グリーンボンドの特徴と活用メリット・デメリットについて紹介!

グリーンボンドの特徴と活用メリット・デメリットについて紹介!

環境経営・脱炭素経営をスタートするために必要な資金は、グリーンボンドと呼ばれる債券で調達することが可能です。特に再生可能エネルギー発電設備を導入する時は、メリットの多い方法と言えます。しかし、「グリーンボンドについて調べているけれどよくわからない」、「グリーンボンドを自社で利用できるのかわからず悩んでいる」といった方も多いかと思います。

そこで今回は、グリーンボンドの概要や利用条件、発行メリット・デメリットについて詳しくご紹介します。脱炭素経営のために資金調達を検討している方や自家消費型太陽光発電の設置を検討している方などは、参考にしてみてください。

グリーンボンドとはどのようなもの?

グリーンボンドとはどのようなもの?

まずは、グリーンボンドの意味についてわかりやすく紹介していきます。

太陽光発電などの資金調達に活用可能な債券

グリーンボンドとは、環境関連事業に関する資金調達の際に発行できる債券のことです。たとえば、太陽光発電所を設置するための資金が足りない場合、グリーンボンドを発行し、投資家や企業から資金を募ります。グリーンボンドを購入してもらうと、購入数量に応じた資金を獲得できるという仕組みです。

またグリーンボンドを発行することで、企業価値アップにつながる場合があります。

発行するには国際的なガイドラインに沿うのが慣例

グリーンボンドを発行するには、国際資本市場協会(ICMA)で定められたグリーンボンド原則(GBP)に沿って手続きを進めていくのが慣例とされています。(国際資本市場協会:市場取引に関する自主規制、貿易支援などを行っている国際的な協会)

グリーンボンド原則は2014年に策定されていて、2021年に内容が一部改訂されました。主な原則については、以下のとおりです。

  • 気候変動緩和策、気候変動適応策、自然環境保全、生物多様性保全、船対策のどれかに関する資金調達が対象
  • 投資家に対してプロジェクトの過程や評価の報告
  • グリーンボンドで調達した資金は自社の財務諸表とは別に管理する
  • グリーンボンドで調達した資金の使途に関するレポート作成

つまりグリーンボンドで資金調達を行うには、気候変動対策など特定の事業でなければ認められません。また、投資家に対する事業内容の報告やレポート作成、資金管理に関する細かなルールが定められています。

国内企業もグリーンボンドの発行事例あり

大手自動車メーカーのトヨタは継続的にグリーンボンドの発行を行い、「トヨタ環境チャレンジ2050」という環境関連事業を手がけています。

「トヨタ環境チャレンジ2050」は地球環境の問題に対する大規模なプロジェクトで、6つの分野に分かれています。

プロジェクト 概要
ライフサイクルCO2ゼロチャレンジ 自社のライフサイクル全体でCO2排出ゼロ目標
新車CO2ゼロチャレンジ 新車平均CO2排出量90%目標
工場CO2ゼロチャレンジ グローバル工場CO2排出量0目標
水環境インパクト最小化チャレンジ 水使用量の最小化や排水管理
循環型社会・システム構築チャレンジ 国内で培ったリサイクル処理技術などをグローバル展開していく
人と自然が共生する未来づくりへのチャレンジ 自然保全活動

トヨタの場合は、CO2排出量ゼロを含めさまざまな環境保全活動に力を入れています。また、グリーンボンドの発行額は、2020年10月・94回目で300億円と大きな規模です。

このようにグリーンボンドは、企業にとって脱炭素経営にかかる費用負担を抑えられるメリットの大きい制度と言えます。

グリーンボンド発行までの流れ

グリーンボンド発行までの流れ

グリーンボンドを発行するには、一般的な債券発行と同じく発行準備から発行、資金管理といった流れで手続きを進めていきます。

概要 ポイント
グリーンボンド発行の準備 ・グリーンボンドの発行に適したプロジェクトかどうかの検討
・環境改善効果の測定
・資金の管理方法などを検討
・外部機関によるチェック
グリーンボンドの発行 発行価額や利率などを設定
調達資金の管理 資金の追跡管理
プロジェクト情報の開示と利払い 環境改善効果などのレポート作成や外部機関による評価
満期 満期の際に投資家へ償還

