太陽光発電は、他の発電設備と同様に経年劣化していき、設置から10年~15年程度で修理・交換が必要になります。そこで昨今注目されているのが、リパワリングという技術です。太陽光発電の売電収益を伸ばしたい時や発電量を回復させたい場合に役立ちます。
そこで今回は、太陽光発電におけるリパワリングの意味や特徴、利用メリットや注意点について詳しくご紹介します。太陽光発電の設備を見直す必要がある方や太陽光発電の経年劣化で発電量低下に悩む方は、参考にしてみてください。
リパワリングとは?
リパワリングは、経年劣化した設備を新しい設備と入れ替えたり追加のモジュールを取り付けたりしながら出力の増強を図る専門用語です。
また、太陽光発電におけるリパワリングとは、耐久年数の過ぎた太陽光パネルやパワーコンディショナなどを新品と交換しながら発電量の増加を図る行動のことです。
太陽光発電の発電量は、自家消費と売電どちらのケースでも重要な要素で、発電効率低下による損失を防ぐ必要があります。リパワリングは、太陽光発電を行う全ての方にとって覚えておくべき考え方といえます。
太陽光発電でリパワリングが重要な理由
リパワリングの意味を把握したあとは、なぜ太陽光発電を運用する際にリパワリングが重要なのか、早めに行うのが大切なのか、という点について確認していきます。
10年から15年程度で劣化してしまうため
太陽光発電は、他の発電設備と同様に経年劣化していき、いずれ故障してしまいます。
太陽光パネルの寿命は、一般的に20年~30年程度とされています。また、配線の腐食や半導体の劣化、ガラス部分の変色や破損などによって、徐々に発電量が低下します。
パワーコンディショナの寿命は、太陽光パネルより短い10年~15年程度です。経年劣化していくと、直流電力を交流電力へ変換するための機能が低下していきます。発電効率が低下してしまうと、いくら太陽光パネルで発電しても売電収入を増やせませんし、自家消費に回すこともできません。
リパワリングは、太陽光パネルやパワーコンディショナなどの劣化に対応するための重要な方法といえます。
半導体技術の向上が続いている
太陽光パネルやパワーコンディショナ、遠隔監視装置などに組み込まれている半導体技術は、向上し続けています。
太陽光パネルの太陽電池は、技術向上によって発電効率20.0%を超えているタイプも販売されています。
他にもパワーコンディショナの技術は、電力の変換効率に加えて、制御機能や熱暴走防止の送付機内蔵、サイズの小型化など、さまざまな点で向上しています。また、オプティマイザと呼ばれる発電量などのモニタリング機能が付いたパワーコンディショナもあり、よりコンパクトな形で効率よく発電を行えます。
このように太陽光発電業界は、常に技術の更新・向上が続いているので、定期的にリパワリングを検討するのが重要です。
売電収益を伸ばすにはFIT期間でなければいけない
太陽光発電投資で売電収益を伸ばしたい場合は、FIT期間中にリパワリングを検討する必要があります。
FIT制度の固定買取期間は、出力10kW未満で10年間、10kW以上で20年間と定められています。さらに卒FIT後の電力買取価格は、固定買取価格より1kWhあたり数円安い水準です。
リパワリングで売電収益を伸ばしたい時は、FIT期間中に進めるのが大切です。
なお、自家消費型太陽光発電はFIT制度の影響を受けないため、時期に限らずリパワリングを検討しやすいといえます。
太陽光発電でリパワリングを行うメリット
ここからは、太陽光発電を長期的に運用していく上で、リパワリングを行うメリットを分かりやすく紹介します。
経年劣化による発電量低下を改善できる
太陽光発電のリパワリングは、経年劣化による発電量・発電効率低下の改善につながります。前半でも触れたように太陽光パネルやパワーコンディショナ、配線など各種機器類は、徐々に劣化していき、故障もしくは性能低下してしまいます。
経年劣化が進む前にリパワリングを行っておけば、設備導入時と同程度の発電量や発電効率まで回復させることが可能です。太陽光発電を20年、30年、40年と運用し続けたい時は、リパワリングを前提とした稼働を考えておくのが大切です。
新製品の導入により発電効率向上と売電収入アップ
設備導入時より性能のアップした太陽光パネルやパワーコンディショナへ交換できるのが、リパワリングの大きなメリットです。
太陽光パネルなど各種製品の性能や耐久性などは、5年や10年で向上します。特にパワーコンディショナは、モニタリング機能や冷却機能内蔵など、新たな機能が追加されたタイプも開発・販売されています。
