ボランタリークレジットの意味や市場規模について解説!メリットやデメリットについても

ボランタリークレジットの意味や市場規模について解説!メリットやデメリットについても

国の2050年カーボンニュートラル目標や世界的な脱炭素政策などの動きから、企業やさまざまな団体が脱炭素化へ向けた取り組みや事業を手がけ始めています。ボランタリークレジットはカーボンクレジットの一種で、発行主体や種類などに大きな特徴があります。

そこで今回は、ボランタリークレジットの意味や市場規模、購入や発行メリット、課題について詳しくご紹介します。自社の再エネ電源を効率よく活用したい方や、脱炭素経営の足がかりとなる方法について調べている方などは参考にしてみてください。

ボランタリークレジットの意味

ボランタリークレジットは、カーボンクレジットの一種です。

カーボンクレジットとは、省エネルギー機器などを使用することで発生したCO2削減効果や、植林や森林の保護を行うことで発生するCO2の吸収効果をクレジットとして発行し、企業間などでそのクレジットの取引を行えるようにする仕組みのことを言います。

クレジットには、国が主体となって行なっているものと、NGOや企業、民間の団体などが主体となっているものがあります。

ボランタリークレジットは、NGOや企業、民間の団体が主導しているクレジットです。

企業が環境対策として取り組んでいる再生可能エネルギーの導入や、省エネルギー機器の導入のみでは達成することが難しいCO2削減達成目標を、ボランタリークレジットを活用することで埋め合わせることができるため、注目を浴びています。

ボランタリークレジットの市場規模

国際社会全体の問題となっている地球温暖化対策のため、企業も脱炭素化に向けた目標を掲げ、積極的に取り組んでいます。

目標が達成できない場合の埋め合わせの手段として、ボランタリークレジット市場の需要が増えており、2021年においては取扱量が3億6,200万トンと、前年と比べて92%と急激に拡大しています。

ボランタリークレジットの種類

企業や民間の団体が主導しているボランタリークレジットには、さまざまな種類があります。企業などによって実際に利用されているボランタリークレジットの種類を紹介します。

VCS(Verified Carbon Standard)

VCSは世界的に取引量が一番多いボランタリークレジットです。国際排出量取引協会や世界経済人会議といった民間企業が参加している団体により、ボランタリークレジットの認証を目的として2005年に設立され、現在はVerraが開発・管理しています。

創出方法論が多様で「エネルギー・工業プロセス・建設・輸送・廃棄物・工業・農業・森林・草地・湿地・家畜・家畜と糞尿」の11種類が認められていることから、さまざまなアプローチでクレジットを購入することが可能です。

また、認められている11種類以外の方法論でも提案ができることも特徴の一つです。

GS(Gold Standard)

GSはWorld Wide Fund for Natureなどの環境NGOが2003年に設立した、プロジェクトの「質」を保証する認証基準です。各プロジェクトにおいて、必ずしも温室効果ガスの削減や持続可能な開発に貢献できているとは限りません。

そのためGSの基準は、プロジェクトが本来の環境保全にまつわる利益を生み出すことを支援するために作られ、結果として買い手側は質の高いクレジットを購入することができます。

ACR(American Carbon Registry)

ACRは1996年にNPO法人のWinrock Internationalが設立した、世界で初めての民間GHG排出量の登録機関です。登録簿の管理や運営、方法論の承認やプロジェクトの検証を行なっています。

CAR(Climate Action Reserve)

CARはカリフォルニア州にて作成された、気候変動に対処するための排出量の公開報告のレジストリです。カーボンオフセットプロジェクトの品質を高める基準を確立し、質の高いクレジットを発行しており、世界の炭素市場でも信頼されています。

ボランタリークレジットの取引方法

クレジットを取得する方法の一つ目として、自らが温室効果ガス削減などのプロジェクトを実施することがあります。二つ目の方法は、クレジットの保有企業から購入することです。

クレジットを取得するには、クレジットを保有する企業から直接購入する方法と、取引所を利用して購入する方法があります。これまでは相対取引が主な方法でしたが、近年では取引所を通した取得も見られるようになりました。

ボランタリークレジットの価格

クレジットの価格については、ボランタリークレジットの取り引きがクレジットを保有する企業から直接購入する相対取引が多かったため、取引価格が公開されておらず、明確にわかっていません。

ボランタリークレジットの取引所であるシカゴマーカンタイル取引所などでは、価格が表示されています。

ボランタリークレジットのメリット

カーボンクレジットにはさまざまな種類がありますが、ボランタリークレジットを活用することにはどのようなメリットがあるのかを詳しく解説します。

発行側にとっては多彩な方法で創出できる

国が主導しているクレジットでは、それぞれの規制に基づいて施行されているため縛りが多く、自由がききにくいといった側面もあるでしょう。ボランタリークレジットの場合は、企業・NGO・民間の団体が主導しているので、クレジットの創出方法論が多岐にわたることや、法的な拘束力がないため自由がききやすくなります。