以下に主な流れを紹介します。

グリーンボンドを発行する際は、一般的な債券発行手続きに加えてグリーンボンドに適したプロジェクトかどうかの確認と資金管理方法のチェック、環境改善効果などといった独自のチェックおよび分析が含まれています。

そのため、資金調達と事業の進捗状況や環境改善効果まで細かく管理していく必要があり、人的リソースや無駄のない社内チェック状況の環境を構築していくことも大切です。

グリーンボンドは4種類に分かれている

グリーンボンドは4種類に分かれている

国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則(GBP)では、4種類のグリーンボンドに分けられています。

以下にグリーンボンドの種類について紹介します。

名称 償還に用いられる資金や特徴
Standard Green Use of Proceeds Bond(スタンダードグリーンユーズオブプロシードボンド) 発行側の資金を原資として償還していく
Green Revenue Bond(グリーンレベニューボンド) 公的な設備の運営や整備事業の収益を償還に充てる
・グリーンプロジェクトのキャッシュフロー(支出を差し引いて手元に残る資金)
・投資対象の設備に関する理由料
・特別税など
Green Project Bond(グリーンプロジェクトボンド) 1つもしくは複数のグリーンプロジェクトで得た収益を償還に活用
Secured Green Bond(セキュアドグリーンボンド) グリーンプロジェクトのファイナンスもしくはリファイナンス(借入の組み換えなど)のために使用される担保付き債券

債券の償還とは、指定日に債券保有者へ資金を返還する手続きのことです。グリーンボンドを発行した企業は、満期に債券保有者へ資金を返還する必要があります。

中でもシンプルなグリーンボンドは、Standard Green Use of Proceeds Bondで、他のグリーンボンドと比較して償還に関する条件が少ないのが特徴です。

またGreen Revenue Bondは公的な設備運営により得た収益を、Green Project Bondは、公的なプロジェクトかどうかにかかわらず、キャッシュフローを償還に充ててます。

Secured Green Bondは上記3種類と異なり、担保付き債券です。(担保付き債券:担保となる資産を用意し、資金を返還できない場合に債券保有者へ資産を譲渡。)

グリーンボンドの発行メリット

グリーンボンドの発行メリット

グリーンボンドの概要について把握したあとは、発行メリットについて1つずつ確認していきましょう。グリーンボンドは、脱炭素経営を目指している事業者にとってメリットの多い制度です。

再生可能エネルギー事業に関する資金調達に特化

これから脱炭素経営の一環として再生可能エネルギー事業や省エネ設備の導入などを行う場合は、グリーンボンドを事業資金に充てることが可能です。

冒頭でも触れたようにグリーンボンドは、気候変動適応策、自然環境保全、生物多様性保全、船対策のいずれかの事業資金を調達する際に活用可能な債券です。

そのため、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギー設備を導入する際は、グリーンボンドを利用できます。融資以外の方法で資金を集めたい場合にメリットのある方法といえます。

ESGに関心を持つ投資家との関係性強化

グリーンボンドの発行は、ESG(環境・社会・ガバナンス)関連に強い関心と知見を持つ投資家と関係性の構築および強化といった点でもメリットがあります。

一般的にグリーンボンドを購入する投資家や企業は、気候変動対策や環境改善活動に対して価値を感じているのに加え、脱炭素経営や再生可能エネルギーに関する深い知識や技術を持っている可能性もあります。

そのためグリーンボンドの発行を通じて、脱炭素経営のノウハウや再生可能エネルギー関連事業について新たな関係を築くことができるかもしれません。

脱炭素経営をアピールしやすい

グリーンボンドを発行できれば、資金調達に関する情報だけでなく自社の環境関連事業や取り組みに関するアピールの場が増えるだけでなく、さまざまな企業や人々に注目してもらえることもあります。

商品やサービスのアピールだけでは、人々の支持を獲得する上で不十分です。支持されるためには、社内規定の遵守や倫理規定の策定と適切な管理、社会や環境に対する改善活動など、利益と直接結びつく領域以外にも力を入れる必要があります。

グリーンボンドを足がかりに環境事業を展開していけば、企業価値の向上や人々からの支持獲得につながる可能性があります。

好条件で資金を調達できる可能性

自社のグリーンボンドに対して需要が高い場合、利率や希望の金額で資金を調達できる可能性はあります。金融機関から融資を受ける際、実績など複数の要素から総合的に評価された上で判断されます。また関係構築が不十分な場合では、融資を受けにくい状況です。

一方、グリーンボンドの場合は、資金調達の経験にかかわらずグリーンプロジェクトの内容や投資家からの注目度によって調達できる可能性があります。

融資を受けにくい状況に悩んでいる時は、グリーンボンドも検討してみてはいかがでしょうか。

グリーンボンドの発行デメリット

グリーンボンドの発行デメリット

続いては、グリーンボンドの発行デメリットについて1つずつ確認していきましょう。

環境関連事業以外に利用できない

デメリットもしくは注意点の1つに、環境関連事業含め特定の事業以外でグリーンボンドを発行できない点が挙げられます。資金力および環境事業のノウハウを蓄積している企業であれば、グリーンボンドの発行によってさらなる企業価値アップを目指せます。

しかしリソース面に余裕がなく、環境関連事業へ進出していない企業は、無理にグリーンボンドを発行するメリットがありません。

限られたリソースで脱炭素経営を行うには、グリーン電力証書の購入や中規模程度の太陽光発電所を設置してみるのがおすすめです。グリーン電力証書は、証書の購入だけでCO2排出実績を構築できます。太陽光発電は数100万円からの初期費用で設置でき、なおかつ管理運用の手間がかかりません。

グリーンボンドの発行時に手数料が発生

グリーンボンドを発行する際は、手数料の負担が発生します。

国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則(GBP)では、外部機関による評価分析を行ってもらうよう推奨されています。そのため、外部機関への評価依頼するための手数料が必要です。

この理由により、太陽光発電設置を検討する際は、低金利の太陽光ローンから判断した方がいい場合もあります。

グリーンボンド発行に手間がかかる

グリーンボンドは、通常の債券と比較して発行および償還までに手間がかかる債券制度です。資金調達可能な事業や環境改善効果の分析やレポート作成などといった条件は、通常の債券に含まれていません。

特に初めて債券を発行する場合や債券発行および管理に関するリソース不足といった場合は、グリーンボンド以外の方法から資金調達を検討してみることも必要です。

なお、弊社とくとくファーム0では、再生可能エネルギー由来の電力供給や発電事業者と再エネ電源を求めている企業のマッチング、太陽光発電用地の斡旋や自己託送など、さまざまなプランを提供しています。

グリーンボンドは脱炭素経営を行う際に役立つ債券!

グリーンボンドは脱炭素経営を行う際に役立つ債券!

グリーンボンドは、環境関連事業の資金調達にのみ活用可能な債券です。海外で考案された制度ですが、国内企業でもグリーンボンドの発行事例が出てきています。

ただし、グリーンボンドの手間や費用など面からメリットが少ないと判断される場合は、別の方法で脱炭素経営を展開していくのが大切です。

脱炭素経営のプランニングを行ってほしい方や限られたリソースで脱炭素経営を始めたい方などは、今回の記事を参考にしながらとくとくファーム0で非FIT型太陽光発電を検討してみてはいかがでしょうか。

とくとくファーム0は、FIT認定を受けていない非FIT型太陽光発電の設計施工に関するプランニングの他、太陽光発電用地の斡旋、非FIT型太陽光発電物件の売買仲介業務などのサービスを提供しています。

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