リパワリングによって新製品を導入した場合は、設備導入時を上回る発電量の確保をはじめ、設備の小型化、耐久性の向上、有効電力の出力向上などといったメリットを得られます。
新製品による性能向上は、電気代削減効果を伸ばせます。なお、FIT期間中の出力向上に関する注意点は、次の項目で解説します。
経年劣化による事故や火災などのリスクを抑えられる
リパワリングは、安全面でもメリットのある考え方です。経年劣化によって太陽光パネル内でショートしたり配線の被覆が破れたりしてしまうと、火災や漏電のリスクをまねいてしまいます。
メンテナンスとリパワリングを定期的に行っておけば、劣化した箇所を見つけられますし、故障リスクの高い状態で運用し続けずに済みます。太陽光発電の事故リスクを抑えるには、定期的なメンテナンスとリパワリングも重要です。
リパワリングの注意点
続いては、リパワリングを検討する際に注意しておくべきポイントを3つ紹介します。
機器交換の費用がかかる
各種機器の購入および交換による費用負担が発生するため、リパワリングの予算を確保できるか事前に確認しておくのも大切です。
リパワリングの方法は、太陽光発電の施工会社や販売店へ相談もしくはリパワリング専門の業者へ依頼する2種類から検討できます。どちらの方法でも太陽光パネルやパワーコンディショナの購入費用と交換工事費用はかかるため、100万円単位で予算を検討しておく必要があります。
また、最新の設備を導入する場合は、一般的な太陽光パネルやパワーコンディショナなどより費用負担がかかる場合もあります。
太陽光パネルの出力更新を伴う交換はFIT期間中に行えない
太陽光パネルの出力更新を伴うリパワリングは、FIT期間中に行えない点に注意が必要です。
太陽光パネル1枚あたりの出力は、年々改善しています。FIT制度開始当初の出力は、1枚あたり200W程度でした。それが2022年には、1枚あたり400W以上でかつ値下がりしています。FIT期間中に太陽光パネルを交換した場合、出力を向上させやすい状況です。
しかし、経済産業用では、FIT期間中の太陽光パネルに関する出力の向上や増設を認めていません。
FIT制度の規制を無視すると認定取り消しなどのペナルティを受けるため、リパワリングによる出力向上については卒FIT後に検討するのが重要です。
収益率の向上は固定買取価格の状況によっても変わる
リパワリングでどれだけ収益率が向上するかは、いつFIT認定を受けたかによって変わります。
固定買取価格は年々下落しているので、FIT制度発足当初の2012年や2013年などに認定を受けていた設備の方がより多くの売電収入を得られます。
また、リパワリングによる投資効果は、固定買取価格の単価によっても左右されます。なぜなら、FIT期間中に向上できるのが、太陽光パネルの出力(発電量の上限)ではなくパワーコンディショナの発電効率(電力の変換効率)だからです。(※FIT期間中のパネル増設、パネル出力アップは禁止)
簡単に説明すると高い固定買取価格であればあるほど、リパワリングで収益率の改善および大幅な向上を期待することが可能です。
2022年から高い固定買取価格で太陽光発電投資を始めるなら、中古太陽光発電を購入するのがおすすめです。
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リパワリングの際に見直しておきたい周辺設備
リパワリングを行う際は、太陽光パネルやパワーコンディショナの他にも周辺設備や機器を点検、交換すべきか確認しておくのが大切です。
たとえば、架台やフェンスの腐食、配線類の被覆や接続部などといった状態を確認しておくのがおすすめです。
太陽光発電設備はメンテナンスフリーではありませんので、メンテナンス業者と契約し、定期的に部品や機器、敷地内の状態を確認してもらうのが大切です。
リパワリングで設備不良防止や売電収益の改善を目指そう!
リパワリングは、新品の太陽光パネルやパワーコンディショナへ交換し、劣化による発電量や発電効率低下の改善を図る考え方・行動を指しています。特に収益率の改善を見込めるのは、2012年や2013年など、高い固定買取価格でFIT認定を受けた設備です。
太陽光発電投資を検討している方や太陽光発電の設置から10年程度経過している方は、今回の記事を参考にリパワリングや中古太陽光発電を検討・調べてみてはいかがでしょうか?
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