発電所を購入していく流れです。
新たに太陽光発電所を建てる必要がありませんし、継続的に事業を展開できます。
さらに消費税の課税事業者へ切り替える回数に関して制限はないため、何度も免税や課税事業者への切り替え、そして消費税の還付を活用できます。
太陽光発電の免税と課税を活用した買い替えに伴う注意点
ここでは、太陽光発電の免税と課税を活用した買い替えを検討する際、注意すべき点を紹介します。
必ず利益を残せるわけではない
消費税の還付を活用した運用方法には、必ず利益を残せないリスクも含まれています。太陽光発電の免税と課税を活用した運用方法は、「売電収入+消費税の還付」、設備の売却益で初期費用回収および利益を伸ばしていきます。
特に太陽光発電所の売却益が想定を下回ってしまうと、手元に利益を残すことは難しい状況と言えます。
そのため、中古太陽光発電所を売却する際は、集客力やサポート力に強みのある仲介業者へ相談するのがおすすめです。
弊社とくとくファームは創業から30年、15,000件もの実績を持ち、専任のアドバイザーが購入後の運用保守を含めたサポートをおこないます。また売却の際は、売却益を伸ばすために設備のメンテナンスや修繕、製造などもサポートいたしますので、お気軽にお問い合わせください。
買い替えを含む手続きが面倒に感じる可能性
消費税の還付を活用した運用は、免税事業者から課税事業者へ切り替えるための消費税課税事業者選択を提出したり設備を売却したりと、短期間に複数の手続きを進めなければいけません。
また、以下のように何度も消費税の仕訳や申告をおこなう必要があります。
- 1年目は免税事業者から課税事業者への切り替え手続き
- 消費税の仕訳と申告
- 4年目に課税事業者から免税事業者への切り替え手続き
- 太陽光発電所の売却
- 再び免税事業者から課税事業者への切り替え手続き
手続きの手間を省略したい方や長期的にじっくりと取り組みたい方には、デメリットの多い運用方法と言えます。ただし、免税事業者と課税事業者を組み合わせた画期的な方法とも言えるので、スピーディに費用回収したい方にはメリットのある運用方法です。
2年前の売上高が1,000万円以上の場合は免税事業者へ戻れない
前々事業年度の課税売上高1,000万円以上の場合は、免税事業者へ戻れません。また、税抜1,000万円以上の太陽光発電所を含む高額特定資産を購入した際は、3年間免税事業者へ戻れません。
太陽光発電投資の他に事業を展開している方や売上目標1,000万円以上としている方などは、特に注意が必要です。
4年間の買い替えおよび消費税の還付を活用した運用方法は、低圧区分の小規模な太陽光発電所を購入する場合や課税売上高1,000万円未満の場合に検討の価値があります。
2022年から太陽光発電投資を始める時は免税と課税事業者にも注目!
これから低圧区分の小規模な太陽光発電投資を始める時は、免税と課税事業者へ切り替えながら4年間で設備を売却していく、新しい運用方法に注目してみるのもおすすめです。
免税事業者から課税事業者へ切り替えると、設備投資などで支払った消費税との差し引きで還付を受けられる可能性があります。
早期に初期費用回収可能な太陽光発電投資を探している方や太陽光発電の買い替えに関心を持っている方は、今回の記事を参考に4年スパンでの太陽光発電投資を検討してみてはいかがでしょうか?
弊社とくとくファームでは、中古太陽光発電所の売買仲介サポートを行っております。設備の購入を検討されている方には、専任のアドバイザーがお客様のご要望に合った設備のご提案や、消費税や運用時の注意点など丁寧に説明いたします。
太陽光発電投資に少しでも関心をお持ちの方は、この機会にお問い合わせフォームやお電話からお気軽にご相談してみてください。