購入側にとっては脱炭素の効果を得られる

世界規模での地球温暖化防止対策としての脱炭素化に合わせて、企業も自社の環境価値を高めるために、CO2削減など環境対策の目標を積極的に掲げています。

しかし企業の経済活動は多岐にわたるため、自社での取り組みだけでは目標を達成することが困難な場合もあります。ボランタリークレジットを購入することで、脱炭素の効果を企業は得ることが可能です。

ボランタリークレジットは民間団体などが主導で行なっているため、政策的な制約や法的拘束力がなく、企業にとっても利便性が高いことから、今後も需要が高まっていくと予測されます。

ボランタリークレジットの課題

企業からの需要の増加でボランタリークレジットの市場規模が急激に拡大していくなかで、解決すべき課題も出てきています。懸念されている課題について詳しく説明します。

どの種類がとくに信頼できるクレジットかわかりにくい

ボランタリークレジットはさまざまな団体が主導し運営を行なっており、種類も数多くあります。クレジットを創生するための方法論も多様化しているため、どこの認証団体が発行するどのクレジットを選択すべきなのか判断しにくい状況になっています。

また、国が主導するクレジットなどと異なり法的拘束や規制などがなく、独自で作られた品質評価となっているため、創生されたクレジットの信頼性を見極めることが難しくなっています。

取引量や価格が不透明で閉鎖的

ボランタリークレジットの取引については、クレジットを所有している企業と購入する企業との相対取引が中心です。そのため、実際の取引価格や取引量などが明確に判明しておらず、不透明だと言えます。

また種類も多種多様なボランタリークレジットでは、規制や法的拘束もないことから、本来よりも過剰にクレジットが発行されていたり、実体のないプロジェクトの取引が行われていたりする可能性があるとされています。

国際社会全体での問題である地球温暖化防止につながるよう、脱炭素化に真に有効なクレジットが取引されることが重要です。

ボランタリークレジットの購入以外では太陽光発電がおすすめ

世界的な地球温暖化対策への流れを受けて、企業も経営活動の中で排出される温室効果ガス削減に向けた取り組みを積極的に行っていく必要があります。ボランタリークレジットの購入は、企業の脱炭素化目標を達成するための一つの選択肢です。

ボランタリークレジットの購入以外にも、脱炭素化への取り組みはさまざまありますが、その中でも太陽光発電の導入がおすすめです。

なぜ太陽光発電の導入が企業の脱炭素化におすすめなのかを詳しく説明します。

非FIT型太陽光発電ならRE100などの枠組みへの加入も可能

企業が経営活動の中で消費するエネルギーを、再生可能エネルギーへの転換を促すイニシアチブとしてRE100があります。RE100は「Renewable Energy 100%」の略語で、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを100%使用するという意味があり、RE100に加入することで自社の環境価値を高めることが可能です。

太陽光発電には、FIT制度(固定価格買取制度)を適用する方法と、FIT制度を適用しない非FIT太陽光発電がありますが、非FIT型太陽光発電を導入することでRE100などの枠組みに参加できます。

発電した電気を自社で消費することで電気料金削減効果が得られる

近年では燃料の高騰が続いており、それに伴って電力会社からの買電価格も値上がりしています。自家消費型の太陽光発電を導入することで、太陽光で発電した電力を自社で消費することができ、電力会社から買電する電気料金を削減することが可能です。

発電した電気を売電可能

太陽光で発電した電気を売電することで、利益を得ることもできます。FIT制度を適用した太陽光発電では、期間や売電先、単価が決まっています。自家消費型の非FIT太陽光発電の場合でも余剰電力を売電することができ、売電先は自分で選択することもできます。

ボランタリークレジットは民間のカーボンクレジット!

ボランタリークレジットとは、NGOや企業、民間の団体などが主体となって行なっているカーボンクレジットの一つです。

脱炭素化へ向けた取り組みに対して、目標を立てて積極的に取り組む企業が増えており、それに伴いボランタリークレジットの市場規模も急速に拡大しています。

しかし信頼できるクレジットの判断が難しく、またクレジットの透明性などの課題も残されています。

ボランタリークレジット購入以外での企業が取り組みやすい脱炭素化への対策として、太陽光発電の導入があります。

自家消費型の非FIT太陽光発電であればRE100などの枠組みへの参加も可能で、電気料金の削減にも繋げることができます。

弊社とくとくファーム0では、自家消費型太陽光発電の売買仲介および購入後の保守点検まで幅広くサポートしております。

記事を参考に自家消費型太陽光発電の導入に少しでも興味を持たれた方は、ぜひメールや電話にてお気軽にお問合せください。